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Trademark Appeal Case

著名商標の類否判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900010(T2018−900010/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5990115号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5990115号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年3月1日に登録出願、同年9月20日に登録査定され、第12類「ハブキャップ,車輪軸部用バンド,陸上の乗物用のフリーホイール,スペアホイールカバー,自動車用ホイール,自動車用ホイールのハブ,乗物用ホイールのリム,乗物用ホイールのハブ,自転車用ホイールのリム,自転車用ホイールのハブ」を指定商品として、同年10月20日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の7件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。

1 登録第5379390号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:「MONSTER」(標準文字)

登録出願日:平成22年7月8日

設定登録日:平成22年12月24日

指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」

2 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

登録出願日:平成18年6月9日

設定登録日:平成19年6月22日

指定商品:第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」

3 登録第5010968号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:「M MONSTER ENERGY」(標準文字)

登録出願日:平成18年3月28日

設定登録日:平成18年12月15日

指定商品:第32類「エネルギー補給用又はスポーツ用の炭酸入り又は炭酸抜きの清涼飲料」

4 登録第5393681号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)

登録出願日:平成22年7月8日

設定登録日:平成23年2月25日

指定商品:第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」

5 登録第5788676号商標(以下「引用商標5」という。)

商標の構成:「MONSTER ENERGY」(標準文字)

登録出願日:平成26年12月25日

設定登録日:平成27年8月28日

指定商品:第9類、第16類、第18類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

6 登録第5844163号商標(以下「引用商標6」という。)

商標の構成:別掲3のとおり

登録出願日:平成27年8月11日

設定登録日:平成28年4月22日

指定商品:第32類「アルコール分を含有しない、果汁を含む飲料」

7 登録第5903396号商標(以下「引用商標7」という。)

商標の構成:MONSTER REHAB

登録出願日:平成28年3月14日

設定登録日:平成28年12月9日

指定商品:第5類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品である第12類の「全指定商品」について(以下「本件申立商品」という。)、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第334号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」(以下「申立人商標」という。)の著名性

(1)申立人による商標の使用

申立人商標は、申立人が2002年に創設したエナジードリンク(エネルギー補給飲料)事業のブランド「MONSTER ENERGY」の基軸商標として2002年から現在に至るまでの長年にわたり継続して使用されているものであり、同ブランドのエナジードリンクは、2002年に米国で最初に販売を開始後、日本では2012年5月から販売を開始し、現在では日本を含む世界100以上の国及び地域で販売中である。申立人は2002年以降、現在まで継続して、当該ブランドから発売された数多くの異なる種類のドリンクの個別商品名のすべてに「MONSTER」の文字を採択しており、当該各種ドリンクの缶の正面に「MONSTER」の文字を特徴的なデザインの太字を用いて大きく目立つ態様で表示して使用している。このように「MONSTER」を基調とする商標を用いた申立人のエナジードリンク事業の成功は、経済界でも高い評価を受けている(甲2〜33、51〜57、58)。

2012年5月から現在までに国内発売された製品は、リニューアル製品及び季節限定製品を含め、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER KHAOS」、「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」、「MONSTER ENERGY M3」、「MONSTER COFFEE」、「MONSTER ENERGY ULTRA」、「MONSTER ENERGY THE DOCTOR」である(甲5〜7、10、12、13、15、59〜62、101〜103、118、127〜131、252〜264、291)。

(2)広告及び販売促進活動

申立人による当該エナジードリンクの広告及び販売促進活動は、世界の有名アスリート、レーシングチーム、スポーツ競技会、アマチュアスポーツ選手、音楽祭及びミュージシャンに対するスポンサー提供、スポーツ、音楽、コンピュータゲーム(eスポーツ)などの娯楽イベントの開催、米国ラスベガスの公共交通機関モノレールの「モンスター列車」の走行、これらのイベント開催などと関連して頻繁に実施されるエナジードリンク販売キャンペーン、各イベント会場におけるサンプリング(サンプル配布)、2013年2月から2018年3月までの約5年の期間に国内で実施された販売プロモーションキャンペーンの応募当選者に対する様々な「モンスター限定グッズ」(爪の図柄を付したTシャツ、帽子、キーホルダー、ステッカー、ギター、バッグパック、エナジードリンク、クーラーボックス、冷蔵庫、自動車など総計70万点を超えるアイテム)の提供、「MONSTER」の文字を付したポスター・商品ネームプレート・チラシ・陳列棚・冷蔵庫などの店舗用什器の使用及び展示、遅くとも2013年から現在に至るまで約1〜2月の頻度で定期的に発行されている新商品発売・懸賞キャンペーン・イベント開催情報などを掲載したプレスリリース、申立人ウェブサイト並びにソーシャルメディアを通じた情報発信を介して、2002年から現在まで世界規模で継続的に実施されている。これらの広告物及び販売促進物には、「MONSTER」及びその音訳「モンスター」の文字が独立の商品出所識別標識として認識される態様で使用されてきた(甲7〜17、34〜91、101〜133、136〜168、225〜274、279〜296)。

