結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2017−300322(T2017−300322/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5093855号商標(以下「本件商標」という。)は、「フェアキャスト」の片仮名と「FairCast」の欧文字を二段に書してなり、平成18年1月25日に登録出願、第42類「インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段を利用して緊急時の連絡・通報その他の連絡・通報を行う電子計算機用プログラムの提供又はこれに関する情報の提供」を含む、第9類、第38類、第42類及び第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同19年11月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年5月29日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成26年5月29日ないし同29年5月28日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第42類「インターネット又は移動体電話による通信若しくはその他の通信手段を利用して緊急時の連絡・通報その他の連絡・通報を行う電子計算機用プログラムの提供又はこれに関する情報の提供」(以下「本件請求役務」という。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件請求役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
(1)被請求人は、本件商標を本件請求役務に使用する例として乙第1号証ないし乙第19号証を提出しているが、これらの証拠及び答弁の内容から被請求人が真に本件商標を本件請求役務に使用していることは証明されていない。
ア 乙第1号証について
乙第1号証添付のホームページは被請求人のグループ会社を紹介する記事で、本件商標の使用とは関連性がない。
イ 乙第2号証について
本号証ではウェブページが添付されており、そこには「FairCast」「フェアキャスト」の文字が表示されていることはうかがえる。しかし、被請求人が下線を付しているように、これは「学校連絡網サービス」に関する紹介ページであり、このサイトからでは本件請求役務との関連性を認識することができない。
この点、被請求人は答弁書内で「学校連絡網システムの名称」と述べ「本システム」と略して用いているが、乙第2号証及びその他の証拠方法から被請求人のいう「システム」というのはコンピュータハードウェア設備ではなく、「サービス」「仕組み」の意味であると理解する。
上記に加えて、要証期間にインターネット上に当該ページが存在していたか不明である。
ウ 乙第3号証について
本号証添付の資料から2006年7月19日にニュースリリースが行われたことが推認できる。ここには「子どもを守る情報共有の新しい仕組み」として本件商標が紹介されているが、10年以上も前のニュースであり、要証期間の本件商標の使用を証明あるいは推認できるものではない。
エ 乙第4号証ないし乙第8号証について
これらに添付の記事は10年も前の新聞雑誌記事であり、IT分野の急速な発展と変化が起きる実情に鑑みれば、これらの記事に紹介されていることが現在も行われているか不明である。よって、乙第4号証ないし乙第8号証は本件審理の証拠としては考慮されない。
オ 乙第9号証について
本号証の資料は被請求人が2017年5月15日に行ったニュースリリースであるとみられるところ、答弁書記載のことは記述があるが、このページでは「FairCast学校連絡網」と紹介し、「複数メディアを活用した一斉連絡サービス」「学校と保護者をつなぐ一斉連絡網サービス」と紹介されている。「緊急時の連絡・通報の代行」は第45類に属する役務(類似群42T01)で本件請求役務とは異なる。
カ 乙第10号証の1ないし5について
乙第10号証の1ないし4の新聞雑誌記事及びニュースリリースは要証期間外に発行されたものであり、本件商標の使用の立証に資するものではない。乙第10号証の5は、要証期間の新聞記事ではあるが、読むに「緊急時の連絡・通報の代行」についてコンピュータを介して行うことを紹介しているものであり、かつ、導入予定を記述しているだけで実際の運用は明らかではない。
キ 乙第11号証及び乙第12号証について
