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Trademark Appeal Case

指定役務と使用役務の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2017−300730(T2017−300730/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4685631号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成13年4月18日に登録出願された商願2001−35795に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,平成14年6月18日に登録出願,第16類「雑誌,書籍,新聞,ニューズレター,その他の印刷物」及び第42類「求人情報の提供を」を指定商品及び指定役務として,同15年6月27日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

そして,本件審判の請求の登録は,平成29年10月11日である(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張

請求人は,商標法50条1項の規定により,本件商標の指定商品及び指定役務中,第42類「求人情報の提供」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲1を提出した。

1 請求の理由

本件商標は,上記指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,登録商標の使用をした事実が存しないから,その登録は商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)「求人情報の提供」についての使用か否かについて

被請求人は,乙1の4に,「TACキャリアエージェントを利用するメリットは?」の下に「大手・優良企業や会計事務所からご依頼いただく数多くの求人情報を取り扱っています。」と記載され,乙1の5には求人情報が提供される手順が具体的に記載されているとし,具体的な求人情報が提供される旨主張している。

しかし,被請求人が主張する乙1の4の「TACキャリアエージェントを利用するメリットは?」の欄をみるに,例えば,その下欄の「04 折衝はコンサルタントに」の欄には,「ご希望企業への応募から雇用条件確認まで,フォローします。」の見出しの下に「ご希望された求人情報への応募から面接日時の設定,内定時の条件確認・折衝,入社日の調整まで弊社コンサルタントが代行しています。」とある。また,乙1の5には,「Step3」として「応募したい企業や会計事務所が決定したら,あなたの意思を確認した上で推薦します。それに伴う応募書類の書き方や面接の準備に際しても相談に応じます。」と,「Step4」として「入社日や条件面の調整等をあなたに代わって行います。」,「入社への最終的な意思確認やご相談,入社日や条件面の調整等をあなたに代わって行います。内定時に聞きにくいことや円満退社へ向けたご質問なども承ります。」とある。

すなわち,これらの記載によれば,これら乙号証が示す役務は,その過程において,仮に企業の採用募集に関する情報を扱うとしても,入社又は採用の意思確認や,入社日や入社条件等について,企業側と就職・転職希望者側の調整までを行っていることがうかがわれることから,これらの役務は,独立して商取引の目的となっているのは「職業のあっせん」や「人材の紹介」というべきであって,独立して「求人情報の提供」が商取引の目的となっているということはできないものである。

したがって,本件商標が「求人情報の提供」について使用されたということはできない。

(2)使用権者による使用か否かについて

被請求人は,「株式会社TACプロフェッションバンク(以下『TACプロフェッションバンク社』という。)は,本件商標権者の100%子会社であり(乙7),かつ,『求人情報の提供』を担当している子会社である(乙8)から,本件商標権者がTACプロフェッションバンク社に本件商標の使用を認めていたことは明らかである。」と主張している。

しかし,乙7には,本件商標権者の持ち株比率が100%である旨記載されているとしても,それは本件商標権者の持ち株比率を示しているにすぎない。加えて,乙8についても,その記載部分からTACプロフェッションバンク社が「求人情報の提供」を担当する子会社であることが証明されているのかは何ら説明されていない。むしろ,乙7には,本件商標権者のTACプロフェッションバンク社に対する持ち株比率とともに,主要事業内容としては,「人材事業」と記載されており,上記(1)を踏まえれば,「職業のあっせん」や「人材の紹介」の事業を指して,「人材事業」とされていることを強く窺わせるものであり,「求人情報の提供」を担当している子会社であることが証明されたとはいうことはできない。

そもそも,乙7には,TACプロフェッションバンク社に対する本件商標権者の持ち株比率を示しているにすぎないものであり,本件商標権者がTACプロフェッションバンク社に対して,本件商標の「求人情報の提供」についての使用権の許諾をしていたことを証明するものではない。親子の関係の会社であっても,法人格としては別人格であるし,使用許諾には相応の条件などもあり得ることを考えると,むしろ,使用権の許諾契約をしていないのは不自然である。

乙号証をもって,本件商標権者がTACプロフェッションバンク社に対して,本件商標の「求人情報の提供」についての使用権の許諾をしていたことが証明されたとはいうことができない。

