sokuhyo

Trademark Appeal Case

使用商標と登録商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2017−300143(T2017−300143/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5645610号商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての商標登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5645610号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成25年7月2日に登録出願、第9類「理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同26年1月24日に設定登録されたものである。

なお、本件審判の請求の登録は、平成29年3月14日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書及び審判事件弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)乙第1号証、乙第4号証ないし乙第13号証について

ア 乙第1号証は、「自動窓口受付機」の入札説明書の抜粋、乙第9号証及び乙第10号証は、「自動窓口受付機」に関する入札説明書及び仕様書とのことであるが、本件商標の表示は一切なく、商品写真も含まれていない。被請求人は、当該説明書の商品は、乙第2号証及び乙第3号証に示されている商品であるとするが、具体的商品を特定することはできず、また、乙第4号証、乙第11号証及び乙第12号証に記載されている製品であることも特定できない。

イ 乙第4号証は、商品カタログであり、表紙と裏面の上段の赤色の枠の中に「M−121 −Linefree Gear−」の文字が白抜きで表示されているが、発行年月日の記載がないため、被請求人が主張するように平成25年6月21日に発行されたか否かは不明である。

ウ 乙第5号証ないし乙第8号証は、設置完了報告書兼物品受領書及び御見積書の写しとのことであり、品名の箇所に「自動窓口受付機 M−121」の記載があるが、受領者の名称(住所)がマスキングされており、商品の納入先を特定することができない。

エ 乙第11号証及び乙第12号証は、製品の取扱説明及び接続構成例を示す書面であり、これらには「自動窓口受付機」と本件商標が記載、表記されているが、これらが何時作成されたものか不明であり、要証期間内に頒布されたことは証明されていない。

オ 乙第14号証ないし乙第16号証には、「自動窓口受付機 M−121」と表示され、乙第4号証に表示されている製品と考えられるが、「自動窓口受付機」は本件審判の請求に係る商品に該当しない。

(2)本件商標と使用に係る商標との同一性について

乙第2号証ないし乙第4号証は、被請求人が主張する「自動窓口受付機」と思しき写真及びそのカタログであり、これらの書証には「Linefree Gear」(以下「使用商標」という。)の文字が表示されている。

使用商標中の「Gear」の文字は、「歯車、ギア、道具一式」等の意味を有する英語であるが、使用商品との関係において、商品の品質や内容等を表すものとはいえず、自他商品の識別標識として十分に機能し得るものである。そして、使用商標は「Linefree」と「Gear」の文字の間に僅かのスペースがあるものの、デザイン化された統一書体による同じ大きさの文字をもって、等間隔にまとまり良く表されている。さらに、該文字全体から生じる「ラインフリーギア」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものであることを考慮すれば、使用商標からは、その構成全体をもって、「ラインフリーギア」の称呼が生じ、「回線無制限の歯車、通信網が自由な道具一式」のごとき観念が生じる。

他方、本件商標は、「Linefree」の文字を一連に書してなる構成であるから、構成文字に相応して「ラインフリー」の称呼が生じ、「回線無制限、通信網が自由」のごとき観念が生ずるものである。

しかして、本件商標と使用商標とは、その構成文字における「Gear」の有無という顕著な差異があり、また、外観、称呼及び観念においても差異を有するものであるから、両者は社会通念上同一の商標とはいえない。

このことは、過去の不使用取消審判において、登録商標に他の文字を結合した使用商標の使用が、社会通念上同一の商標ではないと判断された例(甲4〜甲7)があることからも肯定できる。

(3)使用商品について

乙第2号証ないし乙第4号証には、郵便局や銀行等の窓口に設置されている自動受付機と思しき商品が表示されており、乙第1号証の表紙及び乙第5号証ないし乙第8号証の品名の箇所にも「自動窓口受付機」の文字が表記されている。

被請求人は、当該「自動窓口受付機」(以下「使用商品」という。)は、第9類の「電気通信機械器具あるいは電子応用機械器具」に相当する旨主張している。

特許庁商標課編の商品及び役務の区分解説によれば、「電気通信機械器具」は、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「通信機械器具」の大部分が含まれ、電子の作用を応用した「通信機械器具」も「電気通信機械器具」に該当すると記載されている。そして、「電子応用機械器具及びその部品」は、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれると記載されている(甲2)。使用商品は、「通信機械器具」ではないため、「電気通信機械器具」に含まれないことは明らかである。また、当該機器は、受付番号を自動で発行することを機能要素とするものであって、電子の作用を機能の本質的要素としているものではないため、「電子応用機械器具及びその部品」にも含まれないものである。使用商品は、その構造、用途、機能から判断すれば、票数計算機、タイムレコーダーや作業記録機等と近似した商品といえる。

