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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2018−900171(T2018−900171/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6034026号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第6034026号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成29年7月25日に商標登録出願、第29類「乳製品」、第30類「アイスクリーム,菓子,パン,ミルク入りチョコレート飲料,ミルク入りココア飲料,ミルク入りコーヒー飲料」及び第32類「清涼飲料,乳清飲料」を指定商品として、同30年3月15日に登録査定、同年4月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び引用使用商標

1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、申立ての理由として引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第4867135号 (以下「引用商標1」という。)

商 標:別掲2のとおり

商標登録出願日:平成16年5月21日

指 定 商 品:第29類「牛乳,全乳製のクリーム,その他のクリーム,全乳製の粉乳,脱脂粉乳,その他の粉乳,乳清,乳清を加味した乳製品,バター,チーズ,乳飲料,その他の乳製品」

設定登録日:同17年5月27日

(2)登録第5112243号 (以下「引用商標2」という。)

商 標:別掲3のとおり

優先権主張:ニュー・ジーランド 2006年8月30日

商標登録出願日:平成19年2月7日

指定商品及び指定役務:第5類「動物の人工受精用精液・DNA・胚・卵子,乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク」及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

設定登録日:同20年2月22日

(3)登録第5115614号 (以下「引用商標3」という。)

商 標:別掲4のとおり

優先権主張:ニュー・ジーランド 2006年9月7日

商標登録出願日:平成19年2月7日

指定商品及び指定役務:第5類「動物の人工受精用精液・DNA・胚・卵子,乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク」及び第29類「牛乳,全乳製のクリーム,その他のクリーム,全乳製の粉乳,脱脂粉乳,その他の粉乳,乳清,乳清を加味した乳製品,バター,チーズ,乳飲料,その他の乳製品」及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務

設定登録日:同20年2月29日

(4)登録第5743365号 (以下「引用商標4」という。)

商 標:「THE a2 MILK COMPANY」(標準文字)

優先権主張:サモア独立国 2014年2月24日

商標登録出願日:平成26年4月1日

指定商品:第5類「乳児用食品,乳児用牛乳及び乳児用粉ミルク,食餌療法用食品及び飲料」及び第29類「牛乳,クリーム(乳製品),全乳製の粉乳・脱脂粉乳・その他の粉乳(乳幼児用のものを除く。),乳清,乳清を加味した乳製品,バター,チーズ,乳飲料,その他の乳製品」

設定登録日:同27年2月20日

(以下、上記引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という。)

2 申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとして、申立ての理由として引用する商標(以下「引用使用商標」という。)は、主に別掲5のとおりの構成からなるものであり、オーストラリア連邦において、申立人の業務に係る「乳製品」に使用しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標と引用商標との対比

ア 商標の類否について

(ア)称呼について

機器や部品類ではない牛乳等の乳製品の取引分野においては、一般の需要者、取引者が英文字と数字の組合せだけで、品質や用途などの特定を行っているという状況はない。

したがって、一律にアルファベットと数字の結合であることのみを理由として、乳製品に関して類否判断における称呼の発生が否定されるものではない。

本件商標の上段は、「a2」の文字を太文字で大きく表した構成となっている。

本件商標の称呼に関しては、下方の片仮名により、「エーツーエーツー」の称呼が生じるところ、「a2」の文字は顕著に大きく表されていることから、簡易迅速な取引社会において、一般の需要者及び取引者においては、「エーツーエーツー」だけでなく、「エーツー」と称呼することは自然である。

一方、引用商標は、「エーツー」の称呼が生じる。

このように、本件商標と引用商標は、同一の称呼を含み、実取引上、誤認、混同を生じるおそれがあり、称呼の共通性から類似する商標である。

(イ)観念について

牛乳には、カゼインたん白質が含まれており、その主なカゼインの一つがベータカゼインである。様々な型のベータカゼインの中で最も一般的なものが、ベータカゼインA1及びベータカゼインA2と呼ばれるものである。牛乳の種類としては、ベータカゼインA1を多く含む牛乳と、ベータカゼインA2を多く含む牛乳が存在する(甲13)。

