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Trademark Appeal Case

位置商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−2129(T2018−2129/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第10類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成27年4月1日に位置商標として登録出願,その後,本願商標の指定商品については,原審における同28年10月6日付け手続補正書により,第10類「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は,「本願商標は,商品の筐体(きょうたい)の正面上端部に青色の横長長方形を,下端部にそれぞれ白色,灰色を付した二つの四角形を横並びに配する標章を付する位置が特定された位置商標であるところ,商品の包装等においては,美感を発揮させるため,または需要者の注意をひく目的等で,出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字,図形及び色彩が使用されている実情がある。そして,本願商標の指定商品を取り扱う医療用機械器具の業界において,青,白,灰の3色が使用された商品が実際に取引されている事実があり,筐体に使用される色彩や色彩の配置が,商品の出所標識として使用されているものとは直ちには判断できない。そうすると,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,商品に普通に使用される又は使用され得る色彩の配置を表したものと理解するにとどまる。また,出願人が提出した証拠からは,本願商標が使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていると認めることはできない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6項に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 当審における証拠の取扱いについて

請求人は,原審において,甲第1号証ないし甲第46号証(請求人に係る商願2015−30675における平成28年10月6日付け手続補足書から抜粋して援用。)を提出し,さらに,当審において,甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

しかしながら,この場合,甲第1号証ないし甲第4号証について証拠番号が重複するから,当審において提出した甲第1号証ないし甲第4号証については,それぞれ,甲第47号証ないし甲第50号証に読み替えるものとする。

また,当審においては,上記商願2015−30675における平成28年10月6日付け手続補足書により提出された甲第21号証についても判断材料として採用することとし,甲第51号証に読み替えるものとする。

2 商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨

商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号 同22年1月27日判決参照)。

(2)位置商標は,「商標に係る標章(文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)を付する位置が特定される商標」であって,願書への記載は「その標章を実線で描き,その他の部分を破線で描く等により標章及びそれを付する位置が特定されるように表示した一又は異なる二以上の図又は写真によりしなければならない。」(商標法施行規則第4条の6)と規定されている。

そうすると,位置商標において実線等で表された標章は,その形状が相似形のものは含まれるとしても,標章の形状及び色彩は一定のものと解される。

(3)本願商標は,上記第1のとおり,医療用機械器具の筐体の正面部上部に,青色の横長帯状図形(以下「上部帯状図形」という。)を配し,正面の左側約半分に白色の長方形(縦横の比率は,ほぼ1対1程度である。),及び正面の右側約半分に灰色の長方形(縦横の比率は,ほぼ1対1程度である。)を配した構成(以下,正面部に位置している3つの図形を「3色組合せ図形」という。)からなる位置商標であり,第10類「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー,内視鏡用光源一体型プロセッサー,内視鏡用ビデオプリンター」を指定商品とするものである。

(4)一般的に,商品を販売するにあたって,その包装や筐体に商品名及び製造販売業者名等の出所を識別するための表示をする場合に,需要者の注意や注目をひくためにその表示文字を際立たせることに加えて,需要者の購買意欲を高めるため,又は,商品の品質等のイメージを伝える目的で,出所を表示するための識別標識以外の装飾的な種々の文字,図形等を使用しており,また,文字やロゴの背景に色彩そのものや色彩を付した図形等を施すことも極めて一般的に行われている実情がある。

(5)本願商標は,医療用機械器具の筐体の正面部に付される3色組合せ図形からなるものであるところ,本願商標の指定商品である「内視鏡用光源装置,内視鏡用ビデオプロセッサー」等を含む医療用機械器具を取り扱う業界においても,例えば,以下アないしウに挙げるとおり,請求人以外の者が,筐体を有する医療用機械器具の正面部という位置に,その商品の美感をより優れたものにしたり,機能をより効果的に発揮させたりするなどといった目的のため,色彩が施された図形等を組み合わせて商品デザインの一種として使用している実情が認められる。

