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Trademark Appeal Case

単一色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−244(T2018−244/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおり,色彩のみからなる商標であって,青色(PANTONE287C)のみからなるものであり,第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし,平成27年4月1日に登録出願,その後,本願商標の指定商品については,原審における同28年10月6日付け手続補正書により,第10類「内視鏡,内視鏡用カメラヘッド,内視鏡用処置具,内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター,治療用エネルギーデバイス,医療用プローブ,内視鏡用洗浄装置,内視鏡用モニター,医療機械器具運搬用カート」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は「商品に使用される色彩は,多くの場合,商品の特徴を表すために普通に使用されるものであって,その色彩をもって,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識としては認識できない。そして,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,本願商標である青色が付された商品が実際に取引されていることが,うかがうことができる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。そして,出願人は,商品『内視鏡』について,その構成の一部に本願商標の色彩を付して2011年から販売を開始していること,出願人が7割のシェアを有していること,商品の宣伝広告を行っていること等は確認することができるが,上記商品の販売期間は6年程度であり,かつ,出願人以外の者が,本願商標と同色である青色を『内視鏡』を含む商品の一部に使用していることが確認できる。また,本願商標である青色の色彩と共に『OLYMPUS』の文字が使用されている。そうすると,青色のみからなる本願商標が,取引者,需要者をして,出願人の業務に係る商品であることを認識することができるとは直ちにはいい難いと判断するのが相当であるから,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権により証拠調べをした結果,別掲2の事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,その結果を請求人に通知し(平成30年8月24日付け証拠調べ通知書),相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

請求人は,上記第3の証拠調べ通知に対して,以下のとおり意見を述べた。

1 本願商標との色彩の相違

証拠調べ通知書における,インターネット記事情報に掲載された製品に係る色彩は,本願商標と同じ青系統の色彩ではあっても,本願商標とは全く異なる色彩である。

2 本願商標を使用している商品との相違

証拠調べ通知書における,インターネット記事情報のうち,数社に係るものは,いずれも内視鏡関連の製品ではない。この点,病院には「内視鏡科」といった内視鏡に特化した専門部署が存在することから,これらの製品は,本願商標の使用商品とは,その需要者,使用目的,使用場所等を全く異にするものである。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は,上記第1のとおり,「青色(PANTONE287C)」のみからなる色彩商標である。

(2)色彩は,古来存在するものであって,本来何人も自由に使用し得るものであり,単一の色彩は,特異性が認められるものではない。色彩は,商品そのものやその包装はもとより,その商品の広告等においても,商品の美感や魅力の向上等に資する装飾等として,一般に広く使用されているものであるから,例えば,ロゴ等の文字や図形等と組み合わせるなど,具体的な形態を伴う場合はともかく,そのような形態を伴わない場合には,これに接する者は,通常,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

(3)本願商標の指定商品及びそれに類する医療用機械器具を取り扱う業界においても,当審における証拠調べ通知において示した例(別掲2)のように,商品の美感や魅力の向上等に資する装飾等として,青色ないし本願商標の色彩に近似する色彩が使用されている実情がある。

(4)そうすると,「青色(PANTONE287C)」の色彩のみからなる本願商標を,その指定商品について使用しても,これに接する需要者は,商品の美感や魅力の向上等に資する装飾等として,通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて

請求人は,「本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する場合であっても,本願商標は,請求人による本願商標の指定商品についての使用によって,自他商品の識別標識としての機能を発揮しているものである。」旨を主張し,その主張に係る証拠として原審における平成28年10月6日付けで甲第1号証ないし甲第66号証,当審における同30年2月22日付けで甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。

なお,請求人は,当審において甲第1号証ないし甲第63号証を提出すると主張し,当該甲第6号証ないし甲第63号証は,原審において提出した,甲第3号証ないし甲第60号証を援用する,としているところ,その場合,同一の書証に異なる2つの番号が付与されるため,本審決においては,原審において提出した甲第1号証ないし甲第66号証は当審においても,甲第1号証ないし甲第66号証とし,当審において提出した甲第1号証ないし甲第5号証については,原審において提出した証拠の番号に続くように,それぞれ甲第67号証ないし甲第71号証に読み替えるものとする。

