Trademark Appeal Case
単色商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2017−5897(T2017−5897/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,黄色(CMYKの組合せ:C0,M20,Y100,K0)のみからなるものであり,第6類「鉄及び鋼」を指定商品として,平成27年5月7日に登録出願されたものである。
第2 原審の拒絶の理由(要点)
原査定は,「商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の魅力向上等のために選択されるものであって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものである。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,提出された証拠において示された本願商標と同一と推測される色彩の使用状況や使用態様からは,色彩のみからなる本願商標が独立して識別力を有するに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
第3 当審における審尋
原査定は,上記第2のとおり,本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し,同法第3条第2項に規定する要件を具備するものではないと判断したものであるが,当審は,本願商標は同法第3条第1項第6号に該当するとの判断に至ったことから,平成30年10月23日付けで,同号該当性を理由とする審尋を通知し,期間を指定して,請求人に意見を述べる機会を与えた。
第4 請求人の意見
請求人は,上記審尋に対し,何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本願商標は,当審が平成30年10月23日付けで通知した審尋(商標法第3条第1項第6号該当)により,商標登録を受けることができないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は,上記第1のとおり,色彩のみからなる商標であって,黄色(CMYKの組合せ:C0,M20,Y100,K0)のみからなるものである。
そして,本願の指定商品である「鉄及び鋼」を取り扱う業界においては,その商品自体に着色をして,商品を製造,販売するということは,一般的に行われていないとしても,別掲2のとおり,商品を販売するにあたっては,商品の広告や製造販売業者のホームページなどにその企業を表す図形や文字とともに色彩が使用されている。
また,一般に,これらの色彩は,取引者,需要者の注意を向けるため,購買意欲を高めるため,又は,商品や企業のイメージを伝えるために,単に,装飾的色彩として様々な色彩が使用されていることは公知の事実である。
そうすると,黄色の色彩のみからなる本願商標をその指定商品の広告や製造販売業者のホームページ等に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その黄色の色彩に注意を向けたり,購買意欲を高めたり,又は,商品や企業のイメージを伝えるために,通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。
(2)本願商標の使用状況について
請求人は,「コーポレート・アイデンティティ規程」を制定した上で,総合カタログの表紙や製造所の看板等に本願商標に係る黄色を使用し,また,カタログ等の一部に本願商標に係る黄色を使用しており,自他商品を識別するための色彩として商標に使用しているものである旨を主張しているので,以下検討する。
ア 請求人の提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)請求人は,1991年(平成3年)6月11日に「コーポレート・アイデンティティ規程」(甲1の1)を制定し,その中の「基本要素 トピー工業を表す基本要素」(甲1の2)において,請求人の社名を表した「TOPY」の文字を4つの連続させた亀甲の枠の中に表示したコーポレートマーク(以下「ロゴ図形」という。)を定め,また,コーポレートカラーとして本件商標と同一と認められる色(以下「本願黄色」という。)を定めた。さらに,ロゴ図形の内部を本願黄色で塗りつぶした図形(以下「黄色ロゴ図形」という場合がある。:甲1の4)を定めた。
(イ)請求人が2015年(平成27年)3月に作成した総合カタログには,その表紙の下に「黄色ロゴ図形」が表示されており,また,該カタログの見開き右側頁の右下及び裏表紙の左側中央に「黄色ロゴ図形」が表示されている(甲2)。
(ウ)請求人の製造所の看板の写真には,建物の外壁に「黄色ロゴ図形」が表示されているが,撮影された日付の記載はない(甲3)。
(エ)請求人が使用する業務用封筒があり,全体が本願黄色で着色されており,封筒の表の下部と封筒の蓋の部分に,「ロゴ図形」が表示されている(甲4)。
