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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−10933(T2018−10933/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第9類,第35類,第36類,第37類,第41類,第42類及び第45類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成29年4月19日に登録出願されたものである。そして,指定商品及び指定役務については,原審における同30年1月15日受付の手続補正書及び当審における同年8月8日受付の手続補正書をもって,別掲2のとおりに補正されたものである。

2 引用商標

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した商標(以下,これらをまとめて「引用商標」という。)は,以下のとおりである。

(1)登録第4791416号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の態様 アワーズ(標準文字)

指定役務 第41類に属する商標登録原簿に記載の役務(別掲3)

登録出願日 平成15年12月19日

設定登録日 平成16年7月30日

(2)登録第5724425号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の態様 アワーズ(標準文字)

指定商品及び指定役務 第9類,第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務(別掲4)

登録出願日 平成26年8月1日

設定登録日 平成26年12月5日

3 当審の判断

(1)本願商標について

ア 本願商標は,別掲1のとおり,家と電球をモチーフにした図形を黄緑色で表し,その内側に,「時間を」,「価値に変える」及び「『アワーズ』」の文字を黒色で3段に表し,その下部にやや大きく「H’OURS」(「O」の文字は,時計と思しきデザインが施されている。)の文字を黄緑色で表し,そして,その下部に黄緑色で短い線を配し,その下に小さく黒色で「不動産取引の決済に新たな選択肢を」の文字を表した構成よりなるものである。

イ 本願商標の構成中,文字部分と図形部分とは,一部同色で表されているが,互いに接することなく,外観上,明確に分離して配されている。また,両者は,観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし,一連一体となった何かしらの称呼が生じるともいえないことから,両者に称呼及び観念上のつながりはなく,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。

ウ そこで,本願商標の構成中,文字部分について更に検討する。

(ア)「H’OURS」の文字部分は,他の文字部分とは,互いに接することなく,他の文字に比べて大きく表され,他の文字部分とは異なる黄緑色で表されているから,外観上,見る者の注意をより強く引くものであるといえる。

そして,「H’OURS」の文字部分は,「H」の後に「’」(アポストロフィー)が付されていることから,アポストロフィーの前後をそれぞれ「エイチ」及び「アワーズ」と読むことで「エイチアワーズ」の称呼が生じる。

また,「H’OURS」の文字部分からアポストロフィーを除いた「HOURS」が「時間」の意味を有する我が国において親しまれた英語「HOUR」の複数形とつづり字が同じであること,及び当該構成文字中「O」の文字が時計を認識させる態様で表されていることから,「H’OURS」の文字部分からは,単に「アワーズ」の称呼とともに「時間」に関する観念を想起させる余地がある。

(イ)他方,本願商標の文字部分中「H’OURS」の文字部分の上部に,黒色で3段に書された,「時間を」,「価値に変える」及び「『アワーズ』」の文字部分は,「時間を価値に変える『アワーズ』」の文字を段併記したものであると容易に解されるところ,これより「ジカンヲ・カチニカエル・アワーズ」の称呼が生じるものであるが,その称呼は冗長であり,さらに,3段目は,「アワーズ」の片仮名をかぎ括弧で囲っていることにより,該片仮名は,1段及び2段目の「時間を」及び「価値に変える」の文字部分と視覚上分離して看取されるものである。

そして,3段目の「アワーズ」の片仮名は,その下に書された「H’OURS」から生じ得る「アワーズ」の称呼と同一であって,両者は上下に近接して書されていることから,「H’OURS」の文字の称呼を特定する役割をも果たしているものといえる。

そうすると,「アワーズ」の片仮名は,「H’OURS」の文字の称呼を特定する語であるとともに,かぎ括弧で囲ってあることによる強調された態様ともあいまって,本願商標に接する取引者・需要者は,「アワーズ」の片仮名からも強い印象を受けるものとみるのが自然であるから,「アワーズ」の片仮名に相応して,「アワーズ」の称呼が生じ,直ちに特定の観念は生じない。

なお,1段及び2段目の「時間を」及び「価値に変える」の文字部分は,直ちに具体的な観念を想起させるものではないが,漠然とした意味合いの標語を表してなることは理解できるもので,自他商品の識別標識としての与える印象は比較的弱いものであるから,当該文字部分は,自他商品の識別標識としての機能を有しないものであり,当該文字部分からは出所識別標識としての称呼,観念が生じないものといえる。

