Trademark Appeal Case
称呼観念と役務商品類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2018−900247(T2018−900247/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第6052619号商標(以下「本件商標」という。)は、「ブーケソフトクリーム」の片仮名を標準文字により表してなり、平成29年10月12日に登録出願、同30年6月1日に登録査定がされ、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同月15日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議申立ての理由として引用する登録第6004037商標(以下「引用商標」という。)は、「bouquet」の欧文字を標準文字により表してなり、平成28年10月25日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同29年12月15日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、本件商標登録は同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 要部の検討
(1)本件商標の要部についての検討
本件商標は、「ブーケソフトクリーム」の片仮名を標準文字で表したものであり、第43類「飲食物の提供」との関係において、「ソフトクリーム」部分は、提供する役務の飲食物の普通名称である。
したがって、本件商標のうち、「ソフトクリーム」部分は、第43類「飲食物の提供」との関係において、自他商品役務識別力を有さない語であるから、本件商標は、「ブーケ」部分が唯一商標の要部として認識される。
(2)引用商標の要部についての検討
引用商標は、「bouquet」の欧文字を標準文字で表したものであり、その構成から自他商品役務識別力を発揮する商標の要部を検討すれば、「bouquet」が唯一商標の要部として認識される。
2 本件商標と引用商標の類否について
(1)称呼について
本件商標は、上述の構成態様からなるところ、本件商標の要部である片仮名文字の「ブーケ」からは、唯一「ブーケ」の自然称呼が生ずる。
一方、引用商標は、上述の構成態様からなるところ、引用商標の要部である欧文字の「bouquet」からは、唯一「ブーケ」の自然称呼が生ずる。
そこで、本件商標の自然称呼「ブーケ」と引用商標の自然称呼「ブーケ」についてその称呼の類否を検討すれば、称呼において同一である。
(2)観念について
上述のとおり、本件商標の要部は、片仮名の「ブーケ」、引用商標の要部は、欧文字の「bouquet」であるところ、これらの文字は、「花束」の意味を有する英語又はフランス語であって、その観念の類否を検討すれば、ともに「花束」の意味が生じるものであり、本件商標と引用商標の観念は、同一である。
3 指定商品及び指定役務の類否について
本件商標の指定役務である「飲食物の提供」は、引用商標が使用されている商品「菓子」などの飲食物を提供する役務であり、この第43類の「飲食物の提供」の役務と第30類の商品とは、いずれの商品又は役務になるかを判断することが容易でない場合がある。
また、取引者・需要者において、この違いを理解して商品を購入、又は役務の提供を受けていることは皆無であると推測する。
そして、様々な飲食物製造・販売メーカー及び飲食店において、同一の商標を使用して、第30類の商品の販売と第43類の役務の提供が同時に行われている。
例えば、大手ファストフードチェーンストア「マクドナルド」、大手牛丼チェーン店「吉野家」などでは、それぞれ、「マクドナルド」、「吉野家」の商標が、第30類の商品と第43類の役務に使用されている。申立人が、引用商標を使用する菓子の業界においても、例えば、商標「不二家」は、第30類の商品「菓子」と第43類の役務「飲食物の提供」にそれぞれ使用されている。
このように、第30類の商品「菓子」と第43類の役務「飲食物の提供」とは、極めて密接な関係性を有しているものである。
そして、実際に、本件商標の権利者が運営する店舗では、「ブーケソフトクリーム」は、商品としてのテイクアウトが可能であるとされている(甲3)。
本件のように、第43類の役務「飲食物の提供」としての商標が、商品の名称でもある場合には、需要者・取引者において、商品又は役務のいずれに使用される商標であるかを混同するものである。
よって、本件商標の指定役務は、引用商標が使用されている商品とは、その使用態様によって、需要者・取引者において混同を生じさせ、類似するものである。
4 以上より、本件商標と引用商標とは、類似する商標であるとともに、本件商標の指定役務は、引用商標の指定商品と類似である。
よって、本件商標は、引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「ブーケソフトクリーム」の片仮名からなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、全体としてまとまりよく表されているものであって、外観上、いずれかの文字部分が、他の部分から独立して強調されているものではない。