なお、特許情報プラットフォーム「J−PlatPat」の「商品・役務名検索」によれば、使用商品と同種の商品である「受付番号券発行機」、「診療予約受付機能及び来訪者到着確認機能を有する自動再診受付機」(甲3)は、「電気通信機械器具あるいは電子応用機械器具」には含まれない商品である。

我が国が採用しているニース国際分類によれば、完成品は、原則としてその機能又は用途によって分類するとしている(甲8)。

使用商品は、銀行や郵便局の窓口において、窓口業務の効率化、又は、顧客の利便性のため、受付順に番号の付いた用紙を発券し、順番が来た場合には呼び出し番号待ち人数の表示や呼び出し番号を表示するものであり、その主要な機能及び用途は窓口における顧客の自動受付である。待ち人数表示や呼出し表示は、そのための手段にすぎず、音声呼出し機能やデータ集計機能は、補助的な機能にすぎない。例え、スピーカーやプリンターを内臓しているとしても、「電気通信機械器具」とはいえず、「電子応用機械器具」に該当するものでもない。

(4)まとめ

以上のとおり、被請求人が提出した証拠に表されている商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえないものであり、また、使用商品も請求に係る商品とは別異なものである。

したがって、本件商標がその指定商品について、要証期間内に日本国内で使用されたことについて証明したものということはできない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。

1 本件商標の使用事実についての概要

本件商標は、第9類の「電気通信機械器具あるいは電子応用機械器具」に相当する「自動窓口受付機」である使用商品に付され、本件商標権者は平成25年6月21日にカタログを発行した後、今日に至るまで当該使用商品を製造、販売、修理している。

2 本件商標の使用事実についての説明

(1)使用商品「自動窓口受付機」

使用商品はいわゆるボイスコールと称されるものであり、郵便局、銀行、駅のみどりの窓口、旅行代理店などで広く使われている、整理券発行機である。

(2)本件商標の取得の経緯

平成25年4月19日付けで、使用商品に関し某会社における特定調達に係わる入札公告(公示)(乙1)がなされ、被請求人はこの入札に参加、落札すべく使用商品の開発を開始し、平成25年6月18日に社内で「Linefree Gear」と命名すると共に、同年6月21日にカタログを発行した。

被請求人は、命名した「Linefree Gear」及びこれの要部である「Linefree」について、使用商品が含まれる指定商品を指定して、平成25年7月2日に商標登録出願を行い、商標登録を受けた。

(3)本件商標の使用状況の説明

被請求人は、落札により、平成25年11月から平成26年3月(最終納入期限:平成26年3月14日)にかけて本件商標が付された使用商品を540台+α納品した。

ここで、本件商標が付された使用商品は乙第2号証の写真に示すものであり、例えば乙第3号証の写真に示すように設置されている。

また、乙第4号証は本件商標が付されたカタログ(平成25年6月21日発行・平成26年10月18日一部修正)である。

さらに、被請求人は、本件商標が付された使用商品を納品するに当たり、乙第5号証、同6号証に示す設置完了報告書兼物品受領書(平成26年2月17日付け)を受け取っている。

また、被請求人は、前述した落札により、平成26年3月までに本件商標が付された使用商品を全て納品したが、その後、現在に至るまでの間、当該使用商品については、保守点検作業、修理作業、あるいは、移転作業などを継続して行っている。

ここで、乙第7号証は、被請求人のグループ会社である三栄株式会社が発行した、納品した使用商品を修理する際の見積書(平成28年7月7日付け)であり、また、乙第8号証は納品した使用商品を移転したときの設置完了報告書兼物品受領書(平成28年6月18日付け)である。

3 審尋及び弁駁に対する答弁

(1)使用商品「自動窓口受付機」について

ア 使用商品「自動窓口受付機」は、自動窓口受付用発券機、自動窓口受付用表示機、自動窓口受付用操作機を含み、音声による呼出機能の設定を可能とするものである(乙4、乙9、乙10)。

