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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−2527(T2017−2527/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,薄群青色(RGBの組合せ:R103,G133,B193)のみからなるものであり,第9類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成27年4月1日に登録出願されたものであるが,その指定商品及び指定役務については,原審における同28年2月15日付け手続補正書により,第9類「電気通信機械器具,通信ネットワークを通じてダウンロードが可能な電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ・ICカード等の記録媒体,その他の電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ・ICカード等の記録媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,未記録の磁気ディスク・磁気テープ・ICカード等の記録媒体,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,通信ネットワークを通じてダウンロードが可能な音声・音楽,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,通信ネットワークを通じてダウンロードが可能な映像,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物,新聞・雑誌・書籍・地図・写真等の画像情報・文字情報を記録させた磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク等の記録媒体」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は,「商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものである。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,提出された証拠において示された本願商標と同一と推測される色彩の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,請求人に対し平成30年7月4日付けで証拠調べ通知書を通知し,相当の期間を指定して,意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見(要旨)

(1)本願商標について

本願商標は,請求人が1988年にコーポレートカラー(商標)として採択したものであり,「人を大切にする」,「人が価値を生み出していく」という思いを表現しているものであることから,柔らかく温かみのある落ち着いた色調の色彩とし,「ヒューマンブルー」と名付け,商標として大切に使用してきているものである。

ところで,証拠調べ通知書では,青系の色彩が使用された例が挙げられているところ,色彩とは,その色彩が有する色相,彩度,明度等の構成によって多種多様であり,これらの青系の色彩を一括りにして同一視するべきものではない。我が国の国民は,古来より,これらを区別し認識してきているのである。

(2)証拠調べ通知書にて指摘された使用例について

証拠調べ通知書では,本願の指定商品の分野である電気通信機械器具や電子応用機械器具等を取り扱う業界において通常使用される青色は,発色の良い明るい青色やメタリック調で目立つ青色,又はそれらの色を用いたグラデーションであるように見て取れるところ,本願商標の色彩「ヒューマンブルー」は,これらとは異なる特異性を有しており,明確に区別しうる全く異なる色彩である。

使用例1ないし使用例21については,色彩が異なるものや単色でないものであるから,本願商標の色彩とは全く異なるものである。このことは,本願商標の色彩が,通常,商品や商品の包装に使用されえない特異性のある色彩であることを裏付けるものである。そして,このような本願商標の色彩を本願商標の指定商品に使用しても,これに接する取引者や需要者は,商品の通常有する色彩を表したものとは認識しない。

(3)小括

本願商標は,日本最大のシステムインテグレータである請求人のコーポレートカラー(商標)として,継続的かつ大々的に使用してきた商標である。

色彩のみからなる商標においては,登録出願時に,色彩を特定するための色彩名の他,三原色(RGP)の配合率,色彩見本帳の番号等を明記し,色彩についての具体的かつ明確な説明が必要であり,また,色彩は,本来,商品等の美観を高めるためなどに使用されるものであり,色彩のみからなる商標の登録に当たっては,出願商標と同一色を永年にわたって,大々的に使用してきたことにより,顕著性を獲得することが必要である。そして,このような高い顕著性を有する色彩の指標力は,極めて高いものであり,同じ基調の色彩であったとしても,他の色とは明確に区別しうるものと解するべきである。

そうすると,継続的かつ大々的に使用してきた高い指標力を有する本願商標は,証拠調べ通知書にて指摘された色彩とは,明確に区別しうるものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,薄群青色(RGB:R103,G133,B193)のみからなるものである。

そして,商品あるいはその包装の色彩や色彩構成(複数の色彩の組合せ)は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示するものではないと解されるところ,本願の指定商品である「電気通信機械器具,電子応用機械器具」等を取り扱う業界においては,商品の特徴として,商品の装飾や模様などに様々な色彩が用いられており,薄群青色ないし本願商標を構成する色彩に近似する色彩についても,原査定において示した「株式会社日本HP」の青色を使用したウェブサイトや「ソースネクスト株式会社」の青色を使用したコンピュータソフトウェアのパッケージを含め,別掲2のとおり,その商品の装飾などとして,色彩や色彩構成が一般に広く用いられているというのが実情である。

そうすると,薄群青色の色彩のみからなる本願商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,商品に通常使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないとみるのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の要件を具備するかについて

請求人は,「本願商標は,請求人が『コーポレートカラー』として,永年,様々な態様で継続的かつ大々的に使用してきた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているものであるから,商標法第3条第2項の適用によって,登録されるべきである。」旨を主張し,その主張に係る証拠として甲第1号証ないし甲第57号証(枝番を含む。)を提出している。

そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

ア 本願商標の使用実績について

請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,以下のとおりである。

(ア)請求人について

請求人は,1967年(昭和42年),現在のNTTである日本電信電話公社内に設置されたデータ通信本部を基礎とし,1988年(昭和63年)にNTTデータ通信株式会社として発足した企業であり,2003年(平成15年)には,株式会社NTTデータ北海道,東北,信越,東海,北陸,関西,中国,四国,九州を設立(甲14)し,その営業範囲は全国に及んでいる。

そして,請求人は,情報システム分野における企画・開発からシステム構築,運用・保守に至るまで一括して請け負うシステムインテグレーション事業やネットワークシステムサービス事業を主業としている(甲15,甲16)。

(イ)本願商標の使用方法及び使用開始時期について

請求人は,1988年(昭和63年)の会社設立以来,本件商標を構成する薄群青色と同じ色彩と認識される青色(以下「本願青色」という。)を,「ヒューマンブルー」(甲11,甲13)と称し,コーポレートカラーとして採用し,「NTT DaTa」の文字(以下「ロゴ文字」という。)の色彩,又はその背景色として使用している(甲12,甲15,甲17〜甲36等)。

