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Trademark Appeal Case

称呼類似性と観念分離

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35090号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4135907号商標(以下「本件商標と」いう。)は、別掲(1)のとおり、「REALS」の欧文字を横書きしてなり、昭和63年1月13日登録出願、第11類「電気機械器具 電気通信機械器具 電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く。) 電気材料」を指定商品として、平成10年4月17日に登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、引用する登録第2238285号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおり、「REALOS」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年3月18日登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、平成2年6月28日登録されたものであり、その商標権が現に存続しているものである。

3請求人の主張

請求人は、「登録第4135907号の商標登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を概要以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第2号の2を提出した。

(1)本件商標からは、「リアルス」の称呼が生じ、引用商標からは、「リアロス」の称呼が生じる。両称呼の第3音は同行に属し、子音を共通にする近似した音であり、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合、共に第1音にアクセントがくることと相俟って、聴感が相似て紛らわしいものである。さらに、本件商標の称呼において、第3音に続く第4音が、母音「u」を有する「ス」であるため、「リアロス」の第3音「ロ」が、母音「u」を有する「ル」に近い音で発音され、全体として「リアルス」に近似した音となって発声される。

そして、本件商標と引用商標の指定商品は、同一のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、無効とされるべきである。

(2)仮に、被請求人が主張するがごとく「REALOS」から「リアルオーエス」の称呼が生じるとしても、当該称呼をもって認識されることは極めて稀であり、「リアロス」の称呼が生じること自体を否定するものではない。

さらに、乙第1号証ないし乙第3号証の審決例は、本件と明らかにケースを異にする。

4 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を概要以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。

(1)本願商標と引用商標は、アルファベット文字のみで「REALS」、「REALOS」と書されたものである。よって、これらの商標を見ながら「リアルス」、「リアロス」と称呼する者、また、聴取する者は、英語の「REAL」にそれぞれ「S」、「OS」が付加したものと観念しながら、「リアルス」、「リアロス」と認識する。しかも、この場合、英語の「REAL」は、日本語「リアル」としても通常の会話で多く使用される程に一般的に広く知られている言葉であるから、「REAL」の部分だけを「S」、「OS」と分離して観念しやすい。なお、本件商標のように英語の末尾に「S」を付加した場合は、その英語が名詞である場合その名詞の複数形を意味することは一般に知られていることであり、一方、引用商標のうち後方に位置する「OS」とはオペレーティングシステムの略として一般に親しまれており、この点からも観念的に「REAL」と「S」、または「REAL」と「OS」というように分離されやすいことも考慮に値するものと考える。

したがって、本件商標「REALS」を「リアルス」と称呼するとしても「リアル+ス」の意味合いを有しながら「リアルス」と発音し、また、引用商標「REALOS」を「リアロス」と称呼するとしても「リア+ロス」と発音し、聴取する者もこの意味合いをもって聴くから、「ル」と「ロ」とが近似音であるとしても「リアルス」と「リアロス」とは区別して聴き取れるものと思料する。「ル」音は、弾音(r)と唇を尖らせ口腔の狭い部分から気息を押し出して発する母音(u)との結合に係り、明確で軽快な響きの音であるのに対して、「ロ」音は、弾音(r)と唇の左右両端をやや中央に寄せ、気息を出して発する母音(o)との結合に係る音であって、「ル」音に比して鈍重な響きを有するので、両者は、帯同母音の相違によって、音質音調が著しく異なるからである。

しかも、この「ル」音及び「ロ」音は、何れも強音であり、しかも全4音中最も弱く発音される「ス」の音の前に位置するものであるから、明瞭に聴取され、この「ル」の音と「ロ」の音の違いにより称呼上非類似とされるべきものと確信する。

引用商標は、前記のように、「REAL+OS」として認識できることから「リアルオーエス」と称呼されることもあり、この場合は、本件商標との差異はより一層明瞭となる。

「ル」と「ロ」の違いで称呼非類似と判断された審決例(乙第1号証ないし乙第4号証)もある。「ル」と「ロ」の一音の違いは、ケースバイケースで類否判断がなされ、一概に称呼類似とする根拠にはならない。

