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Trademark Appeal Case

地域団体商標の周知性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−5923(T2018−5923/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおり、「佐世保バーガー」の文字を横書きしてなり、第30類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成27年4月1日に地域団体商標として登録出願、その後、本願の指定商品及び指定役務については、当審における同31年4月1日付け手続補正書により、第30類「長崎県佐世保市の市内に本店・営業所・販売店・飲食店又はハンバーガー製造工場を有する法人又は個人であって且つ佐世保市内で1年以上継続してハンバーガーの製造販売又はハンバーガーの提供の営業経験を有する者が代表者である法人又は個人が製造販売するバンズとパティと野菜とソースが入った手作りのハンバーガー」及び第43類「長崎県佐世保市の市内に本店・営業所・販売店・飲食店又はハンバーガー製造工場を有する法人又は個人であって且つ佐世保市内で1年以上継続してハンバーガーの製造販売又はハンバーガーの提供の営業経験を有する者が代表者である法人又は個人が提供するバンズとパティと野菜とソースが入った手作りのハンバーガーの提供」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「出願人が『佐世保バーガー』の生産、飲食物の提供を行ってきたことは認め得るとしても、出願人及び出願人の関連事業者以外の者により、長崎県佐世保市以外の地域においても『佐世保バーガー』が生産、提供されていることからすると、『佐世保バーガー』の文字が出願人の商標とのみ認識され、商品名・役務名として認識されるものと判断するのは困難といわざるを得ないことから、本願商標が、本願の指定商品及び指定役務について使用された結果、出願人等の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていることを認めることができない。したがって、本願商標は、商標法第7条の2第1項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標の商標法第7条の2第1項該当性について

本願商標は、別掲のとおり、地域の名称「佐世保」の文字と「ハンバーガー」の略称であって商品の普通名称又は役務を表示するものとして慣用されている名称「バーガー」の文字とを結合した「佐世保バーガー」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、その構成中、地域の名称「佐世保」の文字は、請求人(出願人)の提出した書類によれば、商標法第7条の2第2項で規定する「地域の名称」といえるものであるから、本願商標は、同条第1項第1号にいう「地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標」又は同条第1項第2号にいう「地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標」である。

そして、前記第2のとおり、本願商標は、商標法第7条の2第1項で規定する要件のうち、いわゆる周知性の要件を具備しないとして本願が拒絶されたものである。

そこで、本願商標が使用をされた結果、請求人又はその構成員の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているか否かについて検討する。

(1)請求人について

長崎県佐世保市は、平成13年に、佐世保市制100周年にあわせた企画のひとつとして、昔から長らく佐世保市民の間で食されていた「佐世保バーガー」を佐世保のPR商品として観光振興策を図ることとし、佐世保市、佐世保観光情報センター、(財)佐世保観光コンベンション協会が中心となり、佐世保バーガー店、観光業者と連係して広報活動等を行ってきた。そして、「佐世保バーガー」のブランド価値を適切に保護、維持し、ハンバーガー店の相互協力、「佐世保バーガー」に係る商標及び広告の管理を行うために、平成22年(2010年)10月に、請求人である「佐世保バーガー事業協同組合」(以下「請求人組合」という場合がある。)が設立された(平成27年11月26日付け手続補足書資料4)。

請求人が配布する「佐世保バーガーマップ(公式ガイドマップ)」(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−M1〜M7)は、表面に各ハンバーガー店の地図が、裏面に各ハンバーガー店の店名、住所等及び提供するハンバーガーの写真が表示されているものであり、該マップに掲載されている店は、請求人の構成員の店であるところ、2011年11月版から2015年5月版において、常に23軒ないし25軒の店が掲載されており、職権による調査によれば、令和元年(2019年)5月には、31軒の店が掲載されている(https://www.sasebo99.com/pdf/gourmet/burgermap2018.pdf)ことから、請求人組合に加入する構成員が増加していることがうかがえる。

(2)請求人又はその構成員による本願商標の使用について

ア 上記(1)のとおり、請求人又はその構成員は、請求人が設立された平成22年(2010年)以降、継続して「佐世保バーガー」の文字を使用し、ハンバーガーの製造販売及び提供を行っていることが認められる。

そして、請求人の構成員が、「佐世保バーガー」の文字を使用し、ハンバーガーを製造、販売等する販売個数は、年間100万個前後と推定される(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−3)。上記商品は、請求人の構成員の各店舗において製造、販売、提供されるとともに、ネットを通じて販売される(平成27年11月26日付け手続補足書資料6)ほか、ふるさと納税において、「長崎県佐世保市」に寄付すると、同構成員の商品である「佐世保バーガー」が「お礼の品」としてもらえる(平成29年3月7日付け上申書周知資料11)ことから、自治体の名産品として、地域経済の活性化にも寄与していることがうかがえる。

また、請求人の構成員は、福岡、熊本をはじめ、青森、山形、東京、京都、山口等において開催された多くの物産展に出展し、「佐世保バーガー」の文字及び請求人の構成員を表す文字を付して、実演販売を行ってきた(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S21〜S39、平成29年3月7日付け上申書周知資料6)。

イ 請求人は、上記(1)に記載の「佐世保バーガーマップ」を、各年度に1、2回、6ないし12万部印刷して、請求人の構成員、佐世保市、長崎県、佐世保市内の宿泊施設、佐世保市内の観光施設・案内所、全国の旅行会社等に配布するほか、東京、大阪、名古屋、福岡を含む全国各地のイベント等において配布し、広告宣伝を行ってきた。また、2015年4月ないし9月の期間において、佐世保市内で配布した率と、佐世保市外で配布(長崎県外での配布分を含む。)した率は、いずれも50%であったことから、該「佐世保バーガーマップ」は、長崎県内のみならず、県外の需要者にも相当数配布されていることが推認できる(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−2、平成29年3月7日付け上申書周知資料1)。