(3)申立人の使用に係る商品

申立人は、2002年から、ブレスレット、ラベルピン、キーホルダー、Tシャツ、スウェットシャツ、帽子、レーシングジャケット、手袋などのアパレル製品、運動用ヘルメット、バッグ類、ステッカー、傘、ビデオゲームなどの「MONSTER」ライセンス商品の製造販売を第三者に使用許諾している。当該ライセンス商品のカタログやオンラインショッピングサイトは、ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」、「Monster」の文字を単独で表示し、販売及び宣伝広告している。これらのライセンス商品は、国内の実店舗のほか、オンラインショップや通信販売を介して国内の一般消費者にも販売されている(甲47、48、58、92〜100、134、135)。

(4)需要者におけるこれらのライセンス商品の人気の高さに便乗して、海外で製造された模倣品が日本の税関で輸入差止される事案が遅くとも平成25年7月から現在に至るまで継続して度々発生している(甲169〜224)。

また、「MONSTER」の文字を世界規模での継続的使用に基づき、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品及び上記ライセンス商品等について、引用各商標をはじめ、「MONSTER」の文字を基調とする様々な構成の商標について日本を含む世界115以上の国及び地域で商標出願し、登録を取得している(甲58,323〜332)。

(5)第三者による市場調査報告書やエナジードリンクの市場に関する記述によれば、2013年時点で申立人の「MONSTER」エナジードリンクの国内市場占有率は既に25%を超えており、それ以降も着実に売上を伸ばし、男子若年層を中心とした従来の主要需要者層に止まらず、女性層にも知名度、人気を拡大している。また、実際の市場で申立人の「MONSTER」エナジードリンクは「モンスター」と呼ばれ、「モンスター」の表記で認知されている(甲311〜322)。

(6)以上の事柄に照らせば、「MONSTER」及びその表音「モンスター」は、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務の出所識別標識として国内外の取引者、需要者の間で広く認識されていた。

2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は、申立人の代表的商品出所識別標識「MONSTER」が使用されている自動車及び二輪自動車と同一又は類似のものであり、また、申立人が支援するモータースポーツ関連の競技会及びイベントと関連づけて実施しているエナジードリンクのプロモーションキャンペーンで提供されるモータースポーツ関連の賞品、さらには、申立人商標を使用したモータースポーツ関係のライセンス商品(二輪自動車用ヘルメット・スーツ・グローブ等)と同時に使用され、販売場所、需要者の範囲を共通にするものであって、関連性が深い。

(2)本件商標は、既成語の「MONSTER」に「IMS」と思しき文字を付加してなるものであり、当該構成文字全体は既成の意味、観念を生じるものではないのに対して、語頭の7文字「MONSTER」は、英単語「MONSTER」に通じるだけに止まらず、その音訳が外来語の「モンスター」としても国民一般に広く親しまれている(甲333、334)。したがって、本件商標は、「MONSTER」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を需要者に与えることが明らかであり、申立人商標との類似性の程度が極めて高い。

(3)本件指定商品の最終的な需要者は一般消費者であるから、通常の需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。

(4)上記のとおり、申立人商標は、申立人の商品出所識別標識として本件商標の登録出願時及び査定時には需要者の間で広く認識されていた。

(5)したがって、本件商標が本件指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は、申立人商標(引用商標1)、「MONSTER」の文字を顕著に表してなるロゴマーク(引用商標2)、その他の「MONSTER」ファミリー商標(引用商標3〜7)、あるいは、申立人会社を直観し、当該商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係るものであると誤信し、その出所について混同を生じるおそれがあることが明らかである。また、本件商標の使用は、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所識別力を希釈化するものであり、また、その名声、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標が使用された場合、申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の本件商標の使用は、申立人商品の出所識別標識として広く認識されている申立人商標の出所表示力が希釈化するおそれが高い。また、本件商標の使用は、申立人が当該商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものだから、申立人に経済的及び精神的損害を与える。

したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するため、公の秩序を害するおそれがある。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)申立人商標の周知性について

ア 証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。

(ア)申立人であるモンスター エナジー カンパニー(Monster Energy Company)は、元々は1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国において発売開始した(甲7)。

(イ)申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は、日本においては、2012年5月8日から、「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)が発売開始され(甲7、8)、その後、2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲10)、2014年8月19日から「モンスターエナジー M3」(甲59)、同年10月7日から「モンスターコーヒー」(甲60)、2015年7月21日から「モンスター ウルトラ」(甲101)が発売されている。

(ウ)アサヒ飲料株式会社のニュースリリースによれば、申立人商品の発売及び販売と関連して、「アサヒ飲料 国内独占販売権取得!・・・『Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml』『Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml』・・・アサヒ飲料株式会社(本社 東京、・・・)は・・・エナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの日本国内における独占販売権を取得しました。」(甲7)、「・・・5月8日(火)から新発売したエナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの販売が好調・・・」(甲8)、「・・・『モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml』・・・本商品は・・・『モンスターエナジー』ブランドの中でも、・・・2番目に人気のあるカテゴリー、ダイエット系エナジーです。・・・」(甲10)、「2013年度の『モンスターエナジー』ブランドの販売数量は大変好調であり、『モンスターエナジー』『モンスターカオス』『モンスターアブソリュートリーゼロ』の3品で前年比150%となる237万箱を販売し・・・」(甲59)、「『モンスターエナジー』ブランドの販売は大変好調に推移しています。・・・本年は・・・『モンスターエナジーM3』、『モンスターコーヒー』をラインナップに追加・・・」(甲60)、「『モンスターウルトラ』をラインアップに加えることにより、・・・更に『モンスターエナジー』ブランドの強化を図ってまいります。」(甲101)の記載がある。

(エ)申立人商品の容器の側面には、以下のような表示がある。

a 「Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字(「O」の文字を貫く縦線が描かれている。以下同じ。)、その下には「ENERGY」の文字が表されている(甲14、17)。

b 発売当初の「Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「KHAOS」の文字、さらにその下には「ENERGY」及び「+果汁」の文字が表されている(甲14、17)。そして、2016年にリニューアル発売された同商品の容器には、上部に「KHAOS」の文字、その下に爪の図柄の図形を配し、下部に「MONSTER」の文字、その下に「ENERGY」の文字が表されている(甲130)。

c 「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ABSOLUTELY ZERO」の文字が表されている(甲13)。

d 「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「M−3 SUPER CONCENTRATE」又は「EXTRA STRENGTH」の文字が表されている(甲61、129)。

e 「モンスターコーヒー 缶250g」の容器下部には、「COFFEE」の文字、その下には「MONSTER」の文字、さらにその下には「COFFEE」、「+」及び「ENERGY」の文字が表されている(甲62)。

f 「モンスターウルトラ 缶355ml」の容器下部には、「MONSTER」の文字、その下には「ENERGY」の文字、さらにその下には「ULTRA」の文字が表されている(甲101)。

(オ)申立人商品の販売促進キャンペーン広告中の宣伝文句の中で、申立人商品の写真とともに、「モンスターを飲んで・・・に行こう」、「モンスターを飲んで・・・に会おう」、「モンスターの対象商品を2本ご購入につき・・・をプレゼント」、「モンスターを買って・・・を当てろ」、「モンスターを飲んで・・・が当たる」、「モンスターを買って・・・に行こう」などと表示することがある(甲63、64、79、113、159、162)。他方、同様のキャンペーン広告中の宣伝文句の中には、「モンスターエナジーを飲んで・・・に行こう」、「モンスターエナジーを買って・・・当てろ」、「モンスターエナジーを買って・・・ゲットしろ」(甲143、236、268)などと表示するものもある。

(カ)申立人商品は、日本において、2012年5月の発売開始以降、2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。

(キ)申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば、申立人商品は、日本において、2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で、約2億3600万缶の販売、総販売額は1億7500万米ドル以上、日本円で170億円以上であるとされる。

