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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−6078(T2017−6078/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、青色(マンセル値:5PB 4.5/10)のみからなるものであり、第9類及び第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、平成27年4月1日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同28年6月28日付け及び当審における同29年6月26日付け手続補正書により、第9類「乗物又はエンジンの計測・分析装置」及び第10類「血球計数装置」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品に使用される色彩は、多くの場合、商品の魅力向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別するための標識として認識し得ないものである。そして、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標の青色が、使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないから本願商標は商標法第3条第1項第3条に該当する。また、出願人は、1986年から30年ほど、本願商標の色彩と同一視し得る色彩をその指定商品に使用しており、出願人の総合カタログ、看板、テレビCM等において宣伝広告を行っていることが認められるが、本願商標の色彩と同一視し得る色彩は、いずれも「HORIBA」の文字と共に用いられており、本願商標の色彩のみが独立して自他商品識別標識として機能しているとは判断し難い、また、本願商標の色彩についての需要者の認識を客観的に把握することができないことから、出願人が提出した証拠を全体的に考察し、出願人の広告宣伝の様子を踏まえてもなお、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないから、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し(平成30年8月1日付け証拠調べ通知書)、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の回答

請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、所定の期間内に何ら応答するところがない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、上記1のとおり、色彩のみからなる商標であって、「青色(マンセル値:5PB 4.5/10)」のみからなるものである。

ところで、色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の美観や魅力の向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、ロゴ等の文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品である「乗物又はエンジンの計測・分析装置」、「血球計数装置」及びそれに類する商品を取り扱う業界においても、当審における証拠調べ通知において示した例(別掲2)のように、商品の美観や魅力の向上等に資する装飾等として、青色ないし本願商標の色彩に近似する色彩が使用されている実情がある。

そうすると、青色(マンセル値:5PB 4.5/10)の色彩のみからなる本願商標を、その指定商品について使用しても、これに接する需要者は、商品の美観や魅力の向上等に資する装飾等として、通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

してみれば、本願商標は、商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかについて

請求人は、「本願商標は、請求人が、コーポレートカラーとして、長年様々な態様で継続的かつ大々的に使用してきた結果、需要者が何人かの業務にかかる商品であることを認識することができるに至ったものであるから、商標法第3条第2項の適用によって登録されるべきである。」旨を主張し、証拠として平成29年6月26日付けで甲第1号証ないし甲第19号証を提出している(なお、請求人は、上記本件審判において提出した証拠とほぼ重複する証拠を、原審においても平成28年11月24日付で、甲第1号証ないし甲第20号証として提出しているが、本審決における各甲号証の号証番号は、当審において提出された証拠の番号とする。)。

そこで、請求人の主張及び同人が提出した証拠の内容に照らし、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて、以下検討する。

ア 請求人について

請求人は、1945年(昭和20年)に創業した堀場無線研究所を前身とし、1953年(昭和28年)に設立された分析機器及び計測機器の総合メーカーである。主に、自動車や環境、半導体産業、医療診断など幅広い分野で用いられる分析・計測機器・システムを提供しており(甲1)、自動車計測機器の分野で、エンジン排ガス測定装置が世界市場で80%であり(甲2、甲3)、医療診断分野で、自動血球計数CRP測定装置が日本国内シェア100%のほかにも、各分野において国内・世界市場ともに高シェアである(甲2)。

請求人は、京都に本社・工場を構えるほか、東京支店、滋賀県のびわこ工場、及び北海道から九州まで14ヶ所に販売拠点を有しており、その営業範囲は日本全国に及ぶ(甲4)。

イ 本願商標の使用開始時期及び使用態様について

請求人は、遅くとも1986年(昭和61年)には、本願商標を構成する青色と同じ色彩と認識され得る青色(以下「本願青色」という。)を「堀場ブルー」と称し、コーポレートカラーとして、自社製品における社名表示のベース色や商品の操作パネル面に使用しており、以来30年以上に亘り継続的に本願青色を使用している(甲5の1)。

そして、請求人は、請求人のロゴの色彩として、本願青色を会社案内(甲1)、年次報告書(甲2)、ウェブサイト(甲6)、看板等(甲7)、テレビコマーシャル(甲8、甲9)、製品カタログ(甲10〜甲12)に表示している。

さらに、請求人は、本願青色を会社案内(甲1)及び年次報告書(甲2)において、自社の業績グラフや社史を示す年表などに、また請求人のウェブサイト(甲6)の基調色や社旗やエレベーターホールなどの地色に使用している(甲7の3)。

