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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−2128(T2018−2128/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年4月1日に色彩のみからなる商標として登録出願,その後,本願商標の指定商品については,原審における同28年10月6日付け手続補正書により,第10類「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「商品に使用される色彩は,様々な色彩を組み合わせたものも含め,多くの場合,商品の魅力向上等のために選択されるものであり,商品の出所を表示し,自他商品を識別するための標識として認識し得ないものであるから,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるものである。したがって,本願商標は,単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,出願人が提出した証拠からは,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできないから,本願商標が,商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 当審における証拠の取扱いについて

請求人は,原審において,甲第1号証ないし甲第46号証(請求人に係る商願2015−30675における平成28年10月6日付け手続補足書から抜粋して援用。)を提出し,さらに,当審において,甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

しかしながら,この場合,甲第1号証ないし甲第5号証について証拠番号が重複するから,当審において提出した甲第1号証ないし甲第5号証については,それぞれ,甲第47号証ないし甲第51号証に読み替えるものとする。

また,当審においては,上記商願2015−30675における平成28年10月6日付け手続補足書により提出された甲第21号証及び甲第22号証についても判断材料として採用することとし,それぞれ,甲第52号証及び甲第53号証に読み替えるものとする。

2 商標法第3条第1項第3号該当性について

(1)本願商標は,上記第1のとおり,色彩のみからなる商標であり,医療用機械器具の筐体の正面部において,上部に青色(PANTONE 287C)を横長の帯状に配し(以下「上部青色部分」という。),正面の左側約半分に白色(PANTONE Cool Gray 1C)を配し,及び正面の右側約半分を灰色(PANTONE 7540C)とする構成からなり,第10類「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」を指定商品とするものである。

(2)商品の色彩(これらを組み合わせたものを含む。)は,文字及び図形等の商標とは異なり,本来的には商品の出所を表示するものではないと解されるところ,実際に,色彩(これらを組み合わせたものを含む。)は,商品の美感又は機能の向上等に資することを目的として,一般に広く使用されている。

そして,本願商標の指定商品である「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー」等を含む医療用機械器具を取り扱う業界においても,例えば,以下アないしウに挙げるとおり,請求人以外の者が筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,白色,黒色に近い灰色,又は青色の色彩(これらを組み合わせたものを含む。)を付すことは一般的に行われている。

ア 医療従事者が病院内で使用する筐体を有する医療用機械器具には,白色が施されている筐体が多数ある(甲41〜甲43,甲46,甲49〜甲51)。

イ 医療用機械器具の筐体の正面部には,動作を示すランプ及びディスプレイ並びに各種機能の設定,操作を行うためのボタン及びスイッチ等(以下「動作ランプ等」という。)がまとめて配置されていることが多く,それらの背景部分は,動作ランプ等の視認性を向上させるため黒色に近い灰色や黒色等の暗い色彩が使用されている(甲42,甲43,甲45,甲46)。

ウ 医療用機械器具の筐体の一部に,デザインの一種として青色を配色したり,出所を表示するための当該企業のロゴや文字とともに色彩を使用したりすることは,一般的に行われている(甲43,甲48,甲49,甲51)。

(3)請求人が取り扱う筐体を有する医療用機械器具について

本願商標は,上記(1)のとおり,医療用機械器具の正面部に,正面の左側約半分に白色,右側約半分に灰色,上部に青色を横長の帯状に配してなる色彩からなるところ,上記(2)のとおりであるから,色彩のみからなる本願商標を,その指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者は,商品の美感や機能の向上等に資するため,商品に通常使用され得る色彩という商品の特徴を表したものと認識するにとどまるというのが相当である。

したがって,本願商標は,商品の特徴(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 商標法第3条第2項該当性について

請求人は,「本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する場合であっても,本願商標は,請求人による指定商品についての使用によって,自他商品の識別標識としての機能を発揮しているものである。」旨を主張し,証拠として,甲第1号証ないし甲第51号証を提出している。

そこで,請求人が提出した証拠及び当審で採用した証拠並びに同人の主張に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

証拠及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)請求人及び本願商標の使用地域について

請求人は,1919年(大正8年)に創立され,精密機械器具の製造販売を主たる事業内容としている(甲3,甲4)。

請求人は,1950年(昭和25年)に世界で初めて胃カメラの実用化に成功し,1964年(昭和39年)には,ファイバースコープ付き胃カメラを発表し,さらに1985年(昭和60年)には,ビデオスコープを発売した(甲15)。

請求人は,東京をはじめとする全国15か所に支店・営業所又は事業場を有するほか,全国各地及び海外に子会社120社及び関連会社4社を有しているものであって(2016年(平成28年)3月末時点),これらの営業所等から日本各地の病院施設へ本願商標を使用した商品の販売を行っている(甲12〜甲14)。