しかしながら,当該業務用封筒がいつからどの程度の数が使用されているかについては,明らかでない。
(オ)請求人のインターネットのホームページには,各頁の左上部に「黄色ロゴ図形」が表示され,その下の各項目名の前に小さな本願黄色の長方形が表示されている(甲5)。
(カ)請求人が平成7年(1995年)10月1日に作成した30年記念誌には,その表紙の下部に,「黄色ロゴ図形」が表示されている(甲6)。
また,請求人が作成したトピーグループのパンフレット(甲7),2007年(平成19年)10月に作成した豊橋製造所のパンフレット(甲8)及び2008年(平成20年)に作成されたとする「オフロード用リム」のパンフレット(甲9)の表紙及び裏表紙に「黄色ロゴ図形」が表示されている。
イ 上記アによれば,以下のとおり判断できる。
(ア)本願黄色の使用方法及び使用期間について
請求人は,平成3年(1991年)6月に「コーポレート・アイデンティティ規程」を制定し,記念誌(1995年(平成7年)発行:甲6),その後,豊橋製造所のパンフレット(2007年(平成19年)10月発行:甲8),総合カタログ(2015年(平成27年)3月発行:甲2),「オフロード用リム」のパンフレット(2008年(平成20年):甲9)及び自社のホームページ(印刷日2017年(平成29年)6月20日:甲5)には,それぞれに「黄色ロゴ図形」を使用し,かつ,パンフレット等の一部に本願黄色を色彩として使用していることから,本願黄色をパンフレット及びカタログ等に約28年間継続して使用していることが認められる。
しかしながら,請求人の総合カタログ,看板,インターネットのホームページ,記念誌及びパンフレットに使用されている本願黄色の色彩は,主に,「黄色ロゴ図形」として使用され,「黄色ロゴ図形」は,請求人の社名を表した「TOPY」の文字が表されていること,及び上記1(1)のとおり,色彩は,取引者,需要者の注意を向けるため,企業のイメージを伝える等のために,単に,装飾的に使用されていることからすると,「TOPY」の文字が単独で出所識別標識としての機能を有するものと認められ,本願黄色の色彩のみによって,請求人の出所識別標識として理解されるものということはできない。
そして,請求人が使用する業務用封筒(甲4)は,その使用数等が明らかでないし,また,自社のホームページ(甲5)は,「黄色ロゴ図形」以外については,特段,本願黄色が目立つように使用されているものとはいえないから,本願黄色の色彩のみによって,請求人の出所識別標識として理解されるものということはできない。
(イ)宣伝広告の方法,回数,頻度について
請求人は,上記のとおり,総合カタログ,看板,インターネットのホームページ,記念誌及びパンフレットに,「黄色ロゴ図形」及び本願黄色を一部に色彩として使用していることは認められるが,これらについて,頒布した方法及び使用した範囲等が明らかでなく,さらに,「黄色ロゴ図形」及び本願黄色を使用した新聞及び雑誌等の広告に関する証拠の提出もない。
(ウ)売上高等について
請求人は,本願商標の指定商品に係る売上高,生産,販売数量,市場シェア及び広告宣伝費等について確認できる証拠は提出していない。
ウ 以上によれば,本願黄色は,需要者において強く支配的な印象をもって認識されているとはいい難い。
したがって,本願黄色のみからなる本願商標は,需要者において,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識されるに至っているとはいい難い。
その他,請求人の主張及び同人提出の甲各号証を総合してみても,本願商標が,その使用の結果,請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者に認識されていると認めるに足りる事実は見いだせない。
2 請求人の主張について
請求人は,「本願商標の指定商品は,消費者などの一般需要者を対象とするものではなく,特定の取引界における限られたユーザーを対象としたものであり,本件商標の使用地域,広告宣伝の規模等については,一般的な消費財の場合とは異なる。・・・これらパンフレットの発行部数は3000部程度であるが,トピー工業グループにおける相互の広告があいまって,需要者の認識が広まっているといえる。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標の指定商品との関係においては,上記1(2)のとおり,請求人は,数種類のカタログ及びパンフレット等を提出するのみであって,これらがどのように頒布されたか明らかでないし,しかも,新聞及び雑誌等の広告媒体に関する証拠の提出はなく,具体的にどのようにしてトピーグループにおける相互の広告が行われたかを確認する証拠の提出もないから,本願商標に対する需要者の認識を確認することができない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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