被請求人は、使用商品を補足説明するために、追加資料として、「Linefree Gear M−121取扱説明書」(乙11)及び使用商品の主要部品の接続構成図(乙12)を提示する。

ここで、乙第11号証は、発券機(自動窓口受付用発券機に相当)、表示器(自動窓口受付用表示機に相当)及び操作器(自動窓口受付用操作機に相当)について、各部の名称とはたらき、さらには、使用方法(作業開始前のチェック、作業終了後のチェック、操作器の使用方法、警報信号、日時、時間、スタート番号の変更及びキャンセルの操作設定、データ出力、ロール紙交換など)を示す。

また、乙第12号証は、発券機、表示器及び操作器の接続構成についての基本構成例と最大構成例とを示す。

以上の説明からも明らかなように、使用商品は、番号が印字されたカード(発券機より発行)を来訪された客が受け取り、窓口で呼出操作(操作器により行う)をすることで、案内音声と受付番号表示(表示器により行う)を用いて客を容易に誘導でき、業務効率の向上を図ることを使用目的とするものである。

さらには、発券機は、当日データ、週間・月間データを集計する機能を有し、これらの集計データを印字する機能を備えている。

このように、使用商品は、発券機を構成要素に含むものではあるが、発券機、表示器及び操作器を通信可能に接続することで実現する装置であり、さらに、表示器への表示機能、音声による呼出機能、あるいは、発券機の集計機能を実現するには少なくともこれらを演算する機能を必要とする装置であるものといえる。

してみると、本件商標を使用する使用商品は、発券機で発券した番号を電子的に記録し、操作器からの操作信号を発券機側で受信することで発券機に記録されている次の順番の呼出番号を表示器に表示すると共に、音声による呼出機能にて呼出しをするものであることは明らかである。

ここで、「電気通信機械器具」には、「音声周波機械器具(具体的には拡声機械器具)」や「電気通信機械器具の部品及び附属品(具体的にはスピーカー、接続器)」が含まれており、また、「電子応用機械器具及びその部品」には、「電子計算機及びその周辺機器(具体的には電子計算機、プリンター)」が含まれている(乙13)。

それゆえ、使用商品は、請求人提示の甲第2号証に示すように、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「通信機械器具」、電子の作用を応用した「通信機械器具」、あるいは、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としている「電子応用機械器具」に該当するものであることは明らかである。

昨今の情勢では、IoTが急速に成長しつつあり、家電製品等に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信したりすることにより、自動認識や自動制御、遠隔操作などを行う事も周知の事実である、一つの商品が複数の用途を持つこと当然想定されることである。この点については、「商品・サービス国際分類表(第11−2018版)一般注釈 日本語訳」(甲8)に、「完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能は各用途に対するいずれの分類にも分類することができる。」と説明されている。

イ 請求人は、弁駁書において、「『自動窓口受付機』は、その構造、用途、機能から判断すれば、票数計算機、タイムレコーダーや作業記録機等と近似した商品といえ、類似群09D01に含まれる商品と考えられる。」と主張しているが、前述したように、発券機、表示器及び操作器を組み合わせた使用商品は、受付番号の発券機能、待ち人数表示機能、操作器からの操作に基づく呼出番号表示機能、音声による呼出機能、受付データの集計機能等を発揮するものであり、「票数計算機、タイムレコーダーや作業記録機等」とは全く近似していない。

さらに、請求人は、弁駁書において、「『受付番号券発行機』は、類似群09E21の商品として記載され、『診療予約受付機能及び来訪者到着確認機能を有する自動再診受付機』は、類似群09D01の商品として記載されている(甲3)。上記使用商品は、これら商品と同種の商品であって、『電気通信機械器具あるいは電子応用機械器具』には含まれないといわざるを得ない。」及び「類似群09D01、09E21の商品として記載されており、両類似群に属する他の商品としては『自動預金残高照会機』『電子チケット自動改札機』・・等があり、電気通信機械器具を部品として含む機械や電子の作用を応用した機械も分類されている(甲第9号証)」と主張している。

しかしながら、「受付番号券発行機」は、受付番号券を発行する装置と思われ、また、「診療予約受付機能及び来訪者到着確認機能を有する自動再診受付機」は再診の来訪者が所持する受診カードを読み込んで再診の来訪者の受付をする装置と思われるが、そうであれば、これらの商品は、本件商標が使用されている使用商品とは全く異なるものといえる。

