結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2017−900207(T2017−900207/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5934306号商標(以下「本件商標」という。)は,「HEAD HOUSE」の欧文字を書してなり,平成28年8月16日に登録出願,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同29年2月6日に登録査定され,同年3月24日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標及び標章は次のとおりである。
(1)登録第535543号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:昭和33年8月15日
設定登録日:昭和34年4月20日
最新更新登録日:平成21年4月14日
書換登録日:平成21年8月12日
指定商品 :第28類「スキー」
(2)登録第902541号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:昭和44年5月16日
設定登録日:昭和46年6月21日
最新更新登録日:平成23年5月17日
書換登録日:平成13年12月12日
指定商品 :第25類「履物」
(3)登録第1038256号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:昭和42年12月12日
設定登録日:昭和48年10月15日
最新更新登録日:平成25年6月18日
書換登録日:平成16年8月4日
指定商品 :第25類「被服」
(4)登録第1070887号商標の1(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:昭和42年5月29日
設定登録日:昭和49年6月10日
最新更新登録日:平成25年12月24日
書換登録日:平成17年3月2日
指定商品 :第25類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(5)登録第1070887号商標の2(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:昭和42年5月29日
設定登録日:昭和49年6月10日
最新更新登録日:平成25年12月24日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(6)登録第1526485号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:ヘッド
登録出願日:昭和44年1月7日
設定登録日:昭和57年7月30日
最新更新登録日:平成24年7月24日
書換登録日:平成15年11月26日
指定商品 :第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(7)登録第4484695号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:HEAD(標準文字)
登録出願日:平成12年1月7日
優先権主張日:1999年(平成11年)10月27日
設定登録日:平成13年6月22日
更新登録日:平成23年5月31日
指定商品 :第14類,第18類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(8)登録第5356771号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:HEAD
登録出願日:平成19年6月21日
設定登録日:平成22年10月1日
指定役務 :第35類に属する商標登録原簿に記載の役務
(9)登録第5555002号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:HEAD Japan
登録出願日:平成24年2月21日
設定登録日:平成25年2月8日
指定商品:第9類,第18類,第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品
(10)国際登録第737651号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成:HEAD
国際商標登録出願日(事後指定):2011年(平成23年)5月6日
設定登録日:平成24年9月7日
指定商品 :第9類に属する国際商標登録原簿に記載の商品
(11)国際登録第1156590号商標(以下「引用商標11」という。)
商標の構成:HEAD
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)2月7日
設定登録日:平成25年11月15日
指定商品 :第25類に属する国際商標登録原簿に記載の商品
(12)国際登録第1272197号商標(以下「引用商標12」という。)
商標の構成:HEAD
国際商標登録出願日:2015年(平成27年)9月23日
設定登録日:平成29年9月29日
指定商品:第9類及び第24類に属する国際商標登録原簿に記載の商品