(2)商品の販売実績及びシェアについて

ア 請求人の売上高は,2016年度(平成28年度)には8046億円であり,このうちの75.7%にあたる6089億円が医療事業の売り上げである(甲4,甲7)。

そして,請求人の医療事業の売上高は,2012年度(平成24年度)より2016年度(平成28年度)の5期連続で上昇している(甲5)。

また,「医療機器業界シェア&ランキング(平成25−26年)」(業界動向サーチ)では,売上高4922億円,売上高シェア22.3%であって(甲9),「医療機器メーカーランキング」(MTばんく)によると,売上高(国内:2013年(平成25年)〜2014年(平成26年))でトップである(甲10)。

イ 請求人の製造に係る内視鏡の売上高は,2015年度(平成27年度)には3133億円,2016年度(平成28年度)に3416億円であり,請求人の医療事業全体の56%を占めている(甲7)。

そして,インターネット記事(2013年7月2日)によれば,胃や大腸の検査や治療に使われている内視鏡の市場は,請求人が世界で約7割のシェアを持ち(甲17),2012年(平成24年)の日本国内のシェアは,43%である(甲18)。

(3)本願商標の使用開始時期及び使用方法について

請求人は,2011年(平成23年)10月から,筐体の正面部に本願商標と同一の色彩が施された商品「内視鏡統合ビデオシステム」の販売を開始した(甲11)。

ア 本願商標の指定商品に係る使用について

(ア)「内視鏡用光源装置」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「高輝度光源装置 CLV−290SL/CLV−290」(甲19)(別掲2(1)),「高輝度光源装置 CLV−S190」(甲22,甲24)及び「高輝度光源装置 CLV−S400」(甲23)は,それらの商品筐体の正面部において,上部に青色を横長の帯状に配し,正面の左側約半分に白色,及び正面の右側約半分を灰色とする構成からなるから,本願商標と同一の色彩が配されていると認められる。また,上部青色部分には,その左端に「OLYMPUS」の白抜き文字が表示されている。

(イ)「内視鏡用ビデオプロセッサー」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「ビデオシステムセンター CV−290」(甲19),「ビデオシステムセンター OTV−S190」(甲22),「ビデオシステムセンター CV−190」(甲24)及び「3Dビデオプロセッサー 3DV−190」(甲24)(別掲2(2))は,それらの筐体の正面部において,上部に青色を横長の帯状に配し,正面の左側約半分に白色,及び正面の右側約半分を灰色とする構成からなるから,本願商標と同一の色彩が配されていると認められる。また,上部青色部分には,その左端に「OLYMPUS」の白抜き文字が表示されている。

(ウ)「内視鏡用光源一体型プロセッサー」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品として,「光源一体型プロセッサー」との説明がある「ビデオシステムセンター CV−170」(甲52)は,その筐体の正面部において,白色部分が略L字型に配色され,灰色の色彩部分は,当該商品筐体の右側の縦方向に4分の3ないし2分の1程度の長方形中にのみ施されているから,本願商標と同一の色彩が配されているとは認められない。また,その筐体の正面部において,上部に青色を横長の帯状に配しているが,その左端に「OLYMPUS」の白抜き文字が表示されている。

(エ)「内視鏡用ビデオプリンター」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「カラービデオプリンター OEP−5」(甲19,甲22)の筐体正面部において,灰色の色彩部分が,上部青色部分と同じ横幅で,縦幅は上部青色部分のおよそ2倍程度で帯状に配され,残り下半分を白色とする構成であり,また,「カラービデオプリンター YP−25MD」(甲52)は,その商品筐体がほぼ全面白色であることから,本願商標と同一の色彩が配されているとは認められない。また,上記商品「カラービデオプリンター OEP−5」は,その筐体の正面部において,上部に青色を横長の帯状に配しているが,その左端に「OLYMPUS」の白抜き文字が表示されている。

イ 本願商標の指定商品以外に係る使用について

請求人の商品カタログには,本願商標の指定商品以外の筐体を有する医療用機械器具において,色彩の配置が異なり,本願商標の構成とは全く印象が異なる商品(例えば,「内視鏡用超音波観測装置 EU−ME2」(甲53)),正面部の上部青色部分以外は全て白色である商品(例えば,「ワイヤレス映像伝送装置 UWIT−TX/UWIT−RX」(甲22)及び「手術環境統合システム ENDOALPHA」(甲22,甲23,甲24)),上部青色部分も灰色部分もなく,全面白色である商品(例えば,「バルーンコントロールユニットOBCU」(甲19)及び「高周波焼灼電源装置 ESG−100」(甲19))等,本願商標を構成する色彩の組合せとは大きく異なる商品が掲載されている。