そこで,請求人が提出した証拠及び同人の主張の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

(1)請求人及び本願商標の使用地域について

請求人は,大正8年(1919年)に創設され,現在は精密機械器具の製造販売を主たる事業内容としている(甲3,甲4)。

請求人は,1950年(昭和25年)に世界で初めて胃カメラの実用化に成功し,1964年(昭和39年)には,ファイバースコープ付き胃カメラを発表し,さらに1985年(昭和60年)には,ビデオスコープを発売した(甲15)。

請求人は,東京をはじめとする全国15か所に支店,営業所又は事業場を有する他,全国各地及び海外に子会社120社及び関連会社4社を有しているものであって(2016年(平成28年)3月末時点),これらの営業所等から日本各地の病院施設へ本願商標を使用した商品の販売を行っている(甲12〜甲14,審判請求書における請求人の主張)。

(2)本願商標の使用開始時期及び使用方法について

請求人は,2011年(平成23年)10月に内視鏡統合ビデオシステム及び腹腔・胸腔ビデオスコープの機器の前面上部の一部に,本願商標と同一視できる青色の色彩(以下「本願青色」という。)を付して販売した(甲11,審判請求書における請求人の主張)。

そして,現在,請求人は,本願青色をコーポレートカラーとして使用している(甲46,甲47,甲53〜甲55,甲57〜甲59)。

(3)本願商標の指定商品等に係る使用について

ア 請求人のロゴの色彩に係る使用について

本願商標の指定商品(以下「本願指定商品」という。)中,「内視鏡用洗浄装置」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品,本願指定商品に係る製品カタログ,新聞,雑誌広告,請求人のウェブサイト及び看板等には,本願青色による「OLYMPUS」の文字が表示又は掲載されている(甲1,甲2,甲19〜甲21,甲24〜甲35,甲45〜甲47,甲58)。

イ 請求人のロゴの文字の背景色としての使用について

(ア)本願指定商品中「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品の筐体の上部には,本願青色が横長の帯状に配されており,その帯状図形の向かって左端に「OLYMPUS」の文字が白抜きで表示されている(甲19,甲21,甲25,甲27,甲29)。

(イ)本願指定商品中「内視鏡用モニター」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品の下部には,本願青色が横長の帯状に配されており,その帯状図形の向かって左端に「OLYMPUS」の文字が白抜きで表示されている(甲19)。

(ウ)本願指定商品中「医療用機械器具運搬カート」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品の上部には,本願青色が横長の帯状で配されており,その帯状図形の中央に「OLYMPUS」の文字が白抜きで表示されている(甲19)。

(エ)請求人の本社エントランスの看板及びユニフォームは本願青色からなり,白抜きの「OLYMPUS」の文字が表示されている(甲59)。

ウ 本願青色のみの使用について

(ア)本願指定商品中「治療用エネルギーデバイス」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品は,その商品とケーブルとの接合部に,本願青色からなる円錐状の部品が装着されている(甲1,甲2)。

(イ)本願指定商品中「内視鏡」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品は,その商品と接合するケーブルの先端部又は,ビデオスコープのグリップの先端部に,本願青色からなるリング状の部品が装着されている(甲21,甲28)。

(ウ)本願指定商品中「内視鏡用カメラヘッド」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品は,その商品の先端部付近に本願青色からなるリング状の部品が装着されている(甲26,甲27)。

(エ)本願指定商品に係る製品カタログには,表紙の右端の小口の余白部分に本願青色が縦長の帯状で配されている。また,カタログ内の小口の余白の上部及び雑誌広告の左下にも本願青色が横長の帯状で配されている(甲1,甲2,甲19,甲21,甲25〜甲27,甲29)。

(オ)本願指定商品に係るウェブサイトには,「ニュース」のタブの色彩として本願青色が使用されている(甲11,甲47)。

(カ)「未来医XPO‘15」の名称の提示会における請求人のブース内のパネルの上部に本願青色が使用されている(甲45)。

(4)本願指定商品に係る広告について

ア 請求人は,「内視鏡システム」の広告を,株式会社東京医学社発行「消化器内視鏡」第26巻第1号(2014年(平成26年)1月25日発行:甲30),第27巻第10号(2015年(平成27年)10月25日発行:甲31),株式会社日本メディカルセンター発行「INTESTINE」第19巻第6号(2015年(平成27年)11月20日発行:甲32),日本内視鏡外科学会ニュースレターNo.21(2015年(平成27年)11月15日発行:甲33)において行った。

