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Trademark Appeal Case

造語の称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900047(T2018−900047/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6008773号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6008773号商標(以下「本件商標」という。)は、「CloudFabric」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年12月16日に登録出願、第9類「データ処理装置,電子計算機用プログラム,コンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア用アプリケーション,コンピュータハードウェア,配電盤,モデム,携帯電話機,ネットワーク通信機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電気通信機械器具の設計に関する指導及び助言,情報技術(IT)に関する指導及び助言,クラウドコンピューティング,ウェブサイト経由によるコンピュータ技術に関する情報の提供,コンピュータソフトウェアの設計・作成・保守に関する指導及び助言,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータハードウェアの設計及び開発に関する指導及び助言,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、同29年12月4日に登録査定、同30年1月5日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第5824577号商標(以下「引用商標」という。)は、「BIG CLOUD FABRIC」の欧文字を標準文字で表してなり、2015年(平成27年)5月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年11月26日に登録出願、第9類「高速のコンピュータネットワークスイッチを活用したコンピュータネットワークのためのコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェア,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同28年2月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、引用商標に類似する商標であって、同一又は類似する指定商品及び指定役務に使用されるものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は、申立人の商標として広く知られていることから、これと類似する本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、商品又は役務の出所について混同を生じるおそれがある。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、「CloudFabric」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「雲」の意味を有する「Cloud」及び「織物」の意味を有する「Fabric」の文字を結合したものであり、これを構成する文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体的に表されており、これより生ずる「クラウドファブリック」の称呼も、よどみなく一連に称呼できるものである。また、両語を結合した「CloudFabric」の文字は、特定の意味合いを生じない。

そうすると、本願商標は、特定の語義を有することのない一種の造語として理解、認識されるとみるのが相当である。

したがって、本件商標は、その構成文字に相応した「クラウドファブリック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標

引用商標は、「BIG CLOUD FABRIC」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これを構成する各文字は、よく知られた、「大きい」の意味を有する「BIG」、「CLOUD」及び「FABRIC」の文字からなるものであり、これらの語全体で熟語的意味合いが生ずるものではない。また、引用商標は、各文字が同書、同大で全体として一体のものと看取される構成からなるものであるから、その構成文字に相応して、「ビッグクラウドファブリック」の称呼が生じるものである。

そうすると、引用商標は、特定の語義を有することのない一種の造語として理解、認識されるとみるのが相当である。

したがって、引用商標は、「ビッグクラウドファブリック」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

なお、この点について、申立人は、引用商標の構成中「BIG」の文字は、商品の品質や役務の質が特に優れていることを暗示する文字であって、識別力が弱い文字であると主張するところ、申立人の提出する証拠からは、引用商標は、一体のものとしてとして使用され、認識されている(甲7、甲8、甲10〜甲25)というべきであり、また、申立人主張を裏付ける証拠も提出されていないから、この主張を採用することができない。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標は、上記1のとおり、大文字と小文字で「CloudFabric」と表し、引用商標は、上記2のとおり、大文字の「BIG」、「CLOUD」及び「FABRIC」の各文字の間に1文字分の空間を有した構成からなるから、両者は、「BIG」の文字の有無の差異を有するものであって、かつ、大文字と小文字の構成と大文字のみからなる構成においても相違し、両者の印象が大きく異なるものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。

また、本件商標から生じる「クラウドファブリック」の称呼と引用商標から生じる「ビッグクラウドファブリック」の称呼とを比較すると、語頭における「ビッグ」の音の有無において差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼した場合、称呼上、互いに聴き誤るおそれはない。

さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、両商標を比較することはできない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において、明らかに異なるものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の周知、著名性について

(ア)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。

申立人は、2010年に設立され(甲5)、日本におけるネットワーク仮想化及びオープン・ソフトウェア・ディファインド・ネットワーキングソリューションの需要増に対応するため、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社やネットワンシステムズとの販売提携を発表した(2013年3月5日:甲6)。そして、2014年12月には日本法人を設立した(甲7〜甲9)。

また、引用商標を付した申立人の製造に係る商品(以下「申立人商品」という。)は、2014年7月に発表し(甲7、甲8)、その発表以降、プレオーダーだけでも、100万米ドル以上の売上を確保しているとされる(甲10、甲11)。

申立人商品は、SDN(Software−Defined Network)ソリューションに使用する、ネットワークOSの機能を提供するファームウェア(コンピュータソフトウェア)であって(甲15、甲23)、国内外のインターネット記事に取り上げられている(甲16〜甲27)。また、株式会社ディー・エヌ・エー及び株式会社野村総合研究所は、申立人商品を採用している(甲17〜甲20)。

(イ)以上からすると、申立人は、引用商標を付した申立人商品を2014年7月に発表し、日本においても、申立人商品が採用されていることから、申立人は、日本において引用商標を使用しているものといえる。

しかしながら、申立人の提出した証拠からは、本件商標の登録出願時や査定時における申立人商品の我が国での販売量、売上高、市場シェア等については、不明であり、また、広告の範囲及び広告の配布部数等、具体的な状況が見いだせないから、引用商標が広く知られていたとはいい難い。

そうすると、かかる証拠のみによっては、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして、我が国の需要者に広く知られていたということはできない。

イ 本件商標と引用商標との類似性について

本件商標と引用商標とは、上記(1)ウのとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、類似性の程度は高くないものである。

ウ 引用商標の独創性について

引用商標は、「BIG CLOUD FABRIC」の欧文字からなるところ、引用商標を構成するそれぞれの語は、一般によく知られた語であるが、構成文字全体としては、特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものであるから、ある程度の独創性を有するものである。

エ 商品間の関連性及び取引者、需要者の共通性について

本件商標の指定商品及び指定役務は、コンピュータソフトウェア等のコンピュータに関連する商品及び役務を含むものであり、申立人商品は、上記ア(ア)のとおりコンピュータソフトウェアであるから、両者は、共に取引者、需要者を共通にするものである。

オ 出所の混同のおそれ

上記アないしエによれば、引用商標は、ある程度の独創性を有し、その指定商品及び指定役務は、申立人商品と取引者、需要者を共通にするものではあるものの、需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、かつ、本件商標と引用商標とは、外観の印象が大きく異なり、その類似性は高くないものである。

そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者、需要者の普通に払われる注意力を基準とし、これらを総合的に勘案すれば、商標権者が、これをその指定商品及び指定役務に使用しても、取引者、需要者が引用商標を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が申立人あるいは申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。

また、申立人の提出した証拠によっては、本件商標と引用商標とが取引者、需要者において現実に出所の混同を生じている事実を認め得る具体的、客観的証左は見いだせないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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