ア 医療従事者が病院内で使用する筐体を有する医療用機械器具には,その筐体の正面部を含めた,筐体全体に白色ないし白色に近似する色彩が付されているものが多く見受けられる(甲41〜甲43,甲46,甲48〜甲50)。

イ 医療用機械器具の筐体の正面部には,動作を示すランプ及びディスプレイ並びに各種機能の設定,操作を行うためのボタン及びスイッチ等(以下「動作ランプ等」という。)がまとめて配置されていることが多く,それらの背景部分には,動作ランプ等の視認性を向上させるため黒色に近い灰色や黒色等の暗い色彩が配されている(甲42,甲43,甲45,甲46)。

ウ 医療用機械器具の筐体の正面部に,商品デザインの一種として青色の図形を装飾的に付したり,企業のロゴや文字の背景に青色の横長帯状図形を付したりすることは,一般的に行われている(甲43,甲48,甲50)。

(6)上記(4)及び(5)のとおり,医療用機械器具の筐体の正面部に,色彩が施された図形を配することは一般に行われていることからすると,本願商標を構成する図形は,商品デザインとして採用し得る範囲内のものであって,筐体の正面部のデザインとして予測し難いような特異な図形及び配色並びに位置ではなく,格別な印象を与えるものであるとはいえない。

したがって,本願商標が,その指定商品に使用された場合,本願商標に接する取引者,需要者は,商品の筐体の正面部という位置に付された図形というより,色彩を施した商品デザインの一類型として認識するにとどまり,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識することはないというべきである。

3 使用による識別力の獲得について

請求人は,「本願商標が使用された結果,自他商品識別標識としての機能を発揮している」旨を主張し,証拠として,甲第1号証ないし甲第50号証を提出している。

そこで,請求人が提出した証拠及び当審で採用した証拠並びに同人の主張に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。

証拠及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。

(1)請求人及び本願商標の使用地域について

請求人は,1919年(大正8年)に創設され,精密機械器具の製造販売を主たる事業内容としている(甲3,甲4)。

請求人は,1950年(昭和25年)に世界で初めて胃カメラの実用化に成功し,1964年(昭和39年)には,ファイバースコープ付き胃カメラを発表し,さらに1985年(昭和60年)には,ビデオスコープを発売した(甲15)。

請求人は,東京をはじめとする全国15か所に支店・営業所又は事業場を有するほか,全国各地及び海外に子会社120社及び関連会社4社を有しているものであって(2016年(平成28年)3月末時点),これらの営業所等から日本各地の病院施設へ本願商標を使用した商品の販売を行っている(甲12〜甲14)。

(2)商品の販売実績及びシェアについて

ア 請求人の売上高は,2016年度(平成28年度)には8046億円であり,このうちの75.7%にあたる6089億円が医療事業の売り上げである(甲4,甲7)。

そして,請求人の医療事業の売上高は,2012年度(平成24年度)より2016年度(平成28年度)の5期連続で上昇している(甲5)。

また,「医療機器業界シェア&ランキング(平成25−26年)」(業界動向サーチ)では,売上高4922億円,売上高シェア22.3%であって(甲9),「医療機器メーカーランキング」(MTばんく)によると,売上高(国内:2013年(平成25年)〜2014年(平成26年))でトップである(甲10)。

イ 請求人の製造に係る内視鏡の売上高は,2015年度(平成27年度)には3133億円,2016年度(平成28年度)に3416億円であり,請求人の医療事業全体の56%を占めている(甲7)。

そして,インターネット記事(2013年7月2日)によれば,胃や大腸の検査や治療に使われている内視鏡の市場は,請求人が世界で約7割のシェアを持ち(甲17),2012年(平成24年)の日本国内のシェアは,43%である(甲18)。

(3)本願商標の使用開始時期及び使用方法について

請求人は,2011年(平成23年)10月から,筐体の正面部に3色組合せ図形と同一の使用と認められる商品を含んだ「内視鏡統合ビデオシステム」の販売を開始した(甲11)。