すなわち、「A2」は、牛乳のタンパク質成分の型を表しているものである。しかし、この情報は、栄養学等の科学的専門分野に精通している乳製品の研究者にとっては通常の知識の範囲であるが、一般の消費者、取引者がこの情報を知っている状況にはないから、本件商標の「a2」及び引用商標の「a2」の文字は、需要者、取引者が、乳製品との関連において看取したとしても、その科学的な意味までも理解することはできない。

したがって、「a2」の表示であっても、一般消費者や販売者においては、特別な観念は想起できず、本件商標と引用商標とは、観念において相違はない。

(ウ)外観について

本件商標と引用商標について、外観の相違は「a2」の文字の全体におけるサイズ比と「a2」に付加されている図形部分にあるから、外観における同一性はない。

(エ)「a2」の識別力と称呼の発生について

アルファベット1文字と数字1文字の結合については、指定商品、指定役務によってはその識別力が否定されるものと思料するが、一般の飲食用の商品に関しては、一律に識別力が否定されるものではない。商品によって個別に判断した場合、乳製品に関して「a2」の文字に識別力がないとすることには妥当性がない。

また、「A1」や「A2」の文字が、カゼインたん白質の種類を示す文字として使用されているとしても、その表示の仕方としては、大文字の「A」が常に用いられている。

したがって、小文字の「a」を使用した場合、必ずしもカゼインたん白質の種類を示す文字には結びつかない。すなわち、小文字の「a2」の表示については、識別力を発揮し得る状況にあり、事実、そのように使用されてきている。

以上のように、「a2」の文字部分は、引用商標の指定商品において識別力を有する要部であり、引用商標から生じる「エーツー」の称呼については、本件商標との間の称呼の類似性の判断の対象になる。

(オ)商標の類似性についてのまとめ

以上のとおり、本件商標と引用商標とは、構成において異なるところはあるものの、時と場所を異にする取引場面においては、称呼の共通性から商品の出所を混同するおそれがあり、また、観念や外観によって、その称呼の共通性を覆すほどの特徴はない。

したがって、本件商標と引用商標とは、全体として類似するものである。 イ 指定商品の類否について

引用商標の指定商品には、本件商標の指定商品「乳製品,乳清飲料」が含まれており、両商品は類似する。

ウ 審決例

不服2005−25214において、「濃淡が異なるやや図案化した『fTC』の文字とその左側にハート状の図形を配し、それを3個横一列に表してなる商標」と「FTC」について、外観において相違し、観念上比較すべくもないものであるとしても、その称呼を共通にする類似の商標といわなければならないと判断されている(甲14)。

(2)まとめ

以上述べたように、本件商標と引用商標とは、「エーツー」の称呼を共通にする類似の商標であり、観念上比較すべくもなく、また、本件商標の指定商品も引用商標の指定商品と類似する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第19号該当性について

申立人は、オーストラリア連邦において、「a2」の文字を含んだ数種の商標を登録及び使用し、需要者の間に広く認識されている。中でも、引用使用商標は、最も多くの商品に使用され、宣伝広告においても主要商標として広範囲、かつ、大量に使用されている。

したがって、商標法第4条第1項第19号については、オーストラリア連邦における引用使用商標の周知・著名性の証明によって適用される。

(1)オーストラリア連邦での引用使用商標の周知・著名性

ア The a2 Milk Company Limitedの歴史

申立人の前身であるA2 Corporation Limitedは、2000年にニュージーランド国で設立され、2014年4月に、会社名がThe a2 Milk Company Limitedに変更された。申立人は、2004年にNZX Altenative Marketと呼ばれる証券取引所に上場したのを皮切りに、2013年3月にはニュージーランド証券取引所に、2015年3月にはオーストラリア証券取引所に上場した。現在では、オーストラリア連邦を最重要マーケットとし、ニュージーランド、アメリカ合衆国、イギリス、中国、日本、アセアン諸国等において、世界的規模で活発に事業展開している。

