結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2018−300092(T2018−300092/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5275059号商標(以下「本件商標」という。)は,「MUSUBI」の欧文字を標準文字により表してなり,平成21年1月29日に登録出願,第35類「家具・金庫及び宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む,第16類及び第35類に属する登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年10月23日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成30年3月19日にされたものである(以下,本件審判の請求の登録前3年以内を「本件要証期間内」という。)。
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品及び指定役務中,第35類に属する別掲1のとおりの指定役務についての登録を取消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は,本件商標の指定商品及び指定役務中,第35類に属する別掲1のとおりの指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人の行為は「印刷物」の商品についての使用である
乙第1号証,乙第2号証及び乙第4号証ないし乙第7号証によれば,本件商標権者は,図案化したサンセリフ体の欧文字「MUSUBI」を含む標章(以下「本件使用標章」という。)をカタログオーダーギフトに使用する贈答商品掲載カタログ(以下「ギフトカタログ」という。)の表紙に付している。
ギフトカタログは,被請求人も認めるように,贈答のための「商品」(乙1)であり,本件商標権者が運営するウェブサイト(乙2)又は販売代理店(乙5)を通じて販売されている。
したがって,ギフトカタログは,印刷された商品であって,商標法施行規則別表記載の「刊行物」に該当し,被請求人の行為は「印刷物」の商品についての使用である。
よって,本件商標と本件使用標章の同一性を論じるまでもなく,被請求人は,本件審判の請求に係る指定役務との関係において,本件使用標章を使用していない。
イ 被請求人の行為は「小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務に該当しない
本件商標権者は,ギフトカタログの購入者に対して,何ら小売の業務にかかる役務を提供していない。より具体的には,本件商標権者は,本件審判の請求に係る指定役務を購入者に対して提供していない。
本件商標権者は,ギフトカタログの購入者から当該ギフトカタログを送られた相手が選んだ商品をその相手に届けているところ(乙1),ここで行われる商品の配送業務は,ギフトカタログの販売に必然的に伴うものとして,付随して行われるにすぎない。
商標法上の「役務」とは,「他人のためにする労務又は便益であって,独立して商取引の目的たりうべきもの」をいい,「商品の販売又は役務の提供等に付随して提供される,例えば,買上げ商品の配送・・・のようなものは含まれない」(甲3)と解され,ギフトカタログの販売後の付随業務が独立した商取引の目的として商標法上の「役務」に該当する余地はない。
ウ 本件使用標章は本件商標と社会通念上同一ではない
被請求人が本件審判の請求に係る指定役務との関係において具体的に本件使用標章の使用を主張しているのは,乙第6号証及び乙第7号証に示されるギフトカタログについてである。
乙第6号証及び乙第7号証では,角を切り取った正方形の中に,サンセリフ体の欧文字「MUSUBI」とスクリプト体の欧文字「And Select」がそれぞれ図案化されて二段に配置され,さらに,これらの欧文字の下に「MUSUBI」と同一の幅の水平線が引かれて,「MUSUBI」と「And Select」がまとまりよく構成されている。
水平線の下には,乙第6号証では「SPRING」と「SUMMER」の欧文字が二段に配置され,乙第7号証では「AUTUMN」と「WINTER」の欧文字が二段に配置されている。
正方形の周囲には,正方形の背景色である白色と同色の点線がやや暗めの黄緑色の枠の内に示され,全体としての落ち着いた一体感を与えている。
このような外観と,本件商標のローマン体の標準文字の外観とは,顕著に相違することが明らかであり,両者は実質的に同一ではない。また,称呼においても,乙第6号証からは「ムスビアンドセレクトスプリングサマー」,乙第7号証からは「ムスビアンドセレクトオータムウィンター」の称呼が生じ,本件商標の「ムスビ」の称呼とは異なるものであることが明白である。そして,観念において,本件使用標章がギフトカタログに付されていることから,乙第6号証からは「春夏のために選んだ商品」,乙第7号証からは「秋冬のために選んだ商品」といった程度の意味合いが生じるのに対し,本件商標からは特定の意味合いが生じない。