ア 本願商標の指定商品に係る使用について

(ア)「内視鏡用光源装置」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「高輝度光源装置 CLV−290SL/CLV−290」(甲19)(別掲2(1)),「高輝度光源装置 CLV−S190」(甲22,甲24)及び「高輝度光源装置 CLV−S400」(甲23)は,それらの筐体の正面部において,上部に青色の横長帯状図形を配し,正面の左側約半分に白色の長方形,及び正面の右側約半分を灰色の長方形とする構成からなり,当該各図形それぞれの縦横の比率が3色組合せ図形と同一性を損なわないといえるから,医療用機械器具の筐体の正面部に3色組合せ図形が配されていると認められる。そして,上部帯状図形には,その左端に「OLYMPUS」の白抜き文字が表示されている。

(イ)「内視鏡用ビデオプロセッサー」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「ビデオシステムセンター CV−290」(甲19),「ビデオシステムセンター OTV−S190」(甲22),「ビデオシステムセンター CV−190」(甲24)及び「3Dビデオプロセッサー 3DV−190」(甲24)(別掲2(2))は,それらの筐体の正面部において,上部に青色の横長帯状図形を配し,正面の左側約半分に白色の長方形,及び正面の右側約半分を灰色の長方形とする構成からなるものの,当該白色及び灰色図形それぞれの縦横の比率が,ほぼ縦1に対し横2程度で異なるため,3色組合せ図形と同じであるとはいえない。

(ウ)「内視鏡用光源一体型プロセッサー」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品として,「光源一体型プロセッサー」との説明がある「ビデオシステムセンター CV−170」(甲51)は,その筐体の正面部において,白色の図形がほぼL字型に配され,灰色の長方形は,当該商品筐体の右側の縦方向に4分の3ないし2分の1程度の大きさで配置されているから,そもそも白色の図形と灰色図形の形状が全く異なり,3色組合せ図形と同じであるとはいえない。

(エ)「内視鏡用ビデオプリンター」の範ちゅうに含まれるものと認められる商品「カラービデオプリンター OEP−5」(甲19,甲22)の筐体正面部において,上部に付された青色の横長帯状図形の下に,灰色の図形が上部帯状図形と同じ横幅で,かつ,縦幅は上部帯状図形のおよそ2倍程度の太さで付され,残り下半分に白色の横長長方形を配する構成であることから,3色組合せ図形と同じであるとはいえない。

イ 広告宣伝について

(ア)請求人は,日本の主要都市で1993年(平成5年)から2015年(平成27年)まで毎年開催されている,日本における最大級の医学系の学会である「日本消化器関連学会週間」(甲31)に参加しているところ,2007年(平成19年)から2015年(平成27年)に開催された当該学会の「医療品・医療機器展示会」を紹介するウェブサイトの「主な出展内容(主な展示品)」の項目欄には,「内視鏡システム及び内視鏡関連機器」等の記載がある(甲32)。

また,当該学会の臨時増刊号(甲33)において,請求人に係る内視鏡システム及び内視鏡関連製品等の広告が掲載されているが,発行年及びその出典は不明である。

(イ)請求人は,請求人に係る内視鏡システム及び内視鏡関連装置の広告を,株式会社東京医学社発行「消化器内視鏡」第27巻第10号(2015年(平成27年)10月25日発行:甲25),株式会社日本メディカルセンター発行「INTESTINE」第19巻第6号(2015年(平成27年)11月20日発行:甲26),日本内視鏡外科学会ニュースレターNo.21(2015年(平成27年)11月15日発行:甲27)に掲載した。

(4)判断

上記(1)ないし(3)の事実によれば,以下のとおり判断できる。

ア 本願商標の使用期間,使用方法及び売上高等について

請求人は,1919年(大正8年)に創立し,1950年(昭和25年)に世界で初めて胃カメラの実用化に成功して以来,医療事業を中心とする精密機械器具の製造販売を主たる事業内容としているところ,請求人の2014年3月期の医療機器にかかる売上高は4922億円であり,国内でトップシェアを占めている。