以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反しないものと確信する。

(2)請求人の主張で、本件商標「REALOS」から想定される称呼「リアロス」につき、何故、語頭の「リ」にアクセントがくると第3音「ロ」が弱音となるのか、また、そもそも語頭の「リ」にアクセントがくる根拠が不明である。本件商標「REALOS」は造語ゆえに、弱音の位置やアクセトについては定めはなく、どこになるかについては一概に特定できないはずだからである。

請求人の反駁によれば、第3音「ロ」が第4音「ス」の母音「u」にひきずられて「ル」に近い音で発音されるとのことであるが、「ロス」の発音はあくまで、「ロ」と「ス」であり、「ロ」という音が「ル」に近い音で発音されることはない。

「ロ」の母音「オ」は、唇を丸くして、奥舌の位置から発音するという、円唇、アゴ中開き、奥舌中母音を特徴とする。これに対して、「ル」の母音「ウ」は、アゴの開きが最も狭く、奥舌の部分を軟口蓋に向かって上げることによって発音するという、非円唇、アゴ小開き、奥舌高母音を特徴とする。

このように、母音の発音が全く異なることから、子音を含めても「ロ」の音が「ル」の音に近い音で発音されることはないものと思料する。

ゆえに、この点についての請求人の反駁は恣意的で根拠のないものと確信する。

本件商標「REALS」は、「真実の、真の、現実の」等の意味を有する英単語の「REAL」に複数形としての「S」を付加した「REALS」であり、「複数の真実」「多くの真実」という特定の観念を有する既存語といえる。

一方、引用商標「REALOS」については全くの造語と考えられる。

ゆえに、本件商標と引用商標の比較は、乙第2号証と同様に、特定の観念を有する既存語と造語の比較に相当し、ケースが同じであることから、乙第2号証と同様に扱われて、本件商標が引用商標と非類似であることは明らかであると確信する。

3 当審の判断

本件商標は、「真実の、真の、現実の」等の意味を有する平易な英語の「REAL」に複数形を表す「S」の文字を付加したものとして把握、認識される場合が少なくなく、「リアルス」と称呼されるものと認められる。

一方、引用商標は、同じ書体、同じ大きさの文字をもって一連に欧文字を表してなるその構成からみて、一連一体の造語「REALOS」を表した商標として把握、認識され、「リアロス」と称呼されるものとするのが相当である。

そして、本件商標の「リアルス」と引用商標の「リアロス」の称呼は、共に4音の称呼であって第3音以外の音が共通しており、相違している第3音「ル」と「ロ」も同行に属する近似した音であるから、それぞれ一連に称呼した場合、その語感が近似して聴取されることは否定できない。

しかし、引用商標の「リアロス」の称呼中の第3音「ロ」が第4音「ス」の母音「u」にひきずられて「ル」に近い音で発音される旨の請求人の主張については、根拠を示すことなくこのように主張するものであり、採用することができず、第3音「ロ」が「ル」の音に近く発音されることはないものと認められる。

また、「リアルス」と「リアロス」の称呼は、アクセントの位置が明らかに異なる称呼とは認められず、相違している第3音「ル」と「ロ」が格別に弱く発音、聴取されるとみるべき相当の根拠はない。

そうすると、「リアルス」と「リアロス」の称呼は、語感が似ている称呼ではあるが、4音構成の簡潔な称呼であることから、第3音の「ル」と「ロ」の違いにより聞き分けができるものと認める。

そして、本件商標が、前記のように英語の「REAL」に複数形を表す「S」の文字を付加したものとして把握、認識される場合が少なくないのに対し、引用商標は、一連一体の造語「REALOS」を表した商標として把握、認識されるという相違もあり、また、外観も異なるから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と判断する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでなく、商標法第46条第1項の規定に無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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