(3)「使用」の事実と時期について

被請求人は,乙1〜5として,「ウェイバックマシーン」(審決注:ウェイバックマシーンとは,アメリカの非営利団体インターネット・アーカイブが運用する,ある一時点でのウェブページの内容を記録・保存するサービスである。)を利用して抽出したタイムスタンプ付きのTACプロフェッションバンク社のウェブサイトの写しを提出し,これをもって,要証期間内に,TACプロフェッションバンク社が本件商標を第42類「求人情報の提供」について使用している旨主張している。同乙号証がTACプロフェッションバンク社のウェブサイトの写しでありであり,同社は,「『電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。...)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為』(商標法2条3項7号)」に該当する使用を行ったと主張している。

しかし,被請求人は,そもそも,当該映像面を介して「〜役務を提供する行為」が行われた事実を始め,乙1〜5のウェブサイトの映像面をいかに介して役務を提供しているのか,その役務は具体的に何なのか,その役務の提供が行われた時期はいつなのかなど,同号に該当する「使用」というために必要な説明や証拠の提出を一切していない。

したがって,乙1〜5をもって,要証期間内に商標法2条3項7号に該当する使用を行ったということはできない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙1〜8(枝番号を含む。)を提出した。

1 本件商標権者の100%子会社であるTACプロフェッションバンク社のホームページにおける「会計業界就職情報サイト」(乙1の1)中の「TACキャリアエージェント」と題する画像(乙1の3)の左上には,本件商標の表記がある。この画像の上部真ん中には,「求人検索」の欄がある。

本件商標は,平成26年10月4日,同27年4月9日,同28年3月9日及び同年4月13日の時点を変えても一貫して記載されている(乙2〜5)。

乙1の4の1頁目の中ほどには,その情報の提供の仕方として,「TACキャリアエージェントを利用するメリットは?」とあり,その下に,「大手・優良企業や会計事務所からご依頼いただく数多くの求人情報を取り扱っています。」と記載されていて,具体的な求人情報が提供されることが記載されている。そして,乙1の5には求人情報が示される手順が具体的に記載されている。

なお,ネット検索可能なレベルでの求人情報は,ユーザーが個別にアクセスしないと出ないものであるため,過去の求人情報の記録は保存されてはいないので,平成30年1月12日段階で,検索した結果の内容(乙6の1〜4)は,乙1の時点でも同じであった。

乙1の3のデータは,ウェイバックマシーンのサイトから,過去のサイトを検索したもので,左上に「2017/3/3」としてダウンロードした日が記載されているが,左下に20150708043650とあり,2015年(平成27年)7月8日04時36分50秒にこの画像が記録保存されていたことがわかる。

なお,乙1の4の2頁目と乙1の6には,本件商標の色彩を反転させて,比率を若干変えたものが商標として記載されているが,これらも本件商標と社会的同一性の範囲内にあるといえる。そしてそれらのウェイバックマシーンのタイムスタンプも要証期間内であることを示している。

2 したがって,乙1〜5は,要証期間内に,TACプロフェッションバンク社が,本件商標を「求人情報の提供」という役務に関し,「電磁的方法(電子的方法,磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。...)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(商標法2条3項3号)に当たる。

TACプロフェッションバンク社は,本件商標権者の100%子会社であり(乙7),かつ,「求人情報の提供」を担当している子会社である(乙8)から,本件商標権者がTACプロフェッションバンク社に本件商標の使用を認めていたことは明らかである。

第4 当審の判断

1 証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)本件商標権者等について

ア 本件商標権者は,昭和55年12月に設立された,国家試験その他資格試験等の教育などを目的とする株式会社である(乙8)。

イ TACプロフェッションバンク社は,平成13年5月に,本件商標権者が全ての議決権を有する子会社として設立された株式会社であり,職業紹介事業,労働者派遣事業,求人広告サイト運営,求人情報誌の発行,就職採用支援イベント運営などを営んでいる。また,TACプロフェッションバンク社の代表取締役(2名)は,本件商標権者の取締役副社長及び取締役であり,他の役員(取締役1名,監査役1名)は,本件商標権者の代表取締役社長及び監査役である。本件商標権者は,人材紹介等の人材事業を本格的に立ち上げるために,TACプロフェッションバンク社を設立したものであり,同社を設立後,従来,本件商標権者が行っていた人材事業を同社に全面的に移管した(乙7,8)。