請求人は,本願商標と同一の3色組合せ図形を,遅くとも2011年(平成23年)10月より,「内視鏡統合ビデオシステム」の一部の製品の筐体正面部に付しており,以降,一部の内視鏡関連商品に使用していることが認められる。

そして,請求人の製造に係る内視鏡の売上高は,2015年(平成27年)3月期には3133億円,2016年(平成28年)3月期に3416億円,2012年(平成24年)の日本国内のシェアは,43%であるから,内視鏡又はその関連商品についての売上高及び国内シェアは相当高いことがうかがえる。

しかしながら,本願商標は,上記第1のとおり,医療用機械器具の筐体の正面部において,3色組合せ図形を配した構成からなる位置商標であるところ,上記(3)アのとおり,3色組合せ図形と同一性を損なわない使用といえる商品は,本願商標の指定商品中「内視鏡用光源装置」のみにすぎず,その他の商品は,3色組合せ図形が使用されているものとは認めることができないから,当該3色組合せ図形が統一的に使用されているとはいえない。

そうすると,内視鏡及びその関連商品の売上高及び国内シェアが相当高いとしても,本願商標と同一の使用と認められる商品の実際の売上高やシェアはそれらの一部と考えざるを得ない。

また,商品カタログ等に使用されている本願商標の上部帯状図形には,必ず,白抜きの「OLYMPUS」の文字が表されていること,及び上記2(5)のとおり,本願商標の指定商品を含む医療用機械器具を取り扱う業界において,筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,色彩が施された図形が,商品デザインの一種として,一般的に採択されていることからすると,「OLYMPUS」の文字が単独で出所識別標識としての機能を発揮していると理解されるため,本願商標を構成する3色組合せ図形のみが「OLYMPUS」の文字から分離して観察され,これが,請求人の出所識別標識として印象づけられているものとはいえない。

イ 広告宣伝について

(ア)商品カタログ

上記(3)アのとおり,本願商標を使用したと認められる商品は,請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品のわずか一部にすぎない。

また,請求人は,「本願商標を使用した各商品カタログの出荷部数は,2016年(平成28年)時点において平均2万部超,多いものについては9万4千部を超え,カタログ出荷部数合計では33万7千部弱である」旨主張しているが,その部数を裏付ける証拠の提出はなく,頒布状況も明らかではない。

(イ)展示会

「日本消化器関連学会週間」の「医療品・医療機器展示会」における本願商標を使用した商品の展示の様子を確認できる証拠の提出はなく,多数の会社等が多くの商品を展示する展示会において,3色組合せ図形が目立つ態様で展示されていたか判断することはできない。

さらに,請求人が,1993年(平成5年)から上記学会に参加していたとしても,上記学会は年1回の開催であるから,本願商標の使用を開始した2011年(平成23年)10月以降,本願商標を使用した商品の展示は,2015年(平成27年)までの間,僅か5回程度であり,多いものとはいえない。

(ウ)雑誌

上記(3)イ(イ)のとおり,雑誌への掲載回数は専門誌にわずか数回であることに加えて,その掲載された内視鏡関連商品の写真において,本願商標と同一の使用と認められる商品はその一部にすぎない。

ウ 小括

以上からすると,本願商標の使用期間は,約8年と長いものとはいえないこと,本願商標の指定商品中,「内視鏡用光源装置」以外の商品は,本願商標とは異なる構成態様であり,本願商標は統一的に使用されていないこと,請求人の内視鏡又はその関連商品についての売上高及び国内シェアは相当高いことが認められるとしても,本願商標と同一の使用と認められる商品はそれらの一部と考えられること,本願商標の上部帯状図形は,必ず白抜きの「OLYMPUS」の文字とともに表されていること,請求人に係る内視鏡又はその関連商品についての広告が限定的であること等を踏まえて総合的に判断すると,請求人が本願商標をその指定商品に使用した結果,3色組合せ図形が,需要者をして,請求人の業務に係る出所識別標識であると認識されているとは認められない。

