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Trademark Appeal Case

論点抽出失敗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−5348(T2017−5348/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願標章

本願標章は,「甲子園」の漢字をゴシック体で横書きしてなり,第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類,第25類,第28類ないし第30類,第32類ないし第35類,第39類,第41類及び第43類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし,登録第5509344号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として,平成26年4月17日に登録出願,その後,指定商品及び指定役務については,原審における同27年6月25日付け手続補正書及び当審における同29年4月14日付け手続補正書により,別掲に記載のとおりの第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類,第25類,第28類ないし第30類,第32類ないし第35類及び第41類に属する商品及び役務に補正されたものである。

第2 原登録商標

原登録商標は,本願標章と同一の態様からなり,平成22年11月24日に登録出願,第41類「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」を指定役務として,同24年7月20日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 原査定の拒絶の理由

原査定は,「本願標章は,原登録商標が,役務『野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供』について,出願人の業務に係る役務を表示するものとして需要者間において知られていることは認められるとしても,本願の指定商品及び指定役務は極めて多岐に渡る商品及び役務が指定されていること,及び『甲子園』の文字(語)が出願人の業務に係る役務を表示するもの以外のものとしても使用され又は認識されていることを考慮すると,本願の指定商品又は指定役務について他人が原登録商標の使用をした場合に,その全ての商品及び役務において,出願人の業務に係る役務と混同を生じるおそれがあるとは認められない。したがって,本願標章は,商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第4 当審の判断

1 防護標章登録の要件について

防護標章登録制度に係る商標法第64条第1項の規定に関し,「同項の規定は,原登録商標が需要者の間に広く認識されるに至った場合には,第三者によって,原登録商標が,その本来の商標権の効力(商標法第36条,同法第37条)の及ばない非類似商品又は役務に使用されたときであっても,出所の混同をきたすおそれが生じ,出所識別力や信用が害されることから,そのような広義の混同を防止するために,『需要者の間に広く認識されている』商標について,その効力を非類似の商品又は役務について拡張する趣旨で設けられた規定である。そして,防護標章登録においては,1.通常の商標登録とは異なり,商標法第3条,同法第4条等が拒絶理由とされていないこと,2.不使用を理由として取り消されることがないこと,3.その効力は,通常の商標権の効力よりも拡張されているため,第三者の商標の選択,使用を制約するおそれがあること等の諸事情を総合考慮するならば,商標法第64条第1項所定の『登録商標が・・・需要者の間に広く認識されていること』との要件は,当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく,商品や役務が類似していない場合であっても,なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること,すなわち,そのような程度に至るまでの著名性を有していることを指すものと解すべきである。」(知財高裁平成21年(行ケ)第10198号)とされている。

本防護標章登録出願については,前記商標法第64条第1項所定の『登録商標が・・・需要者の間に広く認識されていること』の要件と特段異なるものと解釈すべき理由はないことから,前記判示内容に従い以下検討を行う。

2 本願標章と原登録商標の同一性及び請求人と原登録商標の商標権者との同一性について

本願標章は,上記第1及び第2のとおり,原登録商標と同一の構成態様からなるものである。そして,本願の請求人(出願人)と原登録商標の権利者とは同一人である。

3 原登録商標の著名性について

原登録商標は,上記第2のとおり,「甲子園」の漢字をゴシック体で横書きしてなり,その指定役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」に使用するときは,「兵庫県西宮市の一地区。」であることを認識するにとどまり,役務の提供場所を表示するにすぎないものであることから,商標法第3条第1項第3号に該当する旨の拒絶の理由を受けていたものであるが,「甲子園」の文字が使用された結果,需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるに至った商標であるから,同条第2項の要件を具備するとして,商標登録を受けたものである。

そして,原登録商標は,請求人提出の資料(1〜3,5,7,239の1〜49,249の1〜7,243の1〜62,244の1〜5他)によれば,その指定役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」に使用するときは,請求人の取扱いに係る役務であることを表示するものとして,需要者の間に広く知られた商標といえるものである。

