Trademark Appeal Case
論点抽出失敗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−9192(T2017−9192/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年6月17日に立体商標として登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年12月10日受付の手続補正書により、第29類「オリーブオイル」及び第30類「食酢,サラダ用ドレッシング,ソース,オリーブオイルを使用したソース」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、補正後の本願の指定商品との関係からすると、多少デザイン化が施されているが、特異性があるものとは認められず、通常採用し得る形状の範囲を超えているとは認識し得ないので、全体としてその商品の収納容器の一形態を表したものと認識させる立体的形状のみよりなるものといわざるを得ない。そうすると、これを補正後の指定商品について使用しても、単に、商品の収納容器の形状を普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、提出された証拠からは、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、各種商品の包装用容器について、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成29年12月27日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)
証拠調べ通知書に示された事実は、本願商標の識別力を否定する根拠となるものではない。
したがって、本願商標は商標登録されるべきものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 立体商標における商品の形状に係る判示について
商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品の形状を見る需要者の観点からしても、商品の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品の形状は、多くの場合に、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されたと認められる形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
また、商品の具体的形状は、商品の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。その理由は、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。
さらに、商品に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、商標法第3条第1項第3号に該当するというべきである。その理由として、商品が同種の商品に見られない独特の形状を有する場合に、商品の機能の観点からは発明ないし考案として、商品の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知的財産高等裁判所 平成18年(行ケ)第10555号判決、平成19年(行ケ)第10215号判決、平成22年(行ケ)第10253号判決)。
イ 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、上部の両端がくびれた縦長長方形の台紙に、上部にT字形の形状を有する縦長の半球体状の形状が、該台紙の両面に張り出している立体的形状からなるものである。
そして、その構成からは、半球体状の部分に液体を入れたオリーブの実と思しき形状を表したものと理解させることがあるとしても、別掲2のとおり、本願指定商品と関係の深い調味料などを取り扱う業界においては、特徴を持たせた形状の小分け容器(包装)があり、また、容器の中には、その商品の原材料等を模した形状の容器や、台紙等に商品を格納できるように厚みを持たせた形状を結合した容器がある実情がうかがえる。
以上の状況を踏まえて、本願商標に係る立体的形状を考察すると、本願商標に係る立体的形状は、その指定商品である第29類「オリーブオイル」及び第30類「食酢,サラダ用ドレッシング,ソース,オリーブオイルを使用したソース」との関係において、需要者をして、その商品を格納する容器の機能又は美感上の理由による形状の変更又は装飾等と予想し得る範囲のものであるというべきであって、商品の容器(包装)の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められるものである。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、需要者は、商品を格納する容器の形状の一形態を表したものとして理解するにとどまり、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標が使用による識別力、いわゆる商標法第3条第2項の要件を具備している旨を主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第30号証を提出しているので、以下検討する。
ア 本願商標の使用状況等
(ア)本願商標に係る立体的形状と同一の形状が、平成10年11月20日を優先日として平成12年3月3日に日本において登録となった登録意匠として存在した(甲1)。
(イ)商品紹介、通販サイト等各種のウェブサイトに本願商標に係る商品が掲載されている(甲3〜甲24)。また、テレビ番組でも該商品が取り上げられた(甲25〜甲29)。
イ 判断
上記(ア)によれば、本願商標に係る立体的形状と同一と認められる形状が意匠登録されていたことがうかがえるものの、意匠登録による独占のみを理由として、本願商標に係る立体的形状が自他商品の識別力を有するに至ったとは認めることができない。
また、上記(イ)によれば、本願商標に係る商品が各種ウェブサイトに掲載されているとしても、使用されている立体的形状には、文字や図形が付されており、立体的形状のみにより、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえない。
さらに、提出された証拠からは、本願の指定商品中、「食酢,サラダ用ドレッシング,ソース,オリーブオイルを使用したソース」について、本願商標に係る立体的形状を使用している事実を見いだすことができない。
なお、請求人が、販売数量等に関する証拠として提出した、甲第30号証は、外国語で作成されたものであり、翻訳文の提出がないことから、その内容が明らかとはいえないものである。
以上を総合して考察すると、請求人の提出に係る証拠からは、本願商標に係る立体的形状のみをもって、請求人の業務に係る商品であることが、日本国内で広く知られているとまでは認めることはできない。
したがって、本願商標は、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、「本願商標の指定商品であるオリーブオイル等の分野においてはボトル状やビン状の容器が大半であり、それ以外の食品の容器に目を向けたとしても見ることのできない極めて特異な特徴を有する形状からなるものである。本願商標は、全体としてはボトル状やビン状の容器であると認識され得るような容器の一部に装飾を施したり、一部を奇抜に変形させた、などという、結局は全体としてボトルやビン状であるとの認識を出ないような変更ではない。本願商標は、食品等の収容容器において通常採用されているような、ボトル状、ビン状、カップ状等のように一括りはできない形状を有するものであることは、一見して明らかであり、従来の容器の雰囲気すら感じさせない極めて異質な特徴・形状を備えるものである。・・・本願商標は、果実を模した液体収容部とその周囲のシール部分とからなり、液体収容部は、・・・左右非対称に配置されているため、デザイン的にも躍動感あるものとなっていると共に、シール部分を含む周囲形状だけに着目すると左右対称となっている、という極めて創作的な特徴を有するものである。こうした本願商標の特徴は、従来の収容容器からは予想しえない特徴であるものである。・・・需要者は、文字等に係る商標により商品を識別しているのではなく、本願商標に係る立体形状そのものにより商品を識別しているものである。」旨主張している。
しかしながら、上記(1)イのとおり、本願指定商品と関係の深い調味料などを取り扱う業界においては、特徴を持たせた形状の容器(包装)を採用し、また、容器の中には、その商品の原材料等を模した形状の容器や、台紙等に商品を格納できるように厚みを持たせた形状を結合した容器もあることからすると、本願商標を構成する容器(包装)の特徴は、商品等の機能や美感を効果的に際立たせるためのものというべきである。
そうすると、本願商標に係る立体的形状は、前記認定のとおり、ややその形状が特徴的なものであっても、それは商品等の機能や美感をより発揮させるために施されたものであり、商品等の形状を普通に用いられる方法の範ちゅうで表示する標章のみからなる商標というべきであるから、本願商標は、その形状に特徴を持たせたことをもって自他商品の識別力を有するものとは認められない。
したがって、請求人の上記主張は、採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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