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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−7002(T2018−7002/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,「MHI」の欧文字を標準文字で表してなり,第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,求人情報の提供,介護施設事業の管理,介護事業の管理,商品の販売に関する事務の代理又は代行,経理事務の代行」,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,放送番組の制作,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」,第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器及びその構成部品の設計及び試験,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器の開発及び試験に関する助言・指導及び情報の提供,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器に関する技術的研究,工業上の分析及び調査,科学に関する研究開発,技術的な研究」,第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)」及び第44類「医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,介護」を指定役務とし,平成28年2月26日に登録出願された商願2016−20772に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同29年9月1日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第3128873号商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲のとおり

登録出願日:平成4年8月24日

設定登録日:平成8年3月29日

最新更新登録日:平成28年3月29日

指定役務:第41類「技芸・スポ―ツ又は知識の教授,放送番組の制作,健康・医学に関するセミナ―および講演会の運営又は開催,録画済み磁気テ―プの貸与」

(2)登録第3152411号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲のとおり

登録出願日:平成4年8月24日

設定登録日:平成8年5月31日

最新更新登録日:平成28年5月10日

指定役務:第42類「求人情報の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,医療機器又は医療具の研究,医学に関する調査又は研究,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護」

(3)登録第3229608号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:別掲のとおり

登録出願日:平成4年8月24日

設定登録日:平成8年11月29日

最新更新登録日:平成28年11月1日

指定役務:第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,診療報酬明細書の審査」

なお,引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは,「引用商標」という。

3 当審の判断

(1)商標の類否判断について

商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。

この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。

上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。

(2)本願商標について

本願商標は,前記1のとおり,「MHI」の欧文字を標準文字により表してなるところ,当該文字は,辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものである。

そうすると,本願商標は,その構成文字に相応して,「エムエイチアイ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)引用商標について

引用商標は,別掲のとおり,構成中の左側には,黒塗りの円状図形のやや右寄りの部分を下部に丸みをもたせた細長い縦線により,上部から下部に向かって一部白抜きし,右上部を直角状に突き出した図形(以下「図形部分」という。)を配し,構成中の右側には,上部に,太文字で大きく「MHI」の欧文字を横書きし(以下「上文字部分」という。),その下部には,上文字部分よりはるかに小さく細い字体で,「MEDICAL」,「HEALTH」及び「INTELLIGENCE」の欧文字(以下「下文字部分」という。)を,上文字部分と一文字目の位置をそろえて,3段で横書きした構成からなるものである。

また,引用商標の構成中,図形部分,上文字部分及び下文字部分は,いずれも,重なることなく間隔を空けて配置されており,それぞれが視覚的に分離して看取され得るといえるものである。

そして,図形部分は,我が国において特定の事物又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないことから,図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じないものである。

また,上文字部分の「MHI」の文字は,辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語といえるものであるから,当該文字部分からは,その構成文字に相応して,「エムエイチアイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

さらに,下文字部分の「MEDICAL」,「HEALTH」及び「INTELLIGENCE」の文字は,同じ大きさ,同じ書体で3段にまとまりよく表されているところ,これらの文字は,それぞれが「医学の」,「健康」,「知能」を意味する英語(「ジーニアス英和辞典第5版」大修館書店)であるものの,これら全体としては辞書等に掲載のない語であって,特定の観念を認識させない一種の造語というのが相当である。

してみれば,下文字部分からは,その構成文字に相応して,「メディカルヘルスインテリジェンス」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

そうすると,上文字部分と,下文字部分とは,いずれも特定の観念を生じないものであり,両部分は,明らかに異なる大きさ,太さで表されていることを考え併せると,上文字部分と,下文字部分との間に,観念や外観上,何らかの関連性があるとは認められないものである。また,両部分を併せた称呼である「エムエイチアイメディカルヘルスインテリジェンス」の称呼は極めて冗長なものである。

さらに,図形部分についてみるに,これより称呼及び観念は生じないものであって,外観,称呼及び観念において,上文字部分及び下文字部分のいずれとも,何らの関連性は認められないものである。

そうすると,引用商標中の各構成部分は,それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできず,それぞれの部分が独立して,自他役務の識別標識として機能し得るというのが相当である。

そして,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,引用商標に接する取引者,需要者は,その構成中,太文字で大きく明瞭に表され,称呼しやすい欧文字からなる「MHI」の文字部分に着目し,これを記憶にとどめて取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。

してみれば,引用商標の構成中,「MHI」の文字部分を要部として抽出し,これをもって他人の商標と比較し,商標そのものの類否を判断することも許されるといえるものである。

したがって,引用商標は,その構成文字の全体から生じる「エムエイチアイメディカルヘルスインテリジェンス」の称呼のほか,その構成中の「MHI」の文字部分に相応して「エムエイチアイ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。

(4)本願商標と引用商標の類否について

本願商標と引用商標の類否について検討すると,両商標は,構成全体の外観においては相違するものの,本願商標と引用商標構成中の「MHI」の文字部分とは,同じつづりの欧文字からなるものであるから,両者は外観上類似するというのが相当である。

