Trademark Appeal Case
商標の称呼と外観の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−6646(T2018−6646/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「CSL」の文字を標準文字で表してなり,第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成29年5月9日に登録出願されたものである。
そして,指定役務については,原審における同年12月4日付け手続補正書により,別掲1のとおりの役務に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録第5796977号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成27年5月21日に登録出願,第35類「事業の企画・運営及び管理に関する助言」及び第42類「コンピュータの設計及び開発,コンピュータソフトウエアの設計及び開発,コンピュータソフトウエアの設計・作成・保守に関する指導及び助言,コンピュータハードウエアの設計及び開発,コンピュータハードウエアの設計に関する助言,他人のためのコンピュータの設計」を指定役務として,同年10月2日に設定登録されたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標
本願商標は,「CSL」の欧文字を標準文字で表してなるところ,該文字は,辞書等に掲載されていない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。
そうすると,本願商標は,その構成文字に相応して「シーエスエル」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,別掲2のとおりの構成よりなるところ,各種のレタリング文字が広く使用され,商品及び役務に標章等を付す際に,様々なデザイン化が行われている現状にあっては,無理なく「C」「S」「L」の欧文字を,青色で,同じ高さ,同じ太さ,同じ描法でつなげて表したものと認識できるというのが相当である。
そして,「CSL」の欧文字は,辞書等に掲載されていない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。
してみれば,引用商標は,その構成文字に相応して「シーエスエル」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討すると,両商標は,外観においては,色彩やレタリングの有無における差異を有するものの,いずれも同じつづりからなる「CSL」の欧文字を表したものとみるのが相当であるから,両者は外観上の共通性を有し,近似した印象を与えるものである。
次に,称呼については,両商標は,「シーエスエル」の称呼を共通にするものである。
そして,観念については,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。
そうすると,本願商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観上近似した印象を与えるものであって,称呼を共通にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願商標の指定役務中,別掲1において下線で示す第35類の指定役務と,引用商標の指定役務中の第35類「事業の企画・運営及び管理に関する助言」とは,共に,事業や企業経営に関する役務であって,各種企業に対し経営に関する指導や助言を行うものであり,主にはコンサルティング事業者によって提供される役務である。
そうすると,両役務は提供の手段,目的,需要者の範囲が一致し,共通の事業者によって提供される役務であるから,両者は同一又は類似の役務というのが相当である。
また,本願商標の指定役務中,別掲1において下線で示す第42類の指定役務と,引用商標の第42類の指定役務「コンピュータの設計及び開発,コンピュータソフトウエアの設計及び開発,コンピュータソフトウエアの設計・作成・保守に関する指導及び助言,コンピュータハードウエアの設計及び開発,コンピュータハードウエアの設計に関する助言,他人のためのコンピュータの設計」とは,共に,コンピュータのソフトウェアやハードウェアを用いた役務,又はこれらの設計や保守,管理を行う役務であって,主にコンピュータのエンジニアやプログラマーのような専門家によって提供される役務である。
そうすると,両役務は,役務の提供の手段,目的が一致し,共通の事業者によって提供される役務であるから,両者は同一又は類似の役務というのが相当である。
オ 小括
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,引用商標は,「CSL」の文字を,文字の一部をつなげた,青い太文字で書し,前記文字に影をつけたレタリングをすることによって,視覚的効果を与える引用商標の構成態様は強い印象を与えるものであり,本願商標は引用商標とは外観において全く相違し,取引者,需要者に与える認識,印象,記憶,連想を全く異ならしめる旨を主張する。
しかしながら,商品及び役務の標章に各種のレタリング文字が広く使用され,様々なデザイン化が行われている現状にあっては,引用商標を構成する「C」「S」「L」の欧文字は,格別デザイン性の高いものともいい難いことを併せ考えるに,引用商標にレタリングがなされていることは,本願商標と引用商標が別異のものであることを認識させるほどの強い印象を与えるものということはできない。
そうすると,両商標は,前記(1)ウのとおり,共に同じつづりの欧文字で構成される商標であって,外観上の共通性を有し,外観において近似した印象を与えるものというのが相当であるから,外観において明確に相違する商標ということはできない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
イ 請求人は,本願商標と引用商標が抵触する役務の分野においては,役務の出所を特定し,提供を受けるか否かを慎重に判断するため,役務の選択においては称呼のみならず外観も捉えること,及びこれらの役務の広告は,プレゼンテーションやインターネットを通じて行われるのが一般的であり,需要者は商標の外観を明確に認識することからすると,当該役務の分野においては,外観において明確に相違する本願商標と引用商標とが相紛れることはない旨を主張する。
しかしながら,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的な実情を指すものではなく,指定商品全般についての一般的,恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ,請求人が主張する本願商標と引用商標が抵触する役務の分野における取引の実情については,それが当該役務の分野における一般的,恒常的な実情というべき証拠の提出はなく,また,そのように解すべき事情も見いだせないものである。
してみれば,かかる請求人主張の取引の実情とは,当該指定役務全般についての一般的,恒常的な実情ということはできないから,本願商標と引用商標についての類否判断が左右されるものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
ウ 請求人は,過去の審査,審決例をあげ,「一方がレタリングされた故に外観上著しく相違した場合には,称呼が同一のものであっても非類似のものとしてきた」,「ローマ字3文字からなる商標の一方がレタリングされてデフォルメされてデザイン化されたもの,ないしは図形と結合された場合には,相互に非類似のものとして登録されてきた」旨を主張する。
しかしながら,請求人が指摘した審査,審決例は,いずれも本件審判とは商標の構成等において相違するものであるから,本件審判とこれらの事件を同一に論ずることは適切とはいえない。
また,そもそも商標の類否判断は,当該商標の査定時又は審決時において,その商標が使用される商品,役務における取引の実情等を考慮し,本件の事案に即して本願商標と引用商標とを対比することにより,個別具体的に判断されるべきものであって,過去の審決例等の判断に拘束されるものではない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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