なお,引用商標1ないし引用商標12に係る商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
また,以下,これらを一括して,単に「引用商標」ということがある。
申立人が引用する標章は,同人の製造販売するテニス及びスキー用品及び商号に使用している「HEAD」の欧文字からなるものである(以下「引用標章」という。)。
申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号,同第15号,同第19号及び同第8号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第250号証を提出した。
(1)本件商標は,欧文字の「HEAD」と「HOUSE」の間に約1文字分程度のスペースを空けて横書きした態様からなる商標である。
このうち,前半部分の「HEAD」の欧文字部分は,一般的には「ヘッド」と称呼される英語であって「頭」との観念を有するが,指定商品等との関係においては申立人の出所を示す著名商標として,これに接する取引者,需要者に認識されているものである。
そうすると,当該部分が,本件商標の指定商品等との関係において取引者,需要者に対して商品等の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかである。
他方,後半部分の「HOUSE」の欧文字部分は,辞書によれば「保管する,収納する」や「家屋」,「企業」の意味があるとされているが(甲53),指定商品等との関係においては,著名商標と共に使用されるときは,著名商標が付された商品の保管場所や販売場所,ブランド情報の発信地など,「著名商標の使用場所」を示す一般的,普遍的な文字として使用される語である。このことは,スポーツ用品や被服等を取り扱う業界の取引慣行として,小売店舗の名称を,自社商標やブランド名と組み合わせて「○○ HOUSE」と使用している実情が多数存在することなどからも首肯できるものである(甲54〜甲59)。
したがって,本件商標については,その構成部分の一部である「HEAD」の欧文字部分を要部として抽出し,この部分のみを引用商標と比較して商標そのものの類否が判断されるものである。
そうすると,本件商標は,その構成全体から生じる「ヘッドハウス」の称呼の他に,要部である「HEAD」の欧文字部分より,「ヘッド」の称呼及び「頭」,「申立人の著名商標」との観念が生じるものである。
(2)引用商標は,いずれもその文字に照応した「ヘッド」の称呼及び「頭」,「申立人の著名商標」との観念が生じるものである。
(3)本件商標の要部である「HEAD」の欧文字部分と引用商標を対比すると,称呼及び観念については,「ヘッド」の称呼及び「頭」,「申立人の著名商標」との観念を共通にする。外観については,両者は同じ文字つづりからなるもの,要部を共通にするもの,単に片仮名で表示したものからなるため,外観上,近似した印象を与え,類似するものである。
また,本件商標の指定商品及び指定役務中には,引用商標の指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品・役務が包含されている。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(1)申立人は引用標章を長年にわたり継続的にスキー用具,スノーボード用品,テニス用品,その他運動用バッグ,ウェア,アクセサリー等について使用しており,我が国はもちろんのこと,世界中の人々に支持されてきている。これにより,引用標章は申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり,高い信頼と名声を獲得し,世界中の人々に支持されてきた(甲62〜甲236)。
全世界におけるHEADブランド商品の売上は過去5年間,毎年300億円以上あり,2015年は約343億円,2016年は約342億円である。また申立人は売上の約10%を広告宣伝費に費やしている。
日本においても,HEADブランド商品の売上は過去5年間,毎年20億円以上あり,2015年は約28億円,2016年は約23億円である。また日本における広告宣伝費には毎年1億円以上を費やしている。
2016年テニス商品のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位,約30%であり,日本においては,第3位,約12.7%である(甲237)。
2016年スキー用品のヨーロッパにおけるマーケットシェアは第2位,約19%であり,日本においては第3位,約7.2%,スキーブーツは第2位,約12%,ビンディングも第2位,約20.1%を誇る(甲237)。
このように引用標章は,その商品の品質の高さ,小売店における使用状況,その歴史及び大規模な宣伝広告やイベント活動等を背景に,高い信用と名声を獲得した世界的一流ブランドとして,スポーツファンをはじめ,競技者やその関係者,取り扱う取引者や一般消費者など,世界中の人々に深く浸透するに至っている。
したがって,引用標章は申立人の業務に係るスポーツ用品(特に,「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,袋物」)に関する出所識別標識として,本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であり,その著名性の程度は極めて高いものである。
