Trademark Appeal Case
動き商標の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2018−8980(T2018−8980/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,商標法第5条第4項に基づく「商標の詳細な説明」を別掲2のとおりに記載して,第26類に属する「かつら,かつらベース,その他の頭飾品,テープ,リボン,組みひも,つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く)」を指定商品として,平成28年10月14日に動き商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなる動き商標であり,商標の詳細な説明には,別掲2のとおりに記載されているものである。
本願商標の指定商品中「かつら」を取り扱う業界においては,かつらの品質や特徴である軽さやボリュームを視覚的に印象付けるため,広告動画の一部として,様々な形状のかつらを人の掌に載せたり,人の掌に載せて動かしたりしている動画(別掲3)が一般的に用いられている実情がある。
また,本願商標を構成するかつらは一般的な形状であるため,自他商品の識別標識としての機能を発揮しているとはいえず,本願商標を構成する背景については,動きがなく,自他商品の識別標識として機能するものではない。さらに,宙に浮いているかつらに風を当てれば,そのかつらが2秒程度は風になびいてヒラヒラと揺れるのは自然なことだから,かつらの動き自体は格段特徴はないことに加え,軽いものにドライヤーなどの風を当てると宙に浮き,揺れることが一般に知られ,それを映した動画が一般的に視聴できる実情がある。
そのため,本願商標は,その指定商品中「かつら」に使用しても,これに接する需要者,取引者において,商品の品質や特徴を表した動画と理解,認識されるにとどまり,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審の判断
(1)本願商標の構図及び動きの識別性
ア 本願商標は,別掲1及び別掲2のとおり,(ア)カーテンのかかった室内のような背景の前で,毛髪状の繊維をふんわりとまとめた状態のウィッグを,両手を揃えて上に向けた人の掌の上部に浮かせるように配置し,(イ)当該ウィッグがわずかながら上下し,風になびいてヒラヒラと揺れる動き(全体として2秒間)を表してなる動き商標である。
イ 本願商標の指定商品と関連するかつら(ウィッグ)の商品紹介や広告等においては,室内や店内などにおいて,商品を掌の上部に配置して,商品の大きさや質感等の比較対象とすることで,商品の品質や特徴を表現,強調しようとする構図は,広く一般的に採択されている(別掲3)。
また,広告宣伝等において,商品を空中に浮遊した状態にすることは,商品の品質(軽さや質感)を表現,強調するために広く一般的に採択されている手法であって,さらに当該浮遊する商品が上下に動くことは,浮遊状態を具体的に表現するための一手法に過ぎないものであって,格別特徴のない極めてありふれたものである。
ウ そうすると,本願商標は,上記ア(ア)のような構図において,上記ア(イ)のような動きを付与することによって,ふんわりとした状態のウィッグを,その商品の品質(軽さや質感)を表現又は強調するために浮遊させた状態を表したものであると容易に認識,理解できるもので,その指定商品中「かつら」と関連する商品との関係においては,単に商品の品質又は特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張に対し
ア 請求人は,かつらの重量を鑑みれば,本願商標のようにかつらが浮遊すること自体が不思議であり,さらに同じ位置で揺れているにも関わらず風に流されないことも相まって,とても不思議な印象を与えるため,他社のかつらとの差別化が図られているもので,識別可能である旨を主張する。
しかしながら,上記(1)イのとおり,商品を空中に浮遊した状態にすることは,商品の品質(軽さや質感)を表現,強調するために広く一般的に採択されていること明らかで,さらに映像として,浮遊物にわずかに上下する動きを与えることも,表現手法としては極めてありふれたものであるから,本願商標の動きに自他商品の出所識別標識として機能するような特段の特徴を見出すことはできない。
イ 請求人は,ドライヤーや扇風機を用いて重量のあるかつらを,風に流されることなく同じ長さで静かに浮遊させることは不可能であるから,本願商標のように一定位置において安定した状態で,軽やかに髪の毛がひらひらと揺れるようにどのようにさせるかは不明であり,その動きは不思議な感じを与えるもので,商品の品質又は特徴を表示するものではない旨を主張する。
しかしながら,映像を表現するための手法に関わらず,本願商標は,上記(1)ウのとおり,ウィッグの品質(軽さや質感)を表現又は強調するために浮遊させた状態を表したものであると容易に認識,理解できるものであるから,本願商標の動きに自他商品の出所識別標識として機能するような特段の特徴を見出すことはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
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