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Trademark Appeal Case

著名商標の要部抽出と類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900261(T2018−900261/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6055568号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6055568号商標(以下「本件商標」という。)は、「四国霊場会62番礼拝所」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月26日に登録出願、第16類「朱印帳,納経帳,毛筆,墨,硯箱,その他の文房具類,参拝証明書用紙,パンフレット,ガイドブック,その他の印刷物,掛け軸,書画,紙類,写真,写真立て,紙製のぼり,紙製旗,紙製タオル,紙製ハンカチ」を指定商品として、同30年5月31日に登録査定され、同年6月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「四国霊場会」の文字からなり、同人が同人の略称として著名であり、かつ同人及び同人の正会員(以下、両者をまとめて「申立人等」という。)の商標として、四国霊場の参詣者の間で広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号に該当するので、その登録を同法第43条の2第1号により取り消すべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(資料1ないし3を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第8号について

ア 申立人

申立人は、昭和33年頃に四国霊場の関係者によって組織された権利能力なき社団(当時の名称は「四国八十八ヶ所霊場会」)を、平成29年6月に一般社団法人として設立し(甲1)、弘法大師の教義に関する法会、布教、教化、宣伝活動等の事業を行っている。

申立人の会員には、正会員(八十八ヶ所寺院の住職)のほか、維持会員、賛助会員、特別会員がある。

申立人の正会員の寺院は、申立人の構成員として、それぞれ「四国八十八ヶ所霊場会○番札所」「四国八十八ヶ所霊場会○番礼拝所」の名称を使用し、申立人グループの名称として、「四国八十八ヶ所霊場会」を使用している。

イ 申立人の略称の著名性

申立人の正式な名称は「一般社団法人四国八十八ヶ所霊場会」であるが、その略称として「四国八十八ヶ所霊場会」、「四国霊場会」が使用されている(甲2、甲3)。

そして、申立人の略称である「四国霊場会」は、四国霊場を巡礼する旅行商品の新聞広告などにおいて、そのツアーの特徴等として「すべての回、四国霊場会公認先達又はお寺の僧侶が同行!」などの記載があり、かかる広告は全国で長期間にわたり多数回掲載されていた(甲4〜甲11)ことから、全国的に知られており著名であるといえる。

ウ 小括

本件商標は、申立人の著名な略称「四国霊場会」を含んでおり、また、申立人は該略称の使用を承諾していない(甲12)。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号について

ア 「四国霊場会」の周知性

四国霊場は、四国にある八十八ヶ所の弘法大師ゆかりの寺院(札所)の総称であり、巡礼の対象として、一体として信仰の対象となっている。参詣者が各札所を巡拝して回る行為、あるいは巡礼する参詣者を遍路という。

遍路は、巡礼に際し各札所において、参詣した証として納札、納経を奉納する。遍路は、納経の証として、納経所において納経帳(帳面)、納経軸(掛け軸)、白衣のいずれかに朱印を受けることができる。また、納経所では、納経した遍路に対し、御影の授与を行っている。

申立人の略称「四国霊場会」は、申立人等の商標として、四国霊場の参詣者の間で広く認識されている(甲4〜甲11)。

また、商標権者を含め、申立人の正会員の寺院以外に、「四国霊場会」を名乗る団体や寺院は存在しない。

イ 商標の類似

本件商標は、「四国霊場会62番礼拝所」であり、「四国霊場会」の文字を含んでいる上、「62番礼拝所」自体は、特段識別力のある表示ではなく、むしろ、申立人の正会員の寺院の62番目の礼所や札拝所と認識される。

また、本件商標には、商標権者の名称が含まれてない。

したがって、本件商標と「四国霊場会」は類似する。

ウ 商品の類似

四国霊場の参詣者は、申立人の正会員の寺院において、参詣した証として納札、納経を奉納したり、納経の証として納経帳(帳面)、納経軸(掛け軸)、白衣のいずれかに朱印を受けたり、納経所では納経した遍路に対し御影の授与を行ったりしている。

