Trademark Appeal Case
品質・効能表示複合語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第4924号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ハイクイック」の文字を横書きしてなり、第1類「地盤改良材,固化材,その他の化学剤」を指定商品として、平成9年8月19日に登録出願され、その後、平成10年12月16日付け手続補正書をもって、指定商品が「地盤改良剤,固化剤,その他の化学剤」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、「ハイクイック」の文字よりなるところ、構成中前半部の「ハイ」の文字は商品の品質が高いことを表示するものとして一般に採択使用されているものであり、後半部の「クイック」の文字は、本願指定商品中の「地盤改良剤」・「固化剤」などの商品との関係についてみるに、「短時間で処理できる」の意味合いを容易に認識させるものであるから、これを本願指定商品中、上記商品に使用しても、全体として「高品質で短時間に処理できる」という商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。』旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
本願商標は、複合語ではあるが、「ハイクイック」の6文字が同書、同大、等間隔で配置され、いずれも軽重の差がなく、称呼するときも「ハイクイック」と調子よく一息で発音される一体不可分の商標であり、「ハイアンドクイック」でも「ハイかつクイック」でもあり得ない。
つまり、商標に限らず複合語の文字に接した場合、人間の心理として、まず文字全体としての(つまり複合語としての)意味を理解しようとするのであり、決して分析的に構成単位にばらして、意味の羅列として理解しようとするのではないものである。
これを本願商標についてみれば、まず「ハイ」は殆どの場合語頭に置かれ、高品質の○○、高級な××の如く形容詞としての使われ方をする。ところが、本願商標の場合、「ハイ」を冠される被修飾語たる「クイック」は、素早い、迅速な、との意味を有する英語として広く親しまれており、これでは直接理解可能な特定の意味を構成しなものである。
つまり、「ハイクイック」の構成のもとでは、「ハイ」部分からは「高品質」の意味合いは直接的には感取されず、又「クイック」部分も本来の「迅速性」の意味は(意味不明確な「ハイ」を冠されて)弱められ、よって構成全体としては特定の意味を有しない造語と評価されるものである。
さらに、本願指定商品の分野において、「品質が高く早く処理できる」との意味で「ハイ」と「クイック」が一体に組み合わされ、本願商標の様に使用されている事実も確認することができない。
4 当審の判断
本願商標は、「ハイクイック」の文字を横書きしてなるところ、「ハイ」の文字部分は、「(品質が)高い」の意のある英語の「high」を、「クイック」の文字部分は、「素早い、急速な」の意のある英語の「quick」を表したものと認められるものであるから、指定商品との関係では、「品質が高く素早く処理できる化学剤」という商品の品質を表示するにすぎないものと理解、認識させるものである。
ところで、昨今は、トンネル工事用に、急結性が強く、わき水があっても吹き付け工事ができる、モルタル、コンクリートへの急結効果が高い、湿った大岩盤に対しても良好な付着性がある、等の特徴があるセメント急結剤が市場で販売されている実情がある。
しかして、本願商標の指定商品の化学剤の中には、「セメント急結剤」も含まれていることからして、「ハイクイック」の文字よりなる本願商標を指定商品「化学剤」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、「品質が高く素早く処理できる化学剤」の如き意味合いを理解、認識させるものと判断するのが相当であるから、これをその指定商品に使用するときは、商品の品質、効能を表示するに止まり、商品の自他識別の標識としての機能を果たし得ないものと認められる。
したがって、本願商標は、全体として商品の品質を普通に用いられる方法により表示した標章のみからなるものといわなければならないから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は妥当であり、取り消すべきでない。
なお、請求人は、本願指定商品の分野において、「品質が高く早く処理できる」との意味で「ハイ」と「クイック」が一体に組み合わされ、本願商標のように使用されている事実も確認することができない、と主張しているが、本審決時における「ハイクイック」という語の持つ意味、指定商品との関係、組み合わせた語句との関係等を無視することはできないと言わざるを得ず、本願商標の識別力についての前示認定判断を覆すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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