イ 請求人は,内視鏡の新聞広告を2014年(平成26年)7月14日に読売新聞,日本経済新聞,毎日新聞,産経新聞の全国版の朝刊において行った(甲35)。

ウ 請求人は,2015年(平成27年)3月28日ないし4月5日に行われた「未来医XPO‘15」の請求人ブースにおいて,内視鏡を紹介した(甲45)。

なお,請求人が同様のブースを出展しているとする,「日本消化器関連学会週間」における,2011年(平成23年)ないし2015年(平成27年)の参加人数は,1回におよそ2万人前後である(甲43)。

(5)請求人の製造に係る商品の販売実績及びシェアについて

請求人の製造に係る内視鏡の売上高は,2015年(平成27年)度には3133億円,2016年(平成28年)度に3416億円であり,請求人の医療事業全体の56%を占めている(甲7)。

そして,請求人の製造に係る内視鏡の2012年(平成24年)の日本国内のシェアは,43%である(甲18)。

(6)その他

ア 本願指定商品中「内視鏡用処置具,医療用プローブ」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品について,その商品自体には,本願青色が付されていると認めることはできない(甲19)。

イ 本願指定商品中「内視鏡用処置具」の範ちゅうに含まれる商品のカタログ等の提出はない。

(7)判断

色彩の保護と使用による識別性について

上記1(2)のとおり,色彩は,何人も自由に選択して使用し得るものであるから,仮に,単一の色彩が出所表示機能(自他識別機能)を持つようになったと思われる場合であっても,色彩が元々自由に使用できるものである以上,色彩の自由な使用を阻害するような商品表示(単一の色彩)の保護は,公益的見地からみて容易に認容できるものではない。

そうすると,単一の色彩が特定の商品に関する出所識別標識として保護されるためには,当該色彩とそれが施された商品との結びつきが強度なものであることはもちろんとして,(ア)当該色彩をその商品に使用することの創造性,特異性,(イ)当該色彩使用の継続性,(ウ)当該色彩の使用に関する宣伝広告とその浸透度,(エ)取引者や需要者が商品を識別,選択する際に当該色彩が果たす役割の大きさ等も十分に検討した上で決せられなければならない。

ア 以上,上記の項目に基づいて検討する。

(ア)本願青色を本願指定商品に使用することの創造性,特異性

本願青色は,上記(3)のとおり,本願指定商品中,「内視鏡,内視鏡用カメラヘッド,内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター,治療用エネルギーデバイス,内視鏡用洗浄装置,内視鏡用モニター,医療機械器具運搬用カート」の範ちゅうに含まれる商品に付されていることが認められる。

しかしながら,上記1(3)のとおり,現に,請求人以外の第三者が青色を内視鏡関連器具を含む医療用機械器具に採用している(別掲2)ことからすれば,本願青色を本願指定商品に使用することについての創造性及び特異性は高くはない。

(イ)本願青色の使用の継続性

上記(2)の事実によれば,請求人は,本願青色をコーポレートカラーとして,遅くとも2011年(平成23年)10月より,「内視鏡統合ビデオシステム」に使用し,以降,現在まで,請求人に係る商品等に継続的に使用していることは認められる。

しかしながら,その使用期間は約8年と長いものとはいえない。

(ウ)本願青色の使用に関する宣伝広告とその浸透度

a 本願青色を使用した広告について

請求人は,本願青色を「内視鏡用処置具」を除く本願指定商品に係るカタログの表紙や本文の小口の余白部分,ウェブサイトの「ニュース」のタブ,本願指定商品に係る広告の横縦長の帯状部分等に使用していることが認められる。

さらに請求人は,展示会における出願人のブースのパネルの色彩に使用している。

しかしながら,本件青色が掲載されているカタログの配布数,ウェブサイトの閲覧数を示す証拠の提出はない。

また,本願青色を使用した本願指定商品に係る広告も,専門誌に4回,全国紙に1回である。

そして,請求人が本願青色を付した商品を展示したとする,平成23年以降の「日本消化器関連学会週間」の参加者は毎年,約2万人であるところ,当該学会週間は年に1度の開催であるから,本願青色を付した請求人に係る商品の発売以降の平成23年ないし同27年の当該学会週間の回数は,5回程度であり,多いとはいえない。

