sokuhyo

Trademark Appeal Case

商標使用意思の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900021(T2018−900021/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5992312号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5992312号商標(以下、「本件商標」という。)は、「コアレム」の片仮名及び「CORELEM」の欧文字を二段に横書きした構成からなり、平成27年12月21日に登録出願、第5類「担子菌類の菌糸体抽出物を主成分とする粉末状・液状・顆粒状・ペースト状・カプセル状・固形状の加工食品」を指定商品として、同29年10月3日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

2 引用標章

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由として引用する申立人の使用に係る標章(以下「引用標章」という。)は、別掲1に示すとおり、「CORELEM」(「R」の文字はデザイン化されている。以下同じ。)の欧文字を横書きした構成からなり、「担子菌類の菌糸体抽出物を主成分とする粉末状・固形状の加工食品」に使用しているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標について、商標法第3条第1項柱書並びに同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、本件商標に係る商標登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)本件商標は、自ら使用する意思のない商標について登録を受けたものである。

(2)本件商標は、既に他人が使用している周知商標について登録を受けたものであり、当該他人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがある。

(3)本件商標は、既に他人が使用している周知商標を使用不可とすべく、図利加害目的のために登録を受けたものである。

(4)本件商標は、自らの使用意思がなく、他人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれがあり、しかも、図利加害目的の登録であることから、公正な商業秩序の混乱を生じさせるおそれがある。

4 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書該当性について

商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは、少なくとも登録査定時において、現に自己の業務に係る商品又は役務に使用をしている商標、あるいは、将来、自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標と解される(平成24年5月31日 知財高裁 平成24(行ケ)第10019号)。

そうすると、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、本件商標を自己の業務に係る指定商品について現に使用をしていなくとも、将来においてその使用をする意思があれば、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備するといえるところ、申立人が提出する全証拠によっても、本件商標権者が、本件商標の登録査定時において、将来、自己の業務に係る指定商品に本件商標を使用する意思を有していたことを否定するに足りる事実は見いだせない。

なお、申立人は、甲第9号証及び甲第10号証(2017年(平成29年)7月24日に行われた申立人の社長と本件商標権者の社長との対話を録音したとされるもの及びその録音から必要部分の会話を書面に起こしたとされるもの)を提出し、本件商標権者の社長が、その中で、コアレムの商標に関して使用する意思のないことを明言しているから、本件商標権者による本件商標の取得目的は、商品化のためではなく、その使用をする意思が無いことは明白である旨主張するが、甲第9号証及び甲第10号証からは、これが、具体的に本件商標に関する会話であるか否かも明らかとはいい難いものであり、かかる証拠のみによっては、本件商標権者が、本件商標の登録査定時においても、本件商標をその指定商品について使用する意思が全くなかったと認めることができない。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものとはいえない。

(2)引用標章の周知・著名性について

申立人は、「コアレム」の片仮名及び「CORELEM」の欧文字を二段に横書きした構成からなる商標登録第4961591号商標(甲2)及び別掲2に示した構成からなる同第4973972号商標(甲3)の商標権者(ただし、これらの商標権者は2012年(平成24年)12月に解散したため、当該各商標登録の商標権は、存続期間の更新がされずに消滅することとなった。)から、当該各商標登録に係る商標について、使用許諾を受けており(甲8)、その権原の下、引用標章を付した「担子菌類の菌糸体抽出物を主成分とする粉末状・固形状の加工食品」(以下「申立人商品」という。)を販売しており(甲4〜甲7)、その販売年数は11年、販売地域は栃木県を中心とする北関東全域にまで広がっていることから、需要者の間に広く認識されている旨主張している。

そこで、申立人の主張について検討するに、申立人提出の上記甲各号証の内容及び職権による調査によれば、申立人が主張する上記使用許諾に係る商標権は、申立人も認めるとおり、既に消滅している(商標登録第4961591号の商標権は平成28年6月16日に、同第4973972号の商標権は同年7月28日に、それぞれ、存続期間満了により消滅している。)。

また、申立人商品の販売を裏付けるべく提出された甲第4号証ないし甲第7号証に係る商品チラシには、申立人商品が掲載されていることは見受けられるものの、その発行元の記載に係る住所は、申立人の住所と一致しない。

さらに、上記チラシの作成の時期や数量及び配布の方法や範囲等の詳細は不明であるし、申立人商品の販売の具体的な期間や範囲等を裏付ける証拠の提出もない。

そうすると、申立人提出の甲各号証によっては、引用標章が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとはいえず、まして、外国の需要者の間で広く認識されていたとは到底いえない。

(3)本件商標と引用標章との類否

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「コアレム」の片仮名及び「CORELEM」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、両文字は、いずれも辞書類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当であり、また、上段の「コアレム」の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものと無理なく認識されるものである。

してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「コアレム」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。

イ 引用標章

引用標章は、別掲1のとおり、「CORELEM」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、本件商標の構成中の欧文字部分とその綴りを同じくすることからすれば、本件商標と同様に、「コアレム」の称呼を生じ、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取、理解されるとみるのが相当である。

ウ 本件商標と引用標章との類否

本件商標と引用標章とを比較するに、本件商標の構成中の欧文字部分「CORELEM」と引用標章とは、その綴りを同じくするものであるから、両者は、外観上、近似した印象を与えるものである。

そして、本件商標と引用標章とは、いずれも「コアレム」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

したがって、本件商標と引用標章とは、観念において比較することはできないものの、外観において近似し、称呼を共通にするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は、相紛れるおそれのある類似のものというべきものである。

(4)本件商標の指定商品と申立人商品との関連性

本件商標の指定商品である第5類「担子菌類の菌糸体抽出物を主成分とする粉末状・液状・顆粒状・ペースト状・カプセル状・固形状の加工食品」は、申立人商品である「担子菌類の菌糸体抽出物を主成分とする粉末状・固形状の加工食品」との比較において、その商品形状の範囲に差異はあるものの、実質的に同一の商品といえる。

(5)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

上記(2)ないし(4)によれば、本件商標と引用標章とは、類似するものであり、本件商標の指定商品と申立人商品とは、実質的に同一の商品といえるものの、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

また、引用標章が、上記のように広く認識されていたと認められない以上、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用標章を連想、想起して、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(6)商標法第4条第1項第19号該当性について

引用標章は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者間はもとより、外国の需要者の間で広く認識されていたとは認められないものである。

そして、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、引用標章の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(7)商標法第4条第1項第7号該当性について

本件商標は、上記(3)アのとおり、「コアレム」の片仮名及び「CORELEM」の欧文字を二段に横書きしてなるものであり、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。

また、本件商標は、これをその指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでものでもない。

加えて、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(8)まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しないものではなく、同法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、その登録は、同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものではない。

その他、本件商標の登録について、取り消すべき理由は見いだせない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。