そして、その構成文字全体から生ずる「ブーケソフトクリーム」の称呼も格別冗長というべきものでもなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標は、その構成中、後半部の「ソフトクリーム」の文字が、「空気を入れながら凍らせた半流動状の柔らかいアイス−クリーム。」(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)を認識させるものであり、商品としての「ソフトクリーム」との関係では、商品の普通名称として自他商品の識別力を有さないといい得るとしても、本件商標の指定役務である「飲食物の提供」との関係においては、役務の普通名称であるとみるべき事情は見いだせず、直ちに、自他役務の識別力を有さないとして、本件商標に接する取引者、需要者が、「ソフトクリーム」の文字部分を捨象して本件商標を認識、記憶するものとみるのは妥当でない。
その他、本件商標について、「ソフトクリーム」の文字部分を捨象し、前半部の「ブーケ」の文字部分のみが分離抽出されて看取、把握されると認めるに足りる証拠の提出もない。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって一体不可分の造語として認識し、把握されるとみるのが相当であり、その構成文字全体に相応する「ブーケソフトクリーム」の称呼のみを生じ、特定の観念は、生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「bouquet」の欧文字からなるところ、該文字は、「花束」の意味を有する語として一般によく親しまれているものであるから(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)、引用商標からは、「ブーケ」の称呼が生じ、「花束」の観念が生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、上記(1)及び(2)のとおり、片仮名と欧文字の文字種の相違、及び「ソフトクリーム」の文字の有無という明らかな差異を有するものであるから、本件商標と引用商標とは、外観上、判然と区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ブーケソフトクリーム」の称呼と引用商標から生じる「ブーケ」の称呼とは、「ソフトクリーム」の音の有無の差異により、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないものであるから、両商標は、商品の出所の誤認、混同を生ずるおそれのない、互いに非類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定役務は、第43類「飲食物の提供」であり、引用商標の指定商品は、第30類「菓子及びパン」であるところ、第43類に属する役務「飲食物の提供」は、食堂、レストラン、そば店、うどん店、すし店、ハンバーガー店、喫茶店等が、主として消費のための飲食物(料理及び飲料)を提供する役務であり、一般的には、需要者が提供される場所へと出向いて、提供を受ける場合が多いものといえるのに対し、第30類に属する商品「菓子及びパン」は、食用に供されるように処理した食品であって、「パン屋、菓子店」等の専門店のほか、「コンビニエンスストア、百貨店」等における個別売場で販売され、流通することを予定している商品である。
そして、「菓子及びパン」の商品の取引形態、流通経路についてみると、近時の生活の多様化、店舗経営のボーダーレス化などに伴い、これらの商品は、前記商品の販売店のほか、食堂、レストラン、ハンバーガー店などで、飲食物を提供するとともにその場で飲食をしないで持ち帰るテイクアウト商品として販売している実情もある。
しかしながら、「菓子及びパン」の商品の一般的な取引形態、流通経路としての販売店は、パン屋、菓子店、コンビニエンスストア、百貨店等であることが圧倒的に多く、このような形態、経路が一般的な商品の取引、流通の常態であるというべきであって、このことを覆すに足りる証拠の提出はない。
しかも、「飲食物の提供」の役務には、「西洋料理を主とする飲食物の提供」、「中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供」、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」などが包含されており、これらを個別具体的にみれば、「うどん又はそばの提供」、「うなぎ料理の提供」、「すしの提供」、「てんぷら料理の提供」、「とんかつ料理の提供」、「イタリア料理の提供」、「スペイン料理の提供」、「フランス料理の提供」、「ロシア料理の提供」、「インド料理の提供」、「広東料理の提供」、「四川料理の提供」など多数の役務が存在しており、これらの役務を提供する大多数の店舗において、通常、商品「菓子及びパン」をテイクアウトの形態で販売しているという事情は見いだせない。
そうすると、「飲食物の提供」の役務において、「菓子及びパン」の商品を取り扱うことが、一般的、恒常的な取引の実情であるということはできない上、両者間に密接な関連性があるとみることもできない。
してみれば、第43類「飲食物の提供」と第30類「菓子及びパン」とは、それぞれの業務に係る事業者並びに役務の提供場所と商品の販売場所が異なる上、その取引形態、流通経路等も共通にするものではないから、類似するものではない。
以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、また、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品も非類似の商品及び役務であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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