申立人は、研究開発の場において、A1プロテインを含まないA2プロテインのみの乳製品を消費者に提供することをコーポレートミッションとし、その方針下に牛乳を主力商品とする多種の乳製品を販売している。

申立人は、自社の科学的研究に基づき、A1プロテインを含む乳製品は健康被害を引き起こすと考え(甲15)、A2プロテインのみのミルクを消化機能の弱い人でも安心して摂取できる乳製品として提供するよう、たゆまぬ企業努力を続けて来た。申立人が、オーストラリア連邦において、逸早くA2プロテインのみのミルクの製造販売を開始したパイオニア的存在であることは、インターネット版総合経済情報サイトのSankeiBizの記事で紹介されている(甲16)。

なお、上述したように、科学的な用語としての「A1プロテイン」や「A2プロテイン」は、一般の消費者においては知識のない語であり、オーストラリア連邦においても小文字の「a」と「2」の結合である「a2」は識別力を発揮している。

申立人は、近年の健康志向ブームと相まって、引用使用商標のブランドで、ミルクの販売を行い、その人気と認知度は年々上昇し、2017年度(2016年7月1日〜2017年6月30日)のグループ企業全体の総売上高は、約NZ$5.5億(約423.5億円、NZ$=77円で換算、以下同じ。)、前年比56%増を記録した(2016−2017年次報告書の抜粋、甲17)。

イ グループ企業の総売上高及びオーストラリア連邦における売上高

申立人のグループ企業全体及びオーストラリア連邦における売上高については、2010年から2017年にかけて着実に売上高を伸ばし続け、約7年間でグループ企業全体では約13倍(約423.1億円)、オーストラリアにおいては約10倍(約338.4億円)となった。

ウ オーストラリア連邦におけるマーケットシェア

各乳製品のオーストラリア連邦におけるマーケットシェアは、以下のとおりである。

(ア)ミルク:(2017/5/9〜2017/12/31)9.5%

(イ)乳児用調整粉乳:(2017/3/14〜2017/12/31)30.0%

(ウ)アイスクリーム:(2015/3/14〜2016/3/13)0.4%

エ 販売店及び商品提供場所

引用使用商標などの「a2」の文字を含んだ商標の付された申立人の乳製品は、オーストラリア連邦だけでも、2,500以上のストアで販売されており(甲18)、その中には、オーストラリア連邦の2大スーパーマーケットも含まれている。その販売店の数は現在も増え続けている。

また、直接の顧客である卸先も多数有している(甲19)。

さらに、申立人の乳製品は、シドニー及びメルボルンを中心に、2009年以来、250以上のカフェで使用されている(甲20)。

オ 商品パッケージ及び商品陳列の様子

引用使用商標の付された申立人の乳製品は、ストアの中でも主要通路側に配置され、消費者の目につきやすく、かつ、商品を手に取りやすい場所に陳列されている(甲21)。

「a2」の文字を含んだ標章を付した商品パッケージを2003年から使用し続けた結果(甲22)、オーストラリア連邦における消費者の間で「a2」ブランドの乳製品は認知された。また、標章には常に「TM」シンボルを付し、その標章が申立人の商標であることを消費者に認識してもらうように努めた。

カ 宣伝広告

(ア)宣伝広告費用

申立人は、特に2010年頃から大規模な宣伝広告及びキャンペーン活動を行ってきた。グループ企業全体の2013年〜2017年までの宣伝広告費用は、以下のとおりである。

a 2012/7/1〜2013/6/30:約3.48億円

b 2013/7/1〜2014/6/30:約7.47億円

c 2014/7/1〜2015/6/30:約7.89億円

d 2015/7/1〜2016/6/30:約25.0億円

e 2016/7/1〜2017/6/30:約32.3億円

(イ)テレビ・ラジオ

申立人は、2004年からテレビやラジオにおいて、オーストラリア連邦で多くの宣伝活動及びキャンペーンを行った(甲23〜甲37)。

上記のコマーシャルやキャンペーンの中で、「a2」を含んだ商標が画面に何度も表示され、また、「a2」の名称が繰り返し語られ、オーストラリア連邦の視聴者及びリスナーに申立人の商品ブランドが深く印象付けられた。

