Trademark Appeal Case
雷文位置商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−817(T2017−817/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「即席中華焼きそばのめん,中華焼きそばのめん,調理済の焼きそば,調理済の冷凍焼きそば,即席中華そばのめん,中華そばのめん,調理済の中華そば,調理済の冷凍中華そば」を指定商品として、平成27年4月1日に位置商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「商品の包装等においては、美観を発揮させるため又は需要者の注意をひく目的等で、出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字、図形及び色彩が使用されている実情がある。そして、本願商標を構成する図形については、『雷文(らいもん)』と呼ばれ、ラーメンのどんぶりの内側に装飾的に付されて使用されているところ、本願の指定商品を取り扱う業界においても、出願人以外の者が、商品の包装用容器(袋)に当該図形を配し、使用している実情が認められることからすれば、本願商標を、本願商標のとおりの位置に特定して本願の指定商品の包装用容器(袋)に使用しても、単に美観を発揮する等のために装飾、模様等が施された商品の包装の一形態を表示するにすぎないものと認められる。また、出願人は、本願商標について、使用により識別力を獲得したに至ったものである旨述べるが、提出された証拠方法によれば、本願商標に係る標章と同一視し得る図形が包装用容器(袋)に使用され、広告において、類似する図形が使用されていることも把握できるが、そのほとんど全てにおいて、『マルちゃん』の文字、別掲2のとおりの(あるいはこれと同様の)図柄、『TOYO SUISAN』の文字及び『TS』を図案化したと思われる図形が近接して使用されており、こうした使用の態様及び状況からは、本願商標部分のみが独立して識別力を有するに至っているということはできない。そうすると、出願人による本願商標を使用した商品の販売期間や販売実績、宣伝広告の状況を踏まえても、本願商標を、本願商標のとおりの位置に特定して本願の指定商品の包装用容器(袋)に使用しても、需要者は、いまだ何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているということはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標は、別掲1のとおり、「商標登録を受けようとする商標」の記載及びそれを特定する「商標の詳細な説明」の記載からなる位置商標であり、第30類「即席中華焼きそばのめん,中華焼きそばのめん,調理済の焼きそば,調理済の冷凍焼きそば,即席中華そばのめん,中華そばのめん,調理済の中華そば,調理済の冷凍中華そば」を指定商品とするものである。
ところで、本願商標を構成する図形は、商品の包装の正面視周縁部に赤色による方形の渦巻状の模様を連続させてやや横長の四角囲いのように表してなるものであるところ、当該図形は、その構成態様によれば、四角囲いのように表してなる雷文と看取、把握されるといえる。そして、雷文は、方形の渦巻状の模様が連続しているものであって、中国で古代から愛好され、土器、骨器、彩陶等に施されたものであり、我が国においても、古くから同様の用いられ方がされており、近年では、例えば、中華そばを食する際に用いるどんぶりの縁の模様などとして一般に広く用いられているほか、原審において示した別掲3のとおりの例及び別掲4に示す例のように、中華そばや中華焼きそばのめんの包装に付す模様などとしても一般に広く用いられているものである。
また、上記用例のうち、中華そばや中華焼きそばのめんの包装についての模様などとして雷文を付す場合には、その包装の一部に線状に表してなる雷文を配してなることがあるほか、その包装の正面の周縁部に四角囲いのように表してなる雷文を配してなることが少なからずあり、後者においては、その四角囲いのように表してなる雷文の内側に、その商品の出所を表す標章(商標)や、内容物を表す文字(「中華そば」や「焼そば」等)を配することが多く見受けられる。
さらに、本願商標を構成する図形は、上記のとおり、四角囲いのように表してなる雷文と看取、把握されるといえるところ、その形状や表し方の細部において、上記用例の中華そばや中華焼きそばのめんの包装に係る雷文と異なる点があるものの、それが、両者に共通する雷文との認識を超えるほどに強く印象付けられ、別異のものとして認識、記憶されるとはいい難い。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の包装に付す模様などとして一般に広く用いられている雷文の模様の一類型として認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。
イ 請求人は、本願商標について、請求人の商品の中で、特に代表的な商品であって、ロングセラー商品である「マルちゃん焼そば 3人前」の「1食タイプ」に使用され続けてきたものであり、当該「マルちゃん焼そば 3人前」についての長期間かつ大量の使用実績により、その使用に係る図形が広く認識されたこととの相乗効果で、同じ商品の1人前について使用されている、同じ図形からなる本願商標についても同様に広く認識され、高い識別力を獲得するに至っている旨主張し、その証拠方法として、甲第4号証ないし甲第46号証、甲第57号証及び甲第58号証を提出している。
そこで、請求人の提出に係る上記甲各号証について、以下検討する。