ウ 請求人又はその構成員は、「佐世保バーガー」の文字、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーの写真を表示した広告を、「じゃらん」(2011年4月号、リクルート発行)、「九州まるごと遊べるクーポン/ガイドブック」(2014年7月1日〜10月20日版、エースJTB発行)、「佐世保TOWN GUIDE グルメMap Vol.26 2015−2016」(佐世保観光コンベンション協会発行)等の雑誌等に掲載した(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S12、S16、S17、S40〜S43、S46、S49〜S51)。

(3)雑誌、新聞記事等における紹介

ア 佐世保市等によるPR

佐世保市発行の小冊子「佐世保おいしいDAY」において、「『させぼの美味しい』No.1!!!『佐世保バーガー』」の見出しの下、「佐世保のグルメの知名度No.1と言えばこれ!・・・各店舗それぞれが、バンズの大きさ、パテや具材に工夫を凝らし、個性を競っています。」等の記載とともに、請求人の構成員を表す文字が掲載されていること(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S11)、また、公益財団法人佐世保観光コンベンション協会発行の情報誌「TOWN GUIDE Vol.22 2011−2012」において、「佐世保バーガー」の文字、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーの写真が掲載されていること(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S45)、さらに、同協会発行の情報誌「佐世保Town Guide vol.27 2016−2017」において、「佐世保ならでは 絶品グルメ」の見出しの下、「佐世保バーガー」が紹介され、「絶品グルメを食べられるお店」として、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーの写真が掲載されていること(平成29年3月7日付け上申書周知資料3)が認められる。

イ 新聞記事

(ア)2013年(平成25年)12月23日付け「西日本新聞」において、「佐世保バーガー『ハンバーガール』」の見出しの下、「今や全国区の知名度を誇る佐世保バーガーに新たな“風”―。」の記載とともに、請求人の構成員について紹介する記載がある(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S9)。

(イ)2017年(平成29年)1月14日付け「東京新聞」において、「ハンバーガーと軍港のまち 佐世保」の見出しの下、「市の中心街・・・を歩くと、『佐世保バーガー』ののぼりや看板が目につく。」「佐世保バーガーは全国的な知名度を得た」等の記載とともに、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーの写真が掲載されている(平成29年3月7日付け上申書周知資料4)。

(ウ)2017年(平成29年)1月19日付け「西日本新聞」において、「長崎 VS 佐世保」の見出しの下、「佐世保のグルメとして欠かせない『佐世保バーガー』と、長崎の新名物として定着した『角煮まん』。・・・かぶりつくならどっち?」等の記載とともに、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーの写真が掲載されている(平成29年3月7日付け上申書周知資料5)。

ウ 雑誌等刊行物

「佐世保バーガー」の文字、請求人又はその構成員を表す文字及び請求人又はその構成員が提供するハンバーガーの写真が表示された記事が、小雑誌「A級グルメマップ」(2015年10月、日本一長崎和牛ブランド強化県北協議会発行)等の雑誌、パンフレットに掲載されたことが認められる(平成27年4月2日付け手続補足書資料、平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S3、S6、S8、S10、S44、S47、平成29年3月7日付け上申書周知資料7〜10)。

エ テレビ放送

「佐世保バーガー」の文字、請求人の構成員を表す文字及び該構成員が提供するハンバーガーが表示された番組が、2011年(平成23年)9月から2016年(平成28年)までに毎年のように、NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京等において放送されていることが認められる(平成27年11月26日付け手続補足書資料1−S19、S20、平成29年3月7日付け上申書周知資料2、14)。

(4)他人による使用について

当審における職権による調査によれば、原審で示した証拠において「佐世保バーガー」の文字を使用しているとした事業者のうち、半数以上は閉店あるいは使用の事実が確認できないことに加え、東京都、愛知県等において、「佐世保バーガー」の文字を使用する請求人以外の事業者が散在していることが認められたものの、いずれの事業者も多店舗展開をするなどの大規模事業者といえる者ではないことから、これらの者が「佐世保バーガー」の文字を相当程度使用しているものとは認められない。

また、そのほかに、本願商標の商標法第7条の2第1項該当性の判断に影響を与えると認め得るほどの事情も見いだすことはできなかった。

(5)小括

以上のとおり、請求人は、請求人組合が設立された平成22年(2010年)以降、本願商標を使用して、本願の指定商品及び指定役務に係る業務を行なっており、また、本願商標を使用する請求人の構成員が増加していることが認められる。そして、「佐世保バーガー」の販売先は、長崎県及びその隣接県のみならず全国に及ぶこと、さらに、請求人は、「佐世保バーガーマップ(公式ガイドマップ)」等を通じて、自治体と一体となって地域振興のために広報活動等を行っていることが認められる。

また、「佐世保バーガー」が佐世保市の小冊子、ふるさと納税、各種新聞、雑誌、テレビ番組等において、請求人又はその構成員の取り扱う佐世保市の名産品として紹介されている等、自治体や第三者によっても「佐世保バーガー」を請求人又はその構成員の取り扱いに係る商品及び役務並びに商標として紹介されていることが認められる。

したがって、これらの事情を総合考慮すれば、本願商標は、使用をされた結果請求人又はその構成員の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているというべきであるから、商標法第7条の2第1項に該当するものである。

2 まとめ

以上のとおり、本願商標が商標法第7条の2第1項の要件を具備しないとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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