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Trademark Appeal Case

色彩のみの商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−12118(T2017−12118/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類「貼付剤」を指定商品として、平成27年4月1日に色彩のみからなる商標として登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品の包装や広告の装飾等に使用される色彩は、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであるところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、色彩が使用されている実情が認められる。そうすると、本願商標をその指定商品の包装に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の包装に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。また、提出された資料及び職権による調査によっても、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているということはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年11月21日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要点

証拠調べ通知書に示された事実は、本願商標の識別力を否定する根拠となるものではない。

したがって、本願商標は商標登録されるべきものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第6号該当性について

ア 本願商標について

本願商標は、上記1のとおり、色彩の組合せからなる色彩のみからなる商標であって、商標の詳細な説明として、「商標登録を受けようとする商標は、色彩の組合せのみからなるものである。色彩の組合せとしては、青色(PANTONE:293C)、白色(RGBの組合せ:R255,G255,B255)、緑色(PANTONE:354C)であり、配色は、上から順に、青色が商標の49%、同じく白色2%、緑色49%となっている。」旨の記載がなされ、第5類「貼付剤」を指定商品とするものである。

イ 取引の実情について

色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして、又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、別掲2において示す例のように、商品の包装における装飾等として、本願商標を構成する青色、白色及び緑色に近似する色彩を組み合わせて使用している実情がある。

そうすると、青色、白色及び緑色を組み合わせた色彩のみからなる本願商標は、一般的には、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであり、また、本願商標と近似する色彩の組合せが請求人以外の者によって、本願の指定商品と同種商品の包装に使用されていることからすれば、何人もその使用を欲するといい得るものであり、これを一私人に独占させることは妥当ではない。

なお、請求人は、証拠調べ通知に対する意見書において、「本願商標と色相、配色の割合、配色の順番等が著しく異なる色彩を第三者が使用しているとしても、これらの使用例をもって、本願商標が使用による識別力を獲得していることを否定することはできない。」旨主張している。

しかしながら、証拠調べ通知において示した例は、本願商標と同一の構成からなる色彩の使用例を示したものではなく、商品の包装に様々な色彩の組合せが採用されている実情として、本願の指定商品と類似の商品において、本願商標を構成する色彩と同系色である青色、白色及び緑色の組合せが普通に使用されている例を示したものであるから、上記の主張は採用できない。

ウ 請求人による本願商標の使用について

請求人は、「本願商標は、請求人である久光製薬株式会社のコーポレートカラーとして、また、請求人の製造販売にかかる国民的商品であり、日本のみならず、鎮痛消炎貼付剤における世界トップブランドでもある『サロンパス』のブランドカラーとして、永年、商品・広告・販促等で継続的かつ大々的に使用してきた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識させるに至っているから、商標法第3条第1項第6号に該当するものではなく、登録されるべきである。」旨主張し、証拠として甲第1号証ないし甲第106号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出している。

そこで、請求人の主張及び同人提出の証拠について、以下検討する。

(ア)請求人が提出した東京、名古屋、大阪、福岡に設置された屋外広告の写真及び当該屋外広告が掲載されたウェブサイトの記事等の証拠(甲3、甲5ないし甲7、甲38ないし甲43、甲46ないし甲66、甲101)によれば、本願商標と同一と認識し得る色彩が屋外広告に使用されていることが認められる。

しかしながら、屋外広告が設置されている場所は全国で6か所のみであり、提出された証拠からは、どれだけの需要者が当該屋外広告を認識しているかを把握することができない。

また、当該屋外広告が掲載されているウェブサイトの閲覧数は不明であり、その他の当該屋外広告が掲載されている雑誌等についても頒布範囲、頒布部数等が不明である。

さらに、当該屋外広告には、いずれも「Hisamitsu」、「サロンパス」等の白抜きの文字が顕著に表示されていることから、本願商標の色彩のみが独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮する態様で使用されているものとはいえない。

(イ)請求人は、「鎮痛消炎貼付剤における世界トップブランドでもある『サロンパス』のブランドカラーとして、永年、商品・広告・販促等で継続的かつ大々的に使用してきた。」旨主張し、請求人の製造、販売に係る当該商品(以下「請求人商品」という。)のパッケージや請求人商品が掲載された商品カタログ、新聞、雑誌、テレビCM等の証拠(甲4ないし甲6、甲16ないし甲23、甲36、甲37、甲67ないし甲78、甲80ないし甲84、甲86、甲87)を提出している。

しかしながら、請求人商品の包装に使用されている色彩は、別掲3のとおり、赤色、黄色、青色、緑色及び白色の色彩を組み合わせた態様で使用されており、本願商標と比較すると、その配色の割合、順番が相違し、また、本願商標を構成する色彩以外の赤色や黄色などの色彩も併せて使用されていることから、本願商標と同一と認識し得る色彩の組合せを使用しているということができない。

(ウ)その他、提出された証拠から確認できる色彩の使用例は、本願商標と比較して、配色の割合、順番が異なるものであるから、上記と同様に本願商標と同一と認識し得る色彩の組合せを使用しているということができない。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)からすると、これらの証拠からは、青色、白色及び緑色の組合せからなる色彩のみが、請求人の業務に係る商品であることを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているということはできず、使用による識別力を獲得したと認めることはできない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

エ 小括

以上のことからすると、本願商標は、青色、白色及び緑色を上から順に、49%、2%、49%の比率で組み合わせた色彩のみからなる商標であるところ、その指定商品との関係からしても、一私人による独占使用が妥当でないことに加え、請求人の使用により識別力を獲得したとも認められないものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、これに接する需要者は、その商品若しくは商品の包装又は商品の広告等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩の組合せの一類型を表したものと認識するにとどまり、これを商品の出所を表示するものとして、又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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