Trademark Appeal Case
周知商標との混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第20296号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,時計」、第16類「紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,印刷物,かるた,歌がるた,トランプ,花札,文房具類(「昆虫採集用具」を除く。)」、第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),卵立て(貴金属製のものを除く。),ナプキンホルダー及びナプキンリング(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜き,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,家事用手袋,化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。),電気式歯ブラシ,寝室用簡易便器,トイレットペーパーホルダー」、第27類「敷物,壁掛け(織物製のものを除く。),畳類,洗い場マット」を指定商品として、平成10年10月30日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、疾走する馬の図形とマレットと呼ばれるポロ競技独特の長い柄がついた打球槌をもった人物の図形よりなるものであり、全体として馬とポロ競技プレーヤーを描いたものと容易に認識させるものであって、アメリカ合州国ニューヨーク在のザ ポロ/ローレン カンパニー リミテッド パートナーシップが、商品「被服、装身具」等に使用して、本願の出願前から需要者の間に広く知られている「馬に乗ったポロ競技プレーヤー」の図形よりなる商標を想起させるものであるから、これをその指定商品に使用するときは、恰も上記会社又は上記会社と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨を認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張の要旨
請求人は、原査定の拒絶の理由に引用されている商標を、甲第2号証の「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形」(別掲(2)に示す構成のもの、以下「甲第2号商標」という。)と判断した上で、ア)本願商標と甲第2号商標は、外観において、馬の向きの相違及び人物の騎乗の有無という全体の構図において、また、黒白のコントラストを有する本願商標と黒塗りシルエットの甲第2号商標という表現方法において、共に著しい差異がある、イ)本願商標は特定の観念及び称呼を生じない、ウ)ポロ競技は日本においても知られているものであり、競技中のポロ競技プレーヤーの姿態を描いた甲第2号商標の構図は極めて独創性を有するものでない、エ)「競技中のポロ競技プレーヤー」を含む商標が、甲第2号商標の権利者及び当該権利者と関連のあるデザイナーであるラルフ・ローレン以外の者により、市場において「被服」等に使用され、ラルフローレンと誤認混同されることなく、区別して取り引きされており(甲第11号証ないし甲第13号証)、これらのうち、「ビバリーヒルズポロクラブ」は年商130億円、「サンタバーバラポロクラブ」は年商48億円の売上である(甲第29号証)、オ)前記エ)の商標は、商標登録されている(甲第17号証ないし甲第23号証)として、構成中に馬とポロ競技プレーヤーを含む商標全てについて、甲第2号商標が想起され、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると短絡的に判断することはできず、本願商標は甲第2号商標とは別異の商標であるから、本願商標から甲第2号商標が想起されることはないと主張する。
また、請求人は、甲第30号証ないし甲第43号証における過去の審決例又は異議決定、及び本願商標と同一の商標の登録例(甲第44号証ないし甲第45号証)を引用して、本願商標は、甲第2号商標とは視覚的印象の異なる全く別異のものであるから、その指定商品について使用しても、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれはないと主張する。
4 当審の判断
(1)「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの図形」の周知性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」、サンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」の記載によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは1967年(昭和42年)に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服のデザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年(昭和49年)に映画「華麗なるギャツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字及び「馬に乗ったポロ競技プレーヤー」(別掲(3)に示す構成のもの、以下「引用商標」という。)の図が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述及び昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては、西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、株式会社スタイル社1971年7月発行「dansen男子専科」を始め、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和55年11月発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年5月発行)、婦人画報社昭和55年12月発行「MEN’S CLUB1980.12」、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年5月発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年5月発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」等の表題の下に紹介されていることが認められる。 なお、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2年(行ケ)第183号、平成3.7.11言渡し、東京高裁平11年(行ケ)第315号、平成12.3.21言渡し、東京高裁平11年(行ケ)第333号、平成12.3.29言渡し)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、我が国においては、遅くとも昭和55年頃までに、「POLO」又は「Polo」の欧文字よりなる商標、横長四角形中に記載された「Polo」の文字と共に「by RALPH LAUREN」の文字よりなる商標及び「馬に乗ったポロ競技プレーヤーの商標」(以上まとめて「Polo商標」という」。)は、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は現在においても継続しているというのが相当である。
(2)商品の出所の混同のおそれについて
本願商標は、別掲(1)に示す構成よりなり、疾走する馬とその前に立つ人物が着用している「服装」「ヘルメット」「膝当て」「マレット(ポロ競技用のスティック)」から、全体として「ポロ競技プレーヤー」「ポロ競技(ポロ)」の観念及び称呼を生ずるものである。他方、引用商標は、別掲(3)に示す構成よりなり、「馬に乗ったポロ競技プレーヤー」「ポロ競技(ポロ)」の観念及び称呼を生ずるものである。
請求人は、本願商標は、特定の観念を生じない図形で構成される商標であると主張するが、前記のとおり、疾走する馬とその前に立つ人物の着用する服装等から、容易に「ポロ競技プレーヤー」「ポロ競技(ポロ)」の観念及び称呼を生ずるといえるものであり、請求人もその構成中に馬とポロ競技プレーヤーが描かれていることを認めている。
してみると、前記(1)で述べたとおり、引用商標を含む「Polo商標」が著名であること及びこれら商標が「ポロ」「Polo」と認識されていることが少なくないことに照らせば、本願商標に接した需要者、取引者は、構成中の「馬」「ポロ競技プレーヤー」の両図形に注目して、「ポロ競技プレーヤー」「ポロ競技(ポロ)」を認識し、本願商標が引用商標と何らかの関係があると容易に連想、想起するといえるものである。
そして、本願の指定商品はファッション関連商品である「身飾品、時計」や雑貨類である「紙製テーブルナプキン、食器類、洗い場マット、(その他の商品略)」であって、全て生活に関連する商品であるところ、今日においては、身につけるものはもとより、インテリア製品も含め、トータルでファッション化する傾向にあることから、これら指定商品と引用商標が使用されている「被服や眼鏡」は販売場所を同一にする場合も少なくない。
そうとすると、本願商標をその指定商品に使用する場合に、これに接する取引者、需要者は、前記著名なPolo商標を連想、想起し、ラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人が引用する、登録例及び過去の審決例及び異議決定については、本願とは判断時期が異なり、事案を異にするものというべきであるから、請求人の主張は採用することができない。
以上のとおりであるから、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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