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Trademark Appeal Case

称呼・外観類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900221(T2018−900221/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6044882号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6044882号商標(以下「本件商標」という。)は,「LeapMind」の文字を標準文字で表してなり,平成30年2月22日に登録出願,第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,半導体,半導体素子,半導体チップ,電子回路,コンピュータソフトウェア及びコンピュータハードウェア,電子計算機用プログラム,コンピュータソフトウェア用プログラム(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守又はそれらに関するコンサルティング,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの分野に関する研究,コンピュータハードウェア及びソフトウェアに関する研究及び開発,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,ウェブサーバーの貸与,オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS),クラウドコンピューティング,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの設計及び開発,コンピュータチップ・電子チップ及び集積回路の設計,デザインの考案,インターネット上のウェブページの作成のための設計及びグラフィックアートのデザインの考案,ウェブサイトのデザインの考案及びその助言,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,人工知能の分野における先行製品の研究,人工知能に関する研究及びそれに関する助言,人工知能コンピュータシステムの設計及び開発」を指定商品又は指定役務として,同年4月19日に登録査定され,同年5月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5848221号商標(以下「引用商標」という。)は,「DEEPMIND」の文字を標準文字で表してなり,平成27年9月3日に登録出願,第35類「人工知能の分野における科学及び研究に関する役務の提供促進のための企画及びその実行の代理」,第41類「人工知能の分野に関するイベントの手配・運営及び開催」及び第42類「人工知能の分野に関する研究及び開発,コンピュータソフトウェアの開発」を指定役務として,同28年5月13日に設定登録されたものであり,その商標権は現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び,同項第15号に違反して登録されたものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。以下,枝番号の全てを引用するときは,枝番号を省略して記載する。)を提出した。

(1)引用商標がわが国の需要者・取引者において広く知られていることについて

本件商標の登録出願前から,「DEEPMIND(ディープマインド)」は,人工知能やコンピュータプログラムの分野,又は,人工知能に関する技術及びその他の技術を用いた商品開発の分野における代表的企業であるディープマインド(DeepMind)社の名称として広く知られており,わが国における需要者・取引者をして広く知られるに至っていたのであり,本件商標の査定時においても継続してその周知・著名性を維持していたものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標は,その構成する文字の大部分である「E(e)」「P」「M」「I(i)」「N(n)」「D(d)」において共通しており,外観構成上,近似したものとなっている。

また,称呼においても,本件商標から生じる「リープマインド」と引用商標から生じる「ディープマインド」とでは,差異音による大きな影響がなく,全体の音調が近似しており,特に,中間部分の「プ」の音が強く発音され,それに続く「マインド」の音が強く印象付けられる点で,相互に全体的語調・語感が著しく近似する。

さらに,本件商標は,申立人のハウスマークである引用商標に外観及び称呼が近似しているものであるから,本件商標に接する需要者,取引者は,需要者等に広く一般に知られている申立人を想起,連想する点において,観念上も,引用商標と相当程度,類似するものである。

また,本件商標の指定役務中,第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成・保守又はそれらに関するコンサルティング,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの分野に関する研究,コンピュータハードウェア及びソフトウェアに関する研究及び開発,コンピュータハードウェア及びコンピュータソフトウェアの設計及び開発,人工知能の分野における先行製品の研究,人工知能に関する研究及びそれに関する助言,人工知能コンピュータシステムの設計及び開発」は,引用商標の指定役務中,第42類「人工知能の分野に関する研究及び開発,コンピュータソフトウェアの開発」と同一又は類似のものである。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標は,その指定役務との関係において,需要者等に広く一般に知られているものであって,本件商標と引用商標は類似性の程度は高いものであるから,本件商標に接する需要者,取引者に対して,引用商標を連想させ,本件商標の指定役務の出所について,あたかも,申立人又は申立人と経済的,組織的に関係する者により提供される役務であるかのごとく誤認を生じさせる。

そうすると,本件商標の登録を認めた場合には,引用商標の持つ顧客吸引力へのただ乗り(いわゆるフリーライド)や,その希釈化(いわゆるダイリューション)を招くという結果を免れない。

よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は,「LeapMind」の文字を標準文字で表してなるところ,「飛ぶ,飛び跳ねる」等の意味を有する英語の,「Leap」の文字と,「精神,心」等の意味を有する英語の「Mind」の文字(ともに「小学館ランダムハウス英和大辞典 第2版」 株式会社小学館)とを結合したものであることが容易に理解できる。

しかしながら,本件商標は,これを構成する各文字が同じ書体で,同じ大きさをもって,等間隔に表されており,全体として外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。

そうすると,本件商標は,その構成文字に相応した,「リープマインド」の称呼を生じ,「飛ぶ精神」程の観念を生じるものである。

(2)引用商標

引用商標は,「DEEPMIND」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「DEEP」の文字部分は「(底の)深い」等の,「MIND」の文字部分は「精神,心」等の意味を有する平易な英語(ともに出典は上記と同じ。)であることが容易に理解されるところ,その構成各文字は同じ書体で,同じ大きさをもって,等間隔に表されており,全体として外観上まとまりよく一体的に構成されているものである。