申立人は、そのホームページで、納経帳、納経軸、納札などの遍路で使用する物の紹介をしており(甲13)、これらの遍路用品は、申立人の正会員の寺院で販売をしている。

したがって、本件商標の指定商品は、いずれも申立人の正会員の寺院において提供される商品や役務と同一又は類似する。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、申立人等の周知商標である「四国霊場会」に類似し、その指定商品も申立人等の提供する商品や役務と同一又は類似するから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

上記(2)アのとおり申立人の略称である「四国霊場会」は申立人等の商標として四国霊場の参詣者の間で広く認識され、また、上記(2)イのとおり本件商標と「四国霊場会」は類似する。

そして、仮に、本件商標の指定商品の一部に申立人等の提供する商品や役務と非類似のものがあったとしても、混同のおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第19号について

上記(2)アのとおり申立人の略称である「四国霊場会」は申立人等の商標として四国霊場の参詣者の間で広く認識され、また、上記(2)イのとおり本件商標と「四国霊場会」は類似する。

そして、商標権者は、申立人には加入していないことを主張し、その主張が認められた別件訴訟の判決(甲12)が確定してから、本件商標の出願をしている。

また、商標権者は、「四国霊場会」は申立人を識別する商標であること、及び自らは申立人に加入していないことを認識しながら、これを含む本件商標の出願をしている。

したがって、商標権者は、不正の目的、すなわち図利加害目的をもって出願をしている。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断

(1)「四国霊場会」の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、ほか)によれば、次の事実を認めることができる。

(ア)申立人は、平成29年6月に設立された一般社団法人であり、四国八十八ヶ所霊場と四国遍路に関する情報の提供、四国遍路の普及・促進事業などを行っている(甲1)。

(イ)申立人は正会員(八十八ヶ所寺院の住職)、維持会員、賛助会員、特別会員で構成されていること、申立人の前身は任意団体「四国八十八ヶ所霊場会」であり昭和33年頃から活動していることがうかがえる(甲12、インターネット情報http://www.88shikokuhenro.jp/reijokai/)。

(ウ)本件商標の登録査定日(平成30年5月31日)後ではあるが、四国霊場を巡礼するツアーの広告において、その特徴などの説明中に「四国霊場会公認先達」の文字が用いられているが(甲4、甲6、甲8〜甲10)、該文字中の「四国霊場会」と申立人との関係は確認できない。

(エ)申立人の略称として「四国霊場会」の文字の使用例があるものの(甲2、甲3)、これらは第三者の使用例であって、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして「四国霊場会」の文字が使用されている証左は見いだせない。

イ 上記アの事実によれば、「四国霊場会」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の著名な略称と認めることはできず、また、申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることもできない。

なお、申立人は、四国霊場を巡礼するツアーの広告は長期間にわたり多数掲載されている旨主張し、証拠(甲11)を提出しているが、該証拠は申立人の広報担当者が作成した「報告書」であって、その記載内容を裏付ける証左はないから、かかる主張は採用できない。また、仮にその記載内容が事実であるとしても、上記ア(ウ)のような広告によって、上記判断が覆るものと認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第8号について

上記(1)イのとおり「四国霊場会」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の著名な略称と認めることができないものであるから、本件商標は、他人(申立人)の著名な略称を含むものといえない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものといえない。

(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について

上記(1)イのとおり「四国霊場会」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであるから、本件商標の指定商品と申立人等の業務に係る商品又は役務とが同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標とはいえない。

また、同様に、引用商標「四国霊場会」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであるから、本件商標と引用商標との類似性の程度などについて判断するまでもなく、本件商標は、これに接する取引者、需要者が、引用商標又は申立人等を連想又は想起するものということはできない。

してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標又は申立人等を連想、想起させることはなく、その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当するものといえない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

上記(1)イのとおり「四国霊場会」の文字は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人等の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものである。

また、別件訴訟の判決(甲12)が確定してから、商標権者が本件商標の出願をしたとしても、そのことのみをもって、本件商標が不正の目的をもって使用をするものとはいえず、その他提出された証拠などによっても、本件商標が不正の目的をもって使用をするものと認めるに足る事情は見いだせない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものといえない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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