ウ 広告宣伝について

(ア)請求人は,日本の主要都市で1993年(平成5年)から2015年(平成27年)まで毎年開催されている,日本における最大級の医学系の学会である「日本消化器関連学会週間」(甲31)に参加しているところ,2007年(平成19年)から2015年(平成27年)に開催された当該学会の「医療品・医療機器展示会」を紹介するウェブサイトの「主な出展内容(主な展示品)」の項目欄には,「内視鏡システム及び内視鏡関連機器」等の記載がある(甲32)。

また,当該学会の臨時増刊号(甲33)において,本願商標を付した商品の広告が掲載されているが,発行年及びその出典は不明である。

(イ)請求人は,本願商標を付した内視鏡システム及び内視鏡関連装置の広告を,株式会社東京医学社発行「消化器内視鏡」第27巻第10号(2015年(平成27年)10月25日発行:甲25),株式会社日本メディカルセンター発行「INTESTINE」第19巻第6号(2015年(平成27年)11月20日発行:甲26)及び日本内視鏡外科学会ニュースレターNo.21(2015年(平成27年)11月15日発行:甲27)に掲載した。

(4)判断

上記(1)ないし(3)の事実によれば,以下のとおり判断できる。

ア 本願商標の使用期間,使用方法及び売上高等について

請求人は,1919年(大正8年)に創立し,1950年(昭和25年)に世界で初めて胃カメラの実用化に成功して以来,医療事業を中心とする精密機械器具の製造販売を主たる事業内容としているところ,請求人の2014年3月期の医療機器にかかる売上高は4922億円であり,国内でトップシェアを占めている。

請求人は,本願商標と同一の色彩を,遅くとも2011年(平成23年)10月より,商品「内視鏡統合ビデオシステム」の筐体の正面部に使用しており,以降,内視鏡関連商品に使用していることが認められる。

そして,請求人の製造に係る内視鏡の売上高は,2015年(平成27年)3月期には3133億円,2016年(平成28年)3月期に3416億円であって,2012年(平成24年)の日本国内のシェアは,43%であるから,内視鏡又はその関連商品についての売上高及び国内シェアは相当高いことがうかがえる。

しかしながら,本願商標は,上記第1のとおり,色彩のみからなる商標であり,医療用機械器具の筐体の正面部において,上部に青色を帯状に配し,正面の左側約半分に白色を配し,及び正面の右側約半分を灰色とする構成からなるところ,指定商品中には「内視鏡用光源一体型プロセッサー」及び「内視鏡用ビデオプリンター」(上記(3)ア(ウ)及び(エ))のように,本願商標と同一の使用とは認められないものを含むから,本願商標を構成する色彩の組合せが統一的に使用されているとはいい難く,当該色彩の組合せがその需要者に印象づけられているものということはできない。

しかも,上記(3)イのとおり,請求人の商品カタログには,本願商標の指定商品以外の商品が多数含まれており,その中には,筐体を有する医療用機械器具であっても,本願商標の構成とは大きく異なる商品が掲載されているから,内視鏡及びその関連商品の売上高及び国内シェアが相当高いとしても,本願商標と同一の使用と認められる商品の実際の売上高やシェアはそれらの一部と考えざるを得ない。

また,商品カタログ等に使用されている本願商標の上部青色部分は,必ず,白抜きの「OLYMPUS」の文字が表されていること,及び上記2(2)のとおり,本願商標の指定商品を含む医療用機械器具を取り扱う業界において,筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,色彩を付すことは一般的に行われていることからすると,「OLYMPUS」の文字が単独で出所識別標識としての機能を発揮していると理解されるため,本願商標を構成する色彩の組合せのみが「OLYMPUS」の文字から分離して観察され,これが,請求人の出所識別標識として印象づけられているものとはいえない。

イ 広告宣伝について

(ア)商品カタログ

上記(3)アのとおり,本願商標を使用したと認められる商品は,請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品のわずか一部にすぎない。

また,請求人は,「本願商標を使用した各商品カタログの出荷部数は,2016年(平成28年)時点において平均2万部超,多いものについては9万4千部を超え,カタログ出荷部数合計では33万7千部弱である」旨主張しているが,その部数を裏付ける証拠の提出はなく,頒布状況も明らかではない。

(イ)展示会

「日本消化器関連学会週間」の「医療品・医療機器展示会」における本願商標を使用した商品の展示の様子を確認できる証拠の提出はなく,多数の会社等が多くの商品を展示する展示会において,本願商標の色彩が目立つ態様で展示されていたか判断することはできない。

さらに,請求人が,1993年(平成5年)から上記学会に参加していたとしても,上記学会は年1回の開催であるから,本願商標の使用を開始した2011年(平成23年)10月以降,本願商標を使用した商品の展示は,2015年(平成27年)までの間,僅か5回程度であり,多いものとはいえない。