(2)申立人の引用標章と本件商標が類似することは前述したとおりであり,申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標を指定商品又は指定役務について使用すれば,申立人の業務に係る商品又は役務と混同され,その出所につき誤認されるおそれがあることは明白である。
仮に,本件商標と申立人の引用標章が類似しないとしても,本件商標は申立人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがある商標である。
本件商標の後半部分「HOUSE」は「企業」や「一家,一族」の意味もあるとされており(甲53),また,特許庁の審査基準にも記載されている「ハウスマーク」は,社標(会社マーク)を意味する語として一般的に認知されている(甲238)。
甲第54号証ないし甲第59号証に示すとおり,「○○ HOUSE」が有名ブランドの小売店舗を表示するために使用されている事実がある。
そのため,「HOUSE」の語は,企業と何らかの関係性があることを示す語としても取引者,需要者に認知されているものであり,本件商標のように申立人の引用標章と共に使用されるときは,あたかも申立人と何らかの関係性があると誤解を招くおそれがある。
したがって,本件商標と引用標章は混同が生じるおそれが極めて高いものである。
また,申立人の業務に係る商品又は役務は,本件商標に係る指定商品又は指定役務の一部と同一又は類似するが,類似しない指定商品又は指定役務に係る商品等についても本件商標が使用されれば申立人の業務と混同が生じるおそれが多分に存在するものである。
例えば,スポーツ用品はそのデザイン性や機能性の高さなどから,スポーツ用品専門店のみならず,アウトドアショップやカジュアルな被服を取り扱うショップなどでも販売されている(甲239,甲240)。また,スポーツ選手は競技のパフォーマンス向上などのために,身に着ける物や使用する物に気を遣う選手が多く,それらの商品のうち一般需要者の日常でも使用できる商品(特に,身の回り品や寝具類など)については,各企業が自社とその製品の認知度などの向上のために,スポーツ選手を広告に起用することが一般的に行われている(甲241)。そして,近年では,スポーツ選手がプロデュースした商品も販売されるまでに至っている(甲242,甲243)。このような状況下で,申立人も特にテニス等の人気選手と専属契約を結ぶことで,申立人とその商品の認知度などの向上に努めてきたことは前記したとおりである(甲113〜甲115)。
そうすると,申立人の業務に係る商品及び役務と,これと類似しない本件商標に係る指定商品又は指定役務の間には関連性があり,また,取引者,需要者も共通するものである。
以上のことを総合的に勘案すれば,仮に本件商標と各引用商標が類似しないとしても,申立人と何ら関係のない商標権者等が本件商標を係る指定商品又は指定役務について使用するときは,あたかも申立人の系列会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると,取引者,需要者に誤信されるおそれが多分に存するものである。
引用標章が日本及び外国における需要者の間に広く認識されており(甲62〜甲237),また,本件商標と引用標章が類似する商標であることは前述したとおりであるが,加えて,商標権者は,不正の目的をもって本件商標を係る商品等に使用をするものであると容易に推認することができる。
すなわち,本件商標は,前述したとおり,申立人と何らかの関係性があると誤解させる態様からなる商標であり,特に,その構成の一部には申立人の引用標章が判然と認識できる態様で表示されている。さらに,商標権者と申立人が行う業務は被服等の販売を行っている点で共通しており,引用標章の著名性の程度,両者の類似性の程度も極めて高いものである。
そうすると,商標権者が申立人の「HEAD」ブランドを全く知らなかったとは考えにくく,商標権者は申立人が長年の歴史,多額の広告宣伝費等により築き上げた引用標章に化体した信用,名声,顧客吸引力等にフリーライドする意図を持って本件商標を採択したと考えるのが自然であり,本件商標が係る指定商品等に使用されれば,引用標章に化体した信用や名声等を毀損させるおそれが多分に存するものである。
以上のことを総合的に勘案すれば,商標権者は,不正の目的をもって本件商標を係る商品等に使用をするものであると容易に推認することができる。
申立人は,テニス等の人気選手との専属契約や,国際的なテニスの大会での宣伝広告などにより「HEAD」の認知度向上に努め,本件商標の登録出願時においては,既に申立人を指し示す略称としても世界中の人々に受け入れられているものである(甲62〜甲237)。甲第129号証又は甲第236号証などに示すように申立人は単に「HEAD」,「ヘッド」として新聞記事などにも掲載されている。
他方,前述したとおり,本件商標は欧文字の「HEAD」と「HOUSE」の間に約1文字分程度のスペースを空けて横書きした態様からなり,視覚上明確に分離して「HEAD」部分が認識されるだけでなく,観念においても一体不可分と見るべき事情は存在しない。
