Trademark Appeal Case
品質表示と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−10593(T2017−10593/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「チョコカラー」の片仮名を標準文字で表してなり,第2類「ビール用色素,リキュール用色素,飲料用色素,麦芽用色素,バター用色素,家庭用食品用色素,食品用色素,着色剤」を指定商品として,平成28年5月18日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「チョコカラー」の文字を横書きしてなるところ,その指定商品中「チョコレートの着色料及びそれに関係する商品」に使用したときには,チョコレートの着色に関係する商品の意味を理解させるにとどまり,商品の用途,品質を表示したものといわなければならない。また,本願商標は,チョコレートの着色料及びそれに関係する商品以外の商品に使用したときには,チョコレートの着色料及びそれに関係する商品のように商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 平成30年4月20日付けで通知した当審における審尋(要旨)
当審において,要旨以下のとおりの審尋を発し,請求人に対し意見を求めた。
別掲1ないし4によれば,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品によって着色される色合いが「チョコレート色」であることを表したものと認識し,理解するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,商品の品質を表示するものと認められる。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
審尋において示された色に関する辞書類等にある表現は,「チョコレート」や「チョコレートブラウン」であり,「チョコカラー」ではない。着色という効果を期待する本願商標の指定商品において,その名称は非常に重要であり,「チョコレート」や「チョコレートブラウン」など,特定の色彩を表す語が別途存在し,用いられていることからしても,色彩として特定されていない「チョコカラー」の文字からなる本願商標は,独占適応性を有するものである。
他方,請求人の食用の着色料の商品名である「チョコカラー」は,2003年からの長きにわたり販売を行っており,その結果,これまで取引上特段の混乱もなく商品の識別が行えている。さらに,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「チョコカラー」の商標が付された商品は請求人の取り扱う商品だけであり,他者の使用例は不知である。
よって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号には該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(昭和53年(行ツ)第129号,最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁)。この趣旨に照らせば,当該商標が指定商品の品質,用途等を表すものとして審決時に取引者,需要者に広く認識されている場合はもとより,将来を含め,取引者,需要者にその商品の品質,用途等を表すものと認識される可能性があって,これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときは,その商標は,同号に該当すると解するのが相当である。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は,上記1のとおり,「チョコカラー」の片仮名を標準文字で表してなり,その指定商品は,いずれも物体(食品等)に着色する目的で使用される商品である。
イ 本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,別掲1のとおり,商品名中に,例えば,「グレープカラー」,「アメジストカラー」,「ブラックカラー」,「オレンジカラー」,「ブラウンカラー」,「グリーンカラー」及び「レッドカラー」などのように,色名を表す文字(グレープ,アメジスト,ブラック,オレンジ等)と,「色。色彩。」(広辞苑第6版)を意味する「カラー」の文字とを結合して,その商品によって着色される色合いをわかりやすく表示しているというのが実情であるから,本願商標も,たとえ,標準文字で「チョコカラー」と一連に表記されているとしても,「チョコ」の文字と「カラー」の文字とを結合したものであることは容易に認識できる。
そして,「チョコ」の文字は,「『チョコレート』の略」(前掲書)であることは,広く一般に知られており,また,「チョコレート」の文字は,別掲2のとおり,「日本工業規格(JIS)Z8102:2001.(物体色の色名)」の「付表1」に示される慣用色名として使用されているほか,色に関する辞典類においても,見出し語として普通に使用されているから,「チョコカラー」の文字は,基本的に「チョコレートカラー」や「チョコレート色」と同義の語として理解,認識されるものであるといえる。
加えて,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,別掲3のとおり,例えば,食用色素について,茶色系の色調見本とともに商品名中に「チョコレート色」の文字が使用されているし(別掲3(1)),請求人においても,商品名を「チョコカラー610P(粉末)」とする食用の着色料について,その商品の特徴欄には,「赤みのあるチョコレート色を呈します。」と記載しているように,「チョコカラー」の語を「チョコレート色」の意味で使用しているのは明らかである(別掲3(2))。
さらに,本願商標の指定商品以外の業界でも,別掲4のとおり,「チョコカラー」の語は,色合いを表す「チョコレートカラー」や「チョコレート色」と同義の語として一般に使用されているのが実情である。
ウ 以上によれば,本願商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品によって着色される色合いが「チョコレート色」であることを表したものと認識し,理解するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,商品の品質を表示するにとどまり,自他商品の識別力を有しないものと認められる。
また,本願商標は,標準文字で構成されているから,「チョコカラー」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるということができる。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎず,これを特定人に独占させることは公益上適当ではないから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張に対して
請求人は,色に関する辞書類等において,「チョコレート」や「チョコレートブラウン」など,特定の色彩を表す語が別途存在し,用いられていることからしても,色彩として特定されていない「チョコカラー」の文字からなる本願商標は独占適応性を有する旨,また,請求人の食用の着色料の商品名である「チョコカラー」は,2003年からの長きにわたり販売を行っており,その結果,これまで取引上特段の混乱もなく商品の識別が行えていたことに加え,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「チョコカラー」の商標が付された商品は請求人の取り扱う商品だけであり,他者の使用例は不知である旨主張する。
しかしながら,上記(2)イのとおり,本願商標の指定商品を取り扱う業界における実情からすれば,本願商標「チョコカラー」に接する取引者,需要者は,これを「チョコ」の文字と「カラー」の文字とを結合したものであると容易に認識でき,基本的には「チョコレートカラー」や「チョコレート色」と同義の語として理解,認識するものであるといえる。そして,別掲3のとおり,同業他社も,例えば,食用色素について,茶色系の色調を表示するものとして「チョコレート色」の文字を使用しており,また,請求人が2003年から使用してきたという食用の着色料についても,「チョコカラー」の語を「チョコレート色」との意味を超えて使用してきたわけでもないから,将来において,「チョコカラー」の文字が商品の品質を表示するものとして使用される可能性が存在しないと断定できるものではない。そして,このように指定商品との関係において,当該商品の品質を表示するために,取引に際し必要適切な標章として何人もその使用を欲するものについて,特定人によるその独占使用を認めることは妥当でない。また,他の用語をもって代替できるからといって,商品の品質を表示するものと認識される商標を一私人に独占させることが妥当でないことに変わりはないから,その商標登録を許すことを相当とするための理由にはなり得ない。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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