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Trademark Appeal Case

位置商標の識別力と慣用性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−9768(T2018−9768/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「しょうゆ」を指定商品とし、平成27年8月17日に位置商標として登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同29年1月23日受付の手続補正書により、第30類「加熱処理をしていないしょうゆ」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「商品の包装等においては、美感を発揮させるため又は需要者の注意をひく目的等で、出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字、図形及び色彩が使用されている実情がある。そして、『しょうゆ』を取り扱う業界において、本願商標と同様に商品の包装の正面上部及び下部に横縞状の図形を配している例が多数見受けられ、また、『生』の文字については、本願の指定商品との関係において、『加熱処理をしていない』といった意味合いが理解されるにすぎないことを踏まえると、本願商標をその指定商品の包装等に使用しても、これに接する需要者は、単に美感を発揮する等のために包装に使用され得る図柄の一種と、加熱処理をしていないという商品の品質を理解するにとどまるものと認められる。また、出願人は、本願商標について、広範に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている旨述べるが、提出された証拠方法によっては、需要者は、いまだ何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているということはできない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、包装容器の正面の上部及び下部に薄紫色、群青色、白色、金色及び桃色からなる複数の横縞状図形を付し、かつ、包装容器の正面の中央部から下部の間に「生」の文字を付してなる位置商標であって、「商標の詳細な説明」として「商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という。)は、標章を付する位置が特定された位置商標であり、商品の包装用容器の本体正面上部の横縞状図形(但し中間において一部が一色で塗りつぶされている)、及び、本体正面下部の横縞状図形、並びに、本体正面中央部から下部の間に付された赤色及び金色で表された生の文字からなる。本体正面上部の横縞状図形は、上から、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、薄紫色、群青色、白色、金色、白色の順に付され、中間において群青色一色で塗りつぶされ、その下の横縞状図形に、上から順に、白色、群青色、白色、薄紫色、白色、桃色、白色、薄紫色、白色、桃色、白色、群青色、白色、桃色、白色、薄紫色、白色、群青色が付された構成からなる。本体正面下部の横縞状図形は、上から、群青色、白色、薄紫色、白色、桃色、白色、群青色、白色、薄紫色の順に色彩が付された構成からなる。なお、破線は、商品の包装用容器の形状の一例を示したものであり、商標を構成する要素ではない。」旨の記載がなされ、第30類「加熱処理をしていないしょうゆ」を指定商品とするものである。

ところで、本願の指定商品を取り扱う業界においては、商品の魅力向上や需要者の関心を引くなどといった目的のため、商品の包装容器に様々な図形や色彩を装飾的に付すことが一般に広く行われているところ、原審において示した用例(別掲2(1)ないし(3)参照)のように、横縞状の図形を、加熱処理をしていないしょうゆの包装容器の上部及び下部に付したものが製造、販売されている実情が少なからず見受けられる。

また、本願商標の構成中、包装容器の正面の中央部から下部の間に付された「生」の文字は、本願の指定商品との関係において、原審において示した用例(別掲2(4)及び(5)参照)のとおり、「加熱処理をしていないしょうゆ」であることを表したものと容易に理解できるものである。

そうすると、加熱処理をしていないしょうゆの包装容器の正面の上部及び下部に複数の横縞状図形を付すこと、また、加熱処理をしていないしょうゆについて「生」の文字を付すことは、一般に行われている実情があるといえる。

そこで、本願商標である加熱処理をしていないしょうゆの包装容器の正面の上部及び下部に付された複数の横縞状図形及び包装容器の正面の中央部から下部の間に付された「生」の文字が、何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標であるか否かを、以下のとおり検討し、判断する。

(2)本願商標の使用状況について

請求人による主張及び同人提出の甲各号証によれば、以下のとおりである。

ア 使用開始時期

請求人は、2011年8月に、「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ 200ml」と称する加熱処理をしていないしょうゆ(以下「本件しょうゆ」という。)を発売した。本件しょうゆの包装容器の中央部から下部の間には、赤色及び金色で表された「生」の文字が配され、包装容器の上部及び下部には、薄紫色、群青色、白色、金色及び桃色からなる複数の横縞状図形が配されているところ、「生」の文字及び当該包装容器の下部に配された横縞状図形は本願商標と同一のものであり、当該包装容器の上部に配された横縞状図形は、本願商標と同一視できるといえるものである(甲2、甲86、甲101、甲102、甲149)。

その後、本願商標と同一と認められる横縞状図形は、2012年に発売された本件しょうゆの包装容器の上部及び下部に配され(甲93)、現在に至るまで継続的に用いられていることが認められる(甲27〜甲74、甲78〜甲84、甲93〜甲100、甲110、甲115、甲118〜甲121、甲125〜甲127、甲131〜甲133、甲135、甲141、甲151、甲157〜甲176、甲189)。

イ 使用地域

請求人が提出した「販売調査会社インテージによるSRI(全国小売店パネル調査)全国約4,000モニター店舗における店頭販売状況(販売店率)調査表」によれば、本件しょうゆの販売率は、2011年以降、総合スーパーマーケットにおいて約100%であり、2012ないし2013年以降、大規模及び中規模スーパーマーケットにおいても約100%となっている。また、コンビニエンスストアにおいては、販売率は年々増加し、2017年10月には約66%の店舗で本件しょうゆが販売されている(甲22、甲154)。

そうすると、本件しょうゆは、その販売開始以降、全国のスーパーマーケット及びコンビニエンスストアにおいて販売されていることが推認される。

なお、しょうゆ等の商品は、販売店舗において、商品の外観を確認し得る態様で陳列販売されるのが通常であるところ、本件しょうゆについて、商品の外観全てを視認できない陳列方法である場合、すなわち、包装容器の中央部から下部の間に三段に付された商品名等が陳列棚に隠れて視認できない場合においても、商品容器の上部に配された横縞状図形は確認し得る態様で陳列販売されていることがうかがえる(甲84、甲151)。