(ク)当該供述書(甲58)によれば、申立人は、広告、マーケティング及び販売促進活動のために、全世界では、2002年以来、30億米ドル以上を支出しているが、「モンスター社のマーケティング戦略は、従来の方法とは異なり、MONSTER商標及び爪の図柄を広めるための広告を、直接テレビやラジオで行わない」とされ、広告などの予算の多くは「競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動」にあてている。特に「主要なターゲットとする若年成人層、主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で、ネット配信されるイベント」であり、具体的には、ロードレース世界選手権グランプリ(MotoGP)、MotoGPレーシングチーム、F1レーシングチーム、モトクロスチーム、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)、音楽祭、音楽イベント、ミュージシャン及びビデオゲームチームへのスポンサー活動及び促進活動などである。

ただし、日本では2012年5月及び6月に販売開始を支援するために、主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し、視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い、それに約190万米ドルを支出したとされる。

(ケ)2016年3月31日付けのアサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲129)によれば、申立人商品につき「『モンスターエナジー』ブランドは・・・ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に、急成長しているエナジードリンクです。」と紹介し、「エナジードリンク市場は、『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により、最近では10代、20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向」との記載がある。

イ 上記アの認定事実によれば、申立人商標の使用と関連して、以下のような実情がうかがえる。

(ア)申立人商品は、2012年(平成24年)5月の日本における販売開始以降、その販売額は、約3年間(2012年(平成24年)5月〜2015年(平成27年)6月)で約170億円以上とされ、その販売期間は発売から本件商標の登録出願時までは約5年間程度と長期にわたるものではないが、ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。

しかし、申立人はテレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝はそもそも行わない方針であることもあり、テレビCMは、2012年(平成24年)の発売当初の1か月程度の短期間で、その費用も約1億5千万円(190万ドル;80円/ドルで計算)程度のものであり、継続的に行われているスポンサー活動や販売促進キャンペーンも、日本における広告宣伝費は明らかではない。その主な広告宣伝も、主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ、格闘技、音楽イベントやミュージシャン、ビデオゲームなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動である。また、申立人商品の紹介にあたっても、10代や20代の需要者層における支持が言及されていることからすると、申立人商品の主要な需要者層や、広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も、自ずと若年層を中心としたものと理解することができる。

(イ)日本で販売されている申立人商品の容器の側面には、文字配置のレイアウトにバリエーションはあるものの、概ね、「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を、比較的近接して配置している。そして、これら申立人商品の個別名称は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)、「Monster KHAOS」(モンスターカオス)、「モンスター アブソリュートリー ゼロ」、「モンスターエナジー M3」、「モンスターコーヒー」及び「モンスター ウルトラ」であるが、これら一連の商品を指称する際は、「モンスターエナジー」ブランドと総称されている。

(ウ)申立人商品の販売促進キャンペーン広告などの宣伝文句の中で、申立人商品を「モンスター」と略称する場合はあるが、必ずしも統一的に使用されているものではない。

ウ 上記実情を踏まえると、申立人商品の販売期間は比較的短く、幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しいもので、広告宣伝などを通じた商品名の露出も、比較的若年層に向けた活動を通じて行われていることから、申立人商品は、本件商標の登録出願日前までには、その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では、ある程度認知されていたということができても、幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。

そして、申立人商品は、その容器には「MONSTER」及び「ENERGY」の文字が比較的近接して表示されており、申立人商品は「モンスターエナジー」ブランドと総称されている実情があることも踏まえると、上記の申立人商品の獲得した認知度は、「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして、集合的に生じているというべきである。

なお、申立人商標である「MONSTER」の語が、宣伝文句などにおいて申立人又は申立人商品の略称として用いられる場合があるとしても、必ずしも統一的に使用されているものではなく、上記のとおり「モンスターエナジー」ブランドと総称することもあるもので、また、申立人商品の認知度を紹介するインターネット記事情報でも、あくまで「モンスターエナジー」(MONSTERENERGY)(甲311、319)の認知度が紹介されていても申立人商標単独での認知度は示されていない。

そのため、申立人商標は、我が国において、申立人商品を表示する商標として、広く認識されているものということはできない。

(2)本件商標と申立人商標との類似性

ア 本件商標について

本件商標は、別掲1のとおり、「MONSteRiMS」の欧文字を、一部がかすれた太字の斜体で横書きしてなるところ、これら構成文字は特定の意味を有する既成の語ではないものの、同じ書体、大きさで、間隔無く、横一連に表されていることから、視覚上まとまりのよい印象を与えるもので、一体的に表されており、全体から生じる「モンステリムズ」の称呼も7音構成と冗長なものではなく、全体を一連に称呼することも容易である。

