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Trademark Appeal Case

1字違いの称呼・観念類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−686(T2018−686/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第15類「ドラム,ドラム用皮,ドラム用スティック,ケトルドラム,トムトム,シンバル,楽器用スタンド」を指定商品として,平成28年9月9日に登録出願されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法4条第1項第11号に該当するとして,拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の(1)及び(2)であり,これらの商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。

(1)登録第1695126号商標(以下「引用商標1」という。)は,「RODGERS」の欧文字を書してなり,昭和55年10月28日登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同59年6月21日に設定登録され,その後,平成17年9月21日に指定商品を第9類「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」及び第15類「オルガン、その他の楽器及びその部品,演奏補助品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)登録第1695127号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ロジャース」の片仮名を書してなり,昭和55年10月28日登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同59年6月21日に設定登録され,その後,平成17年9月21日に指定商品を第9類「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」及び第15類「オルガン、その他の楽器及びその部品,演奏補助品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は,別掲のとおり,大きく表した「R」の欧文字と,「R」の欧文字の半分程度の高さの「OGERS」の欧文字を結合し,「ROGERS」と横書きしてなり,2文字目以降の「OGERS」の下部には,「R」の欧文字の太さと同様に肉太に表したアンダーライン状の図形を配した構成からなるものである。

そして,本願商標の構成中「ROGERS」の欧文字部分は,語頭の文字を大きく表しているものの,それに続く文字の高さをすべてそろえて,空白を置かずに等間隔に文字が配列され,外観上まとまりよく一体的に表されており,該欧文字は,「ロジャース」又は「ロジャーズ」という外国人の姓を意味する語(ランダムハウス英和大辞典 小学館,広辞苑第七版 岩波書店)であるから,「ロジャース」又は「ロジャーズ」の称呼を生じ,外国人の姓の一つである「ロジャース」又は「ロジャーズ」の観念が生じるものである。

一方,本願商標の図形部分は,特定の意味合いを直ちに想起させない幾何図形と認められ,単に装飾的に配置されているとの印象を与えることから,これより特定の称呼及び観念は生じないというべきである。

そうすると,本願商標に接する需要者,取引者は,本願商標中に顕著に書された「ROGERS」の欧文字部分を出所識別標識としての機能を有する要部として認識するというのが相当であり,本願商標からは,「ロジャース」又は「ロジャーズ」の称呼及び外国人の姓の一つである「ロジャース」又は「ロジャーズ」との観念が生じるものと認められる。

(2)引用商標について

引用商標1は,「RODGERS」の欧文字を横書きしてなるところ,該欧文字は,「ロジャース」又は「ロジャーズ」という外国人の姓を意味する語(前掲書)であるから,「ロジャース」又は「ロジャーズ」の称呼を生じ,外国人の姓の一つである「ロジャース」又は「ロジャーズ」の観念が生じるものである。

引用商標2は,「ロジャース」の片仮名を横書きしてなるところ,該欧文字は,「ロジャース」という外国人の姓を意味する語(前掲書)であるから,「ロジャース」の称呼を生じ,外国人の姓の一つである「ロジャース」の観念が生じるものである。

(3)本願商標と引用商標との類否

ア 外観

本願商標は,上記(1)のとおりの構成からなるものであり,引用商標は,上記(2)のとおりの構成からなるところ,本願商標の要部である「ROGERS」の欧文字部分と引用商標1は,「R」「O」「G」「E」「R」「S」のつづりを同じくするものであり,異なるところは,中間に位置する「D」の文字の有無のみであることから,外観上,近似した印象を与えるものである。

また,本願商標と引用商標2は,構成文字及び構成態様が異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。

イ 称呼

本願商標と引用商標1は,「ロジャース」又は「ロジャーズ」の称呼を同一にするものである。

また,本願商標と引用商標2は,「ロジャース」の称呼を共通にするものである。

ウ 観念

本願商標と引用商標1は,外国人の姓の一つである「ロジャース」又は「ロジャーズ」の観念を同一にするものである。

また,本願商標と引用商標2は,外国人の姓の一つである「ロジャース」の観念を共通にするものである。

エ まとめ

したがって,本願商標の要部である欧文字部分と引用商標1とは,外観において近似した印象を与え,称呼及び観念を同一にするものであり,本願商標と引用商標2とは,外観において相違するとしても,外国人の姓の一つである「ロジャース」の称呼及び観念を共通にするものであるから,本願商標と引用商標の外観,称呼及び観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,これらを同一又は類似の商品に使用した場合,その商品の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきである。

(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否

本願商標の指定商品「ドラム,ドラム用皮,ドラム用スティック,ケトルドラム,トムトム,シンバル,楽器用スタンド」は,引用商標の指定商品中,第15類「オルガン、その他の楽器及びその部品」に含まれるものであるから,生産部門,販売部門,需要者の範囲等を共通にする同一又は類似の商品である。

(5)請求人の主張について

請求人は,本願商標は,「承知した」「了解」等の意味を有し,「ラジャー」の称呼として親しまれている「ROGER」の語尾に「S」を付加したものであり,「ラジャース」の自然称呼及び「承知した」「了解」等の観念が生ずる旨主張するが,本願商標の構成中の「ROGERS」の欧文字のつづりは,上記(1)のとおり,一般的な辞書に掲載されている成語であって,「ROGERS」の欧文字が「承知した」等の意味を有するものとして普通に使用されていると認めるに足りる証拠は見いだせないことから,成語である本願商標からは,「ロジャース」又は「ロジャーズ」の称呼及び外国人の姓の一つである「ロジャース」又は「ロジャーズ」の観念が生ずるものとみるのが自然である。

また,請求人は,取引の実情において,本願商標の指定商品は,主として「ドラム」(打楽器)に使用されており,引用商標は「オルガン」(打弦楽器)に使用されているものであるから,両者は,需要者を異にする旨主張する。

しかしながら,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的な実情を指すものではなく,指定商品全般についての一般的,恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ,請求人の主張に係る取引の実情について提出された資料(甲1,2)は,本願商標の使用態様が掲載されている請求人のホームページと引用商標権者の略歴が掲載されている第三者のホームページであって,引用商標の指定商品全般についての一般的,恒常的な実情とはいえないものであるし,請求人の主張するような個別の事情によって,その指定商品の範囲を限定的に解釈することはできない。

さらに,請求人は,アメリカ,台湾及びEUにおける商標の登録例を挙げて,実際に本願商標と引用商標に関し,出所の混同が生じていない旨主張する。

しかしながら,海外の商標登録例にしても,国内外の法制度や取引の実情の違いなどを鑑みて,それらが我が国の審査判断を拘束する合理的理由はなく,我が国における取引の実情や法制度にしたがって判断をすることに特段の不合理はない。

よって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。

(6)まとめ

以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であって,同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

よって,結論のとおり審決する。

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