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Trademark Appeal Case

著名図形商標の部分類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900267(T2017−900267/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5958601号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5958601号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成28年12月30日に登録出願,同29年5月15日に登録査定,第25類「ジャケット,半そでのワイシャツ類及びアンダーシャツ,スーツ,被服,新生児用被服,防水加工を施した被服,靴及び運動用特殊靴,ネクタイ,スカーフ,ベルト,皮製のベルト,水泳着,ワイシャツ類及びシャツ,帽子,靴下」を指定商品として,同年6月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する標章のうち,以下の3件は別掲2のとおりの構成よりなり,いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。

(1)登録第4058526号商標

商標:別掲2のとおりの構成

指定商品:第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

登録出願日:平成6年12月8日

設定登録日:平成9年9月19日

(2)登録第5322769号商標

商標:別掲2のとおりの構成

指定商品:第3類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

登録出願日:平成21年5月22日

設定登録日:平成22年5月14日

(3)登録第5043717号商標

商標:別掲2のとおりの構成

指定商品:第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

登録出願日:平成18年9月12日

設定登録日:平成19年4月27日

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第167号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人の使用に係る商標の著名性

申立人の使用に係る3本線商標は,1949年にスポーツシューズに採択されて以来,今日に至るまで60年を超える長期にわたり,様々なデザインバリエーションを用いて申立人の業務に係る商品及び役務の識別標識として世界各国で継続して使用されている。

申立人の使用に係るトレフォイルロゴ(引用商標)は,3枚の葉様図形(三つ葉)とこれを横切る3本の平行線を白抜きしてなるものであり,1972年から1995年まで申立人のコーポレートロゴ(社章)として,また,2001年以降現在までは,ストリートスポーツウェアを中心とする「オリジナルス(Originals)」製品部門のシンボルマークとして,40年以上の長年にわたり,申立人の取り扱いに係るスポーツ用品等に継続して使用されている。

3本線商標及びトレフォイルロゴのいずれもが,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,本件指定商品の取引者,需要者の間で広く認識されていた(甲2〜141)。

(2)本件商標と申立人の使用に係る商標の比較

ア 本件商標は,朱色の四角形の図形を背景として,2枚の葉様図形の下に2本の同幅の平行線を均等間隔で配置したものからなる図形(以下「本件図形1」という。)と,これと隣接する2本の平行線からなる図形(以下「本件図形2」いい,これらを併せて「本件図形部分」という。),並びに「LSXI」の英文字(以下「本件文字部分」という。)をそれぞれ白抜きで表示したものから構成される。

本件図形部分と本件文字部分は,それぞれが独立の出所識別標識として機能し得るものであり,また,本件図形1は,構成全体の大部分の面積を占め,独立して目を惹くように顕著に表示されており,出所識別標識として強く支配的な印象を与える。

イ 本件図形1と申立人のトレフォイルロゴを比較すると,両者は,放射状に配置された2枚又は3枚の細長い葉様図形と,2本又は3本の同幅で均等間隔に配置された平行線から構成される点が共通し,その全体的な外観印象が類似する。

それのみならず,本件図形1の構成は,申立人のトレフォイルロゴの構成の一部を切り取って形成される図形と一致する。

したがって,本件図形1は,申立人の使用に係るトレフォイルロゴと構成の軌跡を一にするものというべきであり,両者の微細な相違点は捨象され,出所識別標識として酷似した印象を取引者及び需要者に与えることが明らかである。

ウ 申立人は,トレフォイルロゴを通常の構成と異なる様々なデザインバリエーションで使用しており,トレフォイルロゴの下に様々な文字を付して表示することも多い(甲126〜133)。

エ 申立人のトレフォイルロゴは,主としてスポーツ用品に使用されるものであり,選手が競技中に運動している状態で観察されることがほとんどであるから,トレフォイルロゴの構成全体が常に完全な形で看者の目に入るわけではない。そして,トレフォイルロゴの著名性の程度の高さに鑑みれば,取引者,需要者は,完全な形のトレフォイルロゴを目にしなくても,その一部分を見ただけで,容易にアディダスのトレフォイルロゴを想起連想するというべきである。

オ 以上よりすれば,本件商標に接した取引者及び需要者は,その構成中の本件図形1から直ちに申立人のトレフォイルロゴを想起連想する。

カ さらに,本件商標の構成中,本件図形2は,2本の平行線からなるものであり,これがトレフォイルロゴと酷似する本件図形1とともに表示された場合,申立人の出所識別標識として全世界的に広く認識されている3本線商標を容易に想起連想させる。

(2)商品の関連性

申立人は,トレフォイルロゴと3本線商標を組み合わせて隣接して表示して使用することも多く,こうした使用態様は,被服,靴類,かばん類,運動具などほぼすべての取り扱い商品に関して長年にわたって継続的に採択されている(甲150〜167)。

