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Trademark Appeal Case

色彩のみ商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2018−218(T2018−218/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおり、色彩のみからなる商標であって、第7類、第12類、第14類、第18類、第25類、第28類、第35類及び第37類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年4月1日に登録出願されたものである。

そして、本願の指定商品及び指定役務については、原審における同28年12月28日付けの手続補正書により、第12類「二輪自動車並びにそれらの部品及び附属品」、第35類「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「二輪自動車の修理又は整備」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるから、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人により提出された証拠からは、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえないから、本願商標は、商標法第3条第2項に該当しない。

(2)本願商標は、その指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者において、店舗名等の表示を際立たせたり、全体の美観を向上させために、通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまるから、何人かの業務に係る商品・役務であるかを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。また、出願人により提出された証拠からは、本願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえない。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2に掲げる事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に対し平成31年2月4日付け証拠調べ通知書をもって通知し、意見を求めた。

4 職権証拠調べ通知に対する請求人の意見

請求人は、前記3の通知に対して、要旨以下のとおり意見を述べた。

証拠調べ通知書における各使用例においては、ライムグリーン色の色相および彩度が本願商標と相違し、かつ、配色の構成および比率も明らかに異なることから、本願商標がありふれた色彩の組み合わせからなることを示す取引実情には該当しない。また、本願商標のライムグリーン色は、同色単独であっても、本願の指定商品および指定役務の分野において、十分に自他商品・役務識別力を有しており、黒色と特徴的に組み合わされることによって、更なる識別力を獲得している。

5 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は、前記1のとおり、色彩のみからなる商標であって、その色彩は、「商標登録を受けようとする商標(以下「商標」という)は、色彩の組合せのみからなるものである。色彩の組合せは、黒色(RGBの組合せ:R0/G0/B0)およびライムグリーン色(RGBの組合せ:R105,G190,B40)である。配色の比率は、一番上の黒色と、ライムグリーン色・黒色・ライムグリーン色・黒色・ライムグリーン色との組合せが3:1.2となる。そして、その1.2の中の配色の比率は、ライムグリーン色・黒色・ライムグリーン色・黒色・ライムグリーン色の順に1:0.5:2:0.75:4となる。」(以下「黒ライムグリーン色」という。)であり、その指定商品及び指定役務を第12類「二輪自動車並びにそれらの部品及び附属品」、第35類「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「二輪自動車の修理又は整備」とするものである。

(2)商標法第3条第1項第3号該当性について

色彩は、商品そのものやその包装はもとより、その商品の広告等においても、商品の魅力向上等に資する装飾等として、一般に広く使用されているものであるから、例えば、文字や図形等と組み合わせるなど、具体的な形態を伴う場合はともかく、そのような形態を伴わない場合には、これに接する者は、通常、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないとみるのが相当である。

そして、本願商標は、上記(1)のとおり、黒ライムグリーン色の色彩のみからなるところ、商品の色彩等は、一般的に、商品の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであることを考慮すると、黒ライムグリーン色の色彩のみからなる本願商標は、商品の魅力向上等に資する目的で使用される色彩の一類型であると判断するのが相当である。

また、本願の指定商品である「二輪自動車並びにそれらの部品及び附属品」を取り扱う業界においても、原審及び当審における証拠調べ通知書において示したとおり(別掲2)、二輪自動車に黒色とライムグリーン色の組み合わせの構成からなる色彩と近似する色彩が使用されていることからすると、本願商標は、その色彩自体に他の同種色彩とは異なる顕著な特徴があるものではない。

そうすると、本願商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品若しくは商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩(商品の特徴)を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識することはないというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(3)商標法第3条第1項第6号該当性について

役務の提供の用に供する物又は役務の広告の装飾等に使用される色彩は、様々な色彩を組み合わせたものも含め、多くの場合、それらの魅力向上等のために選択されるものであるから、役務の出所を表示し、自他役務を識別するための標識として認識し得ないとみるのが相当である。

そして、本願商標は、上記(1)のとおり、黒ライムグリーン色の色彩のみからなるところ、役務の提供の際に使用される色彩は、一般的に、役務の魅力向上等に資する装飾等と認識されるものであることを考慮すると、黒ライムグリーン色の色彩のみからなる本願商標は、役務の魅力向上等に資する目的で使用される色彩の一類型であると判断するのが相当である。

また、本願の指定役務である「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「二輪自動車の修理又は整備」を取り扱う業界においても、原審及び当審における証拠調べ通知書において示したとおり(別掲2)、店舗のウェブサイトのロゴに黒色とライムグリーン色の組み合わせの構成からなる色彩と近似する色彩が使用されていることからすると、本願商標は、その色彩自体に他の同種色彩とは異なる顕著な特徴があるものではない。

そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、役務の提供の用に供する物又は広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

(4)請求人の主張について

ア 請求人は、「本願商標のライムグリーン色は、同色単独であっても、本願の指定商品および指定役務の分野において、十分に自他商品・役務識別力を有しており、黒色と特徴的に組み合わされることによって、更なる識別力を獲得していることは明白である」旨主張し、証拠方法として第1号証ないし第107号証(枝番号を含む。なお、甲号証において、枝番号を有するもので、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略し、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出している。

しかしながら、請求人の提出に係る証拠によると、本願商標を構成する黒ライムグリーン色と同じ態様の色彩と認識され得る色彩が使用されているのは、指定商品「二輪自動車並びにそれらの部品及び附属品」との関係においては、2011年(甲9〜11)、2013年(甲12〜14)、2015年(甲15〜17)の東京モーターショーにおける宣伝用の冊子やブースの看板による商品の広告、2017年の商品カタログ(甲25ないし42)による商品の広告、2018年(甲99の54)及び2019年(甲100の65)の雑誌による商品の広告のみである。

また、指定役務「二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「二輪自動車の修理又は整備」との関係においては、請求人の子会社(カワサキプラザ)が運営する二輪自動車の販売店の店舗の外観又は看板やカワサキプラザのウェブサイトにおいて(甲35、36、94、95)、黒ライムグリーン色と認識され得る色彩が使用されていることは認められるものの、その使用開始時期、使用期間については明らかではなく、使用時期を確認できるものは、カワサキプラザに関する2017年の雑誌広告(甲104の3)及び2019年の同広告(甲99の55)、2018年の新聞広告(甲96の2)のみである。

そして、上記の二輪自動車の広告や二輪自動車の販売店の看板等に用いられた黒ライムグリーン色と認識され得る色彩は、主に請求人のブランド名を表した「Kawasaki」の文字の記載の背景として用いられていることから、これらに接する取引者、需要者は、自然と商品の広告、役務の販売店の看板等に表示された「Kawasaki」の文字に注目するものといえる。

しかも、上記(2)のとおり、本願商標は、黒ライムグリーン色の色彩のみからなる商標であって、これを本願の指定商品について使用しても、これに接する需要者は、その商品若しくは商品の包装等に通常使用される色彩又は使用され得る色彩(商品の特徴)を表したものと認識するにとどまり、その色彩について、商品の出所を表示するものとして又は自他商品を識別するための標識として認識するとはいい難いものであり、上記(3)のとおり、本願商標をその指定役務の提供の用に供する物や広告に使用しても、これに接する需要者は、役務の提供の用に供する物又は広告に通常使用される又は使用され得る色彩を表したものと認識するにとどまり、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきである。

さらに、請求人が製造・販売をおこなってきた、ライムグリーン色が用いられた二輪自動車の色彩は、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う業界においても、原審及び当審における証拠調べ通知書において示したとおり(別掲2)、二輪自動車や店舗のウェブサイトのロゴに黒色とライムグリーン色の組み合わせの構成からなる色彩と近似する色彩を使用することが、請求人以外の多数の事業者により広く一般に行われていることが認められる。

そうすると、請求人から提出された証拠からは、本願商標を構成する色彩と認識され得る黒ライムグリーン色を、その全ての指定商品及び指定役務に永年使用されることにより、自他識別力を備えたものとはいえないものであり、また、本願商標を構成する色彩と認識され得る黒ライムグリーン色のみが二輪自動車の広告や二輪自動車の販売店の看板等について使用されているとしても、その背景に施された黒ライムグリーン色は、単に商品の広告や役務の販売店の看板に表示されたブランド名の背景色として認識するというのが一般的であるから、本願商標は、それを構成する黒ライムグリーン色の色彩のみをもって、需要者が、専ら請求人の業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至っているとは認められない。

イ 請求人は、「43年間という長きにわたって、継続してライムグリーン色を用いた二輪自動車を製造・販売してきており、指定商品および指定役務の分野においては、ライムグリーン色は単色だけでも請求人の出所を表す色彩として、需要者および取引者に十分に認識されており、同色彩をその構成に含む本願商標も、請求人の出所識別標識と言える」旨を主張している。

しかしながら、本願商標を構成する黒ライムグリーン色と請求人の主張する単色のライムグリーン色とは、その色彩構成が相当程度異なるものである。

また、請求人が43年間継続して単色のライムグリーン色を用いた二輪自動車を製造・販売してきたことをもって、直ちに本願商標を構成する黒ライムグリーン色が、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至ったものと認められる特段の事情は見当たらないから、そのことをもって本願商標が必要な使用による自他識別力を備えたことにはならない。

したがって、請求人の主張は、採用することができない。

(5)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当し、かつ、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至ったものとはいえないものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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