具体的には,請求人は,本願青色をロゴ文字の色彩又はロゴ文字の背景色として会社案内(甲15,甲30),アニュアルレポート(甲18,甲31),入社案内(甲26,甲27,甲28,甲32),ウェブサイト(甲29),CM(甲39,甲40)等に使用し,さらに,ウェブサイト(甲29),会社案内(甲15,甲30),アニュアルレポート(甲18,甲31)等の自社の基礎データや事業内容などの基調色に,又はウェブサイト(甲29),CM(甲40)の背景色として本願青色を使用している。

しかしながら,上記会社案内,アニュアルレポート等の一部には,本願青色の使用とともに,情報システム分野における企画・開発,システム構築等に関する記載は認められるものの,本願商標の指定商品に関する記載は認められない。

(ウ)広告宣伝の方法,回数及び内容について

a 請求人は,看板にロゴ文字の背景色として本願青色を使用し(甲19〜甲23),自社の紙袋にロゴ文字の色彩や袋の一部に本願青色を使用している(甲34)。

b 請求人は,請求人に係るCMを1996年(平成8年)から2015年(平成27年)までに3500回にわたり放映を行い,この一部については,CMの放送確認書を提出し,この中の一部のCM(救急医療システム篇,data for:the open)において,ロゴ文字の色彩や広告の背景色の色彩として,本願青色を使用している(甲39〜甲42)。

c 請求人は,日経ビジネス,週刊ダイヤモンド等の経済誌,日経コンピュータなどコンピュータ雑誌を中心に,継続的に,のべ94雑誌(甲43)に本願青色をロゴ文字の色彩や誌面の一部の色彩として使用した(甲44)。

d 請求人は,新聞においてものべ47紙(甲45)に新聞広告として,ロゴ文字の背景色の色彩や広告の一部の色彩として本願青色を使用した(甲46)。

e その他の広告

請求人は,駅や空港に設置した看板(甲47〜甲50),地下鉄の中吊り広告(甲51〜甲54),各種スポーツ大会への広告(甲55)において,ロゴ文字の背景色の色彩や広告の一部の色彩として本願青色を使用した。

f しかしながら,上記広告宣伝(CM,雑誌,新聞,中吊り広告)等の一部には,本願青色の使用とともに,情報システム分野における企画・開発,システム構築等に関する記載は認められるものの,本願商標の指定商品に関する記載は認められない。

(エ)売上高について

請求人に係る事業全体の売上高は,2011(平成23)年度から2015(平成27)年度までの5年間で,平均1兆4047億円(甲15,甲18)である。

イ 本件商標がいわゆる使用による特別顕著性を獲得しているかについて

上記アによれば,請求人は,システムインテグレータとして,1988年(昭和63年)以降,現在に至るまで,全国において継続して,ロゴ文字の色彩やロゴ文字の背景色の色彩として,又はウェブページや会社案内等の背景色として30年以上使用していることが認められる。

また,請求人は,広告宣伝(CM,雑誌,新聞,中吊り広告)等においても,本願青色をロゴ文字の色彩やロゴ文字の背景色の色彩として,また,本願青色を雑誌及び新聞の広告の装飾として使用していることが認められる。

しかしながら,本願青色は,ロゴ文字の色彩やロゴ文字の背景色の色彩として使用され,又は広告の装飾として使用されているものであるから,本願商標に接する取引者,需要者をして,ロゴ文字の装飾や広告の装飾として認識されるとみるのが相当であり,その使用に係る本願青色のみが独立して出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるものとはいい難い。

さらに,請求人は,本願商標について,会社案内,アニュアルレポート,広告宣伝(CM,新聞,雑誌,交通広告)等には,本願青色の使用とともに,情報システム分野における企画・開発,システム構築等に関する記載は認められるものの,本願商標を指定商品について使用している事実は認められず,そして,請求人は,売上高について2011(平成23)年度から2015(平成27)年度までの5年間で,平均1兆4047億円の売上高であるとしても,本願商標を使用している指定商品についての生産・販売の数量及び市場占有率等は確認できない。

広告宣伝についても,CMの放映回数,雑誌の広告掲載雑誌数,新聞の広告掲載新聞数はそれぞれ認められるとしても,これらの広告宣伝において,本願商標を指定商品に使用していることについて確認することができない。

以上よりすると,本願商標は,これに接する取引者,需要者をして,これが何人かの業務に係る商品であることを認識させるということはできず,本願商標の色彩についての需要者の認識を客観的に把握することもできないことから,本願商標が使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,本願商標が,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。

(3)請求人の主張について

請求人は,「色彩とは,その色彩が有する色相,彩度,明度等の構成によって多種多様であり,これらの青系の色彩を一括りにして同一視するべきものではない。例えば,甲第57号証は,『色』を検索できるウェブサイトの写しであるところ,青系の色彩だけでも,氷を思わせる薄い青色や,陽が届かない深い海を思わせる青色,澄み切った明るい空を思わせる青色等,様々な青系の色彩があり,我が国の国民は,古来より,これらを区別し認識してきているのである。」旨を主張している。

しかしながら,多少の色味の相違があるとしても本願商標の色彩と同系色の色彩が多数の商品に使用されている実情があることには変わりなく,本願商標に接した取引者,需要者が本願商標の色彩と第三者が使用する同系色の色彩との色味の相違を判別するほどの特異性を有する色彩とは認められない。

したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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