また,請求人の各年の展示内容も確認できない。

b 本願青色の浸透度について

(a)請求人は,上記(1)のとおり,本願青色を全国において使用しており,上記(5)より,内視鏡及びその関連装置の市場シェアは高いことがうかがえる。

(b)しかしながら,上記(イ)のとおり,本願青色の使用は8年程であり,上記(ウ)aのとおり,本件青色が掲載されているカタログの配布数及び頒布方法,ウェブサイトの閲覧数を示す証拠の提出はなく,本願青色を使用した本願指定商品の広告数および展示会での請求人のブースへの来場者は,多いとはいえない。

(c)本願青色の使用形態のほとんどは,上記(3)ア及びイのように本願青色が請求人のロゴの色彩又はロゴの背景色として使用されるものであり,その場合は,これに接する需要者をして,常に「OLYMPUS」の文字と一体のものと認識されるとみるのが相当であり,その使用に係る本願青色の色彩のみが分離して観察され,これが商品の出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるとはいい難い。

(d)「OLYMPUS」の文字を伴わず,本願青色のみで使用されている場合も一部にはあるものの,上記1(2)のとおり,色彩は,ロゴ等の文字等と組み合わせるなど,具体的な形態を伴わない場合には,これに接する者は,通常,その色彩について,自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当であるから,本願青色が請求人のコーポレートカラーとして使用されているとしても,本願指定商品における識別性との関連は必ずしも明らかではない。

(e)本願指定商品中,「治療用エネルギーデバイス」は,そのカタログの「高い血管封止性能に加え,迅速な切開と繊細な操作を,開腹・開胸手術にも。」の記載(甲2)より,内視鏡の関連商品とは認められず,また「医療機械器具運搬用カート」は,内視鏡用の機器以外の医療機械器具用のものも含まれるから,本願指定商品の全てが内視鏡の関連商品であるとは認められない。

そして,上記の内視鏡の関連商品以外の商品の,売上高及び市場シェアは確認できない。

(f)上記(a)ないし(e)より,請求人は,本願青色を全国的に使用しており,請求人に係る内視鏡及びその関連商品の市場シェアが高いとしても,本願青色は,本来的には商品の出所を表示するものでなくかつ,本願青色の使用のほとんどが「OLYMPUS」の文字を伴うことからすると,本願青色のみの使用による需要者における浸透度は,高いものとは認められない。

(エ)取引者や需要者が商品を識別,選択する際に本願青色が果たす役割の大きさ

本願指定商品に係る取引者,需要者は,商品を識別,選択する際に,色彩のみに着目して商品を識別,選択して購入するとは,通常考えにくく,本願の指定商品は,商品自体の安全性,操作性及び機能性はもとより,どのメーカーの商品であるか,性能,品質等の点も確認した上で商品を購入するものと考えられることから,本願青色が果たす役割の大きさは,さほど大きいものとは認められない。

(オ)以上よりすると,本願指定商品中,内視鏡及び内視鏡関連商品が請求人の製造に係る商品として,取引者,需要者において,広く知られているものであるとしても,本願青色は,それ自体に創造性や特異性が認められず,本願青色の使用の継続性及び使用による浸透度があるとはいい難く,取引者や需要者が商品を識別,選択する際に本願青色が果たす役割の大きさはさほど大きくない。

そうすると,本願青色が特定の商品に関する出所識別標識として保護されることは,公益的見地からみて容易に認容できるものではない。

イ 小括

そうであれば,本願指定商品中,内視鏡及び内視鏡関連商品については,請求人の製造に係る商品として,取引者,需要者において,広く知られているとしても,請求人が本願青色からなる本願商標を,その指定商品に使用した結果,需要者が,本願商標のみをもって,専ら請求人の業務に係る色彩であることを認識しているとは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠の提出はない。

また,本願青色が特定の商品に関する出所識別標識として保護されることは,公益的見地からみて容易に認容できるものではない。

してみれば,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

3 請求人の主張について

(1)請求人は,「原審において提示した商品及び当審における証拠調べ通知書において掲載した商品は,本願商標と同じ青系統の色彩ではあっても,色相面で全く異なる印象を需要者に与えるものであり,本願商標とは全く異なる色彩であるから,本願商標を,商品に通常使用される,あるいは使用され得る色彩を表したものと認識するようなことはない。」旨を主張している。

