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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−12592(T2017−12592/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1(1)の商標登録を受けようとする商標及び願書記載のとおりの商標の詳細な説明の構成からなり,第3類「歯磨き」及び第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ」を指定商品として,平成27年4月1日に登録出願されたものである。

そして,商標の詳細な説明については,原審における同28年2月24日付けの手続補正書により,別掲1(2)のとおり補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

本願商標は,その指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるから,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,出願人により提出された証拠からは,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえないから,本願商標は,商標法第3条第2項に該当しない。

3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2に掲げる事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に対し平成30年8月3日付け証拠調べ通知書をもって通知し,意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は,上記3の通知に対して,要旨以下のとおり意見を述べた。

証拠調べ通知書における各使用例においては,いずれも本願商標とは異なる色構成,特徴を有するものといわざるを得ず,取引上通常の注意力を有する取引者,需要者であれば,明瞭,かつ,容易に区別することが可能である。そのため,この使用例をもって,本願商標が有する自他商品識別力の存在を否定することは到底できない。そのため,本願商標が,商標法第3条第1項第3号に該当しないことは明らかである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は,前記1のとおり,色彩のみからなる商標であって,その色彩は,「上方から下方に向けて色彩が変化するグラデーションより構成されるものであり,上端部が黒色(プロセスカラーの組合せ:C=0%,M=0%,Y=0%,K=100%)であり,下端部は青緑色(PANTONE320C)」(以下「青緑色グラデーション」という。)であり,その指定商品を第3類「歯磨き」及び第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ」とするものである。

ところで,色彩は,商品そのものやその包装はもとより,その商品の広告等においても,商品の魅力向上等に資する装飾等として,一般に広く使用されているものであるから,例えば,文字や図形等と組み合わせるなど,具体的な形態を伴う場合はともかく,そのような形態を伴わない場合には,これに接する者は,通常,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして,本願の指定商品である「歯磨き,歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ」を取り扱う業界においても,原審及び当審における証拠調べ通知書において示したとおり(別掲2),青緑色並びにそれと比較的近い印象を与える青,緑及びそれらの中間色を商品若しくはその容器及び包装の装飾等の背景の色彩として採用され,それら色彩に濃淡を付けることは広く一般に行われているため,本願商標の色彩自体に他の同種商品とは異なる顕著な特徴があるものではない。

そうすると,本願商標は,青緑色グラデーションの色彩のみからなる商標であるから,これを本願の指定商品について使用しても,これに接する需要者は,その商品若しくは商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩(商品の特徴)を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について

請求人は,「本願商標は,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者又は取引者の間に広く知られていることから,我が国において既に周知・著名性を獲得し,その周知・著名性は現在においても継続するものである。そのため,本願商標は,使用による識別力をすでに獲得しているものということができる。」旨主張し,証拠方法として参考資料1ないし68を提出している。なお,以下,当該参考資料1ないし68は,それぞれ,甲第1号証ないし甲第68号証と読み替える。

そこで,本願商標が,使用をされた結果,需要者又は取引者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているか否かについて,以下検討する。

ア 請求人は,そのブランドの一つである「デンターシステマ」又は「システマ」と称する商品「歯磨き,歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ」(以下,これらの商品をまとめて「本件歯磨き等」という。)について,1997年(平成9年)にブランドを立ち上げた後,2008年(平成20年)に青緑色グラデーションを用いたデザインに変更した「歯磨き,歯ブラシ,歯間ブラシ」の販売を開始し(甲31,39),2009年(平成21年)に「電気式歯ブラシ」の販売を開始した(甲30,38)。

そして,本件歯磨き等の包装に「DENTOR SYSTEMA」,「デンターシステマ」及び「システマ」の文字及び商品の効能,用途及び品質等の文字(例えば,商品「歯磨き」について「歯周病予防」,「薬用」,「しみるケア」,「イオンバリア効果」及び「歯周ポケットケアで歯周病を防ぐ」,商品「歯ブラシ」について「超極細毛」,「コンパクト」,「ソフトな磨き心地」,「歯周ポケットの奥まで届く,かき出せる」及び「歯ぐきにやさしく歯周ポケットを磨ける」,商品「電動ブラシ」について「コンパクトヘッド」,「スリムネック」及び「音波アシストブラシ」並びに商品「歯間ブラシ」について,「超極細タイプ」「歯間用ブラシ」及び「歯周病になりやすい奥歯の歯間もブラッシング」等)の記載とその背景に青緑色グラデーションが用いられている(甲1〜39)。

イ 請求人は,本件歯磨き等を全国各地のドラッグストア,スーパー,コンビニエンスストア等の47都道府県の小売店舗において販売を行っている(甲53)。

ウ 本件歯磨き等のうち「歯磨き」は,2010年(平成22年)から2015年(平成27年)までの間,「アイテム別」のブランドシェア(金額ベース)において第1位となっており,その売上高は,2008年(平成20年)から2015年(平成27年)までに累計570億円以上を計上している(甲40〜46)。同じく「歯ブラシ」は,2011年(平成23年)から2015年(平成27年)までの間,「ブランド別」のブランドシェア(金額ベース)において第1位となっており,その売上高は,2008年(平成20年)から2015年(平成27年)までに累計320億円以上を計上している(甲40〜46)。同じく「電気式歯ブラシ」は,2010年(平成22年)から2015年(平成27年)までの間,電動歯ブラシ市場(金額ベース)において第2位となっており,その売上高は,2009年(平成21年)から2015年(平成27年)までに累計60億円以上を計上している(甲48)。