以上のとおり,被請求人の行為が小売業務に該当しない点をおいても,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用は立証されていない。
エ 結語
被請求人は,本件商標権者の行為が小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に該当する旨を主張するところ,これは商標法上の「役務」の意義を正解しないものであって,失当である。そして,商標法上の役務該当性の前提として,「小売」という行為自体存在しない。
したがって,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標が本件要証期間内に「小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務について使用さていないことは明らかである。
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
(1)本件商標権者は,主として,カタログやインターネットWebサイトを通じて通信販売事業を行なっており,衣料品をはじめインテリア・雑貨・コスメ(生活用品)や飲食料品まで多岐にわたるジャンルの商品を販売している。
本件商標「MUSUBI」は,2009年(平成21年)4月に開始したカタログオーダーギフト及びギフトカタログの名称として,現在に至るまで継続して使用する商標である(乙1,2)。カタログオーダーギフトとは,「チョイスカタログ」や「カタログギフト」とも呼ばれるもので,贈答商品の「贈り主」が,ギフトカタログを本件商標権者から購入して「受取手」へ送付し,ギフトカタログを受け取った「受取手」がその中から好みの商品を選んで本件商標権者へ注文して,商品を受け取るという贈答の一形態で,出産内祝い等の贈答商品として,また最近では,企業の株主優待や自治体のふるさと納税の返礼品として広く利用されているものである(乙3,4)。このカタログオーダーギフトに使用するギフトカタログは,本件商標権者のWebサイトで購入する以外にも,提携する百貨店等の販売代理店を通じても購入することができる(乙5)。
これらのギフトカタログのいずれにも,本件商標と社会通念上同一の商標「MUSUBI」が付されており,食器・飲食料品・インテリア・雑貨類のほか,家電用品等各種の贈答商品が掲載されている。
したがって,被請求人は,ギフトカタログを受け取った「受取手」,すなわち需要者に対して,商品の選択の便宜のために販売する商品が掲載されたギフトカタログの提供を行っており,これは,商品の小売又は卸売の業務において小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するものである。この場合において,ギフトカタログは,「役務の提供に当たりその提供を受ける者(受取手)の利用に供する物」に該当することは明らかである。
(2)凸版印刷株式会社は,本件商標権者の注文を受けて本件商標を付したギフトカタログを制作し,2017年(平成29年)12月18日付で納品した(乙6)。
証明書(乙6)に添付のギフトカタログ(写)の表紙(1枚目)には,本件商標と社会通念上同一の商標「MUSUBI」が付されており,当該ギフトカタログには,電子応用機械器具及びその部品に属する商品「ワイヤレスキーボード」が掲載されている。また,同ギフトカタログ(写)の裏表紙(3枚目)には,発行元として本件商標権者の名称が記載されている。
また,2017年(平成29年)9月に発行された秋冬版のギフトカタログである「MUSUBI AndSe1ect AUTUMN/WINTER」においても,商品「食肉」に属する商品「松阪牛バラすき焼き」が掲載されている(乙7)。
これらのことから,本件商標権者が,本件商標「MUSUBI」を,本件審判の請求に係る指定役務中,「電子機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,本件要証期間内に日本国内において使用していることは明らかである。これらの行為は,商標法第2条第3項第3号及び同項第4号の使用に該当する。
(3)配送会社の配達完了証明(到着原票付の判取証明)
本件商標権者は,2017年(平成29年)11月23日に,ギフトカタログ「MUSUBI grand 京紫 17.1」に掲載された商品「(ネイキッズ)キッズハンガーシェルフ」(申込番号「BG7−Z1606」)の注文を「受取手」から受け,この注文について「219−14504」のMSB注文番号及び「631748175461」の送り状番号を付した後,同月28日に,同商品を出荷して配送会社(佐川急便株式会社)に配達を依頼し,同配送会社が遅くとも同年12月2日までに「受取手」に商品の配達を完了した(乙8〜10)。