そのため,申立人の著名な略称「HEAD」とつづりを同一にする「HEAD」の文字は判然と認識されるものである。
そして,当然ながら,商標権者は本件商標を出願することについて申立人の承諾を得ておらず,申立人の人格的利益を害するおそれが多分に存するものである。
以上のことを総合的に勘案すれば,本件商標は,明らかに申立人の名称の著名な略称を含む商標である。
当審において,平成30年4月18日付けで,商標権者に対し,「本件商標は,その登録異議の申立てに係る指定商品中,第25類『被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴』及び指定役務中の第35類『被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』について,商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。
前記第4の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べるところがない。
(1)申立人に係る引用標章の著名性について
ア 申立人の提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人について
申立人は,オーストリア国ケンネルバッハに本社を置くオーストリア法人であり,1950年の創業以来60年あまりにわたり世界中において大規模な事業を展開してきた一流スポーツメーカーである(甲19)。
そして,申立人は,スキー用具,スノーボード用品,テニス用品,その他運動用バッグ,ウェア,アクセサリー等を世界中で大々的に販売し(甲20,甲22〜甲42,甲47〜甲49),申立人のハウスマークである引用標章を,これら多岐にわたる商品に大々的に使用してきた。
(イ)カタログについて
a テニス用品
申立人は,1993年,1994年,1996年,1997年,1999年,2003年,2011年において,テニス用ラケットを中心にテニス用バッグ,テニスラケット用バッグ,テニス用シューズ,キャップ等の商品を扱ったカタログを発行しており,これらのカタログに申立人の引用標章が使用されている。
また,該カタログに掲載されているこれらの商品について,引用標章が付されている(甲20,甲31,甲32〜甲38,甲47)。
さらに,甲第20号証の40頁には,「・・・それらを収めるすばらしいバッグ類もご提供しています。スタイリッシュで機能的,かつ内側にも外側にも高機能を満載したHEADのバッグは,すべてのHEAD製品に共通する高品質とハイテク・デザインを兼ね備えています。」の記載があり,同頁から45頁まで,バックパック,シューズバッグ,ハンドバッグ,テニスラケット用バッグ及びテニス用バッグ等の写真が掲載され,それらのバッグには,引用標章が表示されている。
b スキー用品
申立人は,1993年から2001年,2017年,2018年において,スキー板及びスキーブーツを中心に,スキーウェア(以下「ジャケット,パンツ,サロペット」を含む。),キャップ,アンダーシャツ,ソックス,スキー用グローブ,スキー用ポール,スキー用ゴーグル,スキー用ヘルメット,スキー用バッグ,スキー板用バッグ等の商品を扱ったカタログを発行しており,これらのカタログに引用標章が使用されている。
また,該カタログに掲載されているこれらの商品について,引用標章が付されている(甲22,甲23,甲25〜甲29,甲39,甲40,甲48,甲49,甲62,甲63)。
さらに,甲第62号証の「BAG&SKI CASE」の頁の上から4段目には,「HEAD/〈ヘッド〉/スキーバッグ」の記載とともに,その上には,バッグの写真があり,そのバッグには引用標章が表示されている。
加えて,甲第63号証の169頁の下から2段目には,「HEAD/〈ヘッド〉/ブーツ バックパック」の記載とともに,その上には,バッグの写真があり,そのバッグには引用標章が表示されている。
(ウ)書籍及び雑誌について
本件商標の登録出願前に我が国で発行された書籍及び雑誌等において,以下のような記載がある。
a テニス用品
「Tennisc Classic」,「スマッシュ」,「T.Tennis」及び「Tennis Magazine」の各雑誌において,テニス用ラケットの広告に引用標章が使用されその広告のテニス用ラケットには引用標章が付され,また,「HEAD」に関する記事が掲載され,その記事の中に引用標章が使用されている(甲70〜甲78,甲80〜甲82,甲130〜甲136)。
また,テニス用シューズの広告に引用標章が使用されている(甲133)。
b スキー用品
「Ski」及び「SKI journal」の各雑誌(甲64〜甲66)において,スキー選手が使用しているスキー板及びスキーブーツに引用標章が付され,甲第66号証には,「HEAD」のスキー板等についての記事が掲載され,スキー板及びスキーブーツに引用標章が付され,甲第67号証には,HEADデモチーム技術選レポートが掲載され,その記事の中のヘルメット及びテントに引用標章が付されている。
また,1980年,1985年,1990年及び1994年の「世界のスキー用具」の雑誌において,これらの雑誌に引用標章が使用され,該雑誌に掲載されているスキー板について,引用標章が付されている(甲232〜甲235)。