これらに添付の記事は要証期間から離れた時期の新聞雑誌記事であり、IT分野の急速な発展と変化が起きる実情に鑑みれば、これらの記事に紹介されていることが現在も行われているか不明である。よって、本件審理の証拠としては考慮されない。
ク 乙第13号証について
本号証添付の資料はサービスログイン画面のようである。しかし、ログインの目的、ログイン後どのような行為ができるのか不明である。
被請求人はASPサービスの一種と説明しているが、どのようにこのASPサービスをログイン後に使用するのか不明であり、「ASPサービス」であることは看取できない。
ケ 乙第14号証について
本号証は「本システムの稼働状況」を示す旨説明されているが、システム稼働状況の表示自体とは見られない。ウェブサイトや配信が「正常に稼働しています。」というのは理解できるが、コンピュータシステムの稼働は読み取れない。
コ 乙第15号証について
本号証に添付の資料は乙第9号証と関連するところ、上記オで述べたとおり、本件請求役務の使用を看取することはできない。
サ 乙第16号証及び乙第19号証について
これらは、被請求人の展示会での広告物展示資料であると主張されているところ、連絡代行サービスの紹介にすぎない。また、資料は被請求人作成のもので、客観的に事実が証明されていない。
提出証拠を総合すると、本件商標は、学校が連絡を行うところを被請求人が代行して連絡しているにすぎず、ASPサービスとして認識できる資料は何ら見当たらない。
(2)以上述べたとおり、被請求人が使用証拠として提出した資料は、いずれも本件商標の使用を裏付けるものではない。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
被請求人は、日本最大のシステムインテグレーターであり、特に、官公庁や教育等の公共分野、金融向けのシステム開発を大々的に行ってきている企業である(乙1)。そして、本件商標は、被請求人が提供する学校連絡網システムの名称として、使用しているものである(乙2)。
(1)本件商標を使用する役務について
本件商標を使用する学校連絡網システム(以下「本システム」という。)は、2006年7月にサービスを開始した(乙3)。本システムは、従来の電話連絡網に代わり、電子メールのみならず、固定/携帯電話(音声)やFAX等、複数の手段、メディアによって、昨今、社会問題化している子供の安全の確保について、関係者が共有すべき緊急情報や連絡情報などを、正確かつ迅速、公平に一斉に連絡する画期的なシステムであったことから、サービス提供開始と同時に、静岡県三島市、袋井市、岐阜県大垣市、東京都豊島区、大阪府吹田市、福岡県福岡市など、全国12の地区町村の学校等、50を超える施設や団体、1万5千世帯に導入され、このことは、新聞等において大々的に報道された(乙4〜乙7)。
以降、子供が巻き込まれる事件や、東日本大震災や台風等の自然災害、インフルエンザ等の疾病の流行など、子供の安全が危惧される事案が増えている中で、被請求人は、本システムを積極的に展開してきた。その結果、本システムは、2009年9月には全国400校、約20万世帯で、2017年4月には全国約1,000校で利用されるに至っている(乙8、乙9)。そして、子供の安全の確保は、今や国民的な関心事となっていることから、各自治体や学校が本システムを導入した際には、新聞等において幾度となく報道がされてきた(乙10)。
また、本システムは、その安全性、信頼性の高さから、様々な分野において賞を受賞してきた。その一例として、2008年度には、「ソリューションビジネス・サービスシステム部門」で初のグッドデザイン賞を受賞(乙11)、2009年度には、経済産業省、内閣府、総務省、財務省、文部科学省、国土交通省が定める情報化月間の取り組みにおいて、「情報化月間推進会議議長表彰」を受賞した(乙8)。
このように、被請求人が、本件商標を使用している本システムは、学校一斉連絡網システムの代表的なシステムとして知られているものである。
(2)本件商標の要証期間における使用について
被請求人は、本件商標について、上述したように、2006年より使用しているところ、要証期間においては、以下のとおり、本件商標の使用をしている。
ア 被請求人による本件商標の使用1
被請求人は、本システムを提供するにつき、ウェブサイトを設置し、該ウェブサイトの最上段の目立つ部分に、「FairCast」と「フェアキャスト」の文字を上下二段に表示している(乙2)。また、「フェアキャスト」のみ、「FairCast」のみを表示してなるものも存在する。
