Trademark Appeal Case
色彩商標の使用による識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−5025(T2017−5025/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,オレンジレッド(RGBの組合せ:R244,G120,B54)のみからなるものであり,第9類「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」を指定商品として,平成27年4月1日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,別掲に特定される色彩のみからなるところ,商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであり,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって,本願商標が,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,提出された証拠において示された本願商標と同一と推測される色彩の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,請求人に対し平成30年6月21日付けで証拠調べ通知書を通知し,相当の期間を指定して,意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見(要旨)
(1)実際に「オレンジレッド」の色彩が施された例として挙げている各商品は,「濃度計,ガイガーカウンター(線量を計る器具),クッキングスケール,(重量を計る器具),温度計(温度を測る器具),湿度計(湿度を計る器具)」などであって,「長さを計る測定器」とは全く異なる商品である。
したがって,異なる商品に「オレンジレッド」が使用されているからといって,本願指定商品の「ノギス,マイクロメータ,」等も「オレンジレッド」の色彩が使用される,あるいは使用され得るとの証拠には必ずしもならない。
(2)同種,同類の商品に近似した商標が使用されたとしても,これが直ちに,本願商標について商標法第3条第2項を否定する理由にはならない。
本願の指定商品の「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」について,本願商標のオレンジの色彩が付された商品の例は一つもなく,「オレンジ」を使用しているのは請求人のみであるから,本願商標に接する取引者,需要者が請求人の業務に係る商品であると認識し得るに至ったか否か,との観点から判断すべきものである。
(3)「工業用長さ計」の出荷額に対する請求人の本願指定商品である「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」の国内生産額の比率(シェア)は,2009年以降,現在まで,90%前後と極めて高いシェアである(甲26)。
このような高いシェアを占める本願指定商品において,長年にわたり,本願商標「オレンジ(レッド)」色が使用されてきたのであり,その結果,本願商標に接する取引者,需要者は,これが請求人の業務に係る商品であると認識できるに至ったものであることは容易に推認できる。
すなわち,請求人は長年にわたり,そのパッケージに本願商標のオレンジ色を使用してきたのであり,その結果,請求人の業務に係る商品であると認識できるに至ったものであるから,本願商標は,商標法第3条第2項により登録すべきものである。
(4)中国・深せん坪山市場監督局から送付された写真に記載している情報によれば,「mitutoyo」商標を付けた商品が押収されている。
このように,請求人の商品が有名になればなるほど,外国でも模倣品が出回りるが,これも請求人の商標が需要者に広く認識された結果である。
(5)以上のとおり,証拠調べ通知書に掲載された「オレンジレッド」が付された商品は,本願指定商品「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」の「長さを計る測定器」とは全く異なるものであり,本願商標が商標法第3条第2項に該当することを否定する理由にはならない。また,請求人は,本願指定商品に長年にわたり,本願商標を使用してきた結果,今日では本願商標に接する取引者,需要者は,請求人の業務に係る商品であると認識できるものである。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,前記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,オレンジレッド(RGBの組合せ:R244,G120,B54)のみからなるものであり,その指定商品を第9類「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」とするものである。
ところで,色彩については,本願の指定商品を含む「長さを計る測定器を含む測定機械器具」を取り扱う業界においては,その商品に関して,商品や商品の模様に着色される色彩として,また,商品の包装の装飾などに着色される色彩として用いられているところ,オレンジレッドないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩についても,広く一般に採択されていることは,原査定及び当審における証拠調べ通知書において示したとおりである。