次に,称呼については,両商標は,「エムエイチアイ」の称呼を共通にするものである。

そして,観念については,両商標は,共に特定の観念を生じないものであるから,観念において比較することはできない。

そうすると,本願商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観上類似し,称呼を共通にするものであるから,外観,称呼,観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考察すれば,両者は互いに相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。

(5)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について

ア 本願商標の指定役務と引用商標1の指定役務の類否について

本願商標の指定役務中,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,放送番組の制作,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」は,引用商標1の指定役務である第41類「技芸・スポ―ツ又は知識の教授,放送番組の制作,健康・医学に関するセミナ―および講演会の運営又は開催,録画済み磁気テ―プの貸与」と,同一又は類似の役務である。

イ 本願商標の指定役務と引用商標2の指定役務の類否について

本願商標の指定役務中,第35類「求人情報の提供」,第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器及びその構成部品の設計及び試験,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器の開発及び試験に関する助言・指導及び情報の提供,風車・風力発電装置・風力タービン・風力作動式機器に関する技術的研究,工業上の分析及び調査,科学に関する研究開発,技術的な研究」,第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)」及び第44類「医療情報の提供,健康診断,栄養の指導,介護」は,引用商標2の指定役務である第42類「求人情報の提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,医療機器又は医療具の研究,医学に関する調査又は研究,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護」と,同一又は類似の役務である。

ウ 本願商標の指定役務と引用商標3の指定役務の類否について

本願商標の指定役務中,第35類「広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,コンピュータデータベースへの情報編集,介護施設事業の管理,介護事業の管理,商品の販売に関する事務の代理又は代行,経理事務の代行」は,引用商標3の指定役務である第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,文書又は磁気テープのファイリング,診療報酬明細書の審査」と,同一又は類似の役務である。

(6)小括

以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似する商標であり,かつ,引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(7)請求人の主張について

ア 請求人は,引用商標は,その構成中の図形部分を除いて類否判断が行われるべきではなく,引用商標の全体をもって他の商標と対比すべきであり,仮に,引用商標について要部観察や分離観察が行われるとしても,構成中の「MHI」の文字は,その下部の「MEDICAL HEALTH INTELLIGENCE」の略称として認識されるものであって,両文字部分は一体不可分のものであるから,引用商標中の「MHI」の文字部分が単独で出所識別標識としての機能を果たすことはない旨,主張する。

しかしながら,前記(3)のとおり,引用商標構成中の図形部分と上文字部分及び下文字部分とは,視覚的に分離して看取されるものであり,称呼上及び観念上においても,何らの関連性は認められないものである。

そうすると,図形部分は,その余の構成部分と,常に一体不可分のものとして認識されるべきとはいえないものである。

さらに,引用商標構成中の「MHI」の文字は,引用商標の指定役務の取引者,需要者に,その下部の「MEDICAL HEALTH INTELLIGENCE」の略称として知られているというべき事情はなく,外観上も,上文字部分は,下文字部分に比して,明らかに大きく太い書体で表され,看者の注意をより強く引く部分といえることからすれば,両文字部分が,常に一体不可分のものとして認識されるべきものということもできない。

してみれば,引用商標の構成中,「MHI」の文字部分を要部として抽出し,この部分をもって,本願商標との類否を判断することも許されるというのが相当である。

イ 請求人は,本願商標と引用商標の指定役務には,機密性の高い個人情報を扱う役務や,専門性が高い役務が含まれることから,当該指定役務の分野においては,高度な注意を払って取引が行われる実情があり,両商標について,互いに誤認混同が生ずることはない旨,主張する。

しかしながら,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,単に当該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的,限定的な実情を指すものではなく,指定商品全般についての一般的,恒常的な実情を指すものと解すべきである(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照)ところ,請求人が主張する本願商標と引用商標の指定役務の分野における取引の実情については,それが当該役務の分野における一般的,恒常的な実情であるというべき証拠の提出はなく,また,そのように解すべき事情も見いだせないものである。

してみれば,かかる請求人主張の取引の実情は,当該指定役務全般についての一般的,恒常的な実情ということはできないから,本願商標と引用商標についての類否判断を左右するものではない。

ウ 請求人は,図形と欧文字からなる商標が,全体観察により類否判断された例とする過去の審決例をあげて,本願商標と引用商標の類否判断も,これらと同様になされるべきである旨,主張する。

しかしながら,本願商標及び引用商標とこれらの審決例とは,色彩の有無や,文字や図形の配置方法など,その構成及び態様が異なり,事案を異にするものであるから,同一に論ずることは適切ではなく,また,そもそも商標の類否判断は,当該商標の査定時又は審決時において,その商標が使用される商品,役務における取引の実情等を考慮し,その事案に即して本願商標と引用商標とを対比することにより,個別具体的に判断されるべきものであるから,当審における判断が,請求人の挙げた過去の審決例等の判断に拘束されるものではない。

エ したがって,上記請求人の主張は,いずれも採用することができない。

(8)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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