(ウ)掲示板広告

申立人は、多くの沿道掲示板広告(甲38)及びショッピングセンターでの掲示板広告(甲39)を行った。

(エ)オンライン広告

2010年2月から、バナー広告及びサイドバー広告を利用してオンライン広告を行ってきた(甲40)。

検索連動型広告も利用している。Adwords(Googleが提供するペイパークリック広告システム)には、何百もの検索キーワードを登録した。

以下は、検索連動型広告又はバナー/サイドバー広告の到達度(広告閲覧数)を示したものである。

a ミルク(検索連動型広告):(2010/2〜2016/6)7,840,275

b ミルク(バナー/サイドバー広告):(2010/2〜2016/6)104,126,592

c 乳児用調製粉乳(検索連動型広告):(2013/9〜2016/6)457,654

d 乳児用調製粉乳(バナー/サイドバー広告):(2013/9〜2016/6)9,567,005

ミルク及び乳児用調整粉乳共に、大変高い到達度を記録した。これらの数字からも、本件商標の出願時において、申立人の「a2」を含んだ商標を付した製品が広く消費者に知れ渡っていたということは明らかである。

(オ)ストア内でのプロモーション及び販売促進用品

2015年8月に、Colesマーケットにおいてアイスクリームの試食会を行った(甲41)。

ストア内では、様々な商品陳列用の販売促進用品を使用し、商品を目立たせるよう工夫している(甲42)。

(カ)賞金キャンペーン

2016年及び2018年には、賞金当選キャンペーンを行った(甲43)。

(キ)ウェブサイト

インターネットアーカイブ(記録保管所)から入手した「a2 Australian Website(www.a2milk.com.au)」の印刷画面からも明らかなように、2005年から今日まで、申立人はウェブサイト上でも常にTMシンボルを付して「a2」の文字を含んだ商標を使用し続けてきた(甲44)。

当該ウェブサイトは、多くの消費者にアクセスされた。

アクセス数:(2016/1/1〜2016/12/31)470,400

また、グループ全体では、ウェブサイト(投資家向けの情報サイト(甲45)、アメリカ合衆国のサイト(甲46)、イギリスのサイト(甲47)、中国のサイト(甲48))を開設している。

上記のように、長期、かつ、広範囲にわたって引用使用商標及びその他の「a2」の文字を含む商標をウェブサイトに使用し続けたことにより、当該商標は、多くの消費者に認知された。

(ク)ソーシャルメディア

申立人は、ソーシャルメディア(Facebook(甲49、2009年6月29日開設)、Twitter(甲50、2009年2月開設)、Pinterest(甲51、2014年開設)、YouTube(甲52、2009年開設)、Instagram(甲53)を開設している。

(ケ)マスメディアによる報道

オーストラリア連邦において、申立人の経営戦略と製品に関しては、マスメディアで数多く取り上げられてきた。

2007年〜2016年の間に多くの新聞に、申立人及び「a2」ブランドの製品に関する記事が掲載された(甲54)。その中には、オーストラリア連邦で有名な新聞が含まれている。これらの新聞を多数のオーストラリア人読者が購読していることに鑑みると、これらの膨大な量のプレス報道により、「a2」の文字を含む引用使用商標が、本件商標の出願時において、オーストラリア連邦の消費者の間に広く知られるようになっていたことは明らかである。

ラジオ放送やテレビ放送でも、申立人商品に関することが多く取り上げられた(甲55)。

キ オーストラリア連邦及びその他の国での商標登録

申立人は、10年以上も前から自社製品のブランドマークである「a2」の文字を含む商標をいくつも登録し、使用し続けている。また、オーストラリア連邦だけでなく、ニュージーランド、アメリカ合衆国、中国、日本等を含む世界27か国において多くの「a2」の文字を含む商標を登録している(甲12)。

