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Trademark Appeal Case

色彩商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2017−11224(T2017−11224/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、平成27年4月1日に登録出願された商願2015−30276に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同28年2月15日に登録出願され、その後、指定役務については、審判請求と同時に提出された同29年7月28日付け手続補正書により、第42類「大規模コンピュータシステムのシステムインテグレーション」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「役務の提供の用に供する物や広告に使用される色彩は、色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであって、役務の出所を表示し自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。そうすると、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する取引者、需要者は、役務の提供の用に供する物や広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る役務であるかを認識することができないものと認める。また、提出された証拠からは、本願商標のみが独立して自他役務の識別標識として機能しているとは判断できない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成30年7月26日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要点

1 本願商標について

本願商標は、請求人が1988年にコーポレートカラー(商標)として採択したものであり、「人を大切にする」、「人が価値を生み出していく」という思いを表現しているものであることから、柔らかく温かみのある落ち着いた色調の色彩とし、「ヒューマンブルー」と名付け、商標として大切に使用してきているものである。

ところで、証拠調べ通知書では、青系の色彩が使用された企業のロゴやウェブサイトが挙げられているところ、色彩とは、その色彩が有する色相、彩度、明度等の構成によって多種多様であり、これらの青系の色彩を一括りにして同一視するべきものではない。我が国の国民は、古来より、これらを区別し認識してきているのである。

2 証拠調べ通知書にて指摘された使用例について

証拠調べ通知書では、本願の指定役務の分野において、青系の色彩が企業のロゴやウェブサイトに使用されているというが、本願商標の色彩「ヒューマンブルー」は、これらとは異なる特異性を有しており、明確に区別し得る全く異なる色彩である。

使用例1ないし使用例11については、色彩が異なるものや単色でないものであるから、本願商標の色彩とは全く異なるものである。このことは、本願商標の色彩が、通常、本願の指定役務を取り扱う分野において、一般に使用され得ない特異性のある色彩であることを裏付けるものである。そして、このような本願商標の色彩を本願の指定役務に使用しても、これに接する取引者や需要者は、役務の通常有する色彩を表したものとは認識しない。

3 小括

本願商標は、日本最大のシステムインテグレーターである請求人のコーポレートカラー(商標)として、継続的かつ大々的に使用してきた商標である。

色彩のみからなる商標においては、登録出願時に、色彩を特定するための色彩名の他、三原色(RGP)の配合率、色彩見本帳の番号等を明記し、色彩についての具体的かつ明確な説明が必要であり、また、色彩は、本来、商品等の美観を高めるためなどに使用されるものであり、色彩のみからなる商標の登録に当たっては、出願商標と同一色を永年にわたって、大々的に使用してきたことにより、顕著性を獲得することが必要である。そして、このような高い顕著性を有する色彩の指標力は、極めて高いものであり、同じ基調の色彩であったとしても、他の色とは明確に区別しうるものと解するべきである。

そうすると、継続的かつ大々的に使用してきた高い指標力を有する本願商標は、証拠調べ通知書にて指摘された色彩とは、明確に区別し得るものである。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第6号該当性について

(1)本願商標について

本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、薄群青色(RGBの組合せ:R103,G133,B193)のみからなるものであり、第42類「大規模コンピュータシステムのシステムインテグレーション」を指定役務とするものである。

(2)取引の実情について

役務の提供の用に供する物又は広告に使用される色彩は、多くの場合、役務の魅力向上のために採択されるものであって、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識としては認識し得ないものである。

そして、本願の指定役務を取り扱う業界においては、役務の広告に様々な色彩が用いられており、薄群青色や本願商標の色彩に近似する色彩についても、原審で示したウェブサイトのほかに、別掲2のとおり、様々なウェブサイトに使用されている実情がある。

そうすると、薄群青色の色彩のみからなる本願商標は、役務の魅力向上のために使用される色彩と認識されるものであり、また、本願商標と近似する色彩が請求人以外の者によって、本願の指定役務と同種役務のウェブサイトに使用されていることからすれば、何人もその使用を欲するといい得るものであり、これを一私人に独占させることは妥当ではない。

(3)請求人による本願商標の使用について

請求人は、「本願商標は、請求人が『コーポレートカラー』として、永年、様々な態様で継続的かつ大々的に使用してきた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識するに至っているものであるから、登録されるべきである。」旨を主張し、その主張に係る証拠として甲第1号証ないし甲第60号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出している。

そこで、請求人提出の証拠の内容に照らし、本願商標が、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているか否かについて、以下検討する。

ア 本願商標の使用実績について

(ア)請求人について

請求人は、1967年(昭和42年)に、日本電信電話公社内に設置されたデータ通信本部を基礎とし、1988年(昭和63年)にNTTデータ通信株式会社として発足した企業であり、2003年(平成15年)には、株式会社NTTデータ北海道、東北、信越、東海、北陸、関西、中国、四国、九州を設立(甲14)し、その営業範囲は全国に及んでいる。