本件商標の指定商品は,申立人が長年トレフォイルロゴ及び3本線商標を使用し,著名性を獲得している商品と同一又は類似のものである。

(3)誤認混同のおそれ

本件商標がその指定商品にワンポイントマークとして小さく表示された場合,その構成の細部まで正確に表示されず,需要者が微細な点に気付かないことも多く,看者は,細部の相違点が捨象された商標の全体的な印象で当該商品の出所を認識,理解することが少なくない。

本件商標の指定商品の最終的な需要者は,一般の消費者であり,必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たず,商品の選択,購入において払われる注意力の程度は高いものとはいえない。

したがって,本件商標に接した取引者及び需要者は,これを申立人のトレフォイルロゴの一類型(新しいデザインバリエーション)であると誤信するおそれが極めて高い。

よって,本件商標がその指定商品に使用された場合には,取引者,需要者は,申立人の使用に係るトレフォイルロゴ,3本線商標及び申立人を想起,連想し,申立人又は申立人と経済的又は組織的な関連を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信し,申立人の業務に係る商品と出所混同を生ずるおそれがある。

(4)フリーライド及び希釈化について

本件商標の構成中,本件図形部分は,申立人のトレフォイルロゴの一部を切り取って構成された図形に,申立人の3本線商標を模した2本線を付加して構成されたものであり,これを本件商標権者が独自に創作した図案ということは到底できない。

本件商標権者は,本件商標のみならず,これと同種の手法で申立人のトレフォイルロゴを模した図形からなる商標も登録している(甲147,148)。

本件商標権者は,このほかにも,他人の周知著名商標を構成文字とする商標を無断で登録出願し(甲143〜145),また,2015年6月30日から2016年12月30日までの1年6月という短期間に少なくとも253件以上の膨大な件数の商標登録出願を行っている(甲146)。これらすべての商標が,本件商標権者の業務に係る商品又は役務に使用するために登録出願されたものかは疑わしい。

以上を総合すれば,本件商標は,申立人の使用に係るトレフォイルロゴ及び3本線商標の世界的な著名性,信用力,顧客吸引力にフリーライドし,不当な利益を得る不正目的で採択,登録,使用するものといえ,また,本件商標がその指定商品に使用された場合,申立人のトレフォイルロゴ及び3本線商標の出所表示機能が著しく毀損,希釈化されて,申立人に経済的,精神的な損害を与える。

(5)まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

加えて,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから,公の秩序を害するおそれがあり,商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審における取消理由

当審において,平成30年3月5日付けで,本件商標権者に対し通知をした取消理由は,要旨以下のとおりである。

本件商標は,別掲1のとおりの構成よりなるところ,引用商標は,我が国において,申立人の業務に係る商品「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」などを表示するものとして,需要者及び取引者の間に広く認識されていたものと認められ,その独創性は高く,申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品とは相互に重複又は密接に関連しているものであることに加えて,本件商標は,引用商標のデザインの一部を変更して表したものと認識される。

そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者,取引者は,申立人又は同人の業務に係る商品との関係を連想,想起し,当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について誤認,混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

5 本件商標権者の意見

本件商標権者は,上記4の取消理由に対して,何ら意見を述べていない。

6 当審の判断

(1)引用商標の著名性について

ア 申立人の提出に係る証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。

(ア)申立人は,1920年に創業者がスポーツシューズを製造したことを起源とし,ドイツを本拠とするスポーツ用品メーカーであり,1949年から3本線の商標を,1972年からはトレフォイル(三つ葉模様)と称する引用商標の使用を開始した(甲26の6,7)。

(イ)引用商標は,1972年から1995年まで,申立人のコーポレートロゴとして使用されており,申立人と関連するスポーツ用品やシューズの製品カタログ(1986年〜1990年)の表紙には,引用商標が顕著に表示され,その他の掲載記事や掲載商品の中にも,引用商標を表示したものが多数みられる(甲33〜64)。

また,引用商標は,2001年からは,ストリートスポーツウェアブランドで,アスリートのために開発されたプロダクトの復刻商品から,現在のトレンドを反映させた新作モデルやコラボレーションによるプロダクトまで,幅広い商品展開が行われている「アディダスオリジナルズ」のロゴとして採用されており(甲122,125),申立人のフットウェアなどの商品カタログ(2004年,2006年,2008年〜2011年)の表紙にも顕著に表示されている(甲70,72〜74,77,81〜96)。

そして,2017年時点において販売されている申立人に係る商品のうち,引用商標が付されているものは,「パーカー,Tシャツ,ハット,スニーカー,ソックス」などである(甲97〜102,126〜133,150〜167)。

(ウ)申立人に係る商品の広告や紹介記事は,引用商標又はそれと構成要素が近似する図形とともに,サッカー雑誌やスポーツ雑誌などに掲載されており(甲105〜109,111),「マイナビニュース」(2013年6月16日付け)の「アディダスのロゴデザインの歴史について,広報さんに聞いてみた」の見出しの記事において,申立人は「世界的に有名なスポーツ用品メーカー」と紹介され,引用商標について「ある年代にとっては,アディダスといえば『三つ葉のロゴ』でした」,「おなじみの三つ葉のロゴ」と言及されている(甲125)。