4 混同を生ずるおそれの有無について

上記3のとおり,原登録商標は,請求人の取扱いに係る使用役務を表示する商標として,野球の興行に関連する分野の需要者の間に広く認識されているといえるものである。

しかしながら,防護標章登録を受ける標章は,上記1のとおり,「当該登録商標が広く認識されているだけでは十分ではなく,商品や役務が類似していない場合であっても,なお商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること,すなわち,そのような程度に至るまでの著名性を有していること。」が必要であることから,以下検討する。

(1)「甲子園」の語の辞書における記載

ア 株式会社岩波書店発行「広辞苑第6版」において,「兵庫県西宮市の一地区。(1924年,甲子の年に完成した)甲子園球場は高校野球の全国大会で知られる。」と記載されている。

イ 株式会社小学館発行「大辞泉第2版」において,「兵庫県西宮市の地名。高校野球が行われる甲子園球場の所在地。地名は,野球場が完成した大正13年(1924)が甲子の年であったことによる。」と記載されている。

ウ 株式会社三省堂発行「コンサイス日本地名事典第5版」において,「兵庫県南東部,西宮市。大阪湾に面し,武庫川河口西岸域を占める地区。」と記載されている。

(2)「甲子園」の語が地名として使用されている例

ア 「株式会社オールアバウト」のウェブサイトにおいて,「いつか住みたい!高級住宅街?尼崎・西宮編(2ページ目)」の見出しの下,「高級かつ庶民的〜西宮・甲子園」の項に「甲子園といっても,該当するエリアは相当に広いです。JR東海道線「甲子園口」駅から阪神本線「甲子園」駅,またはその南側。西宮市の南東部一体のエリアを指します。」の記載がある。

(https://allabout.co.jp/gm/gc/31203/2/)

イ 「iQra−channel」のウェブサイトにおいて,「関西を代表する『西宮七園』で『高級住宅地』1位はどこ?【2018年版】」の見出しの下,「特にその西宮市にある七つの『園』のつく高級住宅街である『西宮七園(にしのみやななえん)』は阪神間,いや関西を代表する高級住宅街として知られています。『西宮七園』とは,大正から昭和初期にかけて,交通・環境に恵まれた場所に開発された次の7つの地域からなります。甲子園(こうしえん) 甲風園(こうふうえん) 甲東園(こうとうえん) 甲陽園(こうようえん) 苦楽園(くらくえん) 香櫨園(こうろえん) 昭和園(しょうわえん)」の記載がある。

(https://iqra-channel.com/nishinomiya7en)

ウ 「あすたいむ倶楽部」のウェブサイトにおいて,「第51回 西宮市甲陽園界隈を歩く(兵庫県西宮市)」の見出しの下,「豊かな歴史文化と恵まれた環境」の項に,「西宮という言葉が歴史上の文献にあらわれたのは,鳥羽天皇の1119年であるが,地名の源はよくわかっていない。西宮は廣田神社あるいは西宮神社を指していうのだが,それは東に位置する昔栄えた津門(つと)から見てという説もある。市内の甲子園,昭和園※,甲風園,甲東園,甲陽園,苦楽園,香櫨園は西宮七園(にしのみやななえん)といわれ,関西を代表する高級住宅街として知られている。

(https://earthtime-club.jp/column/history/051-2/)

エ 「野村不動産株式会社」のウェブサイトにおいて,「プラウドが生まれる街 西宮・甲子園」の見出しの下,「街のご紹介」の項に「西宮市は2009年に,風光の維持,環境の保全・浄化・文教の振興を図り,この地にふさわしい都市開発を行う“文教住宅都市”を宣言し,良質な住環境を維持しています。なかでも甲子園エリアは,西宮七園の1つとして知られるおだやかな住宅地としての顔と,優れた利便性の2つの表情を持つ,注目の街です。」の記載がある。

(https:/www.proud-web.jp/proudclub/magazine/city/city_10/city_10.html)

