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Trademark Appeal Case

結合商標の要部と周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2019−900020(T2019−900020/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第6093326号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第6093326号商標(以下「本件商標」という。)は,「datapollo」の文字を標準文字で表してなり,平成30年2月19日に登録出願,第9類,第12類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年10月11日に登録査定され,同月26日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第600030号の2商標(以下「引用商標」という。)は,「POLO」の欧文字を横書きしてなり,昭和36年5月12日に登録出願,同37年10月29日に設定登録された登録第600030号商標の商標権の分割に係るものであって,第12類「自動車、自動車の部品および附属品(自動車のタイヤ、チューブを除く)」を指定商品として,同63年5月30日に商標権の分割移転の登録がされ,その後,平成15年11月5日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品(自動車のタイヤ・チューブを除く)」とする指定商品の書換登録がなされたものであり,現に有効に存続するものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標はその指定商品及び指定役務中,第9類「全指定商品」及び第12類「全指定商品」(以下「申立商品」という。)について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第21号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標について

本件商標の構成中「data」の文字部分は,「資料,データ,(観察によって得られた)事実」程度の意を表す英単語として我が国において非常によく知られ(甲3),その称呼である「データ」は外来語として既に我が国に定着しているから(甲3,甲4),本件商標は「data」と「pollo」の語を組み合わせてなるものと訳なく看取,把握されるものである。

そして,本件商標の指定商品・役務との関係から,「data」の語は識別力が非常に弱く,一方で,後述するように引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,取引者・需要者間において申立人の取扱いに係る商品「自動車」を表示する商標として周知著名となっているから,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標中の「pollo」の文字部分から,申立人の自動車「POLO」を容易に想起するというものである。

したがって,本件商標の指定商品との関係においては,「pollo」の文字部分が,本件商標の自他商品識別標識として機能する部分(商標の要部)である。

イ 引用商標及びその周知著名性について

引用商標は,「POLO」の欧文字を表してなるものであり,本件商標の登録出願前には,取引者・需要者間において,申立人の取扱いに係る商品「自動車」を表示する商標として広く認識され周知著名となっていたものである。

(ア)自動車「POLO」(以下「申立人商品」という。)は,1975年(昭和50年)に欧州で初代が発売され,我が国には1982年(昭和57年)に二代目が輸入され,1996年(平成8年)より本格的に輸入されて現在に至るまで,継続的に日本国内において販売されている(甲5〜甲7)。

(イ)日本自動車輸入組合が発表する外国メーカー車モデル別新車登録台数順位では,申立人商品は2003年(平成15年)以降,常に上位7位以内に入っていて,2003年(平成15年)ないし2018年(平成30年)の16年間で計191,601台の新車が登録(年平均約1万2千台)されており(甲8),1996年(平成8年)以降では25万台以上が輸入・販売されている(2018年(平成30年)3月時。甲7)という,我が国で大変人気の高い申立人の主力車種の一つである(甲5)。

(ウ)世界的には1975年(昭和50年)以降40年以上にわたり1,400万台を超えるセールスを記録(2018年(平成30年)3月時)しているベストセラーカーであって(甲7),2017年(平成29年)には世界の乗用車販売台数ベスト10にランクインしている(甲9)。

(エ)申立人商品は,モデルチェンジを繰り返しながら現在に至っている大変息の長い商品であるが,その間に多くの賞を国内・国外を問わず受賞している。我が国においては,日本カー・オブ・ザ・イヤー(略称COTY)が選定する,日本における二大カー・オブ・ザ・イヤーの1つでもある「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において,第31回(2010(平成22)〜2011(平成23)年次)の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は僅差で次点,「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を過去最高点で受賞,第39回(2018(平成30)〜2019(平成31)年次)は「10ベストカー」に選出された(甲10)。

(オ)また,二大カー・オブ・ザ・イヤーの他方であるNPO法人日本自動車研究者ジャーナリスト会議(略称RJC)が選定する「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」においては,第6回(1996(平成8)〜1997(平成9)年次),第10回(2000(平成12)〜2001(平成13)年次),第20回(2010(平成22)〜2011(平成23)年次),第24回(2014(平成26)〜2015(平成27)年次)の4回にわたり「RJCカー・オブ・ザ・イヤーインポート」を受賞している。COTYとRJC双方のカー・オブ・ザ・イヤーを同時に獲得したのは,申立人商品が初めてであった(甲11,甲12)。

(カ)申立人商品は,他にも国内外で多数の賞を受賞している(甲13〜甲18)。

(キ)申立人商品を改良したワールドラリーカーは,FIA世界ラリー選手権で2013年(平成25年)から2016年(平成28年)の4年間,すべてのシーズンで総合優勝を達成するという偉業を成し遂げ(甲19),「POLO」の名を更に高めることに寄与した。

(ク)「POLO」を含む申立人の自動車を扱う国内正規代理店は島根県以外の全ての都道府県にあり(甲20),その他の販売店(中古車販売店も含む)も全国に存在し,また,申立人商品はファミリー層を始めとするあらゆる購買層向けの車種であって,上記したように優れた品質を有していることで知られている。

(ケ)以上の事実からしても,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「自動車」を表示する商標として,自動車関連業界の取引者・需要者のみならず,一般人においても周知著名であったことは,疑念のないところである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標の構成中,独立して自他商品識別標識として機能する「pollo」と引用商標「POLO」は,大文字・小文字の違いはあるものの,外観上において近似した印象を与えるものである。

本件商標の要部「pollo」からは「ポロ」の称呼が生じ,引用商標「POLO」からも「ポロ」の称呼が生じるので,両商標は,称呼を共通にするものである。

引用商標が申立人の周知著名な自動車の名称であることからすれば,本件商標及び引用商標からは,共通して「申立人の業務に係る周知著名な自動車としてのPOLO(ポロ)」の観念が生じる。

