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Trademark Appeal Case

擬音語の品質表示性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−8442(T2017−8442/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「カリッ」の文字を標準文字で表してなり、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」を指定商品として、平成28年1月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「『カリッ』の語は、食料品を取扱う分野においては、『堅いものを歯に力を入れてかみ砕くときの音や食べ物から水分や油分が抜けてほどよく堅いさま』ほどの意味合いを表すものとして使用されている実情がある。そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、当該商品が上記意味合いを表すものと認識、理解するというのが相当であり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を発見したので、それぞれ、平成30年3月13日付け及び同年7月24日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、要旨以下のとおり、意見を申し立てた。

(1)証拠調べにおいて提示された証拠には、「カリッ」の後に読点がついている事例が多くみられ、これを「カリッ」の言い切りと解釈しているようであるが、読点は、そこで言い切っているわけでなく、例えば、別掲1(2)の場合、「カリッ」と「サクサクッ」とは並列であり、意味合いからみても「カリッとした食感」と「サクサクッとした食感」という語が並列していると考えるべきである(別掲1の(4)、(8)、(9)、(13)、(14)、(16)、(20)、(22)及び(25)も同様。)。「カリッとした食感」であれば、これが品質表示であることについて請求人は何らの反論もないが、これは、「カリッ」が登録されるべきかどうかと直接関係するものではない。

また、上記証拠には、別掲1の(3)ないし(5)、(10)及び(23)のような「外はカリッ」や同(7)の「中はカリッ」のように、「カリッ」の対象物を明確にしたものも多いが、これらは、「カリッ」の言い切りというよりは、文脈の中で対象物を特定して、擬音語の「カリッ」で特定した品質を自然に表現しているものであり、これが単なる「カリッ」と同じとはいえない。

さらに、上記証拠には、「食感」という言葉とセットで使われている事例が多いのも注目すべきである。一見すると、「カリッ」の言い切りにみえても、すぐ近傍に「食感」という言葉が配されている事例(別掲1の(11)、(15)、(19)、(21)、(24)、(26)及び(27))がある。

(2)仮に、「カリッ」が登録商標であったとしても、上記証拠の中にあるような、その品質(食感)を表すような表現として自然に使われている場合は、商標法第26条という規定が存在し、単体の「カリッ」が自他商品識別性を有することと、当該証拠の数々が実際に使用されている事例があることは矛盾しない。

(3)上記証拠中にある「カリッ」以外の擬音語には、登録商標となっているものがある。そうすると、文章中で食感を表すために用いられている擬音語の数々は、それ単独で商標登録出願されれば登録になるということであるし、これらの擬音語が登録になったとしても、このような自然な文章中の使用の仕方であれば、登録商標となっているものがあるにもかかわらず、その使用が可能であるということを示している。

(4)上記証拠は、パッケージに写っている製品の写真から、「カリッ」等の文字が吹き出しとして出ているものを指すと思われるが、「製品写真から吹き出した擬音語」は、「その製品を食したときにそんな音が出る」ということを示しているにすぎず、そのことと、その擬音語が品質表示であるということとが直結しないことは、擬音語商標の多数の登録事例があることから明らかである。

(5)擬音語が商標登録されていたとしても、擬音語を小さくワンポイントで製品写真から吹き出させるという手法については、その製品の食べたときの音であることは明白であるから、登録商標の使用範囲外として行われていると考えるほうが自然である。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、「カリッ」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、当該文字は、本願の指定商品との関係においては、別掲1(1)に示した「1)比較的かたい物を歯で噛んで、そのかたい物が折れたり砕けたりした時に出る音。2)物が乾燥していたり揚がっていたりする様子。好ましい感じを伴って用いられ、その物を口に入れた場合には、1)の音が出る。」の意味を有する擬音語である「かりっ」を片仮名表記したものとして看取、理解されるものといえる。

そして、「カリッ」の文字は、本願の指定商品を含む食品を取り扱う業界において、別掲1のとおり、商品の品質(上記「かりっ」の擬音語の意味に相応する食感)を表す擬音語の一つとして、一般に広く用いられており、例えば、「菓子」を取り扱う業界においては、別掲2のとおり、商品の包装上に、当該擬音語の意味に即した状態を示す絵図(写真)とともに用いることも少なからず行われている。

そうすると、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質(食感)を表したものと認識するにとどまり、商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。

してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

請求人は、「カリッ」の文字は、文章中で「食感」という言葉と組み合わせて使用されたり、文脈中で特定した対象物の品質を擬音語で自然に表現する際に使用されるとはいえるものの、当該文字が単独で使用された場合に、品質表示と認識されることはない旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう商品の品質に該当するか否かの判断は、当該商標の構成態様とその指定商品とに基づき、当該商標が使用される商品の取引の実情などを考慮し、取引者、需要者がどのように認識するかを基準として、個別具体的に判断されるべきものであるところ、「カリッ」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、本願の指定商品との関係においては、別掲1(1)に示したとおりの意味を有する擬音語を片仮名表記したものと理解されるものである上、本願の指定商品を含む食品を取り扱う業界における取引の実情をも併せ考慮すれば、これに接する取引者、需要者をして、商品の品質(食感)を表したと認識されるにとどまるものであること、上記(1)のとおりである。

また、請求人は、多数商標登録されている「カリッ」以外の擬音語が文章中で食感を表すような表現として自然に使われている場合、あるいは、擬音語が商標登録されていたとしても当該擬音語を製品写真から吹き出させる手法を採る場合については、商標法第26条の規定により、登録商標の使用の範囲外と考えるのが自然であることから、本願商標が自他商品識別力を有することと、別掲1及び別掲2に示された実際の使用例があることは矛盾しない旨主張する。

しかしながら、商標法第26条第1項は、登録査定された商標権の効力について定めた規定であり、同規定により商標権の効力が制限される場合があるからといって、登録査定の要件を定めた同法第3条第1項第3号の該当性の判断が緩和されるものではないし、本願商標は、上述のとおり、本願の指定商品との関係において、商品の品質(食感)を表したと認識されるものであり、同号に該当するものであって、登録要件を具備しないものである。

したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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