そうすると,オレンジレッドの色彩のみからなる本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品やその包装について通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は,「本願商標は,いわゆる使用による特別顕著性を獲得しているものであるから,商標法第3条第1項第3号の規定にかかわらず,同条第2項の適用によって,当然商標登録を受けることができるものである。」旨主張し,その主張に係る証拠として甲第1号証ないし甲第28号証を提出しているので,以下,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかどうか検討する。
ア 本願商標の使用実績について
請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,以下のとおりである。
(ア)色彩の使用方法及び使用開始時期等について
請求人は,1934年10月に創立された精密測定機器の製造,販売会社であり,資本金3億9100万円,従業員2,702人で,2015年12月現在の単独売上高は778億9,800万円である(甲1)。
そして,本願商標のオレンジレッドの使用開始時期としては,1987年3月に請求人のM・CI委員会が「MITUTOYO BASIC DESIGN MANUAL」(甲9)を作成して以来であり,当該マニュアルには,統一した3色の色彩,文字,ロゴ等が決められている。
本願商標の色彩の使用については,商品の包装箱に,オレンジ色を基調とした色彩及び「Mitutoyo」の文字が使用されている(甲4)。また,商品カタログの表紙及び裏表示には,オレンジ色を基調とした色彩及び「Mitutoyo」や「株式会社ミツトヨ」の文字が使用されている(甲10〜甲22)。
(イ)使用地域
請求人は,本願商標のオレンジレッドを使用した各年度の商品カタログを,国内の23か所の営業所(駐在所を含む),及び請求人の商品を取り扱う代理店452店舗などに頒布している(甲23,甲24)。その販売店,取扱店の地域は,北海道から沖縄の浦添市に至るまで日本全国にわたっている。
また,隔年ごとに開催される「JIMTOF(日本国際工作機見本市)」や,「測定計測展」においても,参加者に頒布している。
(ウ)販売数量及び販売額等について
ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,ダイヤルゲージについて,個々の商品の市場規模を表す公的な統計はないが,日本精密測定機器工業会が発行した「工業用長さ計」(ゲージ,ノギス,マイクロメータ,ダイヤルゲージなどを含む。)についての「生産出荷統計」については,平成20年が382億800万円,平成21年が157億5,500万円,平成22年が233億1,100万円,平成23年が304億1,800万円,平成24年が287億4,100万円,平成25年が253億6,400万円,平成26年が315億8,600万円,平成27年が337億8,300万円である(甲25)。
一方,上記の期間に請求人が販売したノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,ダイヤルゲージの各商品を合算した総国内販売額は,平成20年が82億9,900万円,平成21年が33億2,100万円,平成22年が52億5,300万円,平成23年が66億9,400万円,平成24年が67億6,000万円,平成25年が54億5,800万円,平成26年が69億1,300万円,平成27年が69億4,300万円である(甲3)。
なお,上記はあくまでも「国内販売額」の金額であり,「工業用長さ計の生産出荷統計」とを正確に比較することはできないため,請求人の国内と海外向けの生産額とを合算した額と前記「工業用長さ計」の出荷額とを比較すると,「工業用長さ計」の出荷額に対する請求人の本願指定商品の国内生産額の比率(シェア)は,2009年以降,現在まで,90%前後と高いシェアである(甲26)。
(エ)広告宣伝の方法,回数及び内容
請求人は,2001年以降商品カタログ(甲10〜甲22)を作成し,国内23か所の営業所及び代理店452店舗において頒布しており,No.38(完成年月2006年8月)は,85,000部,No.39(完成年月2008年4月)は,90,000部,No.40(完成年月2009年6月)は,60,000部,No.41(完成年月2010年6月)は,65,000部,No.42(完成年月2011年6月)は,46,000部,No.43(完成年月2012年6月)は,49,500部,No.44(完成年月2013年6月)は,40,000部,No.45(完成年月2014年4月)は,50,000部,No.46(完成年月2015年6月)は,45,800部,No.47(完成年月2016年6月)は,55,000部を発行している。
(オ)アンケート調査
請求人は,測定器械器具を取り扱う事業者452社に対し,2017年4月19日〜同年5月9日の期間アンケート調査を行った。そして,その調査方法は,本願商標を付したパッケージを示して(社名の文字や図形のないもの),その製品のメーカーを回答させる方法を採用し,包装の中身は,本願の指定商品であるマイクロメータ,ノギス,ダイヤルゲージ等が入っていることを前提としたものであり,結果,回答数89社中76社が請求人の商品である旨を回答した(甲27)。
イ 本願商標がいわゆる使用による特別顕著性を獲得しているかについて
前記アによれば,請求人は,本願商標の使用開始時期として,1987年3月に請求人のM・CI委員会が「MITUTOYO BASIC DESIGN MANUAL」を作成し,オレンジレッドをコーポレートカラーとしていることは認められるものの,これには,本願商標の色彩であるRGBの組合せ(R244,G120,B54)を,確認できる記載はない。