加えて、請求人は、単独又はグループ企業と合同で、日本全国の各種展示会への出展や、学術集会・講演会等への参加を行っており(甲13)、その展示ブースにも、本願青色を使用している(甲15)。

ウ 本願商標の指定商品に係る使用について

本願商標の指定商品である「乗物又はエンジンの計測・分析装置」に含まれる「エンジン排ガス測定装置」及び「ブレーキテストシステム」等の商品並びに「血球計数装置」(以下、これらをまとめて「使用商品」という。)には、製品の一部に本願青色が付され、その青色を地色として白抜きの「HORIBA」の文字が表示されているか、あるいは、製品に本願青色による「HORIBA」の文字が表示されている。

そして、使用商品が掲載されたカタログにも本願青色の「HORIBA」の文字及び同色の地に白抜きの「HORIBA」の文字が掲載されている(甲10〜甲12、甲14)。

エ 使用商品における使用開始時期について

請求人は、昭和60年10月より、「エンジン排ガス測定装置」の広告を雑誌において行っているところ(甲18)、表示されているそれらの商品には、その一部に青色を付し、白抜きの「HORIBA」の文字が表示されている。

また、2013年(平成25年)以降の雑誌広告における「エンジン排ガス測定装置」及び「ブレーキダイナモメータ」並びに「エンジン試験ツール」のそれぞれに係る請求人の広告においては、それぞれの当該機器の一部に本願青色が使用され、白抜きで「HORIBA」の文字が表示されている、又は本願青色で「HORIBA」の文字が表示されている(甲19)。

オ 使用商品に係る売上高及びマーケットシェアについて

(ア)請求人の製造に係る「エンジン排ガス測定装置、個体粒子測定装置等」の売上高及びマーケットシェア

使用商品のうち「MEXA(エンジン排ガス測定装置、個体粒子測定装置等、甲10、甲11の1〜21)」及び「GIANT(ブレーキテストシステム、甲10、甲11の1)」の名称で販売されている製品の日本国内における売上高は、2010年(平成22年)から2012年(平成24年)は、年に100億円前後、2013年(平成25年)から2015年(平成27年)は年に60億円程度である(甲16)。

また、請求人の製造に係る「エンジン排ガス測定装置」は、2014年(平成26年)6月末時点で日本国内における排ガス分析機の94%のシェアである(甲17の2)。

(イ)請求人の製造に係る「血球計測装置」の売上高及びマーケットシェア 請求人の製造に係る「血球計測装置」のうち「Microsemi(自動血球計数装置、甲12の1、2)」の名称で販売されている製品の日本国内における売上高は、2010年(平成22年)から2015年(平成27年)にかけては、年に14億円から22億円である(甲16)。

また、請求人の製造に係る「血球計数装置」の2011年(平成23年)より2013年(平成25年)の販売台数は年に2000台程度であり、シェアは44%前後である(甲17の3)。

カ 請求人の広告について

請求人は、請求人に係るテレビコマーシャルにおいて、「HORIBA」の文字に本願青色を使用しており(甲8)、そのコマーシャルは、2015年(平成27年)の1年間だけで計1,900回以上放送された(甲9)。

また、請求人は、上記エのとおり、使用商品に係る広告を雑誌において行っている(甲18、甲19)。

キ 判断

上記アないしカを総合勘案すれば、請求人は、遅くとも1986年以降、継続して、本願青色をコーポレートカラーとして使用し、社名ロゴや製品の色彩の一部又はパンフレットやウェブサイトの装飾として使用していることが認められる。

また、請求人のテレビコマーシャルにおいても、社名ロゴに本願青色を使用し、相当数、放送されていることが認められる。

さらに、使用商品における、本願青色の使用開始時期は不明であるが、昭和60年には本願青色と近似する色彩を、商品の一部に使用していることが認められる。

そして、使用商品のうち、排ガス分析計の日本国内におけるシェア及び売上高は、2014年には、94%及び年に60億円程度と相当高いものであり、同様に血球計測装置の日本国内におけるシェア及び売上高も2011年から2013年には44%及び年に2000台とある程度の高さはうかがえる。

しかしながら、本願青色の使用形態は、商品の一部に装飾として施されている例が多少あるものの、殆どが商品及びカタログ等における「HORIBA」の文字の色彩や、本願青色を地色として、白抜きの「HORIBA」の文字と共に使用されているものであるから、本願商標に接する需要者をして、常に「HORIBA」の文字と一体のものと認識されるとみるのが相当であり、その使用に係る本願青色の色彩のみが分離して観察され、これが商品の出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるとはいい難い。

してみれば、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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