(ア)請求人の主張に係る「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品は、1975年(昭和50年)11月に発売され、それ以降継続して、全国において販売されており、発売時から2013年3月までの「ソース味」単品の累計出荷数は126億食以上、2012年12月ないし2013年11月の期間のチルド麺市場における売上金額が第1位のシェアを占めていることがうかがえる(甲4〜甲35、甲37〜甲46)。
しかしながら、上記商品は、その包装上に横長の四角囲いのように表してなる雷文の内側に、その商品の出所が請求人であることを表す標章(商標)や、内容物を表す文字(「焼そば」等)が配されており、それぞれの構成態様や配置を鑑みれば、当該雷文部分は、商品の包装に付す模様などとして一般に広く用いられている模様の一類型として認識されるにとどまるものであって、それ自体が独立して商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないとみるのが相当である。
さらに、上記商品のうち、その発売当初から2004年(平成16年)末頃まで販売されていた商品(甲5〜甲8、甲21、甲24、甲25)については、その包装の正面視左方に、赤色による方形の渦巻状の模様を連続させてなるもの、すなわち、赤色による雷文を横長の四角囲いのように表してなるものが見受けられ、また、2005年(平成17年)秋頃以降に販売されている商品(甲4、甲5、甲9〜甲20、甲26、甲32〜甲34、甲37、甲43〜甲46)については、その包装の正面視左方の赤色による雷文を横長の四角囲いのように表してなるものに加え、その包装の正面視右端周縁に赤色による雷文を縦線状に表してなるものが見受けられるが、商品の包装の正面視周縁部に、本願商標を構成する図形と同一視し得る図形、すなわち、赤色による雷文をやや横長の四角囲いのように表してなるものは見いだせない。
してみれば、上記「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品についての使用実績をもって、本願商標が、取引者、需要者の間で、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されるに至っているとは認められない。
(イ)請求人は、「マルちゃん焼そば 3人前」の「1食タイプ」とされる商品について、2001年に販売が開始され、現在まで継続して販売されている商品であり、今日での出荷売上金額は2億5,000万円を超えている旨主張する(甲12〜甲20、甲57、甲58)。
そこで、請求人の主張に係る甲各号証をみるに、甲第58号証には、「マルちゃん焼そば 1人前」、「1食焼そば」及び「1食焼そば 太麺」と称する各商品についての2014年3月ないし2015年2月及び2015年3月ないし2016年2月における出荷数量及び出荷売上金額並びに2015年3月ないし2016年2月における当該各商品出荷売上金額の合計が2億5,500万円に及ぶ旨の記載があるところ、その記載内容に近接する時期のパンフレット(甲18〜甲20)によれば、当該各商品のうち、「マルちゃん焼そば 1人前」と称する商品(実質的に同種商品といえる、甲第18号証及び甲第19号証における「1食焼そば(ソース付)」と称する商品を含む。)については、例えば、「チルド麺の中で日本一の売上を誇る『マルちゃん焼そば3人前』の使いやすい1食タイプです。」(甲18、甲19)や「マルちゃん焼そば3人前を1食食べきりタイプにしました。」(甲20)のように、上記「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品との関連性がある商品である旨の説明がある一方、「1食焼そば」及び「1食焼そば 太麺」と称する各商品については、そのような説明はない。
また、上記「マルちゃん焼そば 1人前」(及び「1食焼そば(ソース付)」)と称する商品は、「2008/秋・冬 マルちゃん 生めん・チルド商品のご案内」を表題とするパンフレット(甲12)以後、少なくとも2016年春夏時の同様のパンフレット(甲20)までの間の各年のものにおいて、同様の説明や商品の画像の掲載等がされている一方、「1食焼そば」と称する商品及び「1食焼そば 太麺」と称する商品は、いずれも2014年春夏時ないし2016年春夏時の同様のパンフレット(甲18〜甲20)においてのみ、その商品の説明や画像の掲載等がされている。
そして、上記「マルちゃん焼そば 1人前」(及び「1食焼そば(ソース付)」)と称する商品には、その商品の包装の正面視周縁部に赤色による雷文をやや横長の四角囲いのように表してなるものが見受けられる点において、本願商標を構成する図形と同一視し得るものであるとはいえるものの、上記「1食焼そば」と称する商品には、その商品の包装の正面視周縁部に赤色による雷文をやや縦長の四角囲いのように表してなるものが見受けられる点において、本願商標を構成する図形とは相違するものであり、また、上記「1食焼そば 太麺」と称する商品には、その商品の包装の正面視周縁部に赤色による雷文をやや縦長の四角囲いのように表してなるものの右縦部の一部に、「太麺」の文字を白抜きで表してなる赤色の縦長長方形を斜めに重ねてなるものが見受けられる点において、本願商標を構成する図形とは相違するものである。その上、いずれの商品についても、その四角囲いのように表してなる雷文の内側に、その商品の出所が請求人であることを表す標章(商標)や、内容物を表す文字(「焼そば」等)が配されていることからすれば、上記「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品における場合と同様に、当該雷文部分は、商品の包装に付す模様などとして一般に広く用いられている模様の一類型として認識されるにとどまるものであって、それ自体が独立して商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されることはないというべきものである。