(エ)また,本願商標の文字部分中「不動産取引の決済に新たな選択肢を」の文字は,直ちに具体的な観念を想起させるものではないが,漠然とした意味合いの標語を表してなることは理解できるもので,自他商品の識別標識としての与える印象は比較的弱いものであるから,当該文字部分は,自他商品の識別標識としての機能を有しないものであり,該文字部分からは出所識別標識としての称呼,観念が生じないものといえる。

(オ)以上よりすると,本願商標の構成中「H’OURS」の文字部分だけでなく,「アワーズ」の文字部分についても,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることができるから,これを要部として抽出して引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。

そうすると,本願商標は,「アワーズ」の片仮名に相応して「アワーズ」の称呼が生じ,直ちに特定の観念は生じない。

(2)引用商標について

引用商標は,上記1のとおり,共に「アワーズ」の文字を標準文字で表してなり,これよりは,「アワーズ」の称呼を生じ,直ちに特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。

(3)本願商標と引用商標との類否について

本願商標の要部の一である「アワーズ」と引用商標とは,観念において比較できないとしても,そのつづりを共通にすることに加え,共に一般的な書体で表されているため,外観において類似しており,また,その称呼を同一にするものであるから,互いに類似する商標と認められる。

したがって,本願商標は,引用商標と類似する商標といえる。

(4)本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務との類否について

ア 本願の指定商品と引用商標1の指定役務との類否について

本願の指定商品と引用商標1の指定商品は,上記1及び2(1)のとおりであるところ,本願の指定役務中「企業・団体の組織構成員に対する教育研修,資格取得に関する知識の教授」と引用商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」とは,類似の役務と認められる。また,本願の指定役務中「会議・セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営又は開催,会議・セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・討論会・講習会の企画・運営又は開催に関する情報の提供(通信回線を用いて行う情報の提供を含む。)」と引用商標1の指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催」とは,類似の役務と認められる。

イ 本願の指定商品及び指定役務と引用商標2の指定商品及び指定役務との類否について

本願の指定商品及び指定役務と引用商標2の指定商品及び指定役務は,上記1及び2(2)のとおりであるところ,本願の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品並びに附属品(地図情報用コンピュータプログラムを含む。)」と引用商標2の指定商品及び指定役務中,第9類「中古携帯電話機・携帯電話機の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラム,電気機械器具類の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」及び第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは同一又は類似のものと認められる。

本願の指定役務中,第35類「市場調査並びにその分析及び助言,事業の運営及び事業の管理,経営又は事業に関する調査・研究・診断・相談・助言又は指導,経営又は事業に関する調査・研究・診断・相談・助言又は指導,人材派遣による市場調査・市場調査に基づくデータの集計及び分析,人材派遣による事業の管理及びコンサルティング,人材派遣による事業の運営に関する企画及び立案」と引用商標2の指定役務中,第35類「中古携帯電話機・携帯電話機の販売又は買い取りに関するコンサルティング又はこれらに関する情報の提供,商品の販売又は買い取りに関するコンサルティング又はこれらに関する情報の提供,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析」とは同一又は類似の役務と認められる。

本願の指定役務中,第42類「コンピュータ用ソフトウェアの研究・開発・設計・作成・保守及びこれらに関する調査・助言・コンサルティング・情報の提供」と引用商標2の指定役務中,第42類「中古携帯電話機・携帯電話機の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電気機械器具類の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」とは類似の役務と認められる。

本願の指定役務中,第42類「コンピュータハードウェアの貸与,コンピュータソフトウェアの提供又は貸与」と引用商標2の指定役務中,第42類「中古携帯電話機・携帯電話機の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラムの提供又は貸与,電気機械器具類の販売・買取又は検品のための電子計算機用プログラムの提供又は貸与,電子計算機用プログラムの提供又は貸与」とは類似の役務と認められる。

したがって,本願の指定商品及び指定役務は,引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品若しくは役務を含むものである。

(5)小括

以上からすれば,本願商標は,引用商標とは類似の商標であり,その指定商品及び指定役務も同一又は類似するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(6)請求人の主張について

請求人は,本願商標の構成文字について,「H’OURS」の文字部分とその他の文字部分とは,色及び大きさの違いから,「H’OURS」の文字部分が需要者の注目を引く構成である旨述べ,本願商標の構成中「H’OURS」の文字部分と引用商標1及び2とを比較し,両者は非類似である旨主張する。

しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標は,その構成中の「アワーズ」の片仮名も要部の一と認められるから,この部分を抽出して引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるものである。

したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。

(7)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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