イ 以上よりすれば,世界的なスポーツ用品メーカーである申立人は,引用商標を,1972年以降,コーポレートロゴ又は自社ブランドの1つとして,主にスポーツ用品との関係において長期にわたり使用し,2001年以降はストリートスポーツウェアなどカジュアル衣料品を含む幅広い分野で使用しており,これらの事業活動に伴い,引用商標を表示した広告又は製品が雑誌等に掲載されたものであるから,本件商標の登録出願日(平成28年(2016年)12月30日)の時点において,引用商標は,申立人の業務に係る商品「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」などを表示するものとして,我が国の需要者及び取引者の間に広く認識されていたものと認めることができる。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 本件商標と引用商標との比較

(ア)本件商標について

本件商標は,別掲1のとおり,赤色に塗りつぶした四角形の枠内に,上端に頂点を有する縦長の山型図形を中心に,その左側に左上に頂点を有する縦長の山型図形,その下に,左上の山型図形の外側曲線からの延長線に沿って左端が斜めに切り取られた2本の水平な横線,及びその横線の右端に接し,右上方向からやや左下に伸ばした2本の斜め線を配した図形,並びに当該図形部分の左下に配置した「LSXI」の文字を,いずれも白抜きで表してなるものである。

(イ)引用商標について

引用商標は,別掲2のとおり,上端に頂点を有する縦長の山型図形を中心に,その左右に,左上又は右上に頂点を有する縦長の山型図形,その下に左上及び右上の山型図形の外側曲線からの延長線に沿って両端が斜めに切り取られた,2本の水平な横線及び下端に頂点を有する3つの山型図形よりなるものであり,全体として,3枚の葉状図形を扇状に並べ,それらの上部の接点付近から下部にかけて,3本の白抜きの横線で貫いて表した構成からなるものである。

(ウ)本件商標と引用商標の比較

本件商標と引用商標を比較すると,両商標は,中央及び左側の山型図形,及びその下部の2本の水平な横線であって,その左端は上の山型図形の外側曲線からの延長線に沿って斜めに切り取られたものより構成される図形部分において構成上の特徴が共通するが,本件商標の文字部分及び右側の2本の斜め線に相当する部分,及び引用商標では下端に頂点を有する3つの山型図形及び右側の葉状図形がある点で相違し,その他,四角形の枠の有無や色彩においても相違する。

しかしながら,両商標の上記共通部分は,山型図形及びその下部の2本の水平な横線を有する点において構成が酷似すること,上記(1)イのとおり,我が国で周知,著名な引用商標の構成である,3枚の葉状図形を3本の白抜きの横線で貫くという特徴の一部を充足するものであることからすると,本件商標の文字部分及び斜め線に相当する部分は,引用商標の葉状図形や水平な横線の一部を隠す(又は代替する)ように配置されているような印象をも同時に与えるものであるから,本件商標は,引用商標のデザインの一部を変更してなるものとの印象も与える。

また,本件商標の四角形の枠や色彩の有無も,上記共通性から生じる印象に大きな影響を与えるほどの違いではない。

そうすると,本件商標は,それに接する需要者をして,我が国で周知,著名な引用商標の多くの部分をその構成中に含み,引用商標のデザインの一部を変更して表したものと認識,理解されるというべきである。

したがって,本件商標は,引用商標と極めて高い類似性を有するものということができる。

イ 引用商標の周知著名性及び独創性の程度

引用商標は,上記(1)イのとおり,本件商標の登録出願日及び登録査定日において,申立人の業務に係る商品「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」などを表示するものとして,我が国の需要者及び取引者の間に広く認識されているものである。

また,引用商標は,図形を組みあわせて三つ葉模様にデザインして表してなるものであり,その独創性は高いというべきである。

ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性

本件商標の指定商品は,被服や靴などの,日常生活において人が着用することを目的又は用途にする衣料品であり,広く一般消費者を需要者とするところ,申立人の使用に係る商品は「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」で,スポーツの愛好家により使用されることを目的とするものに加えて,日常生活において人が着用することを目的又は用途にする衣料品を含むものであるから,その需要者は,スポーツ愛好家を含む,一般消費者である。

そうすると,本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは,衣料品としての性質,目的,用途及び需要者の範囲において共通するものであり,相互に重複又は密接に関連するものと認められる。

エ 出所の混同のおそれについて

以上のとおり,引用商標は,我が国において,申立人の業務に係る商品「スポーツ用品,カジュアル衣料品,フットウェア」などを表示するものとして,需要者及び取引者の間に広く認識されていたものと認められ,その独創性は高く,申立人の業務に係る商品と本件商標の指定商品とは相互に重複又は密接に関連しているものであることに加えて,本件商標は,引用商標のデザインの一部を変更して表したものと認識されるものである。

そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する需要者,取引者は,申立人又は同人の業務に係る商品との関係を連想,想起し,当該商品が申立人又は申立人との間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について誤認,混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから,その他の登録異議の申立の理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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