本システムは、ASPサービスの一種であって(乙12)、保護者、学校等の管理者等の本システムの利用者が、該ウェブサイトにログインすることで、通信ネットワークを通じて、被請求人が提供する電子計算機用プログラムを含むシステムを利用できるものである。そして、乙第13号証は、本システムのログイン画面の写しであり、該画面の右上には、目立つように、「FairCast」と「フェアキャスト」の文字が上下二段に表示されている。
さらに、本システムの稼働状況は、乙第14号証のウェブサイトで確認することができる。該ウェブサイトの右上にも、大きく目立つように、「FairCast」と「フェアキャスト」の文字が上下二段に表示されている。また、「FairCast」のみを表示してなるものも存在する。
このように、被請求人が、本件商標を要証期間に使用していることは明らかである。そして、本件商標を使用している役務は、本件請求役務の範ちゅうに属するものである。
イ 被請求人による本件商標の使用2
被請求人は、本件商標を付した広告物を提供することにより、本件商標を本件請求役務に使用している(乙15)。乙第15号証の広告物は、上記の乙第2号証であるウェブサイトにおいて、提供されているものであり、2017年2月28日以降、現在も継続して提供している。そして、乙第15号証の上部において、上段に「フェアキャスト」、下段に「FairCast」を配して表示している。さらに、その下方には、「FairCast」と「フェアキャスト」を上下二段に表示している。
乙第15号証における本件商標の使用は、被請求人が提供する本件システムの広告物に該当するものである。すなわち、本件請求役務の範ちゅうに属するものである。
ウ 被請求人による本件商標の使用3
被請求人は、展示会において、本件商標を付した広告物を展示することで、本件商標を本件請求役務に使用している(乙16〜乙19)。
乙第16号証は、2016年5月18日ないし20日に開催された、第7回教育ITソリューションEXPOで展示した展示パネルの初校の写しであり、乙第17号証は、当該博覧会の実施報告書である。乙第17号証の報告書4頁、6頁、15頁に、本システムの展示物が実際に展示されたことが報告されている。
また、乙第18号証は、2017年5月17日ないし19日に開催された、第8回教育ITソリューションEXPOで展示した展示パネルの最終稿の写しであり、乙第19号証は、当該博覧会の実施報告書である。乙第19号証の報告書13頁、16頁、17頁、73頁に、本システムの展示物が実際に展示されたことが報告されている。
そして、乙第16号証、乙第18号証において、そのパネルの中央に、「FairCast」と「フェアキャスト」の文字が上下二段に表示されている。また、乙第16号証、乙第18号証の上方に、「フェアキャスト」の文字が表示されている。
乙第16号証及び乙第18号証における本件商標の使用は、本システムの広告物に該当するものである。すなわち、本件請求役務の範ちゅうに属するものである。
以上より、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者である被請求人によって、本件請求役務について使用していたものとはいえないとする請求人の主張は誤りである。
(1)被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば次のとおりである。
ア 乙第3号証は、2006年(平成18年)7月19日付けの本件商標権者(被請求人)のニュースリリースであり、そこには「(株)NTTデータ(・・・)は、・・・子どもを守る情報共有の新しい仕組み『FairCast TM−子ども安全連絡網』について、全国一斉にサービスを開始します。」「『FairCast(フェアキャスト)』は、従来の電話連絡網に代わり、電子メールのみならず、固定/携帯電話(音声)やFAXにより、すべての保護者・教職員・自治会等の方々に対して、正確・迅速・公平に一斉連絡する仕組みです。」の記載があり、「サービスの流れ」の図には、配信者がパソコンで送信先を選択しメッセージを入力し一斉配信ボタンを押下すると、当該メッセージが「子ども安全連絡網連絡センタ」を介し、メール、電話などで保護者に配信され、配信者は送達確認ができる旨が記載されている。
イ 乙第8号証は、2009年(平成21年)10月2日付けの本件商標権者のニュースリリースであり、「『FairCast[R]−子ども安全連絡網』が・・・『情報化月間推進会議議長表彰』を受賞」(審決注:「[R]」は「○」の中に「R」の記号である。以下同じ。)のタイトルのもと、「株式会社NTTデータが2006年7月から提供している『FairCast[R]−子ども安全連絡網』が、平成21年度・・・『情報化月間推進会議議長表彰』を受賞しました。」の記載があり、「サービス誕生の背景」の項には「『FairCast』は、・・・母親社員のPTA役員経験から生まれました。」「・・・2009年9月末現在、導入された学校数で400校、家庭数では約20万の家庭で使われるサービスにまで成長しています。」の記載がある。
