Trademark Appeal Case
地名と普通名称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−2333(T2018−2333/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「Portland Wool」の欧文字と「ポートランドウール」の片仮名を二段に横書きしてなり,第18類及び第23類ないし第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし,平成27年10月8日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同28年4月11日付けの手続補正書をもって,第18類「かばん類,袋物」,第23類「糸」,第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,ビリヤードクロス」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『Portland Wool』の欧文字と『ポートランドウール』の片仮名とを二段に書してなるところ,その指定商品の関係において,『オーストラリア国ビクトリア州ポートランド産の羊毛を使用した商品』程度の意味合いを容易に理解,認識させるものである。そうすると,本願商標は,これをその指定商品中『オーストラリア国ビクトリア州ポートランド産の羊毛を使用した商品』に使用するときは,単にその商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,上記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において,平成30年8月28日付けで,請求人に対して,要旨以下を内容とする審尋を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
別掲1及び2によれば,本願商標は,全体として「米国オレゴン州のポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の産地,販売地及び品質を表示するにすぎない。また,本願商標は,上記認定以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
4 審尋に対する請求人の回答
「Portland」及び「ポートランド」の語は,爵位,歴史上の人物,西洋人の氏姓,海軍の戦艦,ブドウの品種,バラの品種といった地名以外のものを指称する語としても知られ,使われており,また,当該語が地名として認識される場合であっても,世界の各地に同じ地名が多数存在しており,各看者において想起される地はそれぞれ異なっているか,あるいは,各看者はどこの地を指すかを特定することはできず,需要者・取引者において,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に指すものとして当然に理解・認識されることはない。
実際に,審査段階において,拒絶理由通知書及び拒絶査定の中で,「Portland」及び「ポートランド」の文字が,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町の地名表す語であるとの認定を行っているのであり,例えば,米国メイン州ポートランド市についても,活発に日本との交流が行われており,日本の一般需要者に親しまれた都市といえる。
以上のとおり,本願商標中の「Portland」及び「ポートランド」の文字は,たとえ地名として認識される場合であっても,米国オレゴン州の地名以外にも,米国メイン州の地名,オーストラリア・ビクトリア州の地名などとしても理解・認識されるというのが相当である。それゆえ,当該語は,審判官殿の認定するように,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に理解・認識させるものではない。
したがって,本願商標「Portland Wool/ポートランドウール」は,全体として,「米国オレゴン州ポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の産地・販売地及び品質を表示するにすぎない商標に該当するものではなく,全体として,一義的な特定の意味合いを看取させない一連の造語として認識されるというべきであるから,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号には該当しない。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は,「Portland Wool」の欧文字と「ポートランドウール」の片仮名を二段に横書きしてなるところ,その構成中の「Wool」及び「ウール」の文字部分は,「羊毛。毛糸。毛織物。」を意味する語として親しまれているものである(株式会社岩波書店 広辞苑第7版)。
そして,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の語は,別掲1の辞書,新聞記事及びインターネット情報によれば,(ア)我が国の一般的な国語辞書における「ポートランド(Portland)」の項には,米国オレゴン州の都市名(以下,米国オレゴン州のポートランドを「米ポートランド」という。)のみの記載があり,米ポートランドの港は対日輸出の中心港であること(別掲1),(イ)米ポートランドと札幌市とは1959年(昭和34年)に姉妹都市になっており,長年にわたり交流を続け,米ポートランドは札幌市におけるイベントに招待されていること(別掲2(1),(2)),(ウ)東京世田谷区は米ポートランドとの都市文化交流を目指していること(別掲2(3)),(エ)ポートランド観光協会(米ポートランドの観光協会)は,東京に日本事務所開設したこと(別掲2(4)),(オ)大阪,横浜及び東京において,米ポートランドに関する催しが開催されていること(別掲2(5)〜(8))からすると,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分は,これに接する一般需要者をして,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識するというのが相当である。
そして,本願商標の指定商品は,上記1のとおりであって,一般需要者を対象とする商品といえるものである。
そうすると,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分は,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識させるものであって,本願商標を表示した商品が,米ポートランドにおいて生産され又は販売されているであろうと認識されることが決して少なくないと判断するのが相当であり,そして,本願商標の構成中「Wool」及び「ウール」の文字部分は,「羊毛,毛糸,毛織物」を意味し,本願商標の指定商品との関係では,商品の品質又は普通名称を表したものと認識されるものである。
以上よりすれば,本願商標は,全体として「米ポートランドで製造又は販売されているウール製品」の意味合いを容易に認識させ,商品の品質等を表示するにすぎないし,その態様上顕著な特徴を有するものではないから,商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわなければならず,上記認定以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,「Portland」及び「ポートランド」の語は地名以外のものを指称する語としても知られ,使われており,また,当該語が地名として認識される場合であっても,世界の各地に同じ地名が多数存在しており,需要者・取引者において,米国オレゴン州ポートランドという特定の地名を一義的に指すものとして当然に理解・認識されることはなく,実際に,審査段階において,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町の地名表す語であるとの認定を行っているのであり,例えば,米国メイン州ポートランド市についても,活発に日本との交流が行われており,日本の一般需要者に親しまれた都市といえるから,当該語は特定の地名を一義的に理解・認識させるものではない旨主張する。
しかしながら,たとえ,本願商標の構成中「Portland」及び「ポートランド」の文字部分が,爵位,歴史上の人物,西洋人の氏姓等の意味を有し,また,オーストラリア南西部ビクトリア州南西部の港町又は米国メイン州ポートランド市を指称することがあるとしても,上記(1)のとおり,これに接する一般需要者をして,米ポートランドの地名を表したものと理解,認識するというのが相当あるから,「Portland」及び「ポートランド」の語が複数の意味を有することは,上記判断を左右するものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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