そして、「自動預金残高照会機」「電子チケット自動改札機」等の商品については、これらが、「類似群09D01、09E21」に属する商品として申請された例があることは把握されるものの、本件の使用商品が「電気通信機械器具」または「電子応用機械器具」には外用しないことを裏付ける証拠にはなり得ない。

(2)本件商標と使用商標との同一性について

請求人は、使用商標は「Linefree Gear」であり、この使用商標中の「Gear」の文字は、使用商品との関係において、自他商品の識別標識として十分に機能し得るものである。そして、使用商標は、デザイン化された統一書体による構成及び構成文字全体から「ラインフリーギア」の称呼及び「回線無制限の歯車、通信網が自由な道具一式」の如き観念生ずることから、本件商標と使用商標とは、外観、称呼及び観念においても差異を有し、両者は社会通念上同一の商標とはいえないと主張する。

しかしながら、使用商標中の「Gear」は、「歯車、ギア、装置、道具、用具一式」等の意味を有し(乙18)、特に「装置・用具」が本義であることからすれば、使用商品については「装置」あるいは「道具、用具一式」という商品の品質を表すことは明らかであるほか、使用商標中の「Linefree」は、使用商品については「列(Line)が自由(free)」という観念をイメージするように選定された造語であり、しかも、「Linefree」と「Gear」との間にはスペースが介在されていることからすれば、両語が一連不可分であるとはいえない。してみると、使用商標中の「Linefree」が要部であることは明らかである。

そして、使用商標中の「Linefree」は、本件商標と同等の特殊なフォントにて表記されており(乙19)、使用商標の要部が本件商標と社会通念上同一であることは明らかである。

(3)過去の審決例について

本件審判と過去の審決例(甲4〜甲7)とは背景の全く異なるものであり、本件審判とこれらの審決例とは全く無関係である。

(4)まとめ

以上のように、本件商標は、その指定商品である「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について商標権者が現在に至るまで使用していることから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも継続して3年以上日本国内において不使用とはいえない。

第4 当審における審尋

審判長は、平成29年7月28日付け審尋にて、被請求人に対し、使用商品は本件審判の請求に係る指定商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属さない商品との見解を示し、審判事件答弁書の内容について更なる主張、立証を求めた。

第5 当審の判断

1 使用商標について

使用商標は、「Linefree Gear」の欧文字よりなるところ(乙2〜乙4、乙11)、その該構成文字は、全体が統一した図案化が施されて、同書同大の文字で書されてあり、使用商標全体から生ずる「ラインフリーギア」の称呼も、8音と格別冗長ともいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、使用商標を構成する「Line」、「free」及び「Gear」の文字が、それぞれ「線、電話線」、「自由な」及び「歯車、装置」等(いずれも「ベーシックジーニアス英和辞典」 株式会社大修館書店)の意味を有する、いずれも平易な英語であるとしても、これらを結合した使用商標からは、何らかの熟語的意味が生じるものとは認められない。

また、使用商標の構成文字中から「Gear」の文字部分を捨象し、「Linefree」の部分のみを、自他商品の識別標識とし機能を有する部分とする特段の事情は認められない。

そうすると、使用商標は、一連一体の造語商標としてみるべきものであり、その構成文字より「ラインフリーギア」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものといえる。

一方、本件商標は別掲のとおり、図案化が施された「Linefree」の文字よりなるものであるところ、その構成文字より「ラインフリー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

そこで、本件商標と使用商標とを比較してみると、両商標は、その構成文字において相違するものであって、外観において「Gear」の文字の有無を、称呼においては末尾における「ギア」の音の有無の差異を有するものであるから、本件商標と使用商標とは商標法第50条に規定する社会通念上同一とは認められない。

2 使用商品について

(1)被請求人が使用商標を付している使用商品は「自動窓口受付機」であるところ(乙2〜乙4、乙11、乙12)、使用商品は、発券機、表示機及び操作機によりなり(乙4、乙10〜乙12)、これらを通信線で接続することによって、全体で「自動窓口受付機」を構成すると共に、その機能を発揮するものであることから、前述の発券機、表示機及び操作機は、使用商品を構成するための部品又は付属品といえる。

