Trademark Appeal Case
論点抽出失敗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−6440(T2018−6440/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「子宮内フローラ」の文字を標準文字で表してなり、第44類「不妊の原因を調べるための検査」を指定役務として、平成29年9月15日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『子宮内フローラ』の文字を標準文字で表してなるものであり、『フローラ』の文字は、『体の特定の器官に生育する細菌の全種類。』の意味を有する語であり、本願商標は全体として、『子宮内に生育する細菌』ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。そして、近年、『腸内フローラ』や『口腔フローラ』などの語が注目されていることも相まって、『フローラ』の語は『細菌叢』の意味合いを認識させるものである。さらに、インターネット情報によれば、『子宮内フローラ』の文字が、『子宮内細菌叢』程の意味合いで一般に使用され、その検査が広く一般に紹介、提供されている事実がある。そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、『不妊の原因を調べるための子宮内細菌叢(子宮内フローラ)の検査』であることを認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、単に役務の質を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年6月22日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。
4 証拠調べの結果に対する請求人の意見(要点)
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べた。
(1)「フローラ」、「フロラ」、「flora」の文字及び「フローラ」の文字を含む語の辞書における記載に関して
ア 「医学英和大辞典」は「菌相」、「腸内菌相」及び「定在細菌相」と記載しているところ、この分野において「相」と「叢」とは明確に区別されているから、この辞書の記載は、証拠調べ通知書に挙げられた他の辞書の記載と矛盾し、かつ、本願商標の識別力を否定する根拠となり得ない。また、他の多くの辞書類は「フローラ」、「フロラ」又は「flora」を定義していない。そうすると、「フローラ」、「フロラ」及び「flora」は、定着した語であるとはいえない。
イ 「現代用語の基礎知識2018」の「腸内環境(腸内フローラ)」の記載は、証拠調べ通知書に挙げられた他の辞書の記載と矛盾し、また、腸内及び口腔内と子宮内とでは細菌環境が明らかに異なるものであり、「腸内フローラ」、「口内(口腔内)フローラ」の使用例を子宮内の細菌環境にまで展開しようとするのは、医療関係者の一般的な認識や常識的な感覚とは大きくかけ離れている。
ウ 証拠調べ通知書で挙げられた辞書の記載は、「フローラ」の語と本願の指定役務に係る検査業務との関わりを全く示していないから、これら辞書の記載は、これら単独で、本願商標の識別力を否定する根拠になり得るものではない。
(2)「子宮内フローラ」の文字が、「子宮内細菌叢」の意味合いを表す語として普通に使用されている例に関して
ア 証拠調べ通知書に列記された「子宮内フローラ」の用例は、ほぼ全て請求人の事業と関連している。そして、請求人の活発な営業活動に伴って「子宮内フローラ」検査の露出が急速に増大していることに対応して、ウェブにおける「子宮内フローラ」の用例が増加しており、増加した用例もほぼ全て請求人の事業と関連していると見るべきである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「子宮内フローラ」の文字からなるところ、その構成中の「子宮」の文字は、「女性の生殖管に属する平滑筋性臓器で、その内膜に受精卵が着床し胎児の発育が行われる。」の意味を有する語として、「内」の文字は、「一定の範囲の中」の意味を有する語(いずれも、「広辞苑第7版」岩波書店)として、「フローラ」の文字は、「細菌叢」の意味を有する語(別掲)として知られているものである。
そして、「子宮内フローラ」の文字は、別掲2のとおり、本願指定役務である「不妊の原因を調べるための検査」と関係の深い分野において、「子宮内細菌叢」の意味合いを表す語として、普通に使用されている実情がある。
そうすると、本願商標は、構成文字全体から「子宮内細菌叢」程の意味合いを容易に理解させるものであり、「子宮内フローラ」の文字からなる、本願商標を、その指定役務である「不妊の原因を調べるための検査」に使用しても、該検査の対象、目的を表したもの、すなわち役務の質を表したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識として認識し得ないものである。
してみれば、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において「本願役務の被検者(特に20〜40代の女性)の間において、『フローラ』が原審指摘の意味をもって通用しているとはいえない。・・・さらに、『フローラ』の語は、医師をはじめとする医療関係者の間でも、原審指摘の意味合いをもって通用しているということはできない。・・・『フローラ』の語は、需要者及び取引者のいずれの立場から見ても、本願役務の特性を記述するための具体的な表現と見ることはできない。」旨主張し、平成30年6月22日付け証拠調べ通知に対する同年8月1日受付の意見書において、「『医学英和大辞典』は『菌相』、『腸内菌相』及び『定在細菌相』と記載しているところ、この分野において『相』と『叢』とは明確に区別されているから、この辞書の記載は、証拠調べ通知書に挙げられた他の辞書の記載と矛盾し、かつ、本願商標の識別力を否定する根拠となり得ない。 ・・・『現代用語の基礎知識2018』には『腸内環境(腸内フローラ)』とあり、腸内環境=腸内フローラであるかのような記載ぶりである。しかし、この記載は、証拠調べ通知書に挙げられた他の辞書の記載と矛盾している。」旨主張している。
しかしながら、別掲1のとおり、「フローラ」、「フロラ」、「flora」の文字や「フローラ」の文字を含む語の辞書等の掲載例からすれば、「フローラ」の語は、「細菌叢」の意味を有する語と認められ、「医学英和大辞典」(株式会社南山堂)や「現代用語の基礎知識2018」(自由国民社)などの辞書類の記載が矛盾しているとの主張は、具体的に他の辞書の記載とどのように矛盾しているかが明確ではない。
イ 請求人は、平成30年6月22日付け証拠調べ通知に対する同年8月1日受付の意見書において、「証拠調べ通知書で挙げられた辞書の記載は、『フローラ』の語と本願の指定役務に係る検査業務との関わりを全く示していないから、これら辞書の記載は、これら単独で、本願商標の識別力を否定する根拠になり得るものではない。」旨主張している。
しかしながら、妊娠及び胎児の発育にとって重要な臓器である子宮が、不妊の原因を調べるための検査の対象となることは明らかであって、子宮に関する検査において、「子宮内フローラ」の文字が、「子宮内細菌叢」の意味合いを表す語として使用されていることからすれば、「細菌叢」を意味する「フローラ」の語が、本願指定役務と関わりがあることは明らかである。
ウ 請求人は、審判請求書において、「・・・これらウェブサイトの開設者や記事の取材元は、すべて審判請求人の取引先である・・・ウェブサイトは、審判請求人のサービスが業界内で急速に認知度を高めていることを示すものと理解すべきである。」旨主張し、平成30年6月22日付け証拠調べ通知に対する同年8月1日受付の意見書において、「証拠調べ通知書に列記された『子宮内フローラ』の用例は、ほぼ全て請求人の事業と関連しているといえる。そして、原審の拒絶査定において引用されたウェブサイトをも加えると、『子宮内フローラ』の用例は、圧倒的に、請求人のサービスについて使用されているといえる。・・・今後、ウェブにおける『子宮内フローラ』の用例が更に増加するとしても、増加した用例もまたほぼ全て請求人の事業と関連していると見るべきである。」旨主張している。
しかしながら、原審及び当審における証拠調べ通知で示したウェブサイトの「子宮内フローラ」の文字の使用例からは、請求人との関連性が必ずしも明確とはいえず、むしろ、「子宮内細菌叢」の意味合いを表す語として使用されているものである。
エ したがって、上記アないしウの請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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