(2)「求人情報の提供」について

ア TACプロフェッションバンク社のTACキャリアエージェントのウェブサイト(URL http://tacnavi.com/agent/)(平成27年4月9日,同年7月8日,同28年3月9日及び同年4月13日にウェイバックマシーンに記録保存)の左上部には,本件商標が表示され,「会計事務所/経理専門 転職エージェント」,「年間利用人数4000人以上(2013年度)」,「株式会社TACプロフェッションバンク」及び「税理士法人・上場企業経理・コンサルティングファーム等 業界最大規模の求人数」の各記載と,当該ウェブサイトの見出し部にウェブページのリンクとして「求人検索」が表示されている(乙1の3,乙3〜5)。

イ TACプロフェッションバンク社のTACキャリアエージェントのウェブサイト(URL https://tacnavi.com/agent/)(平成30年1月12日印刷)によると,当該ウェブサイトの見出し部にウェブページのリンクとして「求人検索」が表示されており(乙6の1),当該リンクが選択されると職種,勤務地,年収及び資格(公認会計士,税理士等)を選択できる「求人検索画面」(乙6の2)が表示され,当該画面において検索条件を入力することにより,職種,業務内容,勤務地及び給与の概要が表示された「検索結果画面」(乙6の3),並びに,職種区分,業務内容,勤務地,雇用形態,給与及び勤務地時間等の詳細が表示された「求人票詳細画面」(乙6の4)が表示される。

2 上記1の認定事実によれば,次のとおり判断できる。

(1)使用役務について

上記1(2)の認定事実よりすれば,平成27年4月ないし同28年4月にウェイバックマシーンに記録保存されていたウェブサイト(乙1の3,乙3〜5)と同30年1月12日に印刷されたウェブサイト(乙6の1〜4)とは,インターネットのアドレス(URL)が共通し,共に見出し部分に「求人検索」のリンクが存在することから,平成27年4月ないし同28年4月の時点においても,利用者が「求人検索」のリンクを選択すると,「求人検索画面」が表示され,当該画面において検索条件を入力することにより,「検索結果画面」及び「求人票詳細画面」が表示することができたと推認することができる。

そうすると,TACプロフェッションバンク社は,平成27年4月ないし同28年4月に,同社のウェブサイトにおいて,職種,勤務地,年収,資格(公認会計士,税理士等)を選択して求人情報を検索できる役務を行っており,当該役務は,本件審判の請求に係る指定役務である「求人情報の提供」に該当するものと認められる。

(2)使用時期について

TACプロフェッションバンク社のウェブサイトにおいて,上記求人情報の提供が行われた平成27年4月ないし同28年4月は,要証期間内である。

(3)使用者について

上記1(1)イのとおり,(ア)TACプロフェッションバンク社は,本件商標権者が全ての議決権を有する子会社であり,本件商標権者の代表取締役社長,取締役副社長等の役員がTACプロフェッションバンク社の役員を兼務していること,(イ)本件商標権者は,人材紹介等の人材事業を本格的に立ち上げるために,TACプロフェッションバンクを設立し,同社を設立後,従来,本件商標権者が行っていた人材事業を同社に移管し,TACプロフェッションバンク社は,職業紹介事業,労働者派遣事業,求人広告サイト運営,求人情報誌の発行,就職支援イベント運営などを営んでいること,(ウ)TACプロフェッションバンク社は,要証期間内である平成27年4月ないし同28年4月に同社のウェブサイトにおいて,求人情報を掲載し,その左上部に本件商標が表示されていることが認められる。

これらの事実関係によれば,本件商標権者は,TACプロフェッションバンク社に対し,同社の求人情報に関するウェブサイトが提供される前に,指定役務「求人情報の提供」について,本件商標の使用について,黙示の許諾を与えていたものと認められる。

したがって,TACプロフェッションバンク社は,本件商標の通常使用権者であると認めることができる。

(4)小括

以上によれば,本件商標の通常使用権者であるTACプロフェッションバンク社は,要証期間内に含まれる,平成27年4月ないし同28年4月に,同社のウェブサイトにおいて,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を表示して,本件審判の請求に係る指定役務の「求人情報の提供」を行ったものと認められる。

そして,通常使用権者による上記行為は,商標法2条3項7号にいう「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」に該当する。

3 結語

以上のとおり,被請求人は,要証期間内に,日本国内において,本件商標の通常使用権者が,本件審判請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものである。

したがって,本件商標の登録は,本件審判請求に係る指定役務について,商標法50条の規定により取り消すべきではない。

よって,結論のとおり審決する。

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