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Trademark Appeal Case

商品形状の慣用性と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−2852(T2017−2852/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「ソフトクリーム」を指定商品として、平成27年4月16日に位置商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、商品『ソフトクリーム』のクリーム側面の一部に薄いシート状のものを覆うように構成される立体的形状からなるものであるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、クリーム部分に様々な形状の食品をトッピングする実情は一般的であり、本願商標のように、薄いシート状の物質をクリーム部分にトッピングする例も見受けられることから、本願商標についても、通常採用し得る形状の一形態を表したものとして認識されるといえる。そうすると、本願商標を本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、単に商品の美感を向上させるために施されたものであり、通常採用し得る範囲での形状の変更、装飾と認識するにとどまるというのが自然である。したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、本願商標について、使用により識別力を獲得しているから、登録されるべきである旨述べているが、提出された資料からは、本願商標の使用態様、使用数量等が確認できない上、出願人以外の複数の者により、本願商標と類似する標章が使用されていることも認められるから、本願商標は、何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、別掲1のとおり、「商標登録を受けようとする商標」の記載及びそれを特定する「商標の詳細な説明」の記載からなる位置商標であり、第30類「ソフトクリーム」を指定商品とするものである。

ところで、本願の指定商品を取り扱う業界においては、商品の魅力向上や需要者の関心を引くなどといった目的のため、ソフトクリームのクリーム部分に様々なトッピングを施すことが一般に広く行われているところ、原審における平成28年4月21日付け刊行物等提出書及び当審における同29年7月14日付け刊行物等提出書により提出された情報並びに原査定において示した請求人以外の者による使用例によれば、遅くとも2008年以降、請求人と同じ石川県金沢市に所在する他者のほか、福岡県福岡市、香川県仲多度郡琴平町、京都府京都市及び京丹後市、愛知県新城市、静岡県熱海市、東京都中央区銀座等に所在する他者により、シート状の物質(金箔)をソフトクリームのクリーム部分に付したものが製造、販売されている実情が少なからず見受けられる。

そうすると、ソフトクリームのクリームの側面の一部に金箔、銀箔等の金属箔のような薄いシート状の物質を付してなる本願商標は、その指定商品との関係においては、一般に用いられる商品の形状の一形態を表示してなるにすぎず、取引者、需要者をして、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて

請求人は、2015年初め頃から、石川県金沢市に在る自己の4店舗において、本願商標に係る金箔を貼り付けたソフトクリーム(以下「金箔ソフトクリーム」という。)を販売しており、当該金箔ソフトクリームは、販売店舗の名称とともに全国放送のテレビ番組(「テレビ東京」、「日本テレビ」、「テレビ朝日」及び「フジテレビ」によるもの)において度々紹介されていること、また、インターネットのブログ、SNS等で多数紹介されていることから、本願商標は、使用により需要者間に全国的に認識されるに至ったものであり、商標法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張し、その証拠方法として、「TV取材実績(2016年3月10日作成)」及び「2015年3月14日から2016年3月14日までを集計期間とする販売実績(2016年3月24日作成)」の各表を提出している。

そこで、請求人の主張及びその提出に係る上記各表を見るに、2015年2月25日から2016年11月15日までの間に、国内並びにマレーシア、台湾及びインドネシアにおいて放送された複数のテレビ番組で金箔ソフトクリームが紹介されたとしているが、その具体的な内容は、何ら明らかでなく、また、インターネットを通じて多数紹介されたとすることについては、そのことを裏付ける証左の提出が何らなされていない。

また、金箔ソフトクリームの販売実績については、2015年3月14日から2016年3月14日までの間で「107,000個」とされているが、その個数を客観的に裏付ける証左の提出はない上、当該販売実績は、金箔ソフトクリームに対する需要者の認識の程度を推し量る一要素とはなり得ても、それのみをもって、当該需要者の認識の程度を推し量ることは困難である。

さらに、金箔ソフトクリームの販売開始時期が2015年の初め頃とされることからすれば、仮に、その販売が継続されているとしても、その販売期間は、さほど長いものとはいえない。

以上を総合勘案すれば、本願商標は、請求人の主張に係る使用によっては、需要者において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識されていると認めることはできない。

加えて、シート状の物質(金箔)をソフトクリームのクリーム部分に付したものは、上記(1)のとおり、請求人が金箔ソフトクリームの販売を開始したとする2015年の初めよりも相当以前(遅くとも2008年)から、広範囲に所在する複数の他者により、製造、販売されている。

したがって、本願商標は、その指定商品である「ソフトクリーム」について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないから、商標法第3条第2項の要件を具備しない。

(3)請求人の主張について

請求人は、インターネット検索において他店による金箔又は金箔粉を貼り付けたソフトクリームの販売に係る記事が散見されることにつき、本願商標が使用による識別性を獲得した後に、その周知性にフリーライドする意図をもって使用を開始したものと推察される旨主張するとともに、本願商標が使用による識別性を獲得したことを立証すべく、金箔ソフトクリームに関する企画書及び当該企画書を電子公証サービスで登録したことを示す公証証明書並びに金箔ソフトクリームの販売数を証明する書類を提出する用意がある旨述べている。

しかしながら、本願商標は、上記(2)のとおり、その使用によっては、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、需要者に広く認識されるに至っているとはいえないものであるし、また、他者が、本願商標と同様に、ソフトクリームの側面の一部に金箔等の薄いシート状の物質を付してなるものを製造、販売するに当たり、本願商標の周知性にフリーライドする意図を有していたことをうかがわせるに足る事情も見いだせないから、上記請求人による主張は、採用し得ない。

なお、請求人は、金箔ソフトクリームの販売実績についての証拠提出の用意がある旨述べているが、上記(2)のとおり、その販売実績のみをもって、当該ソフトクリームに対する需要者の認識の程度を推し量ることはできないから、その提出がされたとしても、上記(2)の判断を左右することはない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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