ウ 乙第9号証は、2017年(平成29年)7月4日にプリントアウトしたと認められる書面であり、そこには「『FairCast[R]学校連絡網』 LINEへの配信サービス提供について」のタイトルのもと、「2017年5月15日」「株式会社NTTデータ」の記載があり、「背景」の項に「NTTデータが学校向けの連絡網サービス『FairCast学校連絡網』の提供を始めてから10年を迎えました。」の記載があり、「FairCastのサービス概要(特長)」の項に「『FairCast学校連絡網』は、全国1,000校(2017年4月現在)が利用している、学校と保護者をつなぐ一斉連絡網サービスです。」「・・・学校から保護者へ一斉送信する際、配信先として事前に受信者(保護者)が登録をしたメール、電話(音声)・FAXの3つの通信手段での配信が可能です。」の記載がある。また、「図1:一斉配信イメージ」には、配信者がパソコンで送信先を選択しメッセージを入力し配信ボタンを押下すると、当該メッセージが「フェアキャスト連絡センター」を介し、メール、LINE、電話などで一斉配信され、配信者は送達確認ができる旨の記載がある。
エ 乙第13号証は、2017年(平成29年)7月14日にプリントアウトしたと認められる、「FairCast−ログイン」画面(写し)であり、そこには、「NTTDaTa 学校連絡網サービス」「FairCast[R]」「フェアキャスト」の記載があり、下部には学校番号、利用者番号、パスワードを入力するボックス(入力欄)及び「ログイン」ボタンがある。
オ 乙第17号証は、(株)NTTアドが2016年(平成28年)6月15日に作成したと認められる「第7回 教育ITソリューションEXPO 2016/NTTグループブース/実施報告書」であり、「開催概要_1」には「会期:2016年5月18日(水)〜5月20日(金)」「会場:東京ビッグサイト 東1・2ホール」の記載、「出展社/プロダクト一覧」には「通番17」に「出展商品名(パネル名称)」として「フェアキャスト学校連絡網サービス」、「会社名」として「NTTデータ」の記載がある。さらに、「展示パネル/初中等向けソリューション」には「No02:NTTデータ」として「フェアキャスト学校連絡網サービス」のタイトルのもと、「NTTDaTa 学校連絡網サービス」「FairCast[R]」「フェアキャスト」の記載がある。
カ 乙第19号証は、2017年(平成29年)6月19日付けの「教育ITソリューションEXPO 2017/NTTグループブース/実施報告書」であり、「実施概要」には「開催日時:2017年5月17日(水)〜5月19日(金) 3日間」「開催場所:東京ビッグサイト 西展示棟」の記載があり、「ブースレイアウト/ソリューションMAP」には「NTTデータ」のブースが示されている。さらに、「初中等向けソリューションコーナー」には「フェアキャスト学校連絡網サービス」のタイトルのもと、「NTTDaTa フェアキャスト学校連絡網サービス」「FairCast[R]」「フェアキャスト」「NTTDaTa」と表示されたパネルの写真が掲載されている。
(2)上記(1)からすれば、次の事実を認めることができる。
ア 本件商標権者は、「FairCast(フェアキャスト)学校連絡網サービス」(以下「使用役務」という。)の提供を平成18年(2006年)7月から開始(当初は「FairCast−子ども安全連絡網」と称していた。)し(乙3,乙8)、少なくとも平成29年(2017年)7月までその提供を継続していた(乙13)。
イ 使用役務は、従来のいわゆる電話連絡網に代わり、配信者がパソコンで送信先を選択しメッセージを入力し配信ボタンを押下すると、当該メッセージが本件商標権者の運営する「連絡センター(サーバー)」を介し、メール、電話などで事前に登録された保護者に通報され、配信者は送達確認ができるというサービスである(乙3,乙9)。
ウ 本件商標権者は、平成28年(2016年)5月18日ないし20日に東京ビッグサイトで開催された「教育ITソリューションEXPO 2016」において使用役務を紹介し、その際「FairCast[R]」及び「フェアキャスト」の文字が二段に表示(以下「使用商標」という。)された展示パネルを使用していた(乙17)。
また、本件商標権者は、平成29年(2017年)5月17日ないし19日に東京ビッグサイトで開催された「教育ITソリューションEXPO 2017」において使用役務を紹介し、その際使用商標が表示された展示パネルを使用していた(乙19)。