さらに,「男の一流品大図鑑’86年版」において,申立人のスキー板が1986年のニューモデルとして掲載され,そのスキー板について,引用標章が付されている(甲116)。
(エ)新聞記事について
a 1993年(平成5年)4月13日付けの日経産業新聞には,「スポーツ用品進出へ」の見出しの下,「スキー板やテニスラケット,ゴルフ用具などで知られる総合スポーツ用具メーカー『ヘッド』・・・」の記事がある(甲236)。
b 1999年(平成11年)11月5日付けとする日経産業新聞には,「HEADブランド/テニス用品を拡充/ワールド通商 ウエア販売参入」の見出しの下,「スポーツ用品,時計を輸入販売するワールド通商は,『HEAD』ブランドのテニス用品事業を拡充する。今秋,チタンラケットを三機種増やして九機種にしたほか,二〇〇〇年の春夏物を皮切りにウエア販売にも参入する。」の記載がある(甲129)。
(オ)白書について
「2017年版 スポーツ産業白書」(2017年3月30日 株式会社 矢野経済研究所発行)の251頁には,2014年から2017年(予測)までの硬式テニスラケットの国内出荷数量・金額が記載されており,「HEAD Japan(株)」においては,その出荷数量及び金額は,「2014年 数量57,000本,金額6億円」,「2015年 数量69,000本,金額7億3,000万円」,「2016年(見込)数量73,000本,金額7億8,500万円」,「2017年(予測)数量79,000本,金額8億5,500万円」であり,2016年(見込)では,国内第4位,金額では12.7%のシェアであると記載されている。
また,同白書の126頁には,2014年から2017年(予測)までのスキー板国内出荷数量・金額が記載されており,「HEAD Japan(株)」においては,その出荷数量及び金額は,「2014年 数量32,000セット,金額6億円」,「2015年 数量30,000セット,金額5億6,500万円」,「2016年(見込)数量25,000セット,金額4億7,500万円」,「2017年(予測)数量24,000セット,金額4億6,000万円」であり,2016年(見込)では,国内第3位,金額では7.2%のシェアであると記載されている。
さらに,同白書の127頁には,2014年から2017年(予測)までのスキーブーツ国内出荷数量・金額が記載されており,「HEAD Japan(株)」においては,その出荷数量及び金額は,「2014年 数量45,000足,金額7億2,000万円」,「2015年 数量41,000足,金額6億6,000万円」,「2016年(見込)数量33,000足,金額5億3,500万円」,「2017年(予測)数量33,000足,金額5億4,000万円」であり,2016年(見込)では,国内第2位,金額では12.0%のシェアであると記載されている(甲237)。
イ 上記アの事実からすれば,引用標章についての著名性については,以下のとおりである。
申立人は,引用標章を「テニス用ラケット,テニス用シューズ,テニス用バッグ,テニスラケット用バッグ,スキー板,スキーブーツ,スキーウェア,キャップ,アンダーシャツ,ソックス,スキー用グローブ,スキー用ポール,スキー用ゴーグル及びスキー用ヘルメット,スキー用バッグ,スキー板用バッグなどのスポーツ用品」(以下「申立人商品」という。)について,本件商標の登録出願前から使用しているものといえ,1950年の創業以来60年以上も事業を行い,我が国においては,約24年にわたり,テニス用ラケット,スキー板及びスキーブーツを中心に販売事業を展開してきたものである。
また,2016年度における日本国内におけるテニス用ラケット,スキー板及びスキーブーツの販売シェアも上位を占めているものといえる。
そうすると,引用標章「HEAD」は,申立人を直接的に表す一流スポーツブランドとして世界的に著名となり,高い信頼と名声を獲得し,世界中の人々に支持されてきたということができる。
したがって,引用標章は,申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されていたというべきである。
(2)本件商標と引用標章の類似性について
本件商標は,前記第1のとおり,「HEAD HOUSE」の欧文字からなるものであり,引用標章は,前記第2の2のとおり,「HEAD」の欧文字からなるものである。
そして,本件商標中の「HEAD」の文字部分は,上記1のとおり,申立人商品を表すものとして,本件商標の登録出願時はもとより,登録査定時においも,既に,我が国のテニス用品及びスキー用品関連の分野の取引者,需要者の間に広く認識されている引用標章と,そのつづりを同じくするものであり,該文字に相応して生ずる「ヘッド」の称呼を同じくするものである。
また,本件商標の構成中,最も注意をひきやすい語頭に「HEAD」の文字を有していること,申立人商品に使用している引用標章が著名であることから,本件商標の構成中,「HEAD」の文字部分に強く印象づけられ,その部分が取引者,需要者に対しその商品及び役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるものである。
したがって,本件商標中の「HEAD」の文字に着目した場合には,申立人の著名な引用標章と同一又は類似のものであるから,両者は類似性が高いといえるものである。
(3)本件商標の指定商品及び指定役務と引用標章の商品との関連性