なお、請求人が提出した「2001年秋冬 マルちゃん 生めん・チルド製品のご案内」を表題とするパンフレット(甲57)には、「1食焼そば」と称する商品について、「昔も今も変わらぬおいしさ。」の説明や商品の画像が掲載されているものの、その内容において、「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品との関連性をうかがわせる記載はないし、上述のとおり、その関連性がある旨の説明がされた「マルちゃん焼そば 1人前」(及び「1食焼そば(ソース付)」)と称する商品は、2008年秋冬時の同様のパンフレット(甲12)以降において、その掲載等が認められることからすれば、「マルちゃん焼そば 3人前」の「1食タイプ」とされる商品が2001年に販売開始されたとする請求人の主張は、にわかに認め難い。
してみれば、上記「マルちゃん焼そば 1人前」(及び「1食焼そば(ソース付)」)、「1食焼そば」及び「1食焼そば 太麺」と称する各商品についての使用実績をもって、本願商標が、取引者、需要者の間で、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されるに至っているとは認められない。
ウ 請求人は、本願商標を構成する図形について、本来、請求人独自の図形であり、かつ、請求人が業界で最初に使用を始めたものであり、さらに、同様の図形が既に商標登録を認められている(商標登録第4906023号(甲2)及び同第4059499号(甲3))ことからすれば、本願商標は、本願の指定商品の分野では、その長期間かつ大量の使用実績により、他社製品とは一線を画する独自の周知著名性を獲得し、独自の高い識別力を発揮しているものである旨主張する。
しかしながら、本願商標を構成する図形は、上記アにおいて述べたとおり、その構成態様によれば、四角囲いのように表してなる雷文と看取、把握されるといえるものであり、また、雷文は、伝統的な模様の一つであって、本願の指定商品を取り扱う業界においても、例えば、中華そばや中華焼きそばのめんの包装に付す模様などとして一般に広く用いられているものである。
さらに、請求人が長期間かつ大量の使用実績と主張する点については、上記イにおいて述べたとおり、その主張に係る「マルちゃん焼そば 3人前」と称する商品やその「1食タイプ」とされる商品等についての使用実績をもって、本願商標が、取引者、需要者の間で、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されるに至っているとは認められない。
加えて、請求人が所有する商標登録第4906023号及び同第4059499号に係る各登録商標は、いずれも文字と図形との結合からなる標章であって、前者は、赤色による雷文を横長の四角囲いのように表してなるものの内側に、その商品の出所が請求人であることを表す標章(商標)や、その指定商品との関係で内容物を表したと看取、把握される文字(「焼そば」、「3人前(ソース付)」等)等が配され、かつ、その右方に赤色による雷文を縦線状に表してなるものを間隙をもって配してなるものであり、後者は、黒色による雷文を横長の四角囲いのように表してなるものの内側に、その商品の出所が請求人であることを表す標章(商標)や、その指定商品との関係で内容物を表したと看取、把握される文字(「焼そば」、「3人前(ソース付)」等)等が配されているものであるところ、これらの登録商標と本願商標とは、四角囲いのように表してなる雷文という共通点はあるものの、雷文自体は、上述のとおり、中華そばや中華焼きそばのめんの包装に付す模様などとして一般に広く用いられているものであるし、他の文字や図形の有無という顕著な差異がある上、本願商標が位置商標として登録出願されたものであることをも併せ考慮すれば、当該登録商標が存することをもって、本願商標が商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識され得るなどということはできない。
エ 請求人は、1979年から今日に至るまでの間、76件もの他社に対し、本願商標を構成する図形と同一又は類似の標章の使用をやめるよう警告を繰り返してきており、その警告を受けた他社は、混同回避のために、その警告に係る包装袋の使用中止や、当該包装袋上の本願商標を構成する図形と同一又は類似の表示を変更する旨の回答をし、変更措置を採るなどしている(甲47〜甲55)ことからすれば、本願商標は、本願の指定商品を取り扱う業界において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、他社からも理解、認識され、受け入れられてきた事実がある旨主張する。
しかしながら、請求人がした警告に対し、その警告を受けた他社が何らかの対応をしたとしても、それは、飽くまでその警告に係る請求人と他社との間における認識などに基づく事象にすぎず、そのような事象をもって、本願商標をその指定商品に使用した場合における取引者、需要者の通常の認識を推し量ることはできないとみるのが相当である。
オ 上記アないしエによれば、本願商標は、請求人が主張する使用実績等を考慮してもなお、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。
(2)まとめ
以上によれば、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。