ク ドメインネームの登録

商標登録のみならず、申立人は、「a2」の文字を含んだドメインネームを多数登録している(甲56)。

(2)両商標の類似性について

本件商標は、「a2」及びその右肩「2」の英数字及び「エーツーエーツー」の片仮名を二段に横書きしてなるものである。

申立人は、オーストラリア連邦において、数種類の「a2」の文字を含む商標を登録しているが、その中でも引用使用商標を最も多く使用しており、引用使用商標は、オーストラリア連邦の消費者の間で申立人の製品のブランドマークとして広く認識されている。

ア 称呼について

小文字「a」と「2」とを結合した引用使用商標に関して、牛乳等の乳製品の取引分野においては、一般の需要者、取引者が英文字と数字の組合せだけで、品質や用途などの特定を行っているという状況にないことから、一律にアルファベットと数字の結合であることのみを理由として、類否判断における称呼の発生が否定されるものではないことは、上記1(1)ア(エ)で述べたとおりである。

本件商標は、片仮名が併記されているとおり、「エーツーエーツー」の称呼が生じるところ、当該称呼は冗長であり、かつ、「a2」の文字を2回繰り返すものと容易に判読できるものであるから、一般の需要者及び取引者においては、商品名として呼びやすいように「エーツーエーツー」を短縮し、「エーツー」と称呼するのが自然である。

一方、引用使用商標は、明らかに「a2」の文字が識別でき、この部分から「エーツー」の称呼が生じる。

このように、本件商標と引用使用商標は、同一の称呼を含み、実取引上、誤認・混同を生ずるおそれがあり、称呼の共通性から類似する商標である。

イ 観念について

「A2」は、牛乳のタンパク質成分の型を表しているものであるが、栄養学等の科学的専門分野に精通している者を除いた一般消費者は、この情報を知っている状況にはなく、「A2」を乳製品との関連で看取したとしても、それは英文字と数字の組み合わせであって、その科学的な意味までも理解することはできない。

したがって、「A2」の表示であっても、「a2」の表示であっても、一般消費者や販売者においては、特別な観念は想起できないため、本件商標と引用使用商標とは、観念において相違はない。

ウ 外観について

本件商標は、「a2」の右肩に小さな数字「2」を配したものであり、引用使用商標は、単純な図形をベースとして、「a2」の文字を主体として含むものであり、外観的な共通性は数字の「2」のみではあるが、称呼の共通性を凌駕する程の外観的な特徴は両者共にない。

このように、本件商標と引用使用商標とは、構成において異なるところはあるものの、取引過程で販売場所と販売時を同じくした場合、称呼の共通性から商品の出所を混同するおそれがあり、また、観念や外観によって、その称呼の共通性を覆すほどの特徴はない。

したがって、称呼の類似性は、外観の相違性よりも強いものであり、本件商標と引用使用商標とは、全体として類似する商標である。

(3)不正の目的について

上述のとおり、申立人の業務に係る引用使用商標が、本件商標の出願日前よりオーストラリア連邦の需要者の間に広く認識されていたことは明らかであり、このような周知な引用商標と共通の称呼を有する類似の商標を出願し、登録することは、申立人の商標に蓄積された信用、名声及び顧客吸引力にただ乗りするものであり、引用使用商標の出所表示機能を希釈化させるおそれがある。このような状況から、本件商標は、不正の目的をもって出願されたことが推認される。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 当審の判断

申立人は、本件商標が商標第4条第1項第11号及び同項第19号に該当すると主張しているので、以下、検討し判断する。

1 引用使用商標の周知性について

申立人は、引用使用商標は申立人の業務に係る商品「乳製品」を表示するものとしてオーストラリア連邦における需要者の間に広く認識されていると主張している。

そして、申立人は、オーストラリア連邦における売上高、マーケットシェア、宣伝広告費用などを挙げている。

しかしながら、それらの多寡について、具体的に検討するための証拠の提示がないことから、引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「乳製品」を表示するものとして、オーストラリア連邦における需要者の間で、ある程度認識されている商標とまでは認め得るものの、オーストラリア連邦における需要者の間で広く認識されている商標とまでは認めることができない。