そうすると、本件商標は、その構成上一連一体の造語と認識されるものであるから、その構成文字に相応して「モンステリムズ」の称呼が生じ、特定の観念は生じない。

イ 申立人商標について

申立人商標である「MONSTER」の文字は、「怪物。化け物。」(参照:「広辞苑 第6版」岩波書店、「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)の意味を有する平易な英語であるから、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物。化け物」の観念を生じる。

ウ 本件商標と申立人商標の比較

本件商標と申立人商標は、その称呼において、語頭から始まる「モンス」の3音を共通にするが、その後に続く、本件商標の「テリムズ」の音と申立人商標の「ター」の音が相違し、全体の構成音及び音数に明らかな差異があるから、これらを一連に称呼するときは、それぞれ容易に聴別できる。また、両商標の外観において、「monster」の構成文字を含む点で共通するとしても、全体の構成文字は明らかに相違し、書体も異なるから、相互に容易に見分けることができる。そして、観念において、本件商標からは特定の観念は生じないことから、「怪物。化け物」の観念の生じる申立人商標とは比較できない。

そうすると、本件商標と申立人商標は、観念において比較できず、外観及び称呼が明らかに異なるから、互いに印象の異なる別異の商標というべきで、互いに誤認混同するおそれのない非類似の商標である。

(3)申立人商標の独創性

申立人商標である「MONSTER」は、上記(2)イのとおり、既成の語であるから独創性は高くない。

(4)本件異議申立てに係る指定商品と申立人商品との関連性

本件申立商品は、第12類「ハブキャップ、車輪軸部用バンド、陸上の乗物用のフリーホイール、スペアホイールカバー、自動車用ホイール、自動車用ホイールのハブ、乗物用ホイールのリム、乗物用ホイールのハブ、自転車用ホイールのリム、自転車用ホイールのハブ」であるところ、乗物、自動車又は自転車用の機械器具又は部品の一種であるから、清涼飲料の一種である申立人商品「エナジードリンク」とは、その商品の性質、用途又は目的において直接的な関連性もなく、その商品の製造者、販売者及び需要者層も、密接に関連しているものではない。

なお、申立人が、申立人商標又は引用商標を用いて、自動車レースや自動二輪車レースを含むモータースポーツ関連の競技会やチームへのスポンサー活動やプロモーション活動をしているとしても、それは申立人固有の実情として参酌する場合があるとしても、上記のような本件申立商品と申立人商品との間における商品間の関連性の判断に影響を与えるものではない。

(5)出所の混同のおそれについて

本件商標は、上記(2)のとおり、申立人商標とは、互いの印象が明らかに異なる別異の商標であり、上記(1)及び(3)のとおり、申立人商標は、独創性は高くなく、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は申立人商品を表示する語として周知、著名とはいえないもので、上記(4)のとおり、本件申立商品は申立人商品とは密接な関連性もないため、申立人商標がモータースポーツ関連の競技会やチームへのスポンサー活動やプロモーション活動をしている実情があるとしても、本件申立商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人又は申立人商標を連想又は想起するようなことは考え難い。

そのため、本件商標は、これを本件申立商品について使用しても、その取引者及び需要者をして、当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれがある商標でもなく、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるものとはいえず、申立人又はそのグループの業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標ではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標は、上記1(2)アのとおり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないところ、その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等、その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。

申立人は、本件商標の使用は、申立人商品の出所識別標識として広く認識されている申立人商標の出所表示力が希釈化するおそれが高く、その獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものだから、申立人に経済的及び精神的損害を与えるもので、本件商標は社会一般道徳及び公正な取引秩序を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するため、公の秩序を害するおそれがある旨を主張するが、これは専ら申立人の利益を害するか否かという私的領域に関する主張であるため、商標法第4条第1項第7号の適用がそぐわないものであるばかりでなく、上記1のとおり、本件商標は申立人又はそのグループの業務に係る商品及び役務と混同を生じさせるおそれのある商標とはいえず、その登録が公序良俗を害する理由を見いだすことができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、本件申立商品について、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれにも該当せず、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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