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Trademark Appeal Case

身飾品の写実的表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−11384(T2017−11384/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」を指定商品として,平成29年3月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

本願商標は,本願の指定商品である「身飾品」の形状を写実的に表したものと認められる図形からなるものである。

本願の指定商品である「身飾品」は,商品の外観上の特徴が需要者の購買心理,選択意欲,消費行動等に重要な影響を与える商品であり,そのため,様々な特徴的な装飾等が施されている実情が認められる。また,商品の包装や広告には,商品自体の画像が表示されることが一般に行われていることも認められる。

そうすると,「身飾品」の形状を写実的に表したものと認められる図形からなる本願商標は,これをその指定商品に使用する場合,これに接する取引者,需要者は,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知

本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,平成30年3月1日付け証拠調べ通知によってこれを開示し,期間を指定して,これに対する意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要点

(1)証拠調べ通知書における証拠について

証拠調べにより,装飾部分の形状が長方形・四角形である複数の身飾品が存在することは確認されるが,これらの各身飾品は,その装飾品の種類・特性(指輪,ペンダントヘッド,ピアス,ブローチ,カフスボタン,ネクタイピン等)に応じて,その具体的な細部の態様は異なっており,本願商標の形態と類似する多数の商品が存在する事実は何ら示されていない。

(2)本願商標について

本願商標は,銀色の長方形部の左上部に,特徴的な形状の金色の擬似太陽が配置され,図形及び色彩が一体となっている構成を有しており,特定の身飾品のデザインを意図したものではない。また,デザイナーが,自己の作品のコンセプトデザインを基に,統一的に複数の身飾品を作成することは一般的な行為であり,この統一的なコンセプトデザインを識別標識として採用することも通常行われている。したがって,本願商標は,写実的であるとはいえ,一見して,いかなる種類の身飾品であるかを認識できるような構成を有しておらず,統一的な出所表示機能を奏する標章となっている。

(3)先登録商標について

甲第1号証ないし甲第5号証に記載の商標は,本願商標とその考え方を同じくする写実的な図柄をモチーフとしているものであるが,指定商品を身飾品等とした場合であっても,その登録が認められている。

したがって,本願商標の構成要素の一部である長方形・四角形であるとの部分のみを取り上げ,その形状・装飾を写実的に表したものと認められる図形からなる複数の身飾品が存在する事実をもって,本願商標が身飾品の一般的な形状等を表示するものであると判断することは妥当ではない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について

ア 本願の指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」について

本願の指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」に関し,商品及び役務の区分第14類に属する「身飾品」は,「主として身に飾ることによって,直接的にその人の美しさを増すためのもの」(「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」特許庁商標課編)であるから,そのデザインや商品の外観上の特徴が需要者の購買心理,選択意欲,消費行動等に重要な影響を与える商品であるため,様々な特徴的な装飾等の形状が一般的に採択され,使用されている。

そして,別掲2のとおり,「身飾品」には,その装飾部分の形状を長方形又は四角形とし,その表面等に様々な装飾が施されたものも,一般に製造,販売及び広告されている。

イ 本願商標について

本願商標は,別掲1のとおり,全体として立体感・光沢感を醸し出した,銀色と思しき色をした,角を丸めた薄い横長板状の表面の左上部に,金色の擬似太陽と思しき図柄を配した構成からなるものである。

そして,前記アのとおり,本願の指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」には,その装飾部分の形状を長方形又は四角形とし,その表面等に様々な装飾が施されたものも,一般に販売等されていることからすると,本願商標は,その指定商品との関係では,取引者・需要者に対し,商品の装飾部分の形状・装飾を写実的に表したものと一般に認識させるというのが相当である。

ウ 以上よりすると,本願商標は,これをその指定商品「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン」に使用した場合,これに接する取引者・需要者は,商品の装飾部分の形状・装飾を写実的に表したものと理解するにとどまり,自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきである。

したがって,本願商標は,商品の形状,品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張

請求人は,(ア)本願商標は,特定の身飾品のデザインを意図したものではないし,いかなる種類の身飾品であるかを認識できるような構成を有していないため,出所表示機能を有する標章である旨,(イ)仮に,本願商標が「身飾品」又は「身飾品に類似する物品」の個別形状を写実的に表したものと認定された場合であっても,本願商標は,特徴的な装飾形態を有しているため,特定の身飾品の形態を超え,統一的な出所表示機能を奏する標章となっている旨,(ウ)証拠調べにより,装飾部分の形状が長方形・四角形である複数の身飾品が存在することは確認されるが,これらの身飾品は,その装飾品の種類・特性に応じて,その具体的な細部の態様は異なっており,本願商標の形態と類似する多数の商品が存在する事実は何ら示されていない旨,(エ)写実的な図柄をモチーフとしている商標について,指定商品を身飾品等とする他の登録商標が存在する旨主張している。

しかしながら,(ア)ないし(ウ)については,上記(1)のとおり,「身飾品」には,その装飾部分の形状を長方形又は四角形とし,その表面等に様々な装飾が施されたものも,一般に販売等されている実情に照らすと,当該装飾部分における具体的な細部の態様が異なるというのはむしろ当然のことであって,そのような違いがあるからというだけでは,取引者・需要者が,特定の身飾品の装飾部分の形状・装飾を表示したものであるとの認識を超えて,自他商品の識別標識として認識するものとはいえないから,本願商標は,その指定商品との関係では,商品の形状,品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないというべきである。

また,(エ)については,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,他の登録例の存在によって,前記判断が左右されるものではない。

したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。

よって,結論のとおり審決する。

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