そして、請求人は、情報システム分野における企画・開発からシステム構築、運用・保守に至るまで一括して請け負うシステムインテグレーション事業やネットワークシステムサービス事業を主業としている(甲16、甲30)。

(イ)本願商標の使用方法及び使用開始時期

請求人は、1988年(昭和63年)の会社設立以来、本願商標を構成する薄群青色と同じ色彩と認識される青色(以下「本願青色」という。)を、「ヒューマンブルー」(甲11、甲13)と称し、コーポレートカラーとして採用し、本願青色を使用した「NTT DaTa」の文字(以下「新ロゴデザイン」という。:別掲3)及び本願青色を地色とした横長四角形内に「NTT DaTa」の文字と三角形状に並べられた10個の楕円を白抜きにした標章(以下「旧ロゴデザイン」という。:別掲4)として使用している(甲12、甲17〜甲36等)。

具体的には、請求人は、会社案内(甲30)、アニュアルレポート(甲18、甲31)、入社案内(甲26、甲27、甲28、甲32)、ウェブサイト(甲29)、CM(甲39、甲40)等に新ロゴデザイン又は旧ロゴデザインを使用している。

(ウ)広告宣伝の方法、回数及び内容について

a 請求人は、本願青色を地色として「NTT DaTa」の文字を白抜きにした屋外看板(甲19〜甲23)を設置し、自社の紙袋に新ロゴデザインを使用している(甲34)。

b 請求人は、CMの放送確認書を提出し、この中の一部のCM(救急医療システム篇、data for:the open)において、新ロゴデザインを使用している(甲39〜甲42)。

c 請求人は、日経ビジネス、週刊ダイヤモンド等の経済誌、日経コンピュータなどの雑誌に掲載した広告において、新ロゴデザインや旧ロゴデザインを使用している(甲44)。

d 請求人は、新聞に掲載した広告において、旧ロゴデザインを使用している(甲46)。

e その他の広告

請求人は、駅や空港に設置した看板(甲47〜甲50)、地下鉄の中吊り広告(甲51〜甲54)、各種スポーツ大会への広告(甲55)において、新ロゴデザインや旧ロゴデザインを使用している。

イ 判断

上記アによれば、請求人は、1988年以降、新ロゴデザイン及び旧ロゴデザインに本願青色を30年以上使用していることが認められる。

しかしながら、本願青色を使用した「NTT DaTa」の文字からなる新ロゴデザインは、本願青色のみが独立して出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるものとはいい難く、また、旧ロゴデザインは、その構成全体として認識されるものといえ、四角形内の「NTT DaTa」の文字や三角形状に並べられた10個の楕円を捨象して、本願青色のみが独立して出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるものともいい難い。

さらに、広告宣伝について、提出された証拠からすると、本願青色を使用した屋外看板は、わずか7か所に設置されているにすぎず、また、新ロゴデザインや旧ロゴデザインが掲載されたウェブサイトやCMなどは、どれだけの需要者が閲覧、視聴したのか不明であり、会社案内、新聞、雑誌、ポスターなどは、その頒布範囲や実際に需要者に頒布された部数等も不明である。

そうすると、本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、これが何人かの業務に係る役務であることを認識させるということはできず、本願商標の色彩についての需要者の認識を客観的に把握することもできないことから、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものとは認められない。

(4)小括

以上のことからすると、本願商標は、薄群青色の色彩のみからなる商標であるところ、その指定役務との関係において、一私人による独占使用が妥当でないことに加え、請求人の使用により識別力を獲得したとも認められないものであるから、これを本願の指定役務に使用しても、これに接する需要者は、その役務の広告等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、これを役務の出所を表示するものとして、又は自他役務を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(5)請求人の主張について

請求人は、証拠調べ通知に対する意見書において、「本願商標は、日本最大のシステムインテグレーターである請求人のコーポレートカラー(商標)として、継続的かつ大々的に使用してきた商標である。・・・このような高い顕著性を有する色彩の指標力は、極めて高いものであり、同じ基調の色彩であったとしても、他の色とは明確に区別しうるものと解するべきである。そうすると、継続的かつ大々的に使用してきた高い指標力を有する本願商標は、証拠調べ通知書にて指摘された色彩とは、明確に区別しうるものである。」旨主張している。

しかしながら、証拠調べ通知において示した例は、色彩のみからなる商標を一私人が独占使用することの妥当性について判断する上で、他人による使用の実情を調査した結果として、役務の提供の用に供する物や広告において本願商標と近似した色彩を含む様々な色彩が普通に使用されている例を示したものであって、本願商標と区別できるか否かを判断するためのものではない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

2 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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