オ 「住まいサーフィン」のウェブサイトにおいて,「西宮七園と称される地域は,関西屈指の高級住宅地」の見出しの下,「西宮は大阪の帝塚山と並ぶ高級住宅街で,なかでも西宮七園と称される地域や阪急電鉄沿線には,関西の財界人や文化人が数多く住まう屈指のエリアだ。西宮七園は,大正から昭和初期にかけて開発された住宅地で,甲子園,昭和園など“園”の付く7つの高級住宅地の総称だ。苦楽園,甲陽園,甲子園エリアの一部は,最低敷地面積が規定された市指定建築協定があり,豪邸が軒を連ねる地域だ。」の記載がある。

(https://www.sumai-surfin.com/k/area/article/?stateid=28&cityid=28204)

(3)「甲子園」の語が阪神甲子園球場の略称として使用されている例

ア 請求人の関係会社である株式会社阪神タイガース及び日本野球機構の公式ウェブサイトにおいて,「阪神タイガース」の試合日程や試合結果を掲載する際,開催球場として「甲子園」と掲載されている(資料239の1〜49,249の1〜7)。

イ 株式会社阪神タイガースが発行する「月刊タイガース」には,「阪神タイガース」の公式戦の開催球場として「甲子園」が掲載されている(資料243の1〜62)。

ウ 株式会社阪神タイガースが発行する「Tマガジン」には,「阪神タイガース」のオープン戦・公式戦・セパ交流戦の開催球場として「甲子園」が掲載されている(資料244の1〜5)。

エ 朝日新聞,読売新聞,毎日新聞,日本経済新聞のスポーツ欄において,プロ野球の試合結果を掲載する際,開催球場として「甲子園」と記載されている(資料245の1〜411)。

(4)「甲子園」の語が高校野球の全国大会の通称として使用されている例

ア 1998年11月26日付け中部読売新聞朝刊34頁には「甲子園球児,明大に推薦合格 愛工大名電の小宮君 先生になって野球指導者に」の見出しの下,「推薦入試では,成績や個性などとともに,課外活動での活躍も評価の対象になっている。小宮君は愛工大名電のエースとして,第八十回全国高校野球選手権(甲子園)に出場。」の記載がある。

イ 2004年3月17日付け毎日新聞大阪朝刊17頁には「[センバツ高校野球] 根来泰周コミッショナー,開会式と開幕戦を視察」の見出しの下,「プロ野球の根来泰周コミッショナーが23日開幕の選抜高校野球(甲子園)の開会式と開幕戦を視察することが16日,コミッショナー事務局から発表された。」の記載がある。

ウ 2004年11月8日付け東京読売新聞朝刊30頁には「明治神宮野球大会 駒苫,初戦は愛媛の新田 貴重な実戦,闘志を燃やす=北海道」の見出し下,「この大会は,東北,関東,近畿,九州など全国10地区の秋季大会を制し,来春の選抜高校野球(甲子園)出場を確実にした強豪が出場する。」の記載がある。

エ 2004年10月25日付け東京読売新聞朝刊34頁には「国体秋季大会高校野球 駒苫,及ばず 横浜に2対6=北海道」の見出しの下,「8月の全国高校野球選手権(甲子園)で道勢初優勝を果たした駒大苫小牧が,国体秋季大会高校野球(公開競技)の1回戦に登場,甲子園の準々決勝で破った横浜(神奈川)に2―6と敗れ,春からの公式戦連勝は28で止まった。」の記載がある

オ 2004年11月8日付け東京読売新聞朝刊30頁には「明治神宮野球大会 駒苫,初戦は愛媛の新田 貴重な実戦,闘志を燃やす=北海道」の見出し下,「この大会は,東北,関東,近畿,九州など全国10地区の秋季大会を制し,来春の選抜高校野球(甲子園)出場を確実にした強豪が出場する。」の記載がある。

カ 2005年11月15日付け東京読売新聞夕刊1頁には「明治神宮野球大会15日 駒苫,関西完封し初V 年3冠達成=北海道」の見出しの下,「駒大苫小牧は,夏の甲子園,国体秋季大会に続いて同一年における全国三冠を達成した。これにより北海道は,来春の選抜高校野球(甲子園)に出場する代表枠2を獲得する。」の記載がある。