そして,オレンジレッドの色彩については,商品の包装箱に,オレンジ色を基調とした色彩が使用されている(甲4)ことは認められるとしても,その包装箱には,「Mitutoyo」の文字も同時に表示されている。なお,その包装箱に収められた商品自体にオレンジ色が使用されているものは見あたらず,商品カタログ中に掲載された商品にも,そのほとんどに本願商標のオレンジレッドの色彩が使用されていない。
また,請求人の商品カタログは,2001年以降に作成されており,その表紙及び裏表示には,オレンジ色の色彩を使用していることは認められるとしても,そのいずれにも「Mitutoyo」及び「株式会社ミツトヨ」の名称等を示す文字がとともに表示されている。なお,そのカタログについては,作成部数を証明する証拠の提出はなく,かつ,国内の営業所及び代理店において頒布している旨主張するも,頒布の事実を確認できるものもない。
そうすると,オレンジ色の色彩が,商品の包装箱や商品カタログにおいて用いられているとしても,これらにおける色彩の使用方法やその構成態様に照らせば,その構成中のオレンジ色の色彩部分のみが分離して観察され,需要者に強く印象付けられるとはいい難いものである。
次に,請求人の商品の販売額やそのシェアについては,日本精密測定機器工業会が発行した「工業用長さ計」(ゲージ,ノギス,マイクロメータ,ダイヤルゲージなどを含む。)についての「生産出荷統計」(海外への出荷が含まれている。)に対して,請求人の販売したノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,ダイヤルゲージの各商品を合算した総国内販売額が,一定の高いシェアを占めることは認められるものの,請求人の総国内販売額についての裏付けとなる証拠は提出されていない。
さらに,請求人は,民間企業(株式会社リサーチワークス)を通じて,請求人の代理店,取扱い店452社(甲23,甲24)を対象として,「色彩商標に関するアンケート」の調査を実施し(甲27),本願商標の色彩の箱に,本願商標の指定商品が入っていることを前提とする写真を見せて,どの企業の商品であるか回答を求めた。その結果,85.4%(回答数89社中76社)の者が,請求人の商品である旨を回答している。
しかしながら,アンケートの対象について,「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,ダイヤルゲージ」の一般の需要者は含まれておらず,しかも,請求人の商品を取り扱う代理店等のみであることからすれば,それは当然の結果となるものであり,当該アンケートの信頼性は低いものであって,このアンケートによっては,本願商標のオレンジレッドの色彩のみをもって,需要者が,専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っていることは認められない。
以上の実情を総合的に考慮すると,請求人の提出に係る証拠からは,請求人がオレンジ色の色彩を,商品の包装箱や商品カタログに使用していることが認められ,また,総国内販売額が,一定の高いシェアを占めることは推認されるものの,そのオレンジ色の使用方法は,商品の包装箱や商品カタログにおけるごく一般的な普通のオレンジ色の色彩の使用のされ方であることから,これに接した取引者,需要者において,本願商標の色彩のみをもって,請求人の業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められない。
したがって,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,「現実的には色彩のみが商品に付され,或いは商品の包装等において色彩のみが付された状態で流通に置かれるような例は皆無であり,必ず文字,図形,記号などを伴って使用されるというのが一般的である。そして,そのような場合であっても,長年にわたり商品に同じ色彩を継続して使用した結果,たとえ商品又は商品の包装に文字や図形が色彩と共に併用されたとしても,当該商品に付された色彩に接する取引者,需要者は,当該商品が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができるに至るケースは決して少なくないものである。・・・すなわち,たとえ商品や商品の包装に色彩のほか文字や図形が付されていたとしても,長年の使用により当該色彩のみで自他商品の識別標識としての機能を発揮するに至る場合があることは決して少なくないということができる。・・・そこで,本願商標は,その使用例のように「Mitutoyo」の文字を伴うものであるとしても,長年にわたりその指定商品に使用されてきた「オレンジ色」の色彩部分をもって,これに接する需要者,取引者は,むしろ文字部分を捨象し,当該色彩部分をもって請求人の業務に係る商品であると認識できるに至ったというべきである。・・・よって,この点を看過し,本願商標とともに「Mitutoyo」の文字が付されて使用されている事実をもって,本願商標は自他商品の識別標識としての機能を有しないと判断した原査定の判断は失当といわざるを得ない。もっとも,上記判断の前提として,本願商標は長年にわたりその指定商品に使用された結果,本願商標に接する需要者,取引者が出願人の業務に係る商品であると認識するに至ったことが必要であることはいうまでもない。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標の色彩に関し,1987年3月に請求人のM・CI委員会が「MITUTOYO BASIC DESIGN MANUAL」を作成し,オレンジレッドをコーポレートカラーとしていたことは認められるものの,提出された証拠によれば,請求人に係る商品の包装箱には,「Mitutoyo」の文字及びオレンジ色の色彩が使用されているものであるが,実際に,このような使用がされた時期について特定する証拠は提出されていないし,また,これに接する一般の需要者をして,オレンジレッドの色彩を頼りに商品を選択するということが,一般的であるということもできない上,通常,常に「Mitutoyo」の文字と一体のものとして色彩も認識されるとみるのが相当であるから,その使用に係る本願商標の色彩のみが分離して観察され,強く印象付けられるとはいい難いものである。