なお,同じく「歯間ブラシ」についてのブランドシェアは不明である。

エ 請求人は,本件歯磨き等について,2008年(平成20年)から2015年(平成27年)までの間,継続的にテレビCMによる宣伝広告を行った(甲47)。

しかしながら,当該テレビCMにおいて,本願商標を構成する青緑色グラデーションと同じ色彩がどのように使用されたかについては明らかでない。

さらに,請求人は,本件歯磨き等について,雑誌(1誌)や新聞(14紙)に広告を掲載し,当該広告においては,請求人に係る商品「歯磨き,歯ブラシ」の写真が掲載されている(一部,白黒のものを含む。甲54〜68)。

オ 上記アないしエを総合勘案すれば,以下のとおり認めることができる。

(ア)請求人は,平成20年から,そのブランドの一つである「デンターシステマ」又は「システマ」と称する商品に青緑色グラデーションのデザインを用いて,本件歯磨き等の販売を開始し,全国各地のドラッグストア,スーパー,コンビニエンスストア等の47都道府県の小売店舗において販売され,本件歯磨き等のうち「歯磨き」及び「歯ブラシ」については,平成23年から同27年の間,「アイテム別」のブランドシェア(金額ベース)において第1位,それぞれの売上げが年平均で約77億円及び約42億円であり,また,本件歯磨き等のうち「電気式歯ブラシ」については,平成22年から同27年の間,電動歯ブラシ市場(金額ベース)において第2位であり,その売上げが年平均で約9億円であることから,「デンターシステマ」又は「システマ」と称する本件歯磨き等は,相当程度の売り上げ実績があったものと認められる。

(イ)しかしながら,本件歯磨き等に用いられた青緑色グラデーションは,商品の包装に「DENTOR SYSTEMA」,「デンターシステマ」及び「システマ」の文字並びに商品の効能,用途及び品質等の記載の背景として用いられており,主に請求人のブランド名を表した「DENTOR SYSTEMA」,「デンターシステマ」及び「システマ」の文字とともに用いられていること,又は商品の効能,用途及び品質等とともに使用されていることから,本件歯磨き等に接する取引者,需要者は,自然と商品の包装に表示されたブランド名及び商品の効能,用途及び品質等に注目するものといえる。

(ウ)しかも,上記(1)のとおり,本願商標は,青緑色グラデーションの色彩のみからなる商標であって,これを本願の指定商品について使用しても,これに接する需要者は,その商品若しくは商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩(商品の特徴)を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識するとはいい難いものである。

(エ)そして,本願の指定商品を取り扱う業界においても,原審及び当審における証拠調べ通知書において示したとおり(別掲2),青緑色並びにそれと比較的近い印象を与える青,緑及びそれらの中間色を商品若しくはその容器及び包装の装飾や,文字等の背景の色彩として採用すること,また,それら色彩に濃淡を付けることは,請求人以外の多数の事業者により広く一般に行われていることが認められる。

(オ)そうすると,「デンターシステマ」又は「システマ」と称する本件歯磨き等が,相当程度の売り上げ実績を有しており,青緑色グラデーションのみが本件歯磨き等について継続して使用されているとしても,その背景に施された青緑色グラデーションは,単に商品の包装に係る装飾又は文字等の背景色として認識するというのが一般的であるから,本願商標は,それを構成する青緑色グラデーションの色彩のみをもって,需要者が,専ら請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとは認められない。

してみれば,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

(3)請求人の主張について

請求人は,各商品パッケージ及び容器において,その使用商品の製造販売元である出願人の企業名称や文字商標等が付されているが,このことのみを理由として,以下に述べる出願人の主張が排斥されるべきではなく,前記企業名称や文字商標等を捨象して残された部分(本願商標が付されたデザイン部分)に注目して,独自の自他商品識別力を獲得するに至っているかどうかを判断すべきである旨を主張している。

しかしながら,本願商標の色彩に関し,提出された証拠によれば,請求人に係る商品の包装には,「DENTOR SYSTEMA」,「デンターシステマ」及び「システマ」の文字や,商品の包装の装飾や文字等の背景色として青緑色グラデーションの色彩が使用されているにすぎず,これに接する一般の需要者をして,青緑色グラデーションの色彩を頼りに商品を選択するということが,一般的であるということもできない上,通常,常に「DENTOR SYSTEMA」,「デンターシステマ」及び「システマ」の文字と一体のものとして青緑色グラデーションの色彩も認識されるとみるのが相当であるから,その使用に係る本願商標の色彩のみが分離して観察され,強く印象付けられるとはいい難いものである。

そして,請求人の商品のブランドシェアが,一定の高いシェアを占めることは推認されるものの,その青緑色グラデーションの色彩の使用方法は,商品の包装における装飾や文字等の背景色として,ごく一般的な色彩の使用のされ方であることから,これに接した取引者,需要者において,本願商標の色彩のみをもって,請求人の業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認められない。

よって,本願商標が長年にわたり本願指定商品に使用された結果,需要者,取引者が何人かの業務に係る商品であることができるに至ったということはできない。

したがって,請求人の主張は,採用することができない。

(4)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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