キ 2009年8月13日付け朝日新聞朝刊17頁には「(プロ野球短信)加藤良三コミッショナーが甲子園を視察へ」の見出しの下,「プロ野球の加藤良三コミッショナーが開催中の全国高校野球選手権(甲子園)を19日に視察することが12日,日本野球機構から発表になった。」の記載がある。

ク 2011年12月29日付け毎日新聞朝刊の16頁には「スポーツ回顧2011:(その2止) 震災関連/プロ野球/アマ野球/大リーグ/ゴルフ」の見出しの下,「◇震災関連・・・18日 日本高校野球連盟などは選抜高校野球(甲子園)を予定通り3月23日から開催すると決定。試合間隔を狭めてナイター試合を回避するなどの節電策の実施も発表」の記載がある。

ケ 2017年7月18日付けスポーツ報知14頁には「[まるごと巨人]熱かった『高校最後の夏』」の見出しの下,「今年も全国各地で高校野球地方大会の」熱戦がも熱戦が繰り広げられている。8月7日には全国高校野球選手権(甲子園)が開幕。」の記載がある。

コ 2017年8月7日付け日刊スポーツには「甲子園順延は藤枝明誠にプラスだ」の見出しの下,「今日7日に開幕予定だった第99回全国高校野球(甲子園)が,台風5号の影響で中止,明日8日に順延になった。」の記載がある。

サ 2017年8月12日付けスポーツ報知27頁には「高校野球 滝川西が12日初戦 鈴木愛斗が応援団を力に初勝利を目指す=北海道」の見出しの下,「第99回全国高校野球選手権(甲子園)に出場する昨年の準優勝校・北海(南北海道)と,19年ぶり3度目の出場となる滝川西(北北海道)がきょう12日,初戦を迎える。」の記載がある。

シ 2017年8月18日付け朝日新聞朝刊25頁には「県高野連選抜が米高校生と試合 笛吹 /山梨県」の見出しの下,「1990年から交流を始め,最近は2年おきに相互訪問しており,今回は選手と指導者19人が来日した。6日間の日程で富士山観光や全国高校野球選手権(甲子園)の観戦なども組み込まれている。」の記載がある。

ス 2017年8月24日付け日刊スポーツには「夏の全国高校野球閉幕 白河越えならず」の見出しの下,「第99回全国高校野球選手権(甲子園)は23日,花咲徳栄(埼玉)の初優勝で幕を閉じた。」の記載がある。

セ 2017年11月7日付けスポーツ報知16頁には「高校野球 静岡市立をセンバツ21世紀枠の県推薦校に選出=静岡」の見出しの下,「静岡県高野連は6日,来年3月23日開幕のセンバツ高校野球(甲子園)の21世紀枠県推薦校として,静岡市立を選出したと発表した。」の記載がある。

ソ 2018年3月11日付けスポーツ報知27頁には「高校野球 星稜が日高高中津分校と練習試合 竹谷理央が3回を7奪三振=北陸」の見出しの下,「23日開幕の第90回記念センバツ高校野球(甲子園)に出場する星稜(石川)が10日,1997年センバツ出場の日高高中津分校(和歌山)と和歌山・日高川町の同校グラウンドで対外試合解禁後初の練習試合を行い,1勝1敗だった。」の記載がある。

タ 2018年3月16日付け日刊スポーツには「出場36校中16が『大阪桐蔭』/キャプテントーク」の見出しの下,「第90回選抜高校野球(甲子園)に出場する36校の主将が一堂に会した『キャプテントーク』が15日,大阪市内で行われた・」の記載がある。

チ 2018年12月27日付け日刊スポーツには「甲子園決勝 開始時間早める 高野連が検討」の見出しの下,「日本高校野球連盟が夏の甲子園大会の熱中症対策を本格化させることが26日,分かった。・・・決まれば来夏の第101回全国高校野球選手権(甲子園)から採用される。」の記載がある。