そして、使用商品の機能とは、来訪された客が、発券機より発行される番号が印字されたカードを受け取り、窓口業務の担当者が、操作器によりで呼出操作を行うことで、表示器に受付番号が表示され、案内音声が発せられるというものであって、この機能により、客を容易に誘導することが可能となり、その結果、窓口業務の効率の向上を図ることを目的とするものである。

また、発券機は、当日データ、週間・月間データという事務作業の記録を集計し、これらの集計データを印字する機能を備えているというものである。

そうすると、使用商品「自動窓口受付機」は、窓口における事務作業において使用するものであって、当該事務作業の効率化を計ることを目的とし、当該目的を達成させるために必要な機能を備えた商品といえる。

以上より、使用商品は、事務用の機械器具の一種の商品と認められる。

(2)そこで、使用商品が本件審判の請求に係る商品「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品であるかについて検討する。

特許庁商標課編の商品及び役務の区分解説によれば、「電気通信機械器具」は、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「通信機械器具」の大部分が含まれ、電子の作用を応用した「通信機械器具」も該当するとされ、「電子応用機械器具及びその部品」は、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものが該当するとされている(甲2)。

(3)そうすれば、上記(1)及び(2)のとおり、使用商品は、窓口における事務作業において使用し、当該事務作業の効率化を計ることを目的及び機能の本質的な要素とする商品であることから、通信を目的とする通信機械器具ではなく、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものでもない商品と認められる。

(4)小括

したがって、使用商品は、本件審判の請求に係る商品の範ちゅうには含まれない商品といわざるを得ない。

3 被請求人の主張

(1)被請求人は、使用商標中の「Gear」の文字は、「装置・用具」が本義であることからすれば、使用商品については「装置」あるいは「道具、用具一式」という商品の品質を表すほか、使用商標中の「Linefree」は造語であり、しかも、「Linefree」と「Gear」との間にはスペースが介在されていることからすれば、両語が一連不可分であるとはいえず、「Linefree」が要部であることは明らかであることより、使用商標の要部が本件商標と社会通念上同一である旨を主張する。

しかしながら、「gear」の語は、他の語との複合語として「・・・装置」や「道具、用具一式」の意味を有するのが一般的である(乙18)。

そこで、使用商標の場合をみてみると、その構成中の「Linefree」の文字部分は特定の観念を有するとは認められない造語であるから、これに「Gear」の文字を結合させても、複合語として「・・装置」の如き観念は生じ得ない。

そして、使用商標を一連一体の造語商標とみるべきことは、上記1のとおりであるから、被請求人のこの主張を採用することはできない。

(2)被請求人は、「商品・サービス国際分類表(第11−2018版)一般注釈 日本語訳」(甲8)に、「完成品が複数の用途を有する複合物(例えば、ラジオ付き時計)である場合には、各機能は各用途に対するいずれの分類にも分類することができる。」と説明されており、使用商品は、発券機で発券した番号を電子的に記録し、操作器からの操作信号を発券機側で受信することで発券機に記録されている次の順番の呼出番号を表示器に表示すると共に、音声による呼出機能にて呼出しをするものであることは明らかであり、「電気通信機械器具」には、「音声周波機械器具(具体的には拡声機械器具)」や「電気通信機械器具の部品及び附属品(具体的にはスピーカー、接続器)」が含まれ、また、「電子応用機械器具及びその部品」には、「電子計算機及びその周辺機器(具体的には電子計算機、プリンター)」が含まれている(乙13)ことから、使用商品は、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている「通信機械器具」、電子の作用を応用した「通信機械器具」、あるいは、電子の作用を応用したもので、電子の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としている「電子応用機械器具」に該当する旨を主張する。

しかしながら、上記2のとおり、使用商品は、窓口における事務作業において使用するものであり、当該事務作業の効率化を計ることを目的とするものであって、たとえ使用商品を構成する発券機、表示機及び操作機にスピーカー、接続器、演算装置、印刷機能を有しているとしても、それらは、上述の使用商品の目的を達成させるために必要な機能であり、構成部品の一部にすぎず、それら個々の構成部品それ自体が使用商品の目的とするものではない。

そして、被請求人提出の証拠からは、被請求人が、スピーカー、接続器、演算装置、プリンターを、独立して商取引の対象としている事実は確認できないから、被請求人のこの主張を採用することはできない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明し得なかったのみならず、使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」については、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。