引用標章が使用されている申立人商品は,本件商標の指定商品中の「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及びその指定役務中の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」における小売等役務の対象商品の商品概念に含まれるものであり,両者は,同一又は類似の商品といい得るものであって,その関連性は高いといえる。
(4)商品等の取引者,需要者の共通性その他取引の実情
引用標章が使用されている申立人商品は,主にスポーツ用品であり,このスポーツ用品の中でもウェア等はそのデザイン性や機能性などから,スポーツウェアとしてだけではなく,カジュアルウェアとしても使用されることが少なからずあり,これらの商品の取引者,需要者の相当部分が共通するものである。
また,これらのスポーツ用品は,スポーツ専門店のみならず,アウトドアショップやカジュアルウェアを取り扱うショップなどでも販売されている実情がある。
そうすると,その商品の生産者,販売者,販売場所及び流通経路などの取引の実情も共通している。
(5)出所の混同のおそれについて
上記(1)のとおり,引用標章は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人及び申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であると認めることができる。
また,上記(2)のとおり,本件商標と引用標章の「HEAD」の文字とは,類似性が高く,上記(3)のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務と引用標章の商品とは高い関連性があるものと認められる。
さらに,上記(4)のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務と引用標章の商品の取引者,需要者及び取引の実情は共通している。
そうすると,本件商標は,これを商標権者が,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用したときは,これに接する取引者,需要者が,引用標章「HEAD」ないしは申立人を想起又は連想し,該商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る申立人商品であるかのように誤認し,役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標は,その登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務中,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,商標法第4条第1項第15号に該当する。
本件商標は,本件登録異議の申立てに係る指定商品及び指定役務中,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」以外の指定商品及び指定役務については,その取引者又は需要者,流通経路及び販売場所等は,上記指定商品及び指定役務に係るそれとは異なるものであって両者間における関連性が高いとまではいい難く,また,上記指定商品及び指定役務以外の商品及び役務においては、引用標章の周知著名性は立証されていないことを総合勘案すれば,本件商標をその指定商品及び指定役務中,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」以外の申立てに係る指定商品及び指定役務について使用したとしても,他人の業務に係る商品及び役務であるかのように,商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないというのが相当であり,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとは認められない。
また,その他,それらの指定商品及び指定役務についての登録を取り消すべき理由を見いだせない。
以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品中,第25類「被服,靴下,マフラー,帽子,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び指定役務中の第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから,その余の申立ての理由について論及するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
しかしながら,本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については,その登録を取り消す理由がないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持するべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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