また,他にこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって,本願商標が,使用された結果,取引者及び需要者の間で,商品の出所を表示する標識又は自他商品の識別標識として認識されるに至っているとは認められない。

4 請求人の主張について

(1)請求人は,「原審において示された商品は,本願商標と同じ青系統の色彩ではあっても,本願商標の青色とはその明度,彩度において大差を有するものであるところ,他の白色及び灰色における相違とも相まって,互いに全く異なる色彩であると容易に認識される。また,当該商品は,本願商標を構成する図形の形状及びその配置とは全く異にする。」旨主張している。

しかしながら,上記2のとおり,本願商標の指定商品を含む医療用機械器具を取り扱う業界においても,筐体を有する医療用機械器具の正面部に,当該商品の美感又は機能の向上のため,色彩が施された図形等を付すことは一般的に行われており,また,本願商標が実際に使用されている指定商品の筐体の正面部以外の全ての面(【商標の詳細な説明】における,赤色着色部分)には,正面の左側約半分に付された白色と同様の白色が付されていることから,本願商標に接する取引者,需要者は,白色部分をはじめ,青色及び灰色部分を図形とは認識せず,色彩を施した商品デザインの一類型として認識するにとどまる。

そして,上部帯状図形には,「OLYMPUS」の文字が表されているため,3色組合せ図形のみが分離して観察され,これが,請求人の出所識別標識として印象づけられているものとはいえない。

そうすると,本願商標と,原審の拒絶査定で引用した商品(甲48〜甲50)に付されている青色,白色,灰色が色相において異なっており,また図形の形状や配置が異なっているとしても,各商品は同系統の色彩の組み合わせであり,加えて,商品の正面部という位置に色彩を施した図形等が付されることは商品デザイン上,一般的に行われているため,本願商標のみが,商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識されている実情は認められない。

(2)請求人は,「本願商標の指定商品は内視鏡に関連する装置であるのに対し,原審において示された各商品は,内視鏡に関連した商品ではなく,広い意味では共に医療用機械器具に属するものであっても,これらの商品は,本願商標の使用商品とは,その使用目的,使用場所,使用者等を全く異にするものである。」旨主張している。

しかしながら,本願商標の指定商品及び原審において提示した商品はいずれも医療用機械器具の範ちゅうの商品である。

そして,請求人も,審判請求書において「本願商標の指定商品の需要者は,病院等で診療に関わる消化器内科,外科等の医師や検査技師・看護師等の医療従事者である。」旨主張しているとおり,本願商標の指定商品の需要者も,医療従事者である。

そうすると,本願商標の指定商品と原審において提示した商品とはいずれも需要者,使用目的,使用場所等において共通する商品であるというべきである。

(3)請求人は,手術装置及び消化器内視鏡システムがグッドデザイン賞を受賞していることを根拠としても本願商標の周知性を主張している。

しかしながら,請求人が取り扱う商品がグッドデザイン賞を受賞した事実は,受賞した商品の形状等が美感に資するために採用されたものであることを認め得るとしても,本願商標に係る3色組合せ図形が商品の出所を表示し,自他商品を識別する標識として機能することを証明するものとは認められない。

(4)請求人は,「本願商標が,高い周知性を獲得している前提の下,本願商標は,識別力の非常に高い『OLYMPUS』の文字とともに商品に使用され,そのような使用が継続して行われているからこそ,本願商標を構成する図形が請求人の識別標識として認識されているものであって,文字とともに使用されていることを捉えて機械的にその識別力を否定すべきではない」旨主張している。

しかしながら,上記のとおり,本願商標の3色組合せ図形が「OLYMPUS」の文字とともに用いられていることのみをもって出所識別力を有しないと判断したものではない。

(5)したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

5 まとめ

以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であり,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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