しかしながら,上記1のとおり,商品に使用される色彩のみでは,出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当であり,また,本願指定商品及びそれに類する医療用機械器具を取り扱う業界においては,商品の美感や魅力の向上等に資する装飾等として,青色ないし本願商標の色彩に近似する色彩が普通に採択,使用されている実情がある。

そうすると,本願商標と,原審において提示した商品及び当審における証拠調べ通知書において掲載した商品に付されている青色が色相において多少異なっているとしても,両者は,ともに青色であって,通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識されるものであるから,本願商標に係る青色のみが,その色彩について,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識される実情は認められない。

(2)請求人は,「本願指定商品は内視鏡に関連する装置であるのに対し,原審において提示した商品及び当審における証拠調べ通知書において掲載した商品のうち,いくつかは,内視鏡に関連した製品ではなく,病院には『内視鏡科』といった内視鏡に特化した専門部署が存在することから,これらの製品は,使用商品とは,その需要者,使用目的,使用場所等を全く異にするものである。」旨を主張している。

しかしながら,本願指定商品並びに原審において提示した商品及び当審における証拠調べ通知書において掲載した商品はいずれも医療用機械器具の範ちゅうの商品である。

そして,請求人も,請求書において「本願指定商品の需要者は,病院等で診療に関わる消化器内科,外科等の医師や検査技師・看護師等の医療従事者である。」旨を主張していることから,本願指定商品もまた,医療用機械器具の範ちゅうの商品である。

また,上記2(7)ア(ウ)b(e)のとおり,本願指定商品には内視鏡関連商品以外の医療用機械器具も含まれるものである。

そうすると,本願指定商品と原審において提示した商品及び当審における証拠調べ通知書において掲載した商品とはいずれも需要者,使用目的,使用場所等において共通する商品であるというべきである。

(3)請求人は,日本消化器関連学会週間に参加し,本願商標を使用した医療機器商品を継続して展示するとともに,大会参加者に配布される冊子にも本願商標を使用した広告を掲載していることを根拠としても本願商標の周知性を主張している。

しかしながら,日本消化器関連学会週間における商品の展示は,その展示内容が確認できず,また,請求人がプログラムにおける広告としている甲第41号証及び甲第42号証は,広告面のみの提示であり出典元が確認できない。

(4)請求人は,手術装置,消化器内視鏡システム及び手術用デバイスがグッドデザイン賞を受賞していることをも根拠として,本願商標の周知性を主張している。

しかしながら,請求人に係る製品がグッドデザイン賞を受賞した事実は,受賞した製品の形状が美感に資するために採用されたものであることを認め得るとしても,そのことで,本願商標が商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として機能することを証明するものとは認められない。

(5)請求人は,「本願商標が,審判請求人自身のみならず,一般にも『オリンパスブルー』と呼ばれるほどであって,広く審判請求人のシンボルカラーとして認識されているものである」旨を主張している。

しかしながら,請求人が上記主張に係る証拠として提出した,甲第47号証,甲第53号証ないし甲第59号証のうち,請求人又は請求人の関係者以外の者によって「オリンパスブルー」の文字が使用されているものは甲第54号証に係るブログ記事と認められるもののみであるから,それのみをもって,本願商標が広く認識されていることを証明するものとは認められない。

(6)請求人は,「本願商標が,高い周知性を獲得している前提の下,商品自体に,識別力の非常に高い『OLYMPUS』の文字の背景に必ず本願商標が使用され,そのような使用が継続して行われているからこそ,本願商標が請求人の識別標識として認識されているものであって,文字と共に使用されていることを捉えて機械的にその識別力を否定すべきではない」旨を主張している。

しかしながら,「『OLYMPUS』の文字の背景に必ず本願商標が使用される」ことは,上記2(7)ア(ウ)b(c)のとおり,本願商標が,これに接する需要者に「OLYMPUS」の文字と一体のものと認識されるというべきであり,本願商標の色彩のみが分離して観察され,これが商品の出所識別機能を有するものとして,需要者に強く印象付けられるとはいい難いというべきである。

(7)したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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