また,本件商標権者は,2017年(平成29年)11月16日に,ギフトカタログ「MUSUBI grand 京紫 17.1」に掲載された商品「(ジャンヌ・エコール)アルミ鍋&フライパン5点セット」(申込番号「BG7−K2201」)の注文を「受取手」から受けた被請求人が,この注文について「1004170893」の受注番号及び「631748175461」の送り状番号を付した後,同月20日に,同商品を出荷して配送会社(佐川急便株式会社)に配達を依頼し,同配送会社が遅くとも同月27日までに「受取手」に商品の配達を完了した(乙11〜13)。
以上からすると,「受取手」の注文した商品が掲載されているギフトカタログは,いずれも「MUSUBI grand 京紫 17.1」(2017年9月発行)であり(乙10,13),表紙には本件商標と社会通念上同一の商標「MUSUBI」が付されており,同カタログは遅くとも2017年(平成29年)11月ごろには「受取手」に渡っていた。
また,上記の交換商品「(ネイキッズ)キッズハンガーシェルフ」は「家具」に属する商品であり,上記の交換商品「(ジャンヌ・エコール)アルミ鍋&フライパン5点セット」は「台所用品(鍋類)」に属する商品である。
したがって,被請求人が,本件商標「MUSUBI」を,本件審判の請求に係る指定役務中「家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,本件要証期間内に日本国内において使用していることは明らかである。
(4)業界誌等の掲載記事
本件商標権者が,本件商標「MUSUBI」を付したギフトカタログを発行して,カタログオーダーギフトのサービスを提供していることは,ギフト業界誌等にもたびたび取り上げられ,紹介されている(乙14〜18)。
以上の業界誌等の掲載記事のいずれにおいても,本件商標権者が需要者に対して,商品の選択の便宜のために販売する商品が掲載されたギフトカタログ「MUSUBI」の提供を行っていることが紹介されており,これは,商品の小売又は卸売の業務において小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するものである。
したがって,被請求人が,本件商標「MUSUBI」を,本件審判の請求に係る指定役務中の小売役務について,本件要証期間内に日本国内において使用していることは明らかである。
(5)ギフトカタログ掲載商品の交換数集計一覧
乙第19号証は,本件商標「MUSUBI」を付したギフトカタログを使用したカタログオーダーギフトについて,それぞれのギフトカタログ掲載商品の交換数(注文数)を定期的に集計した一例であり,その一覧中,「MSB申込番号CG602901」の「品名:ふとんクリーナー」は,ギフトカタログ「MUSUBI AndSelect AUTUMN/WINTER 京紫16.I」(2016年9月発行)に「布団用掃除機申込番号CG6−02901」として掲載された商品である(乙20)。また,「MSB申込番号GG6F1502」の「品名:松坂牛バラすき焼600g」は,ギフトカタログ「MUSUBI Grand AUTUMN/WINTER 京紫 16.II」(2016年9月発行)に「松阪牛バラすき焼申込番号「GG6−F1502」として掲載された商品である(乙21)。
上記の交換商品「ふとんクリーナー」は商品「電気機械器具類」に,交換商品「松坂牛バラすき焼600g」は商品「食肉(飲食料品)」に,それぞれ属する商品である。
これらのことから,本件商標権者が,本件商標「MUSUBI」を,本件審判の請求に係る指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を始めとする本件商標の指定役務中の小売役務について,本件要証期間内に日本国内において使用していることは明らかである。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標権者が,本件商標を,本件審判の請求に係る指定役務中の小売役務について,本件要証期間内に日本国内において使用していることは明らかである。
(1)証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 本件商標権者は,カタログやインターネットウェブサイトを通じて通信販売事業を行なっており,衣料品をはじめインテリア・雑貨・コスメ(生活用品)や飲食料品まで多岐にわたるジャンルの商品を販売している(被請求人の主張)。
イ 本件商標権者は,2009年(平成21年)4月に本件商標権者に係るギフトカタログ「MUSUBI」を創刊した(乙1)。