(ウ)雑誌

上記(3)ウ(イ)のとおり,雑誌への掲載回数は専門誌にわずか数回にすぎない。

ウ 小括

以上よりすると,請求人の内視鏡又はその関連商品についての売上高及び国内シェアは相当高いことが認められるとしても,本願商標の指定商品中の「内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」及び商品カタログに掲載されている本願商標の指定商品以外の商品において,本願商標を構成する色彩の組合せが統一的に使用されているとはいえず,本願商標の色彩がその需要者に印象づけられているものとはいえないこと,内視鏡又はその関連商品の売上高や国内シェアが相当高いとしても,本願商標と同一の使用と認められる商品はそれらの一部と考えられること,本願商標の上部青色部分は,必ず白抜きの「OLYMPUS」の文字とともに表され,本願商標を構成する色彩の組合せのみが分離して観察され,これが,請求人の出所識別標識として印象づけられているものとはいえないこと,請求人に係る内視鏡又はその関連商品についての広告が限定的であること,及び上記2のとおり,本願商標の指定商品を含む医療用機械器具を取り扱う業界において,筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,色彩を付すことは一般的に行われていることを踏まえると,請求人が本願商標をその指定商品に使用した結果,本願商標の色彩が,需要者をして,請求人の業務に係る出所識別標識であると認識されているとは認められない。

また,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものではない。

4 請求人の主張について

(1)請求人は,「原審において示された商品は,本願商標と同じ青系統の色彩ではあっても,本願商標の青色とはその明度,彩度において大差を有するものであるところ,他の白色及び灰色における相違とも相まって,互いに全く異なる色彩であると容易に認識される。また,内視鏡の分野では,筐体の正面部に有彩色の青色,無彩色の白色と灰色といった,複数の色彩が採用されることが珍しく,当該色彩を使用した商品が請求人の商品であることが一見して認識し得るよう,一貫して,内視鏡用光源装置等の筐体の正面部に本願商標を付し,自他商品の識別標識として使用している。」旨主張している。

しかしながら,上記2のとおり,本願商標の指定商品を含む医療用機械器具を取り扱う業界においても,筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,色彩(これらを組み合わせたものを含む。)を付すことは一般的に行われており,本願商標が実際に使用されている指定商品の筐体の正面部以外の部分(【商標の詳細な説明】における,赤色着色部分)は,左面部の白色と同様の白色が配されていることから,左面部の白色は,単に筐体の色であることを看取させるにすぎない。

そして,上部青色部分には,「OLYMPUS」の文字が表されているため,色彩のみが分離して観察され,これが,請求人の出所識別標識として印象づけられているものとはいえない。

そうすると,本願商標と,原審の拒絶査定で引用した商品(甲49〜甲51)に付されている青色,白色,灰色が色相において異なっているとしても,各商品は同系統の色彩の組み合わせであり,本願商標のみが,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識されている実情は認められない。

(2)請求人は,「本願商標の指定商品は内視鏡に関連する装置であるのに対し,原審において示された各商品は,内視鏡に関連した商品ではなく,広い意味では共に医療用機械器具に属するものであっても,これらの商品は,本願商標の指定商品とは,その使用目的,使用場所,使用者を全く異にするものである。」旨主張している。

しかしながら,本願商標の指定商品及び原審において提示した商品はいずれも医療用機械器具の範ちゅうの商品である。

そして,請求人も,審判請求書において「本願商標の指定商品の需要者は,病院等で診療に関わる消化器内科,外科等の医師や検査技師・看護師等の医療従事者である。」旨主張しているとおり,本願商標の指定商品の需要者も,医療従事者である。

そうすると,本願商標の指定商品と原審において提示した商品とはいずれも需要者,使用目的,使用場所等において共通する商品であるというべきである。

(3)請求人は,手術装置及び消化器内視鏡システムがグッドデザイン賞を受賞していることを根拠としても本願商標の周知性を主張している。

しかしながら,請求人が取り扱う商品がグッドデザイン賞を受賞した事実は,受賞した商品の形状等が美感に資するために採用されたものであることを認め得るとしても,本願商標に係る色彩が商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として機能することを証明するものとは認められない。

(4)請求人は,「本願商標が,高い周知性を獲得している前提の下,本願商標は,識別力の非常に高い『OLYMPUS』の文字とともに商品に使用され,そのような使用が継続して行われているからこそ,本願商標を構成する色彩が請求人の識別標識として認識されているものであって,文字とともに使用されていることを捉えて機械的にその識別力を否定すべきではない」旨主張している。

しかしながら,上記のとおり,本願商標の色彩が「OLYMPUS」の文字とともに用いられていることのみをもって出所識別力を有しないと判断したものではない。

(5)したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

5 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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