ウ 売上高及びマーケットシェア

「10億円売ればヒット」(甲83)とされる調味料の市場において、本件しょうゆを含む「いつでも新鮮」シリーズと称するしょうゆの売上げについては、「定番の調味料ゆえにヒット商品が生まれにくい。これがしょうゆ市場の『常識』だ。しかし、それを破り急速に躍進している商品がある。・・・『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』シリーズだ。今期(13年3月期)の売上高は20億円と前期(11億円)から約8割も伸びる見込み。」(2012年12月27日付け「東洋経済オンライン」、甲110)、「2011年に200mlの卓上ボトル・・・を販売すると、爆発的ヒット。」(2014年4月17日発売「女性セブン」、甲95)、「『いつでも新鮮』シリーズが大ヒットしている。11年度11億円、13年度45億円、今年度の目標は55億円。」(2014年6月11日付け「夕刊フジ」8面、甲83)、「密封カテゴリーのシェアで8割超と圧倒し、直近1年間の売上げは前年比2桁増の100億円を突破した。」(2017年2月27日付け「日本食糧新聞」4面、甲179)と報道されていることからすると、本件しょうゆを含むシリーズ商品は、販売開始後の数年間で、大きく売上げを伸ばし、密封しょうゆ市場において80%以上のシェアを誇る大ヒット商品となっていることが認められる。

このうち、本件しょうゆについていえば、2011年度から2015年度の5年間で売上げを約8倍伸ばし、2015年度の売上げは13億円、2016年度及び2017年度の売上げは14億円に伸びており、密封しょうゆ市場におけるシェアは、発売開始後、12%ないし15%と高いシェアを保っていることが認められる(甲21、甲153)。

エ 広告宣伝

請求人は、2011年から現在に至るまで、継続的に、本件しょうゆを表示したテレビコマーシャルによる広告を全国的に行っており、当該コマーシャルにおいては、出演タレントに本件しょうゆを持たせたり、本件しょうゆの包装容器を画面に大きく表示する等したものが放映されている(甲25〜甲76、甲157〜甲178)。

また、請求人は、本件しょうゆの広告を新聞等の媒体に掲載しているところ、日本経済新聞及び朝日新聞といった全国紙の全面広告において、本件しょうゆの包装容器を中心的に位置づける等して、広告を掲載している(甲77〜甲79)。

オ 第三者による紹介

本件しょうゆは、加熱処理をしていないしょうゆである点や、密封された包装容器(ボトル)であるといった機能面ばかりでなく、デザインについても、例えば「200mlの卓上サイズは・・・デザインも白ベースで目立つ。販売チャネルはスーパーが主体と思われるが、卓上ボトルで白ベースは目立つので陳列効果は高い。」(2011年8月19日付け「日経消費ウォッチャー電子版」、甲102)、「ボトルの機能と同じくらい重要なのが、ボトルのデザインだ。・・・卓上ボトルは・・・青や紫のラインが入ったデザインに一新。」(2012年12月27日付け「東洋経済オンライン」、甲110)のように、本件しょうゆの写真とともに新聞、雑誌等において度々紹介されている(甲2、甲81〜甲83、甲94、甲95、甲101、甲102、甲110、甲116、甲150)。

また、本件しょうゆは、2012年から2016年まで毎年、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京等において放送された番組で取り上げられ、その包装容器が表示されたことがうかがえるところ、例えば、商品パッケージを特集するコーナーにおいて、本件しょうゆが紹介されたこともあることがうかがえる(甲136〜甲147)。

カ その他

本願商標を構成する横縞状図形は、加熱処理をしていないしょうゆの包装容器の上部及び下部に付す模様などとして一般に用いられている横縞状図形の一類型であると認識されるとみるのが相当であることは、上記(1)アのとおりであるが、当審においてした職権調査によっては、加熱処理をしていないしょうゆの包装容器の中でも、本願商標のように、包装容器の上部に合計36の縦幅の異なる5色の横縞状図形を付し、包装容器の下部に合計9つの縦幅の異なる4色の横縞状図形を付してなるものを、請求人以外の者が使用している事実は発見できず、さらに、請求人以外の者が、本願商標と類似する多数の縦幅の異なる複数の色彩の横縞状図形を包装容器の上部及び下部に付して使用している事実も発見できなかった。

(3)判断

上記(2)によれば、商品「加熱処理をしていないしょうゆ」である本件しょうゆは、2011年に発売が開始されて以来、現在に至るまで、本願商標と同一視できる又は同一と認められる横縞状図形を、包装容器の上部及び下部の位置に、また、本願商標と同一と認められる「生」の文字を、包装容器の中央部から下部の間の位置に付す外観を維持しており、その包装容器の外観を強調する全国的な広告宣伝がテレビコマーシャル、新聞、雑誌等により継続的に行われ、かつ、全国のスーパーマーケット及びコンビニエンスストアにおいて販売され、同種商品においては極めて高い売上、シェアを誇るヒット商品となった結果、需要者において商品の包装容器の上部及び下部の位置に付された横縞状図形及び包装容器の中央部から下部の間の位置に付された「生」の文字を他社製品と区別する標識として認識するに至っているものと認めるのが相当である。

してみれば、本願商標は、これを位置商標として、その指定商品「加熱処理をしていないしょうゆ」に使用するときには、その商品の需要者をして、本願商標は、請求人の業務に係る商品の出所識別標識として認識されるに至っているということができる。

そうすると、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しないものであるから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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