sokuhyo

Trademark Appeal Case

ハイパーリニアの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第9785号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「ハイパーリニア」の片仮名文字と「HYPERLINEAR」の欧文字を二段に書してなり、第7類に属する商品を指定商品として、平成9年11月21日に登録出願、その後、指定商品については、最終的に同12年7月3日付手続補正書により「リニアモータ(陸上の乗物用のリニアモータ(その部品を除く。)を除く。)」と補正されたものである。

2 当審の拒絶理由

当審において、新たに拒絶理由通知書をもって、請求人(出願人)に対して、意見を述べる機会を与えて示した本願商標の拒絶理由は、要旨次のとおりである。

「本願商標は、その指定商品中『電動機』に使用する場合には、『とてもすばらしい(超越した)リニアモーター』の意味合いを容易に看取させるといわなければならないので、本願商標をその指定商品中『リニアモーター』に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、『とてもすばらしい(超越した)』商品であること、即ち、商品の品質を誇称したものと理解するにすぎず、自他商品の識別機能を有しないものというのが相当であるから、結局、本願商標は商品の品質を表示したものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記『リニアモーター』以外の商品について使用をするときには、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。」

3 拒絶理由に対する請求人の意見の要点

(1)「ハイパー」の語が「リニアモータ」の略称である「リニア」と直接結合されただけの商標からは、「リニアモータ」の何が優れているのかが分からないため、この商標が「リニアモータ」の品質等の何を表示しているものかを認識することはできない。例えば、「ハイパースピードリニア」とか「ハイパートルクリニア」であれば「スピード性能が優れているリニアモータ」とか「トルクが大きなリニアモータ」という意味を容易に需要者に看取させることができるかもしれない。しかしながら、「ハイパーリニア」「HYPERLINEAR」からは品質等に関して何も看取できない。

(2)商標法第3条第1項が識別力のない商標の登録を排除する背景には、商品の説明等との関係において識別力がない語の使用を当業者に確保しようとする趣旨があって、原則的には現在における識別力がない語の使用の確保であって、10年、20年先における使用の確保を意味するものではない。小学生でも知っている「スーパー」という文字を「リニア」と組み合わせた「スーパーリニア」という表現が「リニアモータ」に関して使用されていない現状において、「スーパー」よりも遥かに知名度の低い「ハイパー」と「リニア」とを組み合わせて、「リニアモータ」の何等かの内容を表示することを欲する当業者がいるとは思われない。

(3)「リニアモータ」を含む「モータ」の分野において、「ハイパーリニア」又は「HYPERLINEAR」の語が現在使用されている事実は、インターネット上で見る限り一つもなく、それどころか、「ハイパー」の下位の比較表現である「スーパー」または「SUPER」の語を含んだ「スーパーリニア」又は「SUPERLINEAR」ですら「リニアモータ」に関連して使用されている事実はなく、増幅器等の増幅の直線性が優れていること等を表示するために「スーパーリニア」の語が使用されている事実があるだけである。しかし、「リニアモータ」に関しては、そもそも「リニアモータ」が直線移動するものであるため直線性が問題になることはない。そのため「リニア」に「スーパー」を組み合わせて、「リニアモータ」の品質等を表示する必要性はない。このような理由から、「リニアモータ」に関しては誰も「スーパーリニア」という語を商品の品質等を表示するために使用しているものではない。ましてや「ハイパーリニア」という語を、「リニアモータ」の品質等を表示するために、当業者が使用を欲することもない。

このように当業者が使用を望んでいないような商標に商標登録を認めても、商標法第3条第1項の法の趣旨に反することはない。もし、将来本願商標が「リニアモータ」に関して頻繁に使用されて識別力を失えば、そのときは商標権の効力が及ばなくなるのであるから、現実に使用されておらず、また近い将来においても使用される可能性が見えない商標を、遠い将来における当業者の使用欲求に応えるために現時点で拒絶する必要性は全くないと考える。現実に内容表示として使用されていないにもかかわらず、本願商標が拒絶されるとすれば、商標選択の幅を著しく狭めるばかりでなく、商品に化体した取引上の信用を保護するという商標法の目的にも反することになる。

(4)また、前方に「ハイパー」「HYPER」の語を含み後方に「指定商品そのものを表示する文字」又は「指定商品の内容を表示する文字を含む結合商標が多数登録されている事実を考慮すると、これらの結合商標は、識別力を発揮し得るのであって商品の内容を表示するものではないからこそ登録されたのであって、本願商標だけが拒絶されなければならない合理的な理由はない。

(5)以上、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号にも該当しないものである。

4 当審の判断

(1)本願商標は、その構成前記のとおり「ハイパーリニア」と「HYPERLINEAR」の文字を表してなるものであるところ、「ハイパー」、「HYPER」と「リニア」、「LINEAR」の各文字が結合されたものと容易に認識されるものである。

しかして、該「ハイパー」、「HYPER」の文字は、「超越した」等の意味を有し、「リニア」、「LINEAR」の文字は、「直線の」等の意味を有するものとして、ともに一般に親しまれている平易な外来語と認め得るものである。

また、「リニア」、「LINEAR」の文字は、電動機を取り扱う取引者、需要者においては「リニアモータ」を指称する文字(語)として使用している実情が認められる。

してみると、「ハイパーリニア」と「HYPERLINEAR」の文字からなる本願商標は、前記「2 当審の拒絶理由」において認定の如く、「とてもすばらしい(超越した)リニアモータ」であること、即ち、商品の品質を誇称したものと理解するにすぎず、自他商品の識別機能を有しないものというのが相当であるから、結局、本願商標は商品の品質を表示したものであって、商標法第3条第1項第3号に該当するとした当審における拒絶理由は、妥当なものである。

(2)請求人は、「本願商標からは、『リニアモータ』の何が優れているのかが分からないため、この商標が『リニアモータ』の品質等の何を表示しているものかを認識することはできない」旨主張する。

しかしながら、前記したとおり、該「ハイパー」、「HYPER」及び「リニア」、「LINEAR」の文字は、ともに一般に親しまれている平易な外来語であり、かつ、請求人も述べているとおり、例えば増幅器等の増幅の直線性が優れていること等を表示するために「スーパーリニア」の語が使用されていることよりも、例え、「リニアモータ」について該文字が使用されていないとしても、「ハイパー」、「HYPER」の語が「超越した」商品を理解させるものであって、 本願商標のかかる構成全体からは「とてもすばらしい(超越した)リニアモータ」であること、即ち、商品の品質を誇称したものと理解するものといわざるを得ない。

(3)請求人は、「『モータ』の分野では、『ハイパーリニア』又は『HYPERLINEAR』の語が現在使用されている事実はなく、現実に内容表示として使用されていないにもかかわらず、本願商標が拒絶されるとすれば、商標選択の幅を著しく狭めるばかりでなく、商品に化体した取引上の信用を保護するという商標法の目的にも反し、また、前方に『ハイパー』『HYPER』の語を含み後方に『指定商品そのものを表示する文字』又は『指定商品の内容を表示する文字』を含む結合商標が多数登録されている」旨主張し、登録例を示している。

しかしながら、請求人の示す登録例は、事案を異にするものであり、また、商標法第3条第1項第3号の商品の品質を表示する標章とは、わが国で品質を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章がわが国において現に使用されていることを必要としないと解すべきであるとの判決(東京高裁昭52(行ケ)82、昭和56.5.28)があることよりも、一般的に使用されている事実がないことをもって同号に該当しないとすることはできないから、これについて述べる請求人の意見は、採用できない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。