そうすると,引用商標は,その構成文字に相応した,「ディープマインド」の称呼を生じ,「深い精神」程の観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標とを比較してみるに,外観においては,本件商標は,「LeapMind」の文字からなり,引用商標は,「DEEPMIND」の文字からなるから,両者は,構成文字が異なることに加え,2文字目〜4文字目及び6文字目〜8文字目においては大文字と小文字の違いもあることから,外観上,明確に区別し得るものである。

次に,称呼においては,本件商標から生じる「リープマインド」の称呼と引用商標から生じる「ディープマインド」の称呼とを比較すると,語頭における「リ」と「ディ」において差異を有するところ,該差異音は,「ディ」の音は,舌尖を上前歯のもとに密着して破裂させる有声子音(d)と母音(i)との結合した音節であるのに対し,「リ」の音が,舌面を硬口蓋に近づけ,舌の先で上歯茎を弾くようにして発する有声子音(r)と母音(i)との結合した音節であるから,調音の位置および音質を異にすることに加え,称呼の識別上,重要な,比較的強く発音される語頭における差異ということもあり,全体として称呼されるときは聞き誤るおそれはない。

そして,観念においては,本件商標は「飛ぶ精神」程の観念を生じ,引用商標は「深い精神」程の観念を生じるものであるから,両者は,観念上,明確に区別し得るものである。

そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,明確に区別し得るものであるから,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

したがって,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,両商標の指定役務の類否については論ずるまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出に係る各甲号証及び同人の主張によれば,申立人は,2010年(平成22年)に設立された人工知能(以下「AI」という。)の開発を行っている企業であって,2014年(平成26年)にグーグルに買収された。(甲3,甲11)。

そして,2016年(平成28年)には申立人の開発した囲碁用AIである「アルファ碁(AlphaGo)」がコンピューター囲碁において,トップクラスの人間の棋士に勝利したことや,「アルファ碁(AlphaGo)」を応用したAIが,他社の将棋やチェスの専用ソフトウェアに勝利したこと等が複数の新聞やウェブサイトで紹介されている(甲5の4,甲6〜甲12,甲13の2〜甲13の7,甲13の10)。

イ 上記アから,申立人は,遅くとも2014年(平成26年)には,AIの開発を行っており,2016年(平成28年)には,申立人が開発した「アルファ碁(AlphaGo)」が,コンピューター囲碁においてトップクラスの人間の棋士に勝利したものであること,また,将棋やチェスにおいても申立人の開発したAIがそれぞれの専用ソフトに勝利した事実が複数の新聞やウェブサイトにおいて紹介されていたことは確認できる。

しかしながら,申立人が提出した証拠からは,引用商標が「アルファ碁(AlphaGo)」を含むAIを開発した申立人の名称又は略称であることは認められるものの,申立人が,該「アルファ碁(AlphaGo)」を含むAIに関する商品を販売し,又は役務を提供し,それら商品もしくは役務について引用商標を使用している事実,及び申立人の商品又は役務の販売額,販売量等の販売実績は確認することができず,その他の申立人の業務に係る商品又は役務について引用商標が使用されているという事実も確認することができない。

そうすると,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標であるとは判断することはできない。

ウ この点について,申立人は「『DEEPMIND(ディープマインド)』の名は,人工知能による碁のコンピュータソフトウェアである『アルファ碁(Alpha Go)』が大きな注目を集めたことによって世の中に広く知られることになった」旨を主張しているが,仮に申立人の「DEEPMIND」という名が世の中に広く知られているとしても,上記イのとおり,申立人の提出する各甲号証からは,引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であるとは判断することはできないから,申立人の主張は採用の余地がないといわざるを得ない。

(2)本件商標と引用商標との類似性について

上記1(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,明確に区別し得るものであるから,両商標は,互いに非類似というべきものであり,類似性は高くはない。

(3)引用商標の独創性等について

引用商標である「DEEPMIND」の文字は,前記1(2)のとおり「DEEP」の文字と「MIND」の文字とを結合したものと認識されることはあるとしても,該文字全体としては,辞書等に載録のないものであって,一種の造語として認識されるものであるから,ある程度の独創性を有しているものといえる。

(4)本件商標の指定商品及び指定役務と引用商標の使用商品及び使用役務の間の関連性,需要者の共通性について

上記(1)イのとおり,申立人は,AIの開発を行っている企業であり,該AIの開発と本件商標の指定商品及び指定役務とでは,コンピューターに関連しているということにおいて共通している。

しかしながら,申立人が引用商標を申立人の業務に係る商品あるいは役務について使用している事実は,確認できないから,本件商標の指定商品及び指定役務と申立人の業務に係る商品及び役務の間の関連性,需要者の共通性については検討するまでもなく,これらの関連性や共通性は認められない。

(5) 出所の混同のおそれについて

上記(1)から(4)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,引用商標は,その独創性があるとしても,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められず,本件商標と引用商標とは,類似性の程度は高くないものであり,商品又は役務の関連性も認められないものである。

そうすると,本件商標は,引用商標を連想又は想起させるものとは認められないものであるから,本件商標権者が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者をして,その商品又は役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように,商品又は役務の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

また,他に出所の混同を証明するような証拠の提出はないから,該主張は採用することはできない。

その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 まとめ

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものではなく,その登録は,同条第1項の規定に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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