(5)請求人又は請求人の商品化使用許諾の下に販売される「甲子園」の文字が付された商品について

ア 請求人が運営する「阪神甲子園球場」に関する商品の製造販売について,同人とのライセンス契約の下,「甲子園」の文字が付された,「甲子園うまい棒」,「甲子園チーズケーキ」,「甲子園スウィートポテト」,「打った!走った!!熱球甲子園」,「熱戦!!甲子園」,「夢きっぷ甲子園」,「熱闘甲子園スウィートクッキー」,「感動甲子園プリン」,「甲子園せんべい」などのお菓子や「甲子園に行ってきました。」のデザインが施されたTシャツ,トートバッグ,フェイタオルが販売されている(資料27〜32)。

イ 請求人に係るウェブサイト「阪神甲子園球場オンラインショップ」においては,「甲子園グッズ」の記載の下,「甲子園」の文字が付された各種商品が掲載されている。そしてこれら商品は,高校野球全国大会を記念した商品の他,甲子園球場の外観図形や球場のスコアボードを象った図形のデザインとともに「甲子園」の文字が付されたマグカップ,巾着袋,灰皿,タオルハンカチ,ノート,クリアファイル,Tシャツ,帽子・ハット,ペンケースなどの商品もある(資料26)。

ウ 請求人が運営する「阪神甲子園球場」が発行した「選抜高校野球大会」及び「全国高校野球選手権大会」の「Goods Catalog(グッズカタログ)」(資料33〜35,37〜41,43〜46)には,その表紙に「甲子園」の文字が付されるとともに,「選抜高校野球大会」の主催者である「毎日新聞社」,「日本高等学校野球連盟」及び「阪神甲子園球場」並びに「承認済」が表示され(資料33,35,36,40,42),「全国高校野球選手権大会」の主催者である「朝日新聞社」,「日本高等学校野球連盟」及び「阪神甲子園球場」並びに「承認済」が表示され(資料34,37〜39,41,43),当該カタログ中には,「甲子園」の文字が付された各種商品が掲載されている。そしてこれら商品は,高校野球全国大会を記念した商品の他,甲子園球場の外観図形や球場のスコアボードを象った図形のデザインとともに「甲子園」の文字が付されたノート,マフラータオル,ポンチョ,巾着,クリアファイル,灰皿,ペンケース,Tシャツなどの商品もある。

エ 上記アないしウからすれば,「甲子園」の文字が付された上記商品が,阪神甲子園球場に由来するものとして,請求人に係るウェブサイト「阪神甲子園球場オフィシャルオンラインショップ」や阪神甲子園球場内などで販売されていることから,「甲子園」の文字は,当該商品が阪神甲子園球場に関連することを表し,阪神甲子園球場の略称としても使用されていることが認められる。

(6)小括

上記(1)ないし(5)を総合すると,「甲子園」の文字は,請求人が運営する「阪神甲子園球場」の略称として広く使用されているが,兵庫県西宮市の一地名として,あるいは,「毎日新聞社」又は「朝日新聞社」及び「日本高等学校野球連盟」が主催する春夏に開催される高校野球の全国大会の通称としても広く使用されているものであり,需要者において請求人の出所を表すものとして常に認識されるとはいい難いものである。

(7)原登録商標の使用役務と本願標章の指定商品及び指定役務との関係について

請求人が原登録商標を使用する役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」は,主にプロ野球球団等が公衆に対して野球をみせることの企画・運営又は開催や野球場の提供に関する役務であるところ,本願標章の商品及び役務は,別掲に記載のとおり,第9類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第24類,第25類,第28類ないし第30類,第32類ないし第35類及び第41類の極めて広い範囲にわたる商品及び役務を指定するものであることから,原登録商標の使用に係る役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」との関係において,本願標章の指定商品及び指定役務の一部の分野において需要者層が一致する場合があるとしても,例えば,電気通信機械器具など原登録商標の使用役務と直接関連しない分野の商品においては,その用途又は目的が異なり,役務の提供者,提供場所と商品の製造者,販売場所が必ずしも一致するものではなく,全体としてみれば,原登録商標の使用に係る役務と本願標章の指定商品及び指定役務とは,その関連性は必ずしも高いということはできない。

