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Trademark Appeal Case

論点抽出失敗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−2764(T2017−2764/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「カレー粉」を指定商品として、平成27年4月23日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品の包装又は商品の広告の装飾等に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであるところ、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、本願商標の赤色又はその同系色の色彩が使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定商品の包装や広告に使用しても、これに接する需要者は、商品の包装又は商品の広告に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。また、出願人が提出した主な証拠方法によれば、本願商標と同一と推測される色が商品の包装に使用されているものの、いずれも『S&B』や『特製ヱスビーカレー』の文字が極めて顕著に、大きく使用されているものであって、60余年にわたって変更されていないから、こうした使用の状況及び態様からは、その色のみが独立して識別力を有するに至っているということはできない。さらに、出願人による本願商標を使用した商品の生産数や販売数、流通先、宣伝広告の方法、期間、地域及び規模が把握できる資料の提出もない。してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、いまだ何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているということができない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号該当性について

ア 本願商標は、前記1のとおり、色彩のみからなる商標であって、赤色(パントーン200C)のみからなるものであり、第30類「カレー粉」を指定商品とするものである。

ところで、色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品である「カレー粉」やそれに類する商品を取り扱う業界においても、原審の拒絶理由通知において示した例(甲1、甲4、甲6)や別掲2において示す例のように、商品の包装や広告における装飾等として、赤色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩が使用されている。

そうすると、本願商標は、上記のとおり、赤色(パントーン200C)の色彩のみからなる商標であるから、これを本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品若しくは商品の包装又は商品の広告等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

してみれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標である。

イ 請求人は、自己の製造、販売に係る商品「カレー粉」について、本願商標に係る赤色を60年以上にわたり継続して使用していること及び該商品のシェアが80%以上に及ぶことを挙げつつ、該商品に関する新聞記事やブログ・SNS情報等からも、その赤色が消費者に強い印象を与えるものであって、商品識別の要となっていることがうかがえる旨主張し、その主張を裏付ける証拠として、甲第7号証ないし甲第10号証及び甲第13号証ないし甲第20号証を提出している。

そこで、請求人の主張及び同人提出の証拠について、以下検討する。

(ア)請求人は、1950年(昭和25年)に、円筒状の商品容器(缶)の側面部分を赤色(本願商標を構成する赤色と同じ色彩と認識され得るもの。)で彩色し、かつ、その側面部分の正面に「S&B」の文字を白色で大書するほか、「特製ヱスビーカレー」の文字等を白色で表してなる「カレー粉」(以下「本件カレー粉」という。)を発売し、その後、60年以上にわたり、該商品容器(缶)のデザインは不変とされている(甲7、甲8、甲14)。

(イ)本件カレー粉は、カレー粉市場において、2008年(平成20年)頃には約80%のシェアを占めていたとされ、そのような状況は、2016年(平成28年)頃まで大きな変化なく続いていたことがうかがえる(甲8、甲9、甲13)。

(ウ)2010年(平成22年)6月1日付け「日本経済新聞(電子版)」の「60年の超ロングセラー 『赤缶』の謎」を見出しとする記事や、2012年(平成24年)6月26日発行とされる請求人の監修に係る「S&B社員のとっておき赤缶カレー粉レシピ」(その構成中、「S&B」及び「赤缶カレー粉」の各文字は赤色で表され、その他の文字は黒色で表されている。)を表題とする書籍において、本件カレー粉は、請求人の業務に係るカレー粉として紹介されるとともに、それを指称する語として「赤缶」が用いられている(甲7、甲14)。

また、「COMZINE」のウェブサイトにおける「ニッポン・ロングセラー考 Vol.90」(2010.11月号)の請求人の取材協力に係る「赤缶カレー粉/1950年発売/エスビー食品」を見出しとする記事において、本件カレー粉は、請求人の業務に係るカレー粉として紹介されるとともに、それを指称する語として「赤缶カレー粉」が用いられている(甲8)。

なお、「実用日本語表現辞典」と称するウェブサイトにおいては、「赤缶」の語について、「エスビー食品が販売している缶入りのカレー粉の通称。」の記載がある(甲10)。

(エ)本件カレー粉は、個人のブログ情報等において、以下のような記載等をもって言及されている。

a 2008年(平成20年)3月4日付けで、その商品容器(缶)の写真とともに「紅色に白ヌキの文字。」の記載(甲15)。

b 2008年(平成20年)11月10日付けで、「カレー粉は、スーパーのスパイスコーナーにあるS&Bの赤缶。」の記載(甲17)。

c 2015年(平成27年)2月22日付けで、「私が海外へ持って行くカレールーはいつもヱスビー食品の赤缶カレー粉なのですが、その理由を書いてみたいと思います。」の記載(甲19)。

d 2015年(平成27年)9月17日付けで、「カレー粉といえば赤い缶。・・・ヱスビーのカレー粉はスパイス意外(審決注:原文記載のまま)のものが一切入っていません。」の記載(甲18)。

e 2017年(平成29年)1月16日付けで、その商品容器(缶)の写真とともに「S&B特製エスビーカレー『赤缶カレー粉』です。よく『赤缶』と呼ばれてるやつです。」の記載(甲16)。

なお、日付不明ではあるが、その商品容器(缶)の写真とともに「S&B赤缶カレー粉」の記載をもって言及されているものがある(甲20)。

(オ)上記(ア)ないし(エ)を総合勘案すれば、本件カレー粉は、60年以上にわたり、商品容器(缶)のデザインを変えることなく、請求人により継続して製造、販売されており、少なくとも、2008年(平成20年)頃から2016年(平成28年)頃までの間、カレー粉市場において、約80%のシェアを占めていたと推認し得るものである。

そうすると、本件カレー粉は、その商品容器(缶)、すなわち、円筒状の商品容器(缶)の側面部分を赤色(本願商標を構成する赤色と同じ色彩と認識され得るもの。)で彩色し、かつ、その側面部分の正面に「S&B」の文字を白色で大書するほか、「特製ヱスビーカレー」の文字等を白色で表してなるものをもって、請求人の業務に係るカレー粉として、需要者の間で相当程度広く認識されているとはいえるものの、その商品容器(缶)や、白色で表された「S&B」の文字等を捨象した赤色の色彩のみが分離して観察され、需要者において強く支配的な印象をもって認識されているとはいい難い。

そして、上記本件カレー粉に対する需要者の認識は、例えば、記事や個人のブログ情報等で本件カレー粉に言及する際に、それを「S&B(ヱスビー)の赤缶(カレー粉)」などと記載しており、色彩(赤色)のみをもってそれを指す記載とはなっていないことからもうかがえる。

そうすると、本願商標は、請求人の主張及び同人提出の証拠をみても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。

(2)まとめ

以上によれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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