Trademark Appeal Case
写実図形と品質誤認
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−11383(T2017−11383/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第14類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年3月28日に登録出願されたものである。
そして,願書記載の指定商品については,当審における平成30年3月30日受付の手続補正書により,第14類「身飾品(「バングル」及び「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」と補正されたものである(以下,この補正後の指定商品を「本願補正後指定商品」という。)。
2 当審における平成30年3月1日付け拒絶理由通知の要点
本願商標は,その指定商品との関係においては,「身飾品(「カフスボタン」を除く。)」に含まれる商品「バングル」の形状・装飾を写実的に表したものと理解される図形からなるものであるから,これをその指定商品中「バングル」に使用する場合,これに接する取引者,需要者は,単に商品の形状,品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するにすぎず,また,上記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見の要旨
(1)商標法第3条第1項第3号に該当性しない理由
本願の指定商品は,上記1のとおり補正したため,本号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第16号に該当性しない理由
ア 本願商標は,直接的に商品自体の性質等を表すものではない
本願商標は,バングルにも非常に多くの種類が存在している中で,特定のバングルの一態様に着目して,それをモチーフにして作成されているものにすぎないから,バングルの一般的形態を表したものではなく,これに接した取引者及び需要者に対して,バングルの性質等につき,直接的に一般的な身飾品の性質等を観念させることはない。
イ 取引実情から品質誤認を生じるおそれは存在しない
本願商標は,装飾品としての商品特性から美術品的な要素も兼ね備えており,バングルを超えた象徴的識別標識として観念されることになる。また,指定商品は嗜好性を有する商品であり,需要者等は購入時において,個々の商品を入念に確認する等の取引の実情が存在する。加えて,本願商標は,写実的な商標であることから,上記取引実情の下で,需要者等は,本願商標と補正後の指定商品に関して,明確にその違いを認識することが可能である。
ウ 先登録商標について
甲第1号証ないし甲第5号証に記載の商標は,写実的な図柄をモチーフとしているものであるが,指定商品を身飾品等とした場合であっても,その登録が認められている。
4 当審の判断
(1)本願商標の商標法第4条第1項第16号該当性について
商標法第4条第1項第16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定しているのは,商標を構成する文字,図形等が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。そうすると,本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するというためには,取引者又は需要者において,本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本願商標が表示している特定の商品の特性と指定商品が有する特性が異なるため,本願商標を指定商品に使用した場合に,本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることを要するものと解される。また,現実に商品の品質の誤認が生じている必要はなく,本願商標と商標が使用された商品との関係で客観的に誤認を生ずる蓋然性があれば,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるということができるものと解される(知財高等裁判所 平成27年(行ケ)第10162号判決)。
以上を前提に,本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するかどうかについて判断する。
ア 商品「バングル」について
(ア)「バングル」の語に関し,「大辞泉第2版」には,「腕輪。飾り輪。」との記載があり,「大辞林第3版」には,「留め金のない,輪になった腕輪」との記載がある。また,「腕輪」は「腕にはめる装飾用の環」(広辞苑第六版)である。
(イ)実際にも,別掲2のとおり,留め金のない,開口部を有する金属製でやや楕円形状からなる,腕等にはめる装飾用の環を「バングル」と称しており,その環の途切れた部分に鳥や動物の顔の装飾を施し,残りの輪の部分についても様々な装飾を施した(装飾の無いものを含む。)商品も製作・販売されている実情が多数認められる。
(ウ)そして,商品及び役務の区分第14類に属する「身飾品」は,「主として身に飾ることによって,直接的にその人の美しさを増すもの」が該当する(「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」特許庁商標課編)ところ,商品「バングル」すなわち「装飾用の腕輪(飾り輪)」は,当該身飾品に含まれるものであって,これに含まれるその余の身飾品(例えば,イヤリング,ネックレス,ペンダント,指輪等)とは,その形状,身に着ける部位等が異なる別の種類の身飾品であるといえる。
イ 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,全体として立体感・光沢感を醸し出した写真様の図であるところ,当該図は上部に開口部を有するやや楕円形状の環様のものであって,その輪の途切れた部分の両端に鳥の顔と思しき装飾を描き,残りの環の部分についても植物様の装飾を描いた構成からなるものである。
本願商標のかかる構成態様は,正に,上記アに示した商品「バングル」の特性を写実的に表示したものの一であると認められる。
したがって,本願商標は,本願補正後指定商品を取り扱う取引者や需要者に,商品「バングル」の一を表したものと一般に認識させるというのが相当である。
ウ 「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」について
本願商標の構成から認識される商品「バングル」は,本願補正後指定商品とは,互いに関連する商品であるが,別の種類の身飾品であって,本願商標が表示している商品「バングル」と本願補正後指定商品が有する特性が異なるため,取引者又は需要者において,本願商標を本願補正指定商品に使用した場合に,その商品が「バングル」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,(ア)本願商標は,特定のバングルの一態様に着目して,それをモチーフにして作成されているものにすぎないから,本願商標は,バングルの一般的形態を表したものではなく,本願商標に接した取引者及び需要者に対して,バングルの性質等につき,直接的に一般的な身飾品の性質等を観念させることはない旨,(イ)指定商品は嗜好性を有する商品であり,需要者等は購入時において,個々の商品を入念に確認する等の取引の実情が存在することに加え,本願商標は,写実的な商標であることから,上記取引実情の下で,需要者等は,本願商標と補正後の指定商品である「身節品(「バングル」及び「カフスボタン」を除く。)及びカフスボタン」に関して,明確にその違いを認識することが可能である旨,(ウ)先に提出した甲第1号証ないし甲第5号証に記載の商標は,写実的な図柄をモチーフとしているものであるが,指定商品を身飾品等とした場合であっても,その登録が認められている旨主張している。
しかしながら,(ア)及び(イ)については,上記(1)イのとおり,本願商標は,その構成から本願補正後指定商品を取り扱う取引者や需要者に,商品「バングル」の一を表したものと一般に認識させるものであるから,本願商標を本願補正後指定商品に使用した場合に,その商品が「バングル」の特性を有する商品であるかのように,「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があるというのが相当である。
また,(ウ)については,登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,他の登録例の存在によって,上記判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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