結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2017−4686(T2017−4686/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「カメラ,デジタルカメラ」を指定商品とし、平成27年4月1日に位置商標として登録出願、その後、本願の指定商品については、当審における同29年5月9日付け及び同30年8月28日付けの手続補正書により、第9類「デジタル一眼レフカメラ」と補正されたものである。
原査定は、「商品の包装等においては、美感を発揮させるため、または需要者の注意を惹く目的等で、出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字、図形及び色彩が使用されている実情がある。そして、本願商標を構成する図形は、デジタルカメラの筐体の前面グリップ部分上部に付された赤色の三日月状図形を配したものであるが、前記の実情があることから、本願商標を指定商品に使用しても、単に美感を発揮する等のために装飾、模様等が施された商品の形状の一形態を表示するにすぎないものと認められるから、本願商標は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。また、本願商標は、指定商品の分野の取引の実情において、自他商品の識別標識を発揮するもので、仮に、本願商標が、自他商品の識別機能を発揮しないとしても、継続的で大々的な使用によって、既に識別性を有しているものである旨述べるが、その使用期間については、2011年からおよそ5年程度である。そうすると、雑誌・テレビCM等において宣伝広告を行っていることが認められるが、本願商標のみが独立して自他商品の識別標識として機能しているとは判断し難いこと、また、本願商標についての需要者の認識を客観的に把握することができないことを併せ考えると、出願人による本願商標を使用した商品の販売実績や宣伝広告の状況を考慮しても、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標について
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、カメラの前面グリップ部上部に付された赤色の弓形形状の図形(以下「弓形図形」という。)からなる位置商標であって、「商標の詳細な説明」として、「商標登録を受けようとする商標は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、デジタル一眼カメラの前面グリップ部上部に付された図形からなる。」旨の記載がなされ、第9類「デジタル一眼レフカメラ」を指定商品とするものである。
ところで、本願商標は、デジタル一眼レフカメラの前面グリップ部上部に付された赤色の弓形図形からなるものであるところ、カメラという商品においては、その商品の美観を発揮させるためや需要者の関心を惹くなどといった目的のため、カメラの各部分に様々な図形や色彩を装飾的に付することが一般に広く行われている実情がある。
そこで、本願商標であるデジタル一眼レフカメラの前面グリップ部上部に付された赤色の弓形図形が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標であるか否かを以下のとおり検討する。
(2)本願商標の使用状況について
請求人による主張、及びその提出された各資料及び甲各号証によれば、以下のことが認められる。
ア 請求人について
請求人は、1917年に「日本光学工業株式会社」として創業以来、光利用技術と精密技術を基礎に、カメラ、デジタルカメラ、双眼鏡、顕微鏡といった光学機械、半導体装置等の精密機械の製造販売及び関連サービスを提供してきた企業である(資料1、資料2)。
イ 本願商標の使用について
(ア)使用開始時期及び使用期間について
請求人は、2003年に発売されたデジタル一眼レフカメラ「D2H」において、初めて、カメラの前面グリップ部上部に赤色の図形を使用した。
そして、これ以降、請求人は、47機種のデジタル一眼レフカメラを発売しているが、1機種(Df)を除く46機種のデジタル一眼レフカメラにおいて、カメラの前面グリップ部上部に本願商標と同一視できる赤色の弓形図形又は近似した図形を約16年間にわたって継続的に使用されていることが認められるところ、本願商標と同一視できる赤色の弓形図形は、2011年に発売されたデジタル一眼レフカメラ「D5100」以降の19機種において使用され、現在も使用されていることが認められるから、本願商標の使用開始時期は2011年であり、その使用期間は約8年間である(甲19〜甲21)。
(イ)使用地域について
請求人の提出した証拠によれば、カメラ量販店(甲2)、家電量販店(甲3〜甲6)及び通信販売(甲7、甲8)等において商品を展示又はインターネットのウェブサイト上に商品を掲載して、請求人の商品を全国各地に販売していることが推認できる。
(ウ)販売シェア及び生産台数等について
請求人の提出した株式会社BCNが発表している「BCN AWARD」の2012年から2017年までの6年間のデジタルカメラ(一眼レフ)部門の販売データによれば、請求人の販売シェアは、約32%から約43%であり、年平均販売シェアは、約37%であり(甲25、甲26)、販売ランキングは、常に第2位である。
また、請求人の提出した一般社団法人カメラ映像機器工業会による我が国のデジタルカメラ(一眼レフ)生産台数及び出荷金額(2012年〜2017年)の6年間によれば、請求人の生産台数は、約21万台から約51万台であり、年平均生産台数は、約37万6千台であり、請求人の出荷金額は、約121億円から約242億円であり、年平均出荷金額は、約184億円である(甲27、甲28)。
(エ)広告宣伝について
請求人の提出した証拠によれば、雑誌については、商品販売開始時から現在に至るまで、継続して広告宣伝をしており(資料17、資料29、資料30)、テレビCMについては、全国各地で放送されていることが認められる(資料23〜資料26)。
(オ)その他
請求人の商品は、「グッドデザイン賞」、「ベストエントリーデジタル一眼レフカメラ」等、数々の賞を受賞しており、これらの受賞した商品には、本願商標が使用されている(資料7〜資料13)。
(3)本願商標の使用による識別性について
上記(2)によれば、請求人は、カメラの前面グリップ部上部の位置に付した本願商標と近似した図形からなる標章を2003年に発売したデジタル一眼レフカメラから使用を開始し、本願商標と同一視できる赤色の弓形図形又は近似した図形からなる商標を使用した商品の製造、販売を約16年間行っている。
そして、2012年から2017年の6年間における本願商標を使用したデジタル一眼レフカメラの販売シェアは、年平均で約37%であって国内第2位のシェアを占め、デジタル一眼レフカメラの業界の販売シェア1位の企業とほぼ2分してきた。
また、生産台数は、年平均で約37万6千台、出荷金額は、年平均で約184億円に至っていることが認められる。
そうすると、本願商標は、「デジタル一眼レフカメラ」という商品種別において、約16年間にわたる継続的な使用におけるカメラの前面グリップ部上部の位置に付された代表的な赤色の弓形図形であって、相当程度、需要者の間に広く知られたものとなっていることが認められるものであるから、これを位置商標として、その指定商品の「デジタル一眼レフカメラ」に使用した場合、その商品の需要者をして、請求人を表す出所識別標識としての認識力を獲得するに至っているということができる。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものといえるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないものであるから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消を免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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