2 本件商標と引用商標及び引用使用商標との類否について

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、「a2」の欧文字及び数字の右上に小さな数字「2」を配し(以下「a22」と表示する。)、そして、それらの下に「エーツーエーツー」の片仮名を表した構成からなるところ、その構成中の右上の小さな数字「2」は、2乗(「同一の数(文字・式)二つを掛け合わせること。「広辞苑第六版」)を表すものと容易に看取させ、また、下段に「エーツーエーツー」の片仮名があることからすれば、「a22」の部分を「a2」の2乗を表したものと容易に理解するものといえることから、本件商標はその構成全体から「エーツーエーツー」の称呼のみを生じるというのが相当である。

そうすると、本件商標は、「エーツーエーツー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。

なお、申立人は、本件商標から「エーツー」の称呼が生じるとして、審決例を提示しているが、当該審決例の登録商標は、図形と文字とを結合したものを3つ横に並べて表示されているものであり、本件商標とは、図形の有無や態様が明らかに異なるから、当該審決の判断が本件商標の判断において、そのまま当てはまるとはいえず、また、本件商標中の「a2」の部分が需要者に強く印象づけるとか、「a2」以外の部分が識別標識としての機能がないといった事情は見いだせない。

したがって、上記申立人の主張を認めることはできない。

(2)引用商標

ア 引用商標1ないし引用商標3は、別掲2ないし別掲4のとおりの構成からなり、図形と文字との結合商標であるところ、これらよりは、「エーツー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標4は、上記第2(4)のとおり、「THE a2 MILK COMPANY」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これよりは、「ジエーツーミルクカンパニー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じない。

(3)引用使用商標

引用使用商標は、別掲5のとおりの構成からなり、図形と文字との結合商標であるところ、これよりは、「エーツー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(4)本件商標と引用商標及び引用使用商標との類否

ア 外観について

上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標と引用商標及び引用使用商標とは、いずれも「a2」の欧文字及び数字を共通にするとしても、他の文字の有無や図形の相違などにより、商標全体としてみたときには、外観において、明らかな差異を有するものであるから、本件商標と引用商標及び引用使用商標とは、外観において相紛れるおそれはない。

イ 称呼について

本件商標からは、上記(1)のとおり、「エーツーエーツー」の称呼のみを生じるのに対し、引用商標及び引用使用商標からは、上記(2)及び(3)のとおり、「エーツー」又は「ジエーツーミルクカンパニー」の称呼を生じる。

そして、本件商標から生じる「エーツーエーツー」の称呼と、引用商標及び引用使用商標から生じる「エーツー」又は「ジエーツーミルクカンパニー」の称呼とは、音の構成及び構成音数において明らかな差異を有することから、称呼において相紛れるおそれはない。

ウ 観念について

上記(1)ないし(3)のとおり、本件商標、引用商標及び引用使用商標から、特定の観念は生じないものであるから、観念において比較できない。 エ 類否判断

以上のとおり、本件商標と引用商標及び引用使用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないことが明らかであるから、これらの商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、お互いに非類似の商標と判断するのが相当である。

(5)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品及び引用使用商標が使用される商品との類否について

ア 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。

イ 本件商標の指定商品と引用使用商標が使用される商品とは、同一又は類似の商品である。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

上記2(5)アのとおり、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と、同一又は類似の商品であるものの、上記2(4)エのとおり、本件商標は、引用商標とは、非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第19号該当性について

上記1のとおり、引用使用商標は、申立人の業務に係る商品「乳製品」を表示するものとして、オーストラリア連邦における需要者の間で広く認識されている商標とは認めることはできず、また、上記2(4)エのとおり、本件商標は、引用使用商標とは、非類似の商標である。

さらに、申立人は、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものと主張するにとどまり、これを推認できる証拠は提出していない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

5 結語

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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