そうすると,原登録商標は,その指定役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」に使用するときは,請求人の取扱いに係る役務であることを表示するものとして,需要者の間に広く知られた商標といえる。しかしながら,「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」以外の商品又は役務について,「甲子園」の文字が,上記(6)のとおり,請求人が運営する「阪神甲子園球場」の略称として広く使用されているだけでなく,兵庫県西宮市の一地区の地名として,また,春夏に開催される高校野球の全国大会の通称として,いずれも広く使用されていることからすれば,「甲子園」の文字は,兵庫県西宮市の一地名や高校野球の全国大会の通称としても理解,認識されるというべきである。

してみれば,上記のとおり「甲子園」の文字が,兵庫県西宮市の一地区の地名又は高校野球の全国大会の通称としても広く認識されている事情に照らせば,他人が本願標章をその指定商品及び指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,必ずしも請求人が運営する「阪神甲子園球場」の略称のみを想起するとはいえず,本願標章は,本願の指定商品及び役務との関係において,商品役務の出所の混同を生ずるほどに強い識別力を備えているということはできないものであるから,該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。

5 請求人の主張について

(1)請求人は,「請求人が,その100%子会社である『株式会社阪神タイガース』を通じて,原登録商標『甲子園』を,請求人の野球場の固有名称,つまり,請求人の業務に係る『野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供』の出所表示として多数使用していること,その結果,第三者も『甲子園』の語を,請求人の固有の野球場の名称,つまり,請求人の業務に係る役務の出所表示として強く認識していること,そのため,仮に『甲子園』の語が第三者によって本願の指定商品又は指定役務について使用された場合には,請求人の業務に係るものと出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。」旨主張する。

しかしながら,原登録商標は,役務の提供場所を表示するものとして商標法第3条第1項第3号に該当するものの,それが使用をされた結果,請求人の業務に係る役務であることを認識するに至ったことから,同条第2項が適用され登録となったものであり,この登録によって,「甲子園」の文字が役務の提供場所を表示するものであるという需要者の認識が否定されたわけではない。

そして,標章に表された文字の認識は,その指定商品又は指定役務の分野における一般的な需要者の認識にもとづき判断されるところ,「甲子園」の文字は,上記4(6)のとおり,請求人が運営する「阪神甲子園球場」の略称としてのみ認識されるものとはいえず,兵庫県西宮市の一地名として,また,春夏に開催される高校野球の全国大会の通称としても,我が国において広く認識されているというのが相当である。

そうすると,他人が本願標章をその指定商品及び指定役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。

したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。

(2)請求人は,「本願の指定商品及び指定役務を一部縮減することにより本願標章の登録が認められる場合には,請求人はそれを検討する用意がある。」旨主張する。

しかしながら,原登録商標は,商標法第3条第2項が適用され登録されたこと,請求人が本願標章を他人が使用すれば,請求人の業務に係るものとの誤認混同を生じるおそれが高いとして提出した証拠は,主にプロ野球球団等が公衆に対して野球をみせることの企画・運営又は開催や野球場の提供に関する役務のものであることからすれば,原登録商標は,その指定役務「野球の興行の企画・運営又は開催,野球場の提供」に使用するときは,請求人の取扱いに係る役務であることを表示するものとして,需要者の間に広く知られた商標といえるとしても,上記4(7)の認定のとおり,他人が本願標章をその余の指定商品又は指定役務に使用した場合,「甲子園」に接する取引者,需要者は,必ずしも請求人が運営する「阪神甲子園球場」の略称のみを想起するとはいえず,該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれがあるということはできないから,請求人の主張は,採用することができない。

6 まとめ

以上のとおり,本願標章は,商標法第64条の要件を具備するものではないことから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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