そうすると、本件商標権者は、平成28年(2016年)5月18日ないし20日及び同29年(2017年)5月17日ないし19日に使用役務に関する広告に使用商標を付して、それぞれ展示したということができる。
エ 平成29年(2017年)7月における、使用役務でメッセージを配信する際のパソコンのログイン画面には、使用商標が表示されていることが認められる(乙13)。
そして、かかるログイン画面に表示された商標の構成、態様は、平成28年(2016年)5月18日ないし20日に東京ビッグサイトで開催された「教育ITソリューションEXPO 2016」の展示パネルに表示された使用商標の構成、態様と同一であることから、同ログイン画面は、遅くとも使用商標が広告に付された同年5月頃から継続して用いられているものと推認できる。
そうすると、本件商標権者は、平成28年(2016年)5月頃から同29年(2017年)7月までの間、使用役務に関する広告を内容とする情報に使用商標を付して電磁的方法により提供したということができる。
(1)使用商標について
上記1(2)ウ及びエのとおり、使用商標は「FairCast[R]」と「フェアキャスト」の文字からなるものであり、上記第1のとおり、本件商標は「フェアキャスト」と「FairCast」の文字からなるものである。
そうすると、両商標は片仮名と欧文字の上下、及び「[R]」の有無の差異を有するものの、「[R]」は登録商標であることを表示するにすぎないものであり、いずれも「FairCast」と「フェアキャスト」の文字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(2)使用役務について
上記1(2)イのとおり、使用役務は、配信者がパソコンに一定の操作を行うことにより、メッセージを事前に登録された宛先に一斉に送付し、配信者は送達確認ができるというものであり、利用者(配信者)は、メッセージの作成、送付及び送達の確認までのコンピュータプログラムを利用しているものといえる。
そうすると、使用役務は、「インターネットを利用して連絡・通報を行う電子計算機用プログラムの提供」に該当するものということができる。
そして、かかる「インターネットを利用して連絡・通報を行う電子計算機用プログラムの提供」は、本件請求役務の範ちゅうに属する役務であること明らかである。
(3)使用時期及び使用行為について
ア 上記1(2)ウのとおり、本件商標権者は、要証期間の平成28年5月18日ないし20日、及び同29年5月17日ないし19日に使用役務に関する広告に使用商標を付して展示した(商標法第2条第3項第8号)。
イ 上記1(2)エのとおり、本件商標権者は、要証期間の平成28年5月頃から同29年7月までの間、使用役務に関する広告を内容とする情報に
使用商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)。
(4)使用者について
上記1(2)ウ及びエのとおり、使用商標を使用した者は本件商標権者である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば、本件商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において本件請求役務の範ちゅうに属する役務について使用商標を使用したと認められる。
(6)請求人の主張について
請求人は、乙号証が10年以上も前のものであり要証期間における使用の証明でない、使用役務は「緊急時の連絡・通報の代行」に係るものであるなどとして、乙号証は本件商標の使用を裏付けるものではない旨主張している。
確かに、乙号証中には10年以上前のもの、要証期間前及び要証期間後のものが含まれているが、本件商標権者が10年以上前から継続して使用役務を提供していると判断することの証拠として、それらを採用することは何らの支障はないし、また、使用役務が「インターネットを利用して連絡・通報を行う電子計算機用プログラムの提供」に該当するものであること上記のとおりであるから、上記判断を否定することはできない。
したがって、請求人のかかる主張によっては上記判断を覆し得ない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において本件商標権者が本件審判の請求に係る指定役務について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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