ウ 本件商標権者に係るギフトカタログは,少なくとも,「MUSUBI/And Select/SPRING/SUMMER」(2018年(平成30年)発行,乙6),「MUSUBI/And Select/AUTUMN/WINTER」(2017年(平成29年)発行,乙7),「MUSUBI/Grand/CATALOG GIFT」(2017年(平成29年)発行,乙10)「MUSUBI/And Select/AUTUMN/WINTER」(2016年(平成28年)発行,乙20)及び「MUSUBI/Grand/CATALOG GIFT」(2016年(平成28年)発行,乙21)が発行された。そして,当該ギフトカタログには,商品「キーボード,エアサーキュレータ,キッズハンガーシェルフ,アルミ鍋,フライパン,布団掃除機,松阪牛(食肉)」について,商品名,申込番号及び商品説明とともに当該商品の写真が掲載されている。
エ カタログオーダーギフトに係る役務(以下「カタログオーダーギフト業」という。)とは,贈答商品の「贈り主」が,ギフトカタログを当該役務の提供者から購入して「受取手」へ送付し,ギフトカタログを受け取った「受取手」がその中から好みの商品を選んで当該役務の提供者へ注文して,商品を受け取るという贈答の一形態である(乙1)。
オ 本件商標権者に係るギフトカタログ「MUSUBI/Grand/CATALOG GIFT」(乙10。以下「本件使用ギフトカタログ」という。)の表紙の中心には,別掲2のとおり,正方形の四角をやや切り取った白色の図形中に,当該図形の外周内側に沿って白の点線を有する金色の帯を配し,また,当該図形の内側にややデザイン化した「MUSUBI」の文字及び筆記体で表した「Grand」の文字をやや大きく表して配し,並びに,その下に紫色の水引細工状の図形及びゴシック体で表した「CATALOG GIFT」の文字がそれぞれ間隔を空けて配してなる標章(以下「本件使用カタログ標章」という。)が表示されている。
カ 本件使用ギフトカタログの「Z16」頁の最下段右側に掲載された商品名「<ネイキッズ>キッズハンガーシェルフ」,申込番号「BG7−Z1606」は,天然木の柱,合成樹脂化粧繊維板の棚板及び4つのキャスターにより構成され,洋服等を掛け又は棚板の上に小物等を置くことが可能なラック状の商品(以下「本件使用商品1」という。)である。そして,本件商標権者が受取手(受取手は,マスキングされている。)に送付した「到着原票」,配送業者が本件商標権者に送付した「FAX送付表(判取証明)」及び本件商標権者に係る「商品交換受注」のコンピュータの画面写しに記載されている送り状番号が一致し,これらには,受注日を平成29年11月23日,出荷日を同月28日及び消込日(配達を完了を確認した日)を同年12月2日とする記載並びに申込番号「BG7−Z1606」の記載があること,そして,当該コンピュータの画面写しに及び本件使用ギフトカタログに掲載された本件使用商品の申込番号「BG7−Z1606」及び商品名が一致していることに照らせば,本件商標権者は,本件使用商品1について,受取手から平成29年11月23日に受注し,同年12月2日までに受取手に送付したことが認められる(乙8〜10)。
キ 本件使用ギフトカタログの「K22」頁の上段左側に掲載された商品名「<ジャンヌ・エコール>アルミ鍋&フライパン5点セット」,申込番号「BG7−K2201」は,片手鍋,両手浅鍋,両手鍋,フライパン(20cm)及びフライパン(24cm)をセットにした商品(以下「本件使用商品2」という。)である。そして,本件商標権者が受取手(受取手は,マスキングされている。)に送付した「到着原票」,配送業者が本件商標権者に送付した「FAX送付表(判取証明)」及び本件商標権者に係る「商品交換受注」のコンピュータの画面写しに記載されている送り状番号が一致し,これらには受注日を平成29年11月16日,出荷日を同月20日及び消込日を同月27日とする記載並びに申込番号「BG7−K2201」の記載があること,そして,当該コンピュータの画面写しに及び本件使用ギフトカタログに掲載された本件使用商品の申込番号「BG7−K2201」及び商品名が一致していることに照らせば,本件商標権者は,本件使用商品2について,受取手から平成29年11月16日に受注し,同月27日までに受取手に送付したことが認められる(乙11〜13)。
ク 本件商標権者に係るギフトカタログは,雑誌「月刊セレクト 2015年9月号」(平成27年9月10日発行,乙14)及び雑誌「月刊セレクト 2016年9月号」(平成28年9月10日発行,乙15)において,雑誌「月刊ぎふと(Monthly Gift) 2015年10月号」(平成27年10月8日発行,乙16)及び雑誌「Monthly Gift PREMIUM 2017年10月号」(平成29年10月1日発行,乙17)において,「最新チョイスギフト一覧」中に,カタログ名,コース数(カタログの種類)及び価格とともに,その写真が掲載されている。
ケ 以上よりすると,本件商標権者は,衣料品・インテリア・雑貨・コスメ(生活用品)や飲食料品等を取り扱う通信販売事業者であり,平成21年4月に本件商標権者に係るギフトカタログ「MUSUBI」を創刊し,当該ギフトカタログに係るカタログオーダーギフト業を開始し,本件商標権者に係るギフトカタログは,少なくとも,本件要証期間内である平成27年ないし同29年に販売され,当該ギフトカタログには,商品「キーボード,エアサーキュレータ,キッズハンガーシェルフ,アルミ鍋,フライパン,布団掃除機,松阪牛(食肉)」が掲載されたことが認められる。
