Trademark Appeal Case
単一語「Style」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−19000(T2017−19000/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,「Style」の欧文字を横書きしてなり,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として,平成28年11月30日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「様式。型。」を意味する「Style」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものである。当該語は,多くの場合,生活様式など一定の様式・形式を表すための複合語を形成することで知られており,また,当該語は,「被服,ベルト,履物」等の分野において,それら商品の広告・カタログなどに頻繁に用いられている語である。そして,本願商標は,「一定の型・様式を備えたもの」又は「一定の様式に適合するもの」の如き意味合いを認識させるものといえる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,上記の意味合いを認識させるにすぎず,自他商品の識別標識としての機能を有せず,結局,需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものである。
よって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 平成30年6月22日付けで通知した当審における審尋(要旨)
審判長は,請求人に対し,別掲2に係る証拠を示して,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当する旨の審尋を発し,意見を求めた。
4 審尋に対する請求人の意見(要旨)
「style」や「スタイル」の言葉が,服飾用語として別掲2(1)に示されたような意味合いで使用されるものであることは否定しない。そして,そのような意味合いで使用されるものである以上,別掲2(2)のように文章中で「style」や「スタイル」の語が使用されることはある意味当然のことではある。
しかしながら,このように文章の中で単語として使用される場合は,前後の文章とあいまって初めて特定の具体的な意味合いが当該文章全体から生ずるのであって,商品に「Style」の語が単体で表示されている場合とは言葉の機能の仕方が異なるものといえる。
また,別掲2(3)は,「style」の語が複合語として他の言葉と一緒になって具体的に特定の型や様式を表すケースを示すものであるが,「style」という言葉だけが単体で商品に表記されている場合は,やはり具体的に特定の型や様式を表すことはできない。
すなわち,別掲2(1)〜(3)は,「style」という言葉について,その意味内容に沿ってそれがどのように使われているかを示すものであり,これによって「style」の語が服飾業界で広く使用されていることはわかるが,「style」という用語だけが被服等に付されるのは,このように服飾業界で広く使用されている上記の用いられ方とは全く異なる極めて特殊な用いられ方であり,かかる特殊性ゆえに識別力を発揮し得るのである。
このことは,例えば,ワイシャツの胸ポケットに本願商標が付されている状況をイメージすれば明らかである。文章中でもなく複合語としてでもなく,単に漠然とした意味合いを想起させるにとどまる「Style」という文字だけがワイシャツに付されていても,需要者はそれを特定の「様式,型,流行型,スタイル」とは認識しない。そのように本願商標がワイシャツの様式や型を表すものと認識されない以上,ワイシャツに付された「Style」の文字は特定人のブランドとして需要者に認識される余地を十分に残すものである。
したがって,「Style」の語単体からなる本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るといえるから,商標法第3条第1項第6号には該当しない。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第6号の該当性について
本願商標は,別掲1のとおり,「Style」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,当該欧文字は,英語で「(行動・生活などの)様式,仕方,方法」や「(服・髪などの)型,スタイル,流行型」などの意味を有する語(ベーシック ジーニアス英和辞典)であり,これを片仮名で表記した「スタイル」が「すがた,風采,恰好」や「様式,型(服飾や髪の型・デザイン)」(広辞苑第6版)などの意味を有する外来語として広く用いられるなど,我が国においては一般的に知られた語であると認められる。
そして,別掲2のとおり,「Style」(スタイル)の語は,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,「様式,型,流行型」などを意味する語として広く用いられており,また,これを他の文字と組み合わせて,「○○様式」や「○○型」など,商品の型や様式(又はそれら型や様式を備えたもの)を表示する語として広く用いられているものである。
以上によれば,「様式,型,流行型,スタイル」などを意味するよく知られた英単語であって,本願商標の指定商品を取り扱う業界においては,一般的に使用されているありふれた標章であるといえる本願商標は,それ自体を本願指定商品について使用しても,自他商品を識別する標章としての機能を有するものではなく,他の文字等(特定の商標)を組み合わせた標章とすることにより初めて自他商品を識別することが可能になるというべきである。
請求人は,「ボディメイクシート」と称する,姿勢矯正機能を有する椅子に本願商標を使用している(甲14〜18)ことが認められるが,その結果,本願指定商品の全てにつき,自他商品の識別力を獲得したなどの特段の事情があるとは認められない。
そうである以上,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1号第6号に該当する。
(2)請求人の主張に対して
請求人は,(ア)別掲2(1)〜(3)によれば,「style」の語が服飾業界で広く使用されていることはわかるが,「style」という語だけが被服等に付されるのは,このように服飾業界で広く使用されている上記の用いられ方とは全く異なる極めて特殊な用いられ方であり,かかる特殊性ゆえに識別力を発揮し得るのである旨,(イ)文章中でもなく複合語としてでもなく,「Style」という文字がワイシャツの胸ポケットに付されている場合において,需要者はそれを特定の「様式,型,流行型,スタイル」とは認識しないから,「Style」の文字は,ワイシャツの様式や型を表すものと認識されない以上,当該文字は,特定人のブランドとして需要者に認識される余地を十分に残すものである旨,及び(ウ)「STYLE」の欧文字や,それと片仮名文字「スタイル」とを併記した商標について,多数の登録例が認められることからみると,本願商標が自他商品の識別力を有しないとされる理由の妥当性は見いだせない旨主張する。
しかしながら,(ア)及び(イ)については,請求人は,服飾業界では「Style」の文字が単独の商標として広く使用されていないから,そのような使用ならば,自他商品の識別力を発揮すると解釈しているものと解されるが,商標法第3条第1号第6号は,同項第1号ないし第5号に掲げるもののほか「需要者が何人かの業務に係る商品...であることを認識することができない商標」を総括的に含むものであり,同項第6号に該当するというためには,必ずしも「Style」という商標が単独で広く使用されていることを要するものとは解し得ないから,請求人の上記解釈は独自の解釈というほかなく,採用し得ない。
(ウ)については,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,他の登録例の存在によって,上記判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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