Trademark Appeal Case
地名略称の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2018−900349(T2018−900349/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第6080858号商標(以下「本件商標」という。)は、「VEGAS」の欧文字を横書きしてなり、平成29年12月26日に登録出願、「娯楽施設の提供」を含む第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同30年8月14日に登録査定、同年9月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定役務中「娯楽施設の提供」(以下「本件申立役務」という。)について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
(1)本件商標の「VEGAS」の文字は、アメリカ合衆国ネバダ州南部にあるギャンブル等の娯楽施設、コンサート等のショービジネス(興行)の都市として世界的に著名な都市であるラスベガス(Las Vegas)の略称として日本人にも広く知られている(甲2〜甲9)。
このように、「VEGAS」は、略称といえども、既に日本人にとっては特定の場所を直感させる、地名と同等に用いられる言葉である。
(2)このことから、普通に用いられる方法で書してなる本件商標は、商標権者の商標権として独占を認めるべき商標ではない上、本件申立役務について使用しても、本件商標に接する取引者、需要者は、「ラスベガス」を想起し、「ラスベガスに関連のある娯楽施設の提供、あるいはラスベガスで提供されるような役務の質の娯楽施設」程の意味合いを認識するにすぎず、自他役務識別標識を果たさないものとされるのが相当であり、役務の提供場所を表示した語と認識するにとどまるから、この文字は、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものとされるのが相当である。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「VEGAS」の欧文字を横書きしてなるところ、「VEGAS」の文字は、「ラスベガス(Las Vegas)の略称」として、一部の辞書類に掲載されているものの、申立人の挙げた証拠において、「マカオカジノ急伸 売り上げベガス抜く勢い」(甲6)や、「仮想通貨ビットコイン、ベガスの2カジノで利用可能に」(甲7)のように、「ベガス」の文字がタイトルには記載されているものの、各記事の本文中には「米国のラスベガス」、「米ラスベガス(Las Vegas)」等、「ラスベガス(Las Vegas)」の表示があり、米国ネバダ州のラスベガスを表記する際に、「VEGAS」とのみ表記することが一般的であるといった事情は見いだせない。
そして、当審において職権をもって調査するも、我が国の本件申立役務を取り扱う業界において、「VEGAS」の文字が、具体的な役務の質や、ラスベガスとの関連性を表示するものとして、取引上一般に使用されている事実を発見することができず、さらに、取引者、需要者が該文字を役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、上記「ラスベガス」の略称を想起させる場合があるとしても、本件申立役務との関係において、役務の質やラスベガスとの関連性等を、直接的かつ具体的に表したものとして理解、認識されるとまではいえないものであって、これをその指定役務に使用しても、具体的な役務の質等を表示するものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は、「BRASILIA」に係る審決例(甲10)や、「GEORGIA」に係る最高裁判決(甲11)を例に挙げ、本件商標は、商標権として独占を認めるべきではなく、本件商標を本件申立役務について使用しても、自他役務の識別標識としての機能を果たさないものである旨主張している。
しかしながら、商標が自他役務の識別標識としての機能を果たすか否かの判断は、当該商標について、判断時の取引の実情等を勘案しつつ、個別具体的に判断されるべきものであるところ、申立人の挙げた事例と本件商標とは、使用する役務、商品が異なり、商標の構成態様、商標が地名であるか、その略称であるか等の点においても異なるものであるから、その事例を直ちに本件商標に適用して、本件商標が自他役務の識別標識としての機能を果たさないと判断することは適切とはいえない。
また、本件商標が商標権として独占を認めるべき商標ではないこと、あるいは、本件商標が自他役務の識別標識としての機能を果たさない商標であることを認めるに足りる具体的な事実を示す証拠の提出はなく、申立人のかかる主張は、直ちに採用することはできない。
(3)むすび
以上より、本件商標は、本件申立役務について、商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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