また,本件商標権者は,本件使用ギフトカタログ(乙10)に掲載された本件使用商品1及び2について,それぞれ平成29年12月2日又は同年11月27日までに,受取手である需要者へ送付,すなわち,譲渡又は引き渡したといえる。
(2)上記(1)において認定した事実によれば,以下のように判断できる。
ア 使用商標について
(ア)本件商標は,上記1のとおり,「MUSUBI」の欧文字を標準文字により表してなるものである。
(イ)(a)他方,本件使用カタログ標章は,別掲2のとおり,正方形の四角をやや切り取りとった白色の図形中に,当該図形の外周内側に沿って白の点線を有する金色の帯を配し,また,当該図形の内側に,ややデザイン化した「MUSUBI」の文字,筆記体で表した「Grand」の文字,紫色のリボン状の図形及びゴシック体で表した「CATALOG GIFT」の文字を配してなるものであり,これらの文字及び図形はそれぞれが間隔を空けて配されているから,視覚上,分離して看取し得るものである。
(b)本件使用カタログ標章中の「MUSUBI」が「結び目」等を意味する「結び」を欧文字で表したものであって,「Grand」が「大規模の,大型の」を意味する親しまれた英語であるとしても(広辞苑第六版),両語を結合して熟語や既成語となるものでもなく,両語を構成する文字は,書体も異なるものである。
(c)本件使用カタログ標章中の紫色の水引細工状の図形は,特定の称呼及び観念を有するものとは認められない。
(d)本件使用カタログ標章中の「CATALOG GIFT」文字は,その構成語である「CATALOG」及び「GIFT」の語がそれぞれ「カタログ」及び「ギフト」(贈り物)を意味する親しまれた英語であって,本件使用ギフトカタログが贈り物となる各種商品を掲載したカタログであることからすると,当該文字は,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
(e)本件使用カタログ標章中の金色の帯を外周内側に沿って配した正方形の四角をやや切り取りとった白色の図形は,本件使用カタログ標章を装飾する輪郭図形と看取され,出所識別標識としての称呼及び観念は生じないというのが相当である。
(f)そうすると,本件使用カタログ標章中が金色の帯を外周内側に沿って配した四角をやや切り取り白色の正方形の図形中に配されているとしても,当該図形は装飾と看取されるとみるのが相当であるし,本件使用カタログ標章中の「MUSUBI」の文字,「Grand」の文字及び水引細工状の図形は,書体が異なるもの又は構成(文字又は図形)が異なるものであって,さらに,これらは十分に間隔を空けて配してなるものであから,それぞれ視覚上,分離して看取し得るものである。しかも,「MUSUBI」の文字,「Grand」の文字及び水引細工状の図形は,称呼及び観念上の結びつきはないから,それぞれ独立して自他役務の識別力を有するものとみるのが相当である。
(ウ)以上よりすると,本件商標は,「MUSUBI」の欧文字を標準文字により表してなるものであって,他方,本件使用カタログ標章中のややデザイン化した「MUSUBI」の文字(以下「本件使用商標」という。)は,独立して自他役務の識別力を有するものであるため,本件使用商標は,本件商標を書体にわずかな変更を加えた同一の文字からなる商標といえるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
イ 使用役務について
本件使用商品1は,洋服等を掛け又は棚板の上に小物等を置くことが可能なラック状の商品であるから,商品「家具」の範ちゅうに属する商品であり,また,本件使用商品2は,鍋及びフライパンであるから,商品「台所用品」の範ちゅうに属する商品である。
また,本件商標権者は,本件使用ギフトカタログに係るカタログオーダーギフト業を行う者であり,本件使用ギフトカタログ(乙10)に掲載された本件使用商品1及び2を,需要者に譲渡又は引き渡したのであるから,本件使用商品1及び2は,需要者へ譲渡又は引き渡しをする商品として本件使用ギフトカタログに掲載されていたものというのが相当である。
そして,カタログオーダーギフト業は,贈り主が,ギフトカタログを役務の提供者から購入して受取手へ送付し,当該受取手がその中から好みの商品を選んで当該役務の提供者へ注文して,商品を受け取るという贈答の一形態であることからすると,本件商標権者は,本件商標権者に係るギフトカタログに各種商品をカタログに掲載し,受取手が好みの商品を選べる形式で商品を販売したものであって,受取手,すなわち需要者は,各種商品が取りそろえられ,掲載されたギフトカタログを見るだけで商品の選択及び注文ができるようしていたといえる。
以上からすれば,本件商標権者は,需要者に対して商品の選択の便宜のために販売する各種商品が掲載された本件商標権者に係るギフトカタログの提供を行っているということができるものであり,これは,小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するといえるものである。