そして,請求人の商品の総国内販売額が,一定の高いシェアを占めることは推認されるものの,そのオレンジ色の使用方法は,商品の包装箱や商品カタログにおけるごく一般的な普通のオレンジ色の色彩の使用のされ方であることから,これに接した取引者,需要者において,本願商標の色彩のみをもって,請求人の業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められない。
よって,本願商標が長年にわたり本願指定商品に使用された結果,需要者,取引者が何人かの業務に係る商品であることができるに至ったということはできない。
なお,仮に,商品の生産数や販売額等において,高いシェアを占める特定の商品について,単色の色彩を使用していたとしても,特に単色の色彩については,商品の様々な部分に彩色されて使用されるものであって,誰もが使用できるように解放しておくべきものであるから,商標権として特定の者に独占させることは,社会的な公益性の観点からしても決して望ましいものではないというべきである。
したがって,請求人の主張は,採用することができない。
イ 請求人は,「実際に『オレンジレッド』の色彩が施された例として挙げている各商品は,『濃度計,ガイガーカウンター(線量を計る器具),クッキングスケール,(重量を計る器具),温度計(温度を測る器具),湿度計(湿度を計る器具)』などであって,『長さを計る測定器』とは全く異なる商品である。したがって,異なる商品に『オレンジレッド』が使用されているからといって,本願指定商品の『ノギス,マイクロメータ,』等も『オレンジレッド』の色彩が使用される,あるいは使用され得るとの証拠には必ずしもならない。」旨を主張している。
しかしながら,証拠調べ通知書で示した使用例は,「長さを測る測定器」と類似の関係にある,「測定機械器具」に関するものである。また,「長さを測る測定器」と「測定器械器具」に係る取引の経路や取引者,需要者等がそれぞれ異なるとする取引の実情を示す事実は認められず,その証左も提出されていない。
よって,当該証拠調べ通知書で示した使用例は,本願商標の指定商品を取り扱う分野における取引の実情を表すものと認識し得るものである。
さらに,本願商標の色彩は,本願商標の指定商品と類似の関係にある商品についても,商品の特徴(色彩)を表わすものとして一般的に採択,使用されている例を挙げたことからすれば,これに接する取引者,需要者は,単に商品の特徴(色彩)を表示したものと理解するに止まり,自他商品の識別標識として認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって,請求人の主張は,採用することができない。
ウ 請求人は,「同種,同類の商品に近似した商標が使用されたとしても,これが直ちに,本願商標について商標法第3条第2項を否定する理由にはならない。本願の指定商品の『ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ』について,本願商標のオレンジの色彩が付された商品の例は一つもなく,『オレンジ』を使用しているのは請求人のみであるから,本願商標に接する取引者,需要者が請求人の業務に係る商品であると認識し得るに至ったか否か,との観点から判断すべきものである。」旨を主張している。
しかしながら,上記イのとおり,本願商標の指定商品と同一又は類似の商品を取扱う業界における取引の実情から,本願商標を構成する色彩は,商品の特徴(色彩)を表示するものとして理解されるものというべきである。
また,商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについては,本願の指定商品の「ノギス,マイクロメータ,マイクロメータヘッド,デプスゲージ,ダイヤルゲージ」について,本願商標のオレンジの色彩が付された商品の例がなく,かつ,オレンジ色を使用しているのが請求人のみであったとしても,本願商標の色彩に接する取引者,需要者が請求人の業務に係る商品であると認識し得るに至ったか否か,との観点から判断すべきものである。
そして,前記(2)のとおり,本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
したがって,請求人の主張は採用することはできない。
エ 請求人は,「中国・深せん坪山市場監督局から送付された写真に記載している情報によれば,『mitutoyo』商標を付けた商品が押収されている。このように,請求人の商品が有名になればなるほど,外国でも模倣品が出回るが,これも請求人の商標が需要者に広く認識された結果である。」旨を主張している。
しかしながら,請求人が製造,販売する商品について,外国で模倣品が出回っているとしても,その商品には,「mitutoyo」商標が付されており,商品の包装箱に着色された色彩のみによって,識別標識としての機能が発揮されているとはいえない。
さらに,外国で模倣品が出回っているからといって,日本において,本願商標の色彩が需要者に請求人の色彩商標として広く認識されているとはいえない。
したがって,請求人の主張は,採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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