以上を総合すると,本件商標は,引用商標と外観が近似しており,称呼と観念を共通にするものである。

したがって,本件商標は,引用商標と類似の商標である。

エ 本件商標と引用商標の指定商品の類否

本件商標の指定商品中,第12類「自律走行式自動車,遠隔操作式乗物(おもちゃを除く。),電動式乗物,航空機・自動車・ニ輪自動車・自転車用タイヤ,自動車,乗物用座席」は,引用商標の指定商品と同一又は類似する。

オ 小括

上記のとおり,本件商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も同一又は類似するものである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 本件商標と引用商標との類否について

上記(1)ウのとおり,本件商標と引用商標とは互いに類似の商標である。

イ 引用商標の周知著名性について

上記(1)イのとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「自動車」を表示する商標として,取引者・需要者間において広く認識され周知著名となっていたものである。

ウ 申立人の商品との混同を生ずるおそれについて

(ア)引用商標は上記(1)イのとおり,申立人の商標として周知著名なものであるところ,申立人は,自動車の製造販売のみならず,自転車やアウトドア用品,スーツケース,ゴルフ用品などの商品をも製造・販売しており,その事業は広範囲にわたっている(甲21)。また,本件商標は,自動車に関連する商品・役務を指定して登録されている(甲1)。

(イ)本件商標は,申立人の周知著名な引用商標が容易に看取,把握される構成であるので,これに接する取引者・需要者は,申立人の周知著名な引用商標を容易に連想又は想起し,本件商標に係る商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務にかかわる商品及び役務であると捉えるから,その商品の出所及び役務の提供について混同を生じさせるおそれがある。

エ 小括

上記のとおりであるので,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報,新聞記事情報など)によれば,次の事実を認めることができる。

(ア)申立人は,自動車メーカーであって,引用商標を自動車について使用している(甲5ほか)。

(イ)引用商標を使用した申立人商品は,我が国において,遅くとも1996年(平成8年)には販売され,現在まで継続して販売されている(甲7,職権調査)。

(ウ)申立人商品は,日本自動車輸入組合による「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位の推移(暦年)」によれば,2003年(平成15年)ないし2018年(平成30年)に第2位ないし第7位であった(甲8,職権調査)。

イ 上記アの事実によれば,申立人商品は,本件商標の登録出願の日前から登録査定日はもとより現在まで継続して,需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。

そうすると,申立人商品について使用されている引用商標は,本件商標の登録出願の時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品(自動車)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているものと判断するのが相当である。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

(ア)本件商標は,上記1のとおり「datapollo」の文字を標準文字で表してなり,その構成文字は同書,同大,同間隔でまとまりよく一体に表され,これから生じる「データポロ」の称呼も,よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして,本件商標は,その構成中「data」の文字が「資料,データ,(観察によって得られた)事実」等の意味を有する親しまれた英語であるとしても,かかる構成及び称呼においては,「datapollo」の構成文字全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分のものとして認識,把握されるとみるのが自然である。

したがって,本件商標は,その構成文字全体をもって認識,把握されるというべきものであるから,本件商標からは,「データポロ」の称呼のみが生じ,特定の観念は生じないものである。

(イ)申立人は,本件商標の構成中「data」の語は,本件商標の指定商品・役務との関係から,識別力が非常に弱く,また,引用商標は申立人の取扱いに係る商品を表示する商標として周知著名となっているから,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標が「data」と「pollo」の語を組み合わせてなるものと看取,把握するとともに,「pollo」の文字部分から申立人の自動車「POLO」を容易に想起するなどとして,本件商標は,その指定商品との関係においては「pollo」の文字部分が要部である旨主張している。

しかしながら,「data」の文字が,申立商品との関係において,商品の品質などを直接かつ具体的に表示するものとして一般に使用されている事実及び取引者・需要者をして商品の品質を表示するものと認識させるというべき事情はいずれも見いだせないことに加え,その構成中のいずれかが取引者・需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの,又は,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認めるに足る事情は見いだせない。

さらに,引用商標の構成文字「POLO」と本件商標構成中の文字「pollo」とはつづりが相違することからすれば,引用商標が申立人の業務に係る自動車を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められるものであるとしても,本件商標は,その構成中の「pollo」の文字部分が申立人の業務に係る自動車「POLO」を想起させるとも,要部であるともいえないと判断するのが相当である。

したがって,申立人のかかる主張は採用できない。

イ 引用商標

引用商標は,上記2のとおり「POLO」の文字からなるものであるから,当該文字に相応し,「ポロ」の称呼を生じ,「(申立人の業務に係る自動車である)POLO」の観念を生じるものである。

ウ 本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標とを比較すると,両者は外観において,「data」の文字の有無を含め,構成文字数やつづりが明らかに異なること及び本件商標は全て小文字であるのに対し引用商標は全て大文字から構成されていることから,外観上,相紛れるおそれのないものである。

次に,称呼においては,本件商標から生じる「データポロ」と引用商標から生じる「ポロ」の称呼を比較すると,両者は語頭において「データ」の音の有無という差異を有し,全体の構成音数が5音と2音と相違するから,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標は「(申立人の業務に係る自動車である)POLO」の観念を生じるものであるから,観念上,相紛れるおそれのないものである。

そうすると,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,両者が取引者・需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は非類似の商標というべきである。

エ 小括

以上のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,本件商標の申立商品中に引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれているとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第15号について

上記(1)のとおり引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるが,上記(2)ウのとおり本件商標は,引用商標と外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

そうすると,本件商標は,商標権者がこれを申立商品について使用しても,取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当せず,その登録異議の申立てに係る指定商品(申立商品)についての登録は,同条第1項に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。

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