そして,本件商標権者は,本件使用商品1及び2についての小売等役務を提供したものといえ,本件商標権者の提供する上記小売等役務に使用される本件使用ギフトカタログは,「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」というのが相当である。
ウ 使用者及び使用時期について
本件商標権者は,本件使用ギフトカタログに掲載された本件使用商品1及び2を,本件要証期間内である平成29年12月2日又は同年11月27日までに,需要者に譲渡又は引渡したといえる。
エ 小括
以上によれば,本件商標権者は,本件要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務中「家具・金庫及び宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,その役務の提供に当たり,本件使用ギフトカタログ(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物)に本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したものと認められ,また,これを用いて役務を提供したものと認めることができる。この行為は,商標法第2条第3項第3号「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為」及び同第4号「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」に該当する。
(3)請求人の主張に対し
ア 請求人は,ギフトカタログは贈答のための「商品」であり,本件商標権者が運営するウェブサイト又は販売代理店を通じて販売されているものであるから,本件商標権者に係るギフトカタログは,印刷された商品であって,商標法施行規則別表記載の「刊行物」に該当し,本件商標権者の行為は「印刷物」の商品についての使用である旨主張する。
しかしながら,上記(2)イのとおり,本件商標権者は,本件使用ギフトカタログに係るカタログオーダーギフト業を行う者であり,本件商標権者に係るギフトカタログに各種商品をカタログに掲載し,受取手が好みの商品を選べる形式で商品を販売したものであって,受取手は各種商品が取りそろえられ,掲載されたギフトカタログを見るだけで商品の選択及び注文ができるようしていたといえるから,本件商標権者が本件商標権者に係るギフトカタログを販売する行為は,商品「印刷物」の販売でなく,小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するといえる。
イ 請求人は,本件商標権者はギフトカタログの購入者(贈り主)に対して,何ら小売の業務にかかる役務を提供しておらず,贈り主からギフトカタログを送られた受取人が選んだ商品を受取人に届けているところ,ここで行われる商品の配送業務は,ギフトカタログの販売に必然的に伴うものとして,付随して行われるにすぎないから,ギフトカタログの販売後の付随業務が独立した商取引の目的として商標法上の「役務」に該当する余地はない旨主張する。
しかしながら,商取引は,対価と引換えに取引されるのが一般的であるとしても,営利を目的として行われる様々な契約形態による場合が含まれ,対価と引換えに取引されなければ,商標法上の「役務」ではないということはできない。取引全体として観察して,「役務」を対象にした取引が商取引といえるものえあれば足りるものと解される。
そして,カタログオーダーギフト業は,上記(1)イの認定のとおり,贈答商品の「贈り主」が,ギフトカタログを当該役務の提供者から購入して「受取手」へ送付し,ギフトカタログを受け取った「受取手」がその中から好みの商品を選んで当該役務の提供者へ注文して,商品を受け取るという贈答の一形態である。
そうすると,本件商標権者は,本件使用カタログを贈り主に販売し,本件使用カタログを受け取った受取手が商品を選択し,結果として本件商標権者が当該商品を送付したのであり,要するに,贈り主が本件商標権者に支払った対価と引換えに,受取手に商品が取引(送付)されたといえるから,取引全体として小売等役務を対象とした商取引といえるものである。
ウ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(4)むすび
以上のとおり,被請求人は,本件要